カテゴリー1級のエズ峠で行われた個人タイムトライアル。最終走者のリッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング)がアンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ)を32秒離すトップタイムをマークし、第71回パリ~ニース総合優勝に輝いた。

メカニックとポジションの打ち合わせをするシルヴァン・シャヴァネル(フランス、オメガファーマ・クイックステップ)メカニックとポジションの打ち合わせをするシルヴァン・シャヴァネル(フランス、オメガファーマ・クイックステップ) photo:Kei Tsujiパリ〜ニース最終日を迎えた別府史之(オリカ・グリーンエッジ)パリ〜ニース最終日を迎えた別府史之(オリカ・グリーンエッジ) photo:Kei Tsuji


コートダジュールの斜面を駆け上がる9.6kmのヒルクライムコースコートダジュールの斜面を駆け上がる9.6kmのヒルクライムコース photo:Kei Tsujiパリ近郊のウイユで幕開けたパリ~ニースは、地中海に面したニース郊外の1級山岳、コル・デズ(COL D'ÈZE、エズ峠)頂上へと上り詰める山岳個人タイムトライアルで完結する。

ステージ128位・4分03秒差 別府史之(オリカ・グリーンエッジ)ステージ128位・4分03秒差 別府史之(オリカ・グリーンエッジ) photo:Kei Tsujiニースの中心街から少し離れた場所に位置するエズ峠のプロフィールは、登坂距離9.6km、平均勾配4.7%。海抜0mから標高501mまでを上り詰める。スタートからの2kmは約8%、後半1.5kmは1.2%と勾配に変化がつくため、ペース配分が重要な要素を担う。

27秒差のステージ3位に入ったナイロ・クインターナ(コロンビア、モビスター)27秒差のステージ3位に入ったナイロ・クインターナ(コロンビア、モビスター) photo:Kei Tsuji昨年大会この地ではブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)が2位リエーベ・ヴェストラ(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)に2秒差でステージ優勝と個人総合優勝を獲得している。

総合逆転を狙ったアンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ)はステージ2位・23秒遅れ総合逆転を狙ったアンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ)はステージ2位・23秒遅れ photo:Kei Tsuji昨ステージ終了時点で、総合2位アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ)はポルトに対して32秒、3位シルヴァン・シャヴァネル(フランス、オメガファーマ・クイックステップ)は42秒ほか、1分以内に9人がひしめき合う混戦模様。この日の結果が直接総合成績に反映されるため、逆転勝利への可能性も十分にある。

上りでのタイムトライアル故、ほぼ全ての選手がノーマルバイクを選択し、ホイールも後輪ディスクではなく、ローハイトもしくは50mmまでのディープリムホイール。エズ峠の最速タイムは、昨年ウィギンズがマークした19分12秒で、平均速度は30km/h。

序盤にハビエル・モレーノ(スペイン、モビスター)が20分47秒をマークすると、ジェローム・コッペル(フランス、コフィディス)が、そしてヨン・イサギーレ(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ)が順にタイムを更新。するとナイロ・クインターナ(コロンビア、モビスター)が19分43秒を叩き出す好走を見せ、一躍首位に立った。

ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)やジャンクリストフ・ペロー(フランス、アージェードゥーゼル)の好走もクインターナには届かず。やがてタランスキーとポルトが順にスタートを切った。

タランスキーはクインターナのタイムを中間計測ポイントでリードしたものの、最終走者ポルトは更にタランスキーのタイムを上書き。全開で踏み続ける2人の走りは拮抗したが、最終的にゴール地点ではポルトがタランスキーのタイムを23秒上回るトップタイムでゴール。ステージ優勝と、71第パリ~ニースチャンピオンの座を獲得した。


19分16秒のトップタイムで優勝したリッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング)19分16秒のトップタイムで優勝したリッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング) photo:Kei Tsuji

「とても信じられない。トニ・マルティンやウィギンズなどビッグネームに混じり、オージーとして初の大会優勝に誇りを感じている」と、マイヨ・ジョーヌを守りぬいたポルトは語る。

「今朝起きて、脚の調子が良いことが分かった。コンディションは好調なままだったんだ。僕はまだツールで勝てる用意ができているとは思わない。今年の僕の目標はグランツールでブラッドやフルームをアシストすること。それを経れば、多分翌年はジロでチームを率いることも可能だと思う。僕はまだ彼らの下で色々と学んでいくつもりだよ。」

ポイント賞はシルヴァン・シャヴァネル(フランス、オメガファーマ・クイックステップ)が獲得ポイント賞はシルヴァン・シャヴァネル(フランス、オメガファーマ・クイックステップ)が獲得 photo:Kei Tsujiステージ優勝と総合優勝を同時に果たしたリッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング)ステージ優勝と総合優勝を同時に果たしたリッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング) photo:Kei Tsuji


ヨハン・チョップ(スイス、IAMサイクリング)が山岳賞を獲得ヨハン・チョップ(スイス、IAMサイクリング)が山岳賞を獲得 photo:Kei Tsuji新人賞のアンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ)に笑顔が戻る新人賞のアンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ)に笑顔が戻る photo:Kei Tsuji


総合2位、新人賞を獲得したタランスキーは言う。「後悔はしていない。ベストな選手が勝利して、リッチーはまさに勝利にふさわしい選手だった。だから僕は納得しているし、ハッピーさ。僕は将来ここに戻ってきて勝つよ。」

「僕のキャリアにとって、パリ~ニースは大きなステップアップになった。去年のツール・ド・ロマンディでもブラッドリーに次いで2位になったけれど、今回はそれ以上に厳しいレースだった。1周間のステージレースで一番難易度が高いよ。」とも付け加えた。

パリ〜ニース2013総合トップスリーパリ〜ニース2013総合トップスリー photo:Kei Tsuji

総合成績ではステージ4位に入ったペローがシャヴァネルを逆転して3位に上がり、ヴァンガーデレンが6位から4位に。またディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ)も9位から7位に順位を引き上げた。

この日43番手でスタートした別府史之(オリカ・グリーンエッジ)のタイムは23分19秒。総合112位でパリ~ニースをフィニッシュしている。


パリ~ニース2013第7ステージ結果
1位 リッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング) 19′16″
2位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ) +23″
3位 ナイロ・クインターナ(コロンビア、モビスター)+27″
4位 ジャンクリストフ・ペロー(フランス、アージェードゥーゼル) +32″
5位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング) +52″
6位 サイモン・スピラック(スロベニア、カチューシャ) +55″
7位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ) +1′00″
8位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・メリダ) +1′03″
9位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、オメガファーマ・クイックステップ) +1′05″
10位 ヨン・イサギーレ(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ) +1′06″
128位 別府史之(オリカ・グリーンエッジ) +4′03″
 
個人総合成績
1位 リッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング) 29h59′47″
2位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ) +55″
3位 ジャンクリストフ・ペロー(フランス、アージェードゥーゼル)+1′21″
4位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)  +1′44″
5位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、オメガファーマ・クイックステップ) +1′47″
6位 サイモン・スピラック(スロベニア、カチューシャ)  +1′48″
7位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ) +1′54″
8位 リエーヴェ・ヴェストラ(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM) +2′17″ 
9位 アンドレアス・クレーデン(ドイツ、レディオシャック・レオパード) +2′22″
10位 ペーター・ベリトス(スロバキア、オメガファーマ・クイックステップ) 2′28″
112位 別府史之(オリカ・グリーンエッジ) +58′52″

ポイント賞
リッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング)

山岳賞
ヨハン・チョップ(スイス、IAMサイクリング)

新人賞
アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ)

チーム総合成績
スカイプロサイクリング


text:So.Isobe
photo:Kei Tsuji