注目集まるトレックの新型Madone特集第3弾。ジャパンカップクリテリウム覇者エドワード・トゥーンス(ベルギー、トレック・セガフレード)へのインタビューを紹介する。「トレーニングからレースまでずっとMadone」とまで言わしめる、新型Madoneの魅力とは?トップレーサー目線での評価に刮目せよ。

世界屈指のスプリンターに、新型Madoneについて聞く

ジャパンカップクリテリウムの集団スプリントを制したエドワード・トゥーンス(ベルギー、トレック・セガフレード)ジャパンカップクリテリウムの集団スプリントを制したエドワード・トゥーンス(ベルギー、トレック・セガフレード) photo:Kei Tsuji
2019年に続くジャパンカップクリテリウム2連覇を果たすことになったエドワード・トゥーンス(ベルギー、トレック・セガフレード)に話を聞いたのは、2019年にイタリアで開催されたDomane国際発表会に続く2度目。ヨーロッパからの長旅を終え、ジャパンカップクリテリウムを翌日に控えるタイミングであるにも関わらず、新型Madoneや自身のことについて真摯に、時に笑いを混ぜながら話してくれた。

「とにかく反応性が良い。軽量化は大歓迎」

―初めて新型Madoneを試したのはいつのことだったのでしょうか? そしてその第一印象は?

最初に新型Madoneを試したのは8月頃だったかな。もちろん新しいMadoneが開発されていることは知っていたし、マッズ(ピーダスン)が先んじてテストをしていたので「とても良い」と聞いていたからね。新型に乗るのが待ち遠しかった。

シクロワイアードのインタビューに応じるエドワード・トゥーンス(ベルギー、トレック・セガフレード)。クリテリウム前日のホテルにてシクロワイアードのインタビューに応じるエドワード・トゥーンス(ベルギー、トレック・セガフレード)。クリテリウム前日のホテルにて photo:So Isobe
乗った瞬間に先代Madoneとの差を明確に感じ取ることができた。先代も素晴らしいバイクだったけれど、今回の新型Madoneはとにかく「スーパーファスト」なバイクだ。反応性に優れているし、重量もずっと軽くなっているし、それもあってハンドリングもスムーズ。新しいチューブレスタイヤとホイールとのコンビネーションも良いので走りも流れるようにスムーズだ。

それに、本当のことを言えば、IsoSpeedが無くなり、より軽量化されたことはレーサーとしてとても歓迎すべきことだった。なぜならワイドタイヤが主流になって乗り心地が良くなった(トレック・セガフレードはピレリの28cチューブレスタイヤを運用)ので、IsoSpeed自体の必要性が下がっていたから。Isoflow自体のエアロ性能を感じ取ることはできなかったけどね(笑)。

エドワード・トゥーンス(ベルギー、トレック・セガフレード)がジャパンカップで駆った新型Madoneエドワード・トゥーンス(ベルギー、トレック・セガフレード)がジャパンカップで駆った新型Madone photo:So Isobe
―あなたはもともとMadoneが好み、と聞いていましたが、それはEmondaやDomaneがモデルチェンジした今でも変わりませんか?

モデルチェンジしてより大好きになってしまったよ。トレーニングもずっとこれに乗り続けている。ペダリングに対するバイクの進み方は歴代乗ってきたどのバイクよりも好きだし、今チームの選択肢としてあるEmondaよりも好み。MadoneとEmondaには重量差があるけれど、そんなのが気にならないくらいこのバイクが好きだし、よほど山が厳しいレースでない限り僕はMadoneを選んでいるよ。

僕のようなスプリンターにとってはとにかくバイクの剛性が大切なんだ。実際Isospeedの調整機構をいじったことはなかったし、フランドルのようなクラシックレースではタイヤの空気圧を調整することがより大切。チューブレスタイヤのおかげで空気圧を下げても転がり抵抗を損なわず、より速く走れるから。もっと言えば、トレック・セガフレードの選手にとっては、Isospeedが絶対に必要になる道を走るレースではDomaneという選択肢がある。

「スプリンターの第一選択肢になるバイク」「スプリンターの第一選択肢になるバイク」 photo: Yuchiro Hosoda
もっと言えばスプリンターにとっては"ファーストチョイス(第一選択肢)"になるバイクだ。もちろんエアロ性能にも秀でているし、低速コーナーからの立ち上がりでも、高速状態からさらに加速しようとした時でも瞬時に加速できる。これで勝てなければライダーの責任ということになるね(笑)。

「開発陣がIsoSpeedを無くすという決断をし、代わりに軽さを得たことは大歓迎」「開発陣がIsoSpeedを無くすという決断をし、代わりに軽さを得たことは大歓迎」 photo:So Isobe―なるほど。例えばパリ〜ルーベのようなパヴェではいかがでしょうか?今年はチームメンバーがルーベはDomane、ツール・ド・フランスのパヴェステージではMadoneという使い分けがなされていましたが。

僕自身は今年ルーベもツール・ド・フランスも走らなかったけれど、石畳ステージではほとんどのメンバーが新型Madoneを使っていたね。アランベールのような最高難易度のパヴェはなかったけれど、荒れた路面でも新型Madoneの快適性は問題なかったと聞いているよ。

パリ〜ルーベを走るときにいつも悩むのがバイクチョイス。石畳に注目が集まりがちで、そこだけにフォーカスするならDomaneが最高さ。でも、ルーベはスタートから100kmに渡って超フラットな普通の舗装路が続く。そこでアドバンテージを稼ぎたいならエアロを優先したMadoneだし、石畳での快適性を選びたいならDomane。チーム内でもいつも意見は分かれるんだ。

僕自身はまだルーベの石畳で新型Madoneは乗ってないけれど、2位になったパリ〜トゥールではたくさんのグラベルセクターがあったし、IsoSpeedがIsoflowに変わったからといって不安感は全く無かった。ルーベはちょっと特殊すぎてとにかくバイクの強度が求められるレースだけど、ロンド・ファン・フラーンデレンに代表されるフランドルの石畳だったらこのバイクは最高さ。ペダリングに対してリニアに反応するから、急加速が連続して、つなぎの平坦区間を全速力で飛ばして走るクラシックレースには向いていると思う。

―あなたがバイクに求める要素はどんなことでしょうか。

スプリンターとして、僕がバイクに求めるものは剛性と快適性だ。この新型Madoneは剛性は言わずもがな高く、スプリントもよくかかる。唯一残念なのはまだ新型Madoneの専用ハンドルバーが届いてなくて旧型のものを使っているけれど、特にハンドルはエアロ性能に大きく響く部分だから、ここがアップデートされれば一層アドバンテージを得ることができるはずだ。

クリテリウム覇者エドワード・トゥーンス(ベルギー、トレック・セガフレード)が仕事を終え、声援に応えて古賀志林道を登るクリテリウム覇者エドワード・トゥーンス(ベルギー、トレック・セガフレード)が仕事を終え、声援に応えて古賀志林道を登る photo:Makoto AYANO
それから当然のこととして、軽さはバイクに求める大きなもの。ディスクブレーキに切り替わり、エアロロードのほとんどがまだUCIルール下限の6.8kgには達していない。このMadoneも6.8kgでこそないけれど、先代モデルから大幅な軽量化を達成したことは本当に喜ばしいことさ。山岳が厳しいレースであればEmondaを使えばいいし、個人的に気に入っているからこそタフなクライミングレースでない限りずっとMadoneを乗り続けている。

僕自身、バイクは剛性や重量、安全性、そしてエアロダイナミクスといったバランスの上に成り立っていることをよく理解しているつもり。毎年冬にアメリカで行われるチームキャンプではトレックのエンジニアと直接話す機会があるし、彼らは本当によく僕らの意見を汲み上げてくれる。そんな中でトレックの開発スタッフは、エアロを一切損なうことなく、Isospeedをなくすという大きな決断をもって軽量化を推し進めた。これは本当に選手として歓迎すべきことだ。

新型Madoneのアイコン的部位であるIsoFlow(ツール・ド・フランス2022より)新型Madoneのアイコン的部位であるIsoFlow(ツール・ド・フランス2022より)
Isoflowで十分な快適性を感じているし、何度も言うようにタイヤの太さと空気圧次第で基本的にはどんな道だって走れる。走りのキャラクター自体に変わりはないのでスムーズに乗り換えができたし、来シーズンもトレックの一員としてMadoneに乗れることを楽しみにしているよ。

―今シーズンはトップ10入りが続きました。来年もトレック・セガフレードに在籍しますが、総括と来年の目標を教えてください。

今シーズン前半戦はマッズ(ピーダスン)とヤスパー(ストゥイヴェン)のためにアシスト役を担ったよ。シーズン後半はいくつかのレースで自分の成績を狙うことを許された。2位と3位ばっかりだったけれど、実際に新型Madoneに乗ってからは成績も上向きになったし、来年はより良い成績を追い求めていきたい。

「来シーズンもトレックの一員としてMadoneに乗れるのが楽しみ」「来シーズンもトレックの一員としてMadoneに乗れるのが楽しみ」 photo:So Isobe
僕の目標は最低でもシーズンに1勝を挙げること。夢はグランツールのステージ優勝や、それに匹敵する大きなレースで勝つこと。でも、実質マッズとヤスパーという世界屈指のクラシックハンターがいるし、彼らこそ勝利にふさわしい選手たち。チームとしては勝率を0.1%でも上げたいから、僕のようなアシスト兼業選手は彼らのために全力で走る。そうなると実質自分でチャンスを狙うのはものすごく難しいけれど、レースは水物。どんなチャンスが転がっているか分からないからこそ楽しいよ。

トレックのカスタムオーダー"Project One"でMadoneが注文可能に!

7月の発表から早4ヶ月。新型Madoneの発売を今か今かと待たれていたサイクリストは多いはず。先日、ついにトレックがカスタムオーダープログラム「Project One」でのMadoneオーダーを、ついに解禁した。

全世界同時スタートにつき注文が殺到することが予想され、遅くなると納期が長期にわたる可能性があるようだ。検討中であれば、トレック取扱販売店へ急ごう。

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エドワード・トゥーンス プロフィール

エドワード・トゥーンス(ベルギー、トレック・セガフレード)と、トレック Madone SLRエドワード・トゥーンス(ベルギー、トレック・セガフレード)と、トレック Madone SLR photo:So Isobe1991年生まれ、ベルギーはヘント出身のクラシックハンター/スプリンター。地元のトップスポート・フラーンデレンを経て2016年にトレック・セガフレードでワールドツアーデビューを果たす。2018年にサンウェブ加入し、2019年以降はトレックに戻り、重要アシストとして、そして時にエースの一人として重責を担う。

パリ〜ルーベ好きを公言しており、2017年大会ではキャリアハイライトの一つでもある8位入賞。持ち前のスプリント力でワールドツアーレースの集団スプリントを制した経験も持つ。

text:So Isobe / 提供:トレック・ジャパン