若手も加入して大幅にパワーアップしたマルチヴァン・メリダバイキングチームの使用機材を紹介する。29インチモデル「ビッグ・ナイン」に加え、650Bモデル「ビッグ・セブン」が投入される。

マルチヴァン・メリダバイキングチームマルチヴァン・メリダバイキングチーム (c)Hideyuki.SUZUKI

2013年シーズンに向かうマルチヴァン・メリダバイキングチームの使用機材にはいくつかの変更が見られる。
最も注目されるのは、新しいホイールサイズ規格27.5インチの投入だろう。昨年秋にガンリタ・ダールが来日した際、その存在をうかがわせるような発言をしていたが、その頃からホセ・エルミダによりテストが繰り返されており、この日ビッグ・セブンという名称とともにチームバイクが公開された。29インチモデルのビッグ・ナインの流れを汲むデザインながら、ヘッドチューブからチェーンステイにいたるまで新設計となっており、メリダの意気込みが感じられる。

650B、27.5インチ規格を採用したホセ・エルミダのビッグ・セブン
「エルミダのライディングスタイルを100%生かす」ビッグ・セブン。フレーム重量は18インチで1060g「エルミダのライディングスタイルを100%生かす」ビッグ・セブン。フレーム重量は18インチで1060g (c)Hideyuki.SUZUKI

またSRAMの11速コンポーネントXX1がスペックされ、これに伴い新しくパートナーとなったフルクラムがXX1対応の27.5インチホイールを提供する。
開発の一翼を担うホセ・エルミダは「29インチバイクの中でもビッグ・ナインは、ハンドリングレスポンスの良いバイクだが、ビッグ・セブンは短いタームでの加速やタイトなセクションの多いコースでアドバンテージを得られるだろう。フレームも軽くなったからクライムセクションも速く走れる」とコメント。29インチのメリットが活かせる平坦基調のコースやマラソンレースには29インチも併用していくようだ。

ロードバイクにも似た造形のヘッドチューブ。コラム径は1-1/8&1.5テーパードとなるロードバイクにも似た造形のヘッドチューブ。コラム径は1-1/8&1.5テーパードとなる (c)Hideyuki.SUZUKI振動吸収性に優れる「フレックス・ステイ」。シートクランプもPRC製振動吸収性に優れる「フレックス・ステイ」。シートクランプもPRC製 (c)Hideyuki.SUZUKI


新たにサプライヤーとなった軽量パーツブランドPRCのステム&ハンドルバーを使用新たにサプライヤーとなった軽量パーツブランドPRCのステム&ハンドルバーを使用 (c)Hideyuki.SUZUKIリアブレーキマウントは、ビッグナインと異なりリアトライアングルの内側に設定されるリアブレーキマウントは、ビッグナインと異なりリアトライアングルの内側に設定される (c)Hideyuki.SUZUKI


チームカラーのグリーンが配されたレッドメタルXRP 650B。フルクラムではカーボンリムのチューブラー仕様も開発中だというチームカラーのグリーンが配されたレッドメタルXRP 650B。フルクラムではカーボンリムのチューブラー仕様も開発中だという (c)Hideyuki.SUZUKI142×12mmスルーアクスルを採用。フルクラムが新たに開発したレッドメタルXRPのXX1仕様ホイールで高剛性を実現142×12mmスルーアクスルを採用。フルクラムが新たに開発したレッドメタルXRPのXX1仕様ホイールで高剛性を実現 (c)Hideyuki.SUZUKI


一方、身長180cm前後の若手3人は、29インチ前提でハードテールかフルサスモデルをチョイスする様子だ。
「ヘッドチューブが短くコンパクトなビッグ・ナインは自分にピッタリ」と言うのはヴァン・フーツ。
リッチャーは「ビッグナインティナイン(フルサスモデル)のトラクション性能はファンタスティック(素晴らしい)。ハードテールのように加速できるし、衝撃もスムーズに吸収してくれるから長距離ステージレースが楽しみだ」と、このキャンプでもビッグナインティナインを精力的に乗り込んでいた。

29インチはメリダの十八番。ホセ・エルミダの2013年仕様ビッグ・ナイン
エルミダの2013年仕様ビッグ・ナイン。「バイオファイバー・ダンピング・コンパウンド」の採用で路面追従性能が向上しているというエルミダの2013年仕様ビッグ・ナイン。「バイオファイバー・ダンピング・コンパウンド」の採用で路面追従性能が向上しているという (c)Hideyuki.SUZUKI

ユニークなのは最年少のティンクだ。「ハードテールでレースをしたことがない」と話すくらいにフルサスモデル一本でキャリアを重ねているだけに「ビッグナインティナインがベスト」と信頼を寄せる。
「サスペンションがロックショックスになって、動きがよりスムーズになったと思う。XX1との組み合わせでレースをするのが楽しみ」とコメントしてくれた。

ロックショックスSID XXの採用に伴い、リモートロックアウトを装備。ハンドルバーは流行のフラットトップタイプロックショックスSID XXの採用に伴い、リモートロックアウトを装備。ハンドルバーは流行のフラットトップタイプ (c)Hideyuki.SUZUKI「F1のダンピングテクノロジーを応用した」スライドコントロールシステム採用のプロロゴサドル「F1のダンピングテクノロジーを応用した」スライドコントロールシステム採用のプロロゴサドル (c)Hideyuki.SUZUKI


29インチを主力にXCバイクでは先陣を切るメリダ。650B規格の積極的な開発とレースへの投入で、変化の激しい昨今の機材開発戦争で一歩リードした感がある。ライダーとバイクの一心同体の活躍に期待が膨らむ。


photo&text:Hideyuki.SUZUKI