北イタリアのトレント州にて、ジロ・デ・イタリアの前哨戦、ジロ・デル・トレンティーノが開幕した。初日は短距離のロードレースとチームTTが行われ、1aステージは大きなタイム差で6名が逃げ切り。TT後にヨーゼフ・チェルニー(チェコ、CCCポルサット)がリーダーの座に就いた。



ステージ1a

出走サインを済ませた新城幸也(日本、ユーロップカー)出走サインを済ませた新城幸也(日本、ユーロップカー) photo:Riccardo Scanferla今年で37回目の開催を迎えたジロ・デル・トレンティーノ(UCI2.HC)は、4日間で5つのステージをこなす山岳ステージレース。北イタリアの急峻な山岳地域を舞台とするだけに、初日を除いていずれも山岳ステージが設定される。今年は初日午前中に短距離のロードレースが行われ、午後からチームタイムトライアルが設けられていることが特徴だ。

山間の平坦路を行くメイン集団山間の平坦路を行くメイン集団 photo:Giro del Trentino今年はヴィンツェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)やカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)、ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、スカイプロサイクリング)など多くのジロを見据えるオールラウンダーやヒルクライマーが多く参戦。昨年度覇者のドメニコ・ポッツォヴィーヴォは(イタリア)は今年アージェードゥーゼルのエースナンバーを付けて連覇を狙う。

逃げるマシキム・ブエ(フランス、アージェードゥーゼル)やヨーゼフ・チェルニー(チェコ、CCCポルサット)逃げるマシキム・ブエ(フランス、アージェードゥーゼル)やヨーゼフ・チェルニー(チェコ、CCCポルサット) photo:Giro del Trentino日本からはピエール・ローラン(フランス)のアシストを務める新城幸也(ユーロップカー)と、西薗良太(チャンピシステム・プロサイクリング)の2名が出場。一方で出場を予定していた増田成幸(キャノンデールプロサイクリング)は欠場を決めた。

増田は「ここまで頑張り過ぎたのか、疲労困憊によってトレーニングもままならない状態に。トレンティーノをパスして病院で検査を受けることになりました。とにかく今できることは回復に全力を尽くすこと。ドクターや監督と相談して再始動に向けて頑張ります」と復活に向けたコメントを残した。

4月16日午前中に行われた1aステージは、リエンツを発着する128.5kmの周回コース。概ね平坦基調だがゴール手前17kmには登坂距離約5kmのカテゴリー2級山岳アイゼルスベルグが設けられる。この開幕ステージは総合成績を大きく動かす展開となった。

スタート後にアーリーブレークを決めたのは、ポッツォヴィーヴォのアシストを務めるマキシム・ブエ(フランス、アージェードゥーゼル)やヨーゼフ・チェルニー(チェコ、CCCポルサット)ら8名。集団が逃げを容認したため、先頭グループは最大8分50秒のアドバンテージを獲得して逃げ続けた。

チームカーに下がる新城幸也(日本、ユーロップカー)チームカーに下がる新城幸也(日本、ユーロップカー) photo:Riccardo Scanferlaアタックするマイケル・ロドリゲス(コロンビア、チームコロンビア) アタックするマイケル・ロドリゲス(コロンビア、チームコロンビア)  photo:Giro del Trentino

スプリントを制したマシキム・ブエ(フランス、アージェードゥーゼル)スプリントを制したマシキム・ブエ(フランス、アージェードゥーゼル) photo:Giro del Trentino

リーダージャージを獲得したマキシム・ブエ(フランス、アージェードゥーゼル)リーダージャージを獲得したマキシム・ブエ(フランス、アージェードゥーゼル) photo:Giro del Trentinoしかしメイン集団ではペースコントロールを担うチームが現れず、残り距離が減ってもタイム差は縮まらない。「トレンティーノ、午前130キロロードレース。逃げがあっさり決まり、どこも牽引せず、逃げ切りが決まる。かなり特殊な展開だった。」と振り返るのは西薗良太。

勝負はメンバーを減らした逃げグループ内でのスプリントに委ねられ、チェルニーとマイケル・ロドリゲス(コロンビア、チームコロンビア)を下したブエが勝利を上げた。

総合有力勢を含むメイン集団は、エンリコ・バッタリン(イタリア、バルディーニヴァルヴォーレ・CSFイノックス)を先頭におよそ7分遅れでゴールしている。


ジロ・デル・トレンティーノ2013 ステージ1a 結果
1位 マキシム・ブエ(フランス、アージェードゥーゼル)             2h48′59″
2位 ヨーゼフ・チェルニー(チェコ、CCCポルサット)
3位 マイケル・ロドリゲス(コロンビア、チームコロンビア)
4位 ニコラ・ダルサント(イタリア、チェラミカフラミニア・フォンドリエスト)    +39″
5位 ホセエンゾ・モヤーノ(アルゼンチン、カハルーラル)
6位 パヴェル・コチェトコフ(ロシア、ラスヴェロ)
7位 ジャック・ヴァンレンスバーグ(南アフリカ、MTNキュベカ・サムスン)      +41″
8位 ガン・シュー(中国、チャンピオンシステム、プロサイクリング)         +1′11″
9位 エンリコ・バッタリン(イタリア、バルディーニヴァルヴォーレ・CSFイノックス) +6′51″
10位 レオナルド・ドゥケ(コロンビア、チームコロンビア) 
97位 西薗良太(チャンピシステム・プロサイクリング)               +7′29″
107位 新城幸也(ユーロップカー)                         +7′51″

個人総合成績
1位 マキシム・ブエ(フランス、アージェードゥーゼル)             2h48′53″
2位 ヨーゼフ・チェルニー(チェコ、CCCポルサット)                +02″
3位 マイケル・ロドリゲス(コロンビア、チームコロンビア)             +04″
4位 ニコラ・ダルサント(イタリア、チェラミカフラミニア・フォンドリエスト)    +45″
5位 ホセエンゾ・モヤーノ(アルゼンチン、カハルーラル)
6位 パヴェル・コチェトコフ(ロシア、ラスヴェロ)
7位 ジャック・ヴァンレンスバーグ(南アフリカ、MTNキュベカ・サムスン)     +47″
8位 ガン・シュー(中国、チャンピオンシステム、プロサイクリング)         +1′17″
9位 エンリコ・バッタリン(イタリア、バルディーニヴァルヴォーレ・CSFイノックス) +6′57″
10位 レオナルド・ドゥケ(コロンビア、チームコロンビア) 

山岳賞
マイケル・ロドリゲス(コロンビア、チームコロンビア)

新人賞
ジョセフ・セルニー(チェコ、CCCポルサット)



ステージ1b

ステージ優勝を上げたスカイプロサイクリングステージ優勝を上げたスカイプロサイクリング photo:Giro del Trentinoステージ1a終了後に行われたのは、同じくリエンツを発着する距離14.1kmのチームタイムトライアル。川沿いを走るコースは、今大会唯一山岳ポイントの設けられないオールフラットなコースだ。

トップタイムで優勝したスカイプロサイクリングトップタイムで優勝したスカイプロサイクリング photo:Riccardo Scanferla序盤に圧倒的なタイムをマークしたのは、ウィギンズやイタリアナショナルTTチャンピオン、ダリオ・カタルド、クリスティアン・クネース(ドイツ)など屈指のスピードマンを擁するスカイプロサイクリング。15分20秒を叩き出すと、一躍ホットシートに就いた。

好走したアスタナは13秒、ランプレ・メリダも16秒の遅れを取り、最終的にスカイプロサイクリングの優勝が決定。平均スピードは55.174km/h。

ウィギンズは「良いフィーリングで走れている。調子は良いし、集中出来ているよ。明日はどこまで走ることができるかテストする日。厳しい一日になるだろうけど、可能な限りできることをするつもりさ」とコメントした。

また、アージェードゥーゼルが15位に沈んだため、総合リーダーの座は1aステージで2位に入ったヨーゼフ・チェルニー(チェコ、CCCポルサット)が獲得している。

スカイプロサイクリングが15分20秒のタイムでゴールに飛び込むスカイプロサイクリングが15分20秒のタイムでゴールに飛び込む photo:Giro del Trentino
チームタイムトライアルを走るユーロップカー 新城幸也は前から4番目チームタイムトライアルを走るユーロップカー 新城幸也は前から4番目 photo:Riccardo Scanferla全日本チャンピオンジャージを着る西薗良太(日本、チャンピオンシステム)全日本チャンピオンジャージを着る西薗良太(日本、チャンピオンシステム) photo:Riccardo Scanferla

そしてユーロップカーは、新城らが前半捨て身で牽く作戦が功を奏し、5位に入る好走。新城はリリース内で「今日は展開が後手になってしまった。明日からの激しい山岳ステージはピエールをアシストしながら、積極的にこなしたい。」 と展望を語った。

一方で西薗らチャンピシステム・プロサイクリングは、タイムマネジメントミスにより、最下位に。「午後のTTTは、まず遅刻しかけてスタート10秒前に発走台に到着。チームメイトの一部はローリングスタート。。。色々不意打ちくらい過ぎて最下位に沈んでしまいました。」と自信のTwitterでコメントしている。

13秒差の2位に入ったアスタナ13秒差の2位に入ったアスタナ photo:Giro del Trentino16秒差の3位に入ったランプレ・メリダ16秒差の3位に入ったランプレ・メリダ photo:Giro del Trentino


シャンパンを開けるスカイプロサイクリングシャンパンを開けるスカイプロサイクリング photo:Giro del Trentino各賞ジャージ表彰。中央は総合リーダーのヨーゼフ・チェルニー(チェコ、CCCポルサット) 各賞ジャージ表彰。中央は総合リーダーのヨーゼフ・チェルニー(チェコ、CCCポルサット)  photo:Giro del Trentino



ジロ・デル・トレンティーノ2013 ステージ1b結果
1位 スカイプロサイクリング            15′20″
2位 アスタナ                    +13″
3位 ランプレ・メリダ                 +16″
4位 チームネットアップ・エンデューラ        +24″
5位 ユーロップカー                  +35″
6位 バルディーニヴァルヴォーレ・CSFイノックス  
7位 ヴィーニファンティーニ              +39″
8位 アンドローニ・ベネズエラ             +44″
9位 BMCレーシングチーム              +49″
10位 キャノンデール・プロサイクリング

個人総合成績
1位 ヨーゼフ・チェルニー(チェコ、CCCポルサット)           3h05′07″
2位 マキシム・ブエ(フランス、アージェードゥーゼル)             +11″
3位 マイケル・ロドリゲス(コロンビア、チームコロンビア)           +16″
4位 ジャック・ヴァンレンスバーグ(南アフリカ、MTNキュベカ・サムスン)   +44″
5位 パヴェル・コチェトコフ(ロシア、ラスヴェロ)                +49″
6位 ホセエンゾ・モヤーノ(アルゼンチン、カハルーラル)            +50″
7位 ニコラ・ダルサント(イタリア、チェラミカフラミニア・フォンドリエスト)  +59″
8位 ガン・シュー(中国、チャンピオンシステム、プロサイクリング)      +2′09″
9位 ピーター・ケノー(イギリス、スカイプロサイクリング)           +6′03″
10位 クリスティアン・クネース(ドイツ、スカイプロサイクリング)           

山岳賞
マイケル・ロドリゲス(コロンビア、チームコロンビア)

新人賞
ジョセフ・セルニー(チェコ、CCCポルサット)

チーム総合成績
CCCポルサット

text:So Isobe
photo:Giro del Trentino, Riccardo Scanferla