雨に濡れる台北市内で行われたツール・ド・台湾最終ステージ。吉田隼人が集団スプリントを制し、今大会初の日本人によるステージ優勝を達成。ベルナルド・サルツバージャーが総合優勝に輝いた。

台北101前をスタートしていく台北101前をスタートしていく photo:tourdetwアジア伝統のステージレース、ツール・ド・台湾(UCI2.1)もいよいよ迎えた最終日。第7ステージは台湾の首都・台北市内に用意されたサーキットコースを周回する58kmのクリテリウムだ。

細かなアタックがかかり続けるが、決まらない細かなアタックがかかり続けるが、決まらない photo:tourdetwブランドショップが立ち並ぶメインストリートを往復するコースは完全フラットだが、台北101前に置かれたスタート/ゴール地点付近には直角や鋭角コーナーが連続する難易度の高いもの。この日はスタートから雨が降り、市街地の触れた路面はレースの難易度を一層引き上げた。

この日スタートしたのは93名。前日のゴールスプリントで落車した綾部勇成(愛三工業レーシング)は、病院で骨折が見つかりDNSに。「1ヶ月ちょっとで治る予定です。足ではないのでトレーニングできるので、5月のレースからまた頑張ります」と自身のtwitterでコメントしている。

58kmのレース中にはボーナスタイムが掛けられるスプリントポイントが3つ設定され、総合ジャンプアップを狙う争いが激化。そのため終始逃げの決まらないスピーディーな展開となる。


台北市内を駆け巡るクリテリウム台北市内を駆け巡るクリテリウム photo:tourdetw

集団内で走るベルナルド・サルツバージャー(オーストラリア、ドラパック・サイクリング)集団内で走るベルナルド・サルツバージャー(オーストラリア、ドラパック・サイクリング) photo:tourdetw第1スプリントポイントは総合4位のキリル・ポズディヤノフ(ロシア、シナジーバクサイクリング)が、第2スプリントは総合7位のモハマドソフィ・セナン(マレーシア、トレンガヌ・サイクリング)が。第3スプリントは総合9位のリアム・ホロハン(イギリス、マディソン・ジェネシス)が獲得。ポズディヤノフは獲得したボーナスタイムをもって、総合3位への浮上に成功した。

後続を大きく引き離してゴールする吉田隼人(シマノレーシング)後続を大きく引き離してゴールする吉田隼人(シマノレーシング) photo:tourdetwシマノレーシングは野中竜馬、入部正太郎、安井雅彦、日本ナショナルチームは内間康平と西村大輝がアタックをしていくものの、いずれも決定的なアタックは生まれない。スリッピーな路面に落車が多発しつつも、レースはリーダージャージ擁するドラパック・サイクリング主導の下ゴールスプリントに持ち込まれた。

そして残りわずか。ゴール前250mに設置されたテクニカルコーナーで鋭くインを突きリードを奪ったのはシマノレーシングの吉田隼人。最終コーナーも先頭でクリアすると、そのまま大きな差をキープしたまま余裕のガッツポーズを繰り出した。

「昨日は早く仕掛けすぎ成績を残せなかった事もあり、残り250mからのロングスパートには勇気が必要でした。最後は全ての集中力を注ぎゴールへ向かいました。どうしても欲しかったステージ優勝をあげる事ができてうれしいです。」と後に語る吉田隼人。今大会3回の一桁リザルトを経て、最終日で遂に優勝を飾ってみせた。

表彰台に上がる吉田隼人(シマノレーシング)表彰台に上がる吉田隼人(シマノレーシング) photo:tourdetw各賞ジャージ表彰各賞ジャージ表彰 photo:tourdetw


吉田隼人(シマノレーシング)吉田隼人(シマノレーシング) photo:tourdetwシャンパンを開けるベルナルド・サルツバージャー(オーストラリア、ドラパック・サイクリング)シャンパンを開けるベルナルド・サルツバージャー(オーストラリア、ドラパック・サイクリング) photo:tourdetw総合優勝を果たしたベルナルド・サルツバージャー(オーストラリア、ドラパック・サイクリング)総合優勝を果たしたベルナルド・サルツバージャー(オーストラリア、ドラパック・サイクリング) photo:tourdetw


そして終始チームメイトに守られて走ったベルナルド・サルツバージャー(オーストラリア、ドラパック・サイクリング)は31位でゴールし、総合優勝を達成。ドラパック・サイクリングは昨年のリース・ポロック(オーストラリア)に続く2年連続のリーダージャージ獲得に成功した。




ツール・ド・台湾2013第7ステージ結果
1位 吉田隼人(シマノレーシング)
2位 ベンジャミン・ジロー(フランス、ラポム・マルセイユ)
3位 パトリック・ショー(オーストラリア、ジェネシス・ウェルスアドバイザーズ)
4位 グリシャ・ヤノルシュケ(ドイツ、ニュートリション・アバス)
5位 モハマドアディク・フサイン(マレーシア、チャンピオンシステム・プロサイクリング)
6位 福田真平(愛三工業レーシング)
7位 ヤカブ・クラトチヴィラ(チェコ、オベルンドルファー)
8位 ダニエル・サマーヒル(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)
9位 テュラキト・ブーンラタナ(タイ、タイナショナルチーム)
10位 中島康晴(愛三工業レーシング)

16位 清水太己(日本ナショナルチーム)
18位 鈴木譲(シマノレーシング)
30位 西村大輝(日本ナショナルチーム)
32位 伊藤雅和(愛三工業レーシング)
40位 平塚吉光(愛三工業レーシング)
45位 安井雅彦(シマノレーシング)
72位 寺崎武郎(日本ナショナルチーム)
75位 入部正太郎(シマノレーシング) +43″
76位 野中竜馬(シマノレーシング)
86位 内間康平(日本ナショナルチーム) +1′44″
DNS 綾部勇成(愛三工業レーシング)

個人総合成績
1位 ベルナルド・サルツバージャー(オーストラリア、ドラパック・サイクリング) 18h44′14″
2位 ツガブ・グルメイ(エチオピア、MTN・キュベカ・サムスン)+24″
3位 キリル・ポズディヤノフ(ロシア、シナジーバクサイクリング) +25″
4位 ルイス・メインテ(南アフリカ、MTNキュベカ・サムスン) +28″
5位 ネイサン・アール(オーストラリア、ジェネシス・ウェルスアドバイザーズ) +31″
6位 モハマドソフィ・セナン(マレーシア、トレンガヌ・サイクリング) +37″
7位 クロムステン・アンデルセン(デンマーク、フロイ・ビアンキ)
8位 ホ・チョイキ(台湾、台湾ナショナルチーム) +39″
9位 リアム・ホロハン(イギリス、マディソン・ジェネシス) +40″
10位 伊藤雅和(愛三工業レーシング)  +46″

ポイント賞
ベルナルド・サルツバージャー(オーストラリア、ドラパック・サイクリング)

山岳賞
フェン・チュンカイ(台湾、チャンピオンシステム・プロサイクリング)

チーム総合成績
フロイ・ビアンキ


text:So.Isobe
photo:tourdetw

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