全日本選手権ロードのアンダー種目が6月27日(土)行われ、U23は平井栄一(ブリヂストン・エスポワール)が優勝した。平井は昨年のジュニアチャンピオンでもあり全日本2連勝だ。そしてジュニアはこれも2連勝の黒枝士揮(日出暘谷高校)、U17は山崎航(金沢高校)がそれぞれ制した。

U23 5周目、上り頂上でアタックする竹之内悠(TREK MARCOPOLO CYCLINGTEAM)U23 5周目、上り頂上でアタックする竹之内悠(TREK MARCOPOLO CYCLINGTEAM) photo:Hideaki.TAKAGI激しい展開のU23を制したのはBS平井
全日本アマチュア自転車競技選手権大会ロードは87年から90年生まれのU23に相当するもので、13周159.9kmで行われた。
序盤からアタックが続く。決定的なアタックは5周目の上り。湯浅徹(明治大学)のアタックをきっかけに竹之内悠(TREK MARCOPOPLO CYCLINGTEAM)と森田大介(日本大学)の2名が抜け出し先頭で逃げる。8周目には後続から金子友也(ブリヂストン・エスポワール)と中山卓士(UTSUNOMIYA BLITZEN)が合流して逃げは4人に。さらに9周目には平井栄一(ブリヂストン・エスポワール)、小坂光(UTSUNOMIYA BLITZEN)、外勢健一朗(ダイハツ・ボンシャンス飯田)が合流、森田が下って先頭は6人に。メイン集団は1分差。


U23 10周目上り、先頭の竹之内悠(TREK MARCOPOLO CYCLINGTEAM)がペースアップ、小坂光(UTSUNOMIYA BLITZEN)が下るU23 10周目上り、先頭の竹之内悠(TREK MARCOPOLO CYCLINGTEAM)がペースアップ、小坂光(UTSUNOMIYA BLITZEN)が下る photo:Hideaki.TAKAGI10周目に小坂が下っていっぽうで金子が単独アタックして独走を開始。11周目には後続から合流した中村弦太(京都産業大学)がアタックするが12周目突入時には吸収、さらに福田高志(大阪経済大学)、木守望(京都産業大学)、野口正則(鹿屋体育大学)、涌本正樹・澤田賢匠(マトリックスパワータグ・コラテック)も合流して、金子を追う追走集団は涌本、澤田、中山、平井、竹之内、外勢、野口、木守、福田の9人に。


U23 11周目へ、金子友也(ブリヂストン・エスポワール)がアタック開始U23 11周目へ、金子友也(ブリヂストン・エスポワール)がアタック開始 photo:Hideaki.TAKAGI12周目上りでついに金子が吸収、カウンターで外勢がアタックするが吸収、澤田が遅れて9人で最終周回に突入。ラスト4kmの上り区間で竹之内がペースアップするがさらに平井がアタック、これに涌本が反応して2人でピークを越える。その後の下り区間で2人は吸収されゴールへ。先行していた平井が100m前から優勝を確信、何度もガッツポーズを繰り返して、昨年のジュニアに続いて全日本2連勝を果たした。


U23 ラスト4kmの上り、竹之内悠(TREK MARCOPOLO CYCLINGTEAM)がペースアップU23 ラスト4kmの上り、竹之内悠(TREK MARCOPOLO CYCLINGTEAM)がペースアップ photo:Hideaki.TAKAGI金子の2周にわたる逃げに、自らもアタックして応えた平井が優勝。強力なメンバーによるチームプレーの勝利だ。また竹之内も全体のおよそ半分近く先頭を引き続け、驚異の走りを見せた。
U23の世界戦選考が翌日のエリートで行われることで、多くの上位候補が不参加となったこのレースだったが、激しい展開で価値あるものとなった。


U23 ラスト4kmの上り、平井栄一(ブリヂストン・エスポワール)がアタックU23 ラスト4kmの上り、平井栄一(ブリヂストン・エスポワール)がアタック photo:Hideaki.TAKAGI優勝した平井は「去年は一人で走っての優勝でした。今年は金子さんがアシストしてくれたので絶対に勝たなければと走りました。最後の上りで涌本さんをちぎろうと思ったけどもできなかったので、ゴールスプリントにしようと下りで後続と合流しました。ラストの仕掛けはちょっと早すぎたけども回りも疲れていたようなので勝てました。竹ノ内さんが強かったけれども、自分は金子さんのおかげで脚を貯められました。今年はフランスへ行ってそこで頑張りたいです」と語る。


U23 ラスト3kmの上り、平井栄一(ブリヂストン・エスポワール)が涌本正樹(マトリックスパワータグ・コラテック)を振り切ろうとアタックU23 ラスト3kmの上り、平井栄一(ブリヂストン・エスポワール)が涌本正樹(マトリックスパワータグ・コラテック)を振り切ろうとアタック photo:Hideaki.TAKAGIジュニアは黒枝と山本の一騎打ち
91年、92年生まれの選手によるジュニアは10周123kmで行われた。
序盤から有力どころが前方を固める。2周目には実業団TRクラスも走る寺崎武郎(バルバレーシング)がアタックするが吸収される。そして優勝候補のひとり、元砂勇雪(榛生昇陽高校)が落車リタイアする波乱が起きた。5周目には椿大志(TEAM YOUCAN)、池部壮太(別府商業高校)が単独アタックするが吸収、その後に山本元喜(奈良北高校)、笠原恭輔(小松原高校)、黒枝士揮(日出暘谷高校)の3人が抜け出し逃げる。さらに中井俊亮(榛生昇陽高校)、大平将汰(奈良北高校)が追い、メイン集団と続く。
U23 平井栄一(ブリヂストン・エスポワール)が優勝U23 平井栄一(ブリヂストン・エスポワール)が優勝 photo:Hideaki.TAKAGI
最終周回、上り区間で山本がペースアップすると笠原がやや遅れる。さらにアタックをかける山本だが、黒枝も離れずそのまま下ってゴールへ。先行した山本を黒枝がかわして優勝。黒枝は昨年U17で優勝しており、全日本2連勝だ。

その黒枝は「去年U17で優勝したときに次はジュニアで勝つと言ったので、勝ててうれしいです。2位の山本君の上りでのアタックが本当に強かった。それに全て対応して、ゴールスプリントに持ち込めました。スプリントならばと考えて、きつかったけど我慢しました。今後は進学して大学で走って、できればロードで海外も走りたいです」と語る。
ジュニア 1周目、早くも有力どころが前にジュニア 1周目、早くも有力どころが前に photo:Hideaki.TAKAGI

2位の山本は「黒枝君とのスプリントに持ち込みたくなかったので、上りでアタックかけて離そうとしましたができませんでした。ポイントレースなどで黒枝君のスプリント力はわかっていたので」と語る。去る6月7日のジュニアオリンピックカップポイントレースでも1位2位の好敵手だ。


ジュニア 最終周回ラスト4km、山本元喜(奈良北高校)が上りでペースアップ、笠原恭輔(小松原高校)が離れるジュニア 最終周回ラスト4km、山本元喜(奈良北高校)が上りでペースアップ、笠原恭輔(小松原高校)が離れる photo:Hideaki.TAKAGIU17
93年から96年生まれの選手によるU17は5周61.5kmで行われた。
中盤まで散発的な単独アタックがかかるが決定打にならない。集団は清水太己(ブリヂストン・エスポワール)や今年のU17個人TTチャンピオンの内野直也(Comrade Giant)らが積極的だが集団を引き離すほどにはならない。ラスト3kmで大野宏樹(広島城北高校)がアタックをかけるが下りで吸収、勝負はゴールスプリントへ。山崎航(金沢高校)がこれを制して優勝。


ジュニア優勝の黒枝士揮(日出暘谷高校)ジュニア優勝の黒枝士揮(日出暘谷高校) photo:Hideaki.TAKAGI
結果
U23
1位 平井栄一(ブリヂストン・エスポワール)4時間24分07秒
2位 中山卓士(UTSUNOMIYA BLITZEN)+02秒
3位 竹之内悠(TREK MARCOPOLO CYCLINGTEAM)
4位 涌本正樹(マトリックスパワータグ・コラテック)
5位 福田高志(大阪経済大学)+03秒
6位 金子友也(ブリヂストン・エスポワール)+09秒


U17 ラスト4km上り、内野直也(Comrade Giant)、清水太己(ブリヂストン・エスポワール)らが先頭にU17 ラスト4km上り、内野直也(Comrade Giant)、清水太己(ブリヂストン・エスポワール)らが先頭に photo:Hideaki.TAKAGIジュニア
1位 黒枝士揮(日出暘谷高校)3時間15分59秒
2位 山本元喜(奈良北高校)+01秒
3位 笠原恭輔(小松原高校)+12秒
4位 中井俊亮(榛生昇陽高校)+23秒
5位 大平将汰(奈良北高校)+57秒
6位 寺崎武郎(バルバレーシング)+3分20秒


U17 ゴール勝負を山崎航(金沢高校)が制するU17 ゴール勝負を山崎航(金沢高校)が制する photo:Hideaki.TAKAGIU17
1位 山崎航(金沢高校)1時間41分34秒
2位 岩指翔大(奈良北高校)+01秒
3位 中武三四郎(城東工科高校)
4位 真砂英哲(高松工芸高校)+02秒
5位 市山襄(法政第二高校)
6位 福田智仁(城東工科高校)+03秒


photo&text:高木秀彰