アンバウンド・グラベル200マイルクラスに挑戦した山本和弘(キャノンデール・ジャパン)の体験レポート。大会前にはニセコグラベル出場など十分な走り込みを経て準備は万端。しかし200マイル=320kmの過酷なレース。グレートプレーンズのグラベルの洗礼は予想以上だった。バイクセッティングのコツ含めノウハウまでをすべて公開します。

山本和弘(キャノンデール・ジャパン)と愛車Topstone Carbon山本和弘(キャノンデール・ジャパン)と愛車Topstone Carbon photo:Makoto AYANO
アンバウンド・グラベルは200マイル(=320㎞!)の世界最大規模のグラベルレース。そのスケールの大きさに心打たれて出場を決めたのが2020年。ついに実現したレースは、結果から言えば走行時間12時間10分49秒。平均時速26.3km。総合成績1123人中195位。男子35歳から39歳までのクラスで135人中16位。ゴールした瞬間はタイムも順位もわからず、ただただ無事にゴールできたことが嬉しかった。

レースパケット受け取りに来たマイキー、カズ、CW綾野の3人。いよいよレースが迫ってきたレースパケット受け取りに来たマイキー、カズ、CW綾野の3人。いよいよレースが迫ってきた photo:Glen Atienzaまだレース名が「Dirty Kanza(ダーティカンザ)」だった2020年、大会への出場を決意したのはFacebookのグループ「ダーティー関西」の集いに参加した時のことだった。関西と言いながら関東メンバーもいたけど、その当時「もっとも勢いのあるグラベルレース」という話題に、参加者全員が「Dirty Kanza」というワードを並べて盛り上がったことを覚えている。その場にいたメンバーの熱意に感化されて大会への出場を決意した夜だった。

大会への参加は突然に。こうして壮大なチャレンジへの第一歩がはじまった。その後、エントリー開始と同時に申し込みをして、参加権利を獲得したのが2020年1月28日のことだった。そこから準備を開始するものの、世界的な新型コロナ感染拡大が進み、その年の開催が中止。翌年の2021年は渡航規制が厳しく、エントリーを見送ることに。エントリー枠は主催者の計らいによって2022年にスライドしてくれたことで、今年の出場が夢叶ったのだった。

ゼロからスタートした準備期間。320㎞以上のグラベルレースと聞いて、何から準備したらいいのかわからないのが正直なところ。自分のカラダの特性上、1時間から2時間の高強度を維持するのは得意でも、10時間を超えるような時間、持続的に負荷をかけ続ける走り方はこれまでの経験ではゼロ。仕事の休みのたびにトレーニングを重ね、持久力というよりもサドルの上で持続的にパワーをかけ続けるトレーニングを2022年始めからスタート。自分の住んでいる大阪には100㎞を超えるグラベルがないので、MTBで舗装路を走って負荷をかけ続ける。そして、距離を伸ばしていく。という単調なトレーニングを続けていった。

受付時に配られた謎のスティックは、タイヤに詰まった泥を掻き出す必需品だった!受付時に配られた謎のスティックは、タイヤに詰まった泥を掻き出す必需品だった! 春になり、エンデュランスモデルのシナプスカーボンを購入して、そこからはスピードアップにつなげるインターバルと週末のエンデュランスライドを組み合わせてコンディション作り。

本番1か月前に、本番で使用する新型トップストーンカーボンが完成し、そこからはストレスのないポジション作りとタイヤ選定に時間を費やし、休みのたびに近くの淀川や武庫川河川敷でバイクと向き合う日々を送った。ときに会社の後輩を連れて本番を想定したアワイチトレーニングをしながらコンディションを上げていく。

無事アメリカ入国。ホストビレッジ「エンポリア」へ

マイキー一家が借りてくれた豪邸が滞在中のベースとなったマイキー一家が借りてくれた豪邸が滞在中のベースとなった photo:Makoto AYANO
時差ボケを考慮して4日前に入国。今回の遠征は1人旅だったもののロストバゲッジすることなく無事に開催地エンポリアに到着。アメリカに到着してからはシクロワイアード編集長の綾野さんと、Chapter2ジャパン代表マイキーさんらと行動をともにすることに。特に今回、マイキーにはスタート地点から10分の位置にある一軒家に泊めさせてもらったり、グレンさんやファミリーに食事を準備してもらったりと感謝しかない。会場近くのホテルは予約することができないし、2023年の開催日のホテル予約もすでに埋まっていると聞く。

マイキー一家との晩餐。アットホームで楽しいカーボローディングとなったマイキー一家との晩餐。アットホームで楽しいカーボローディングとなった
美味しい手造り料理をいただく。なんて贅沢なレース遠征だろう美味しい手造り料理をいただく。なんて贅沢なレース遠征だろう レース前夜の食事はサーモンムニエルと大量のパスタレース前夜の食事はサーモンムニエルと大量のパスタ

入国翌日、時差ボケの残るなかアメリカのグラベルレースすべてを取材&実走しているというアメリカ人ジャーナリストと約30㎞をコース試走。エンポリアの街を出てすぐに現れるグラベルは、フラットで硬く締まっていて走りやすい。いわゆるロードバイクでも普通に走れるレベル。街の周りには農場が広がっているので、大きなトラックが走れるくらいに道幅は広く、生活道路として日々使っていて直線的な道が続く。

アメリカ人ジャーナリストと下見ライドしてグラベルの様子を把握したアメリカ人ジャーナリストと下見ライドしてグラベルの様子を把握した photo:Kazu Yamamotoグラベルを走ってみて最適な空気圧を探れたのは良かったグラベルを走ってみて最適な空気圧を探れたのは良かった photo:Kazu Yamamoto

コース試走をした日の1番の気づきは、ロードバイクと同じような車間でのドラフティング走行は危険ということ。急な穴や荒れた路面に対応することができず転倒につながる危険を感じたからだ。その結果、今までの感覚よりも30㎝は車間をあけて走行する必要があると感じた。日本のグラベル上でドラフティング走行をしたことがなかったので、この経験はレース日に非常に役立った。

乾いたフリント石が砕けた白いグラベルはタイヤを容赦なく傷めつける乾いたフリント石が砕けた白いグラベルはタイヤを容赦なく傷めつける photo:Kazu Yamamoto
前日のライドで元レースディレクターのリーラン・デニス氏にアドバイスをもらった前日のライドで元レースディレクターのリーラン・デニス氏にアドバイスをもらった photo:Makoto AYANO地元クラブが作成してくれたペースシート。目標タイムごとに通過予測時刻が記されている地元クラブが作成してくれたペースシート。目標タイムごとに通過予測時刻が記されている photo:Makoto AYANO

グラベル界でもっとも有名なテッド・キングはベイビーが生まれるから欠場。会えずに残念だったグラベル界でもっとも有名なテッド・キングはベイビーが生まれるから欠場。会えずに残念だった photo:Makoto AYANO
200マイルレースに用意した補給食類一式。これを3分割して持参/CP地点に配置した200マイルレースに用意した補給食類一式。これを3分割して持参/CP地点に配置した photo:Kazu Yamamoto
セッティングを煮詰めたキャノンデール Topstone Carbonセッティングを煮詰めたキャノンデール Topstone Carbon photo:Makoto AYANO

Unbound Gravel 200マイル レースデイ!

レース当日、6時のスタートに合わせて3時30分に起床。パスタと卵、フルーツをたっぷり食べてエナジー補給。緊張はなにもない。自分のベストを尽くすこと、レース中なにがあっても受け入れて楽しむことを心にスタートラインに立った。日本人トップという意識は、自分のベストを尽くした結果ついてくると考えていた。

朝焼けのスタートラインに立つ山本和弘(キャノンデール・ジャパン)朝焼けのスタートラインに立つ山本和弘(キャノンデール・ジャパン)
200マイルのスタートは1,400人を超える。そのほとんど全員が最新のグラベルバイクに乗り、タイトフィットなウェアを着て、半数がDHバーを搭載している。美しい朝焼けのなか、アメリカ国歌が流れたあとにスタートが切られた。

スタート前にはアメリカ国歌を斉唱する。気が引き締まるスタート前にはアメリカ国歌を斉唱する。気が引き締まる photo:Life Time
朝6時。朝焼けのなかエンポリアの街をスタートしていく200マイルクラス朝6時。朝焼けのなかエンポリアの街をスタートしていく200マイルクラス photo:Makoto AYANO
エンポーリアの街を抜けるまでの10分間は舗装路で、そこからグラベル区間に突入。グラベルの上でアウター✕トップが回り切り、時速40〜45㎞で進む集団。握り拳大の石がライダーのホイールに弾かれて宙を舞い、悪路にスリップダウンしたライダーが落車する。グラベルの上でライダーがつくり出す空気の塊は、足を止めていてもバイクが高速巡航していく。バイクはグラベルの上でほぼ浮いた状態に感じるくらいに、高速で進んでいく。

グラベルの砂塵を巻き上げて大集団が突き進むグラベルの砂塵を巻き上げて大集団が突き進む ©Life Time
アップダウンの下りでは時速50㎞を超え、小さな登り坂で集団が小さくなっていく様は、日本のサーキットコースのエンデューロレースを走っているかのよう。あまりのスピードに恐怖心を感じることもあったけど、全体としてこれまで経験したことのないスピードに興奮し、ワクワクしていた。

朝焼けのなかカンザスの大平原を行く200マイルクラスの集団朝焼けのなかカンザスの大平原を行く200マイルクラスの集団 photo:Life Time
スタートして30㎞が過ぎると本格的なアップダウンがはじまる。興奮状態のなかでも冷静に補給を取りながら、大きな第2集団内で最初の1時間を過ごした。落車の波を無傷で潜り抜け、ここからが本番という気持ちで1つ目の大きな山に向かっていく。登りは自分が想像していたよりも勾配があり、登りのたびに自分の心拍はレッドゾーンに。後半のことを考えるとあまり負荷を上げたくない気持ちがあったが、スムーズにローテーションを繰り返す集団に、どうしても無理をしてしまう。

リバークロッシングではシューズもソックスも濡れてしまうリバークロッシングではシューズもソックスも濡れてしまう photo:Snowy Mountain Photography
自分のいる集団前方は女性のワールドツアーチームに所属する選手たちが居る。EFエデュケーションTIBCO・SVBに所属するアメリカチャンピオン、ローレン・ステファンやエミリー・ニューサムがその中に加わり、DHバーを握って物凄いスピードで集団を加速させていく。平坦のパワーと路面をスムーズに走らせるバイクテクニックには本当に驚いた。特に自分と同じバイクに乗るローレンが「スムーズなバイクは楽しいわ!」と言いながら軽やかに会話してきたときには、レベルが完全に違う!って本気で思った。その時は補給食もまともに食べられないくらいにスピードが上がり、心拍がマックスまで上がった状態。

緑豊かな大平原のグラベルを行く大集団緑豊かな大平原のグラベルを行く大集団 ©Snowy Mountain Photography

補給地点でのミスと、雨、急坂、泥。しかし楽しむ気持ちを忘れない

124km地点、1つ目のチェックポイント到着。この時、日本人トップであることに気がつく。そのことは良かったのだが、想定よりもかなり速いペースで進んだことで、お願いしていたサポートクルーがまだチェックポイントに到着しておらず、補給食の補充ができない状態に。高岡亮寛さん(Roppingi Express)のサポートの福田さんを発見して、申し訳ないと思いつつもヘルプを申し出た。

チェックポイントのサポートエリアは広く、色別にゾーン分けされているチェックポイントのサポートエリアは広く、色別にゾーン分けされている photo:Makoto AYANO高岡亮寛さん(Roppingi Express)は電動変速にトラブルを抱えて手こずっていたようだ高岡亮寛さん(Roppingi Express)は電動変速にトラブルを抱えて手こずっていたようだ ©Snowy Mountain Photography

水分補給用のパウダーを分けていただき、EFエデュケーション・イージーポストのサポートクルーに2つの補給食をもらって、先を急ごうと再スタートを決意。しかし、その先に待つ130km区間を補給食2つ・300kcalでは走り切れないと冷静になり、停まってサポートクルーに電話をかける。約20分待って合流することができて再スタートを切った。休憩できて良かったと同時に、ペースの合う良い集団を先に行かせてしまったのは悔しかった。

白く伸びるグラベルを走る山本和弘(キャノンデール・ジャパン)白く伸びるグラベルを走る山本和弘(キャノンデール・ジャパン) photo:Makoto AYANO
150km地点、雨が降り出し、コースはマッドコンディションに。レース半ばで予報通りに雨が降り出しきた。これはシクロクロスのレースか!というほどのコースコンディションの中をパックで進むことに。

粘土質の土がタイヤにまとわりつき、歩きを強いられた粘土質の土がタイヤにまとわりつき、歩きを強いられた ©Life Time
泥、グラベル、泥、荒れたグラベル、そして泥...と、路面状況が刻々と変わり、そのたびに集団は崩壊し、単独走行に。「ここでは自分のベストを尽くす、それしかない。ヤバイ最高に楽しい!」と独り言をいうメンタル状態に。この区間は一緒に走るライダーの中でも速かったので特に楽しかった。

バイクにまとわりつく泥を川で洗い落とす。かなり時間がかかったバイクにまとわりつく泥を川で洗い落とす。かなり時間がかかった photo:Life Time
200km過ぎ、フリントヒルズの丘を上って、のぼって、さらに登る。平坦と聞いていたのに、こんなにも坂があったのか。身体に疲労を感じてきた200㎞過ぎ。岩盤の上にできた大草原の中にある1本道をひた走る。第2チェックポイント前、最大の難所がこの地点。ガレたグラベルに急こう配の登り。しかも、天気が回復してきたことで泥が固まり、ファットバイクかのように纏わりつく泥。バイクについた泥を手で落として、また進む。また泥が纏わりつくので手で落とし。「まさにアドベンチャー。エピックだぜ!」とまた独り言。ライダー全員が川でバイクを洗う様は、レース中とは思えない光景だ。

第2チェックポイントで。もう身体じゅうドロドロだ第2チェックポイントで。もう身体じゅうドロドロだ photo:Glen Atienza
CP2で撮ってもらった写真の表情を見れば、いかに過酷に感じていたかが分かるCP2で撮ってもらった写真の表情を見れば、いかに過酷に感じていたかが分かる photo:Glen Atienza255㎞地点、第2チェックポイント。顔の泥を流し、身体についた泥を流してもらう。補給食として用意していた柿ピーを頬張り、ゴールに向かってスタート。

この頃、疲労感は感じることがなく、いくら追い込んでも心拍が138拍くらいまでしか上がらない極限状態。脳では疲労を感じていない(感じないようにしている)のに、実際の身体は疲労困憊だったのだと思う。

ゴールまでの30㎞区間はとにかく直線的で平坦基調。ここではDHバーが有効。ここまで協力してきた2人、3人とゴールを目指して進んでいく。試走して走ったことのある道とわかった時には「やりましたよ、山本さん。完走が見えてきましたよ」とまた独り言。

ゴール前は力の限りスプリントし、握りこぶしを上げながらゴール。感動というよりも充実感。そんな言葉が脳内を支配した瞬間だった。

山本和弘(キャノンデール・ジャパン)が総合195位、M35-39 16位でフィニッシュ山本和弘(キャノンデール・ジャパン)が総合195位、M35-39 16位でフィニッシュ ©Snowy Mountain Photography
タイムも順位も分からなかったけど、大きな充足感に包まれて最高の気分だったタイムも順位も分からなかったけど、大きな充足感に包まれて最高の気分だった photo:Snowy Mountain Photography完走したらフリーチケットで地元のIPAビールが楽しめた!完走したらフリーチケットで地元のIPAビールが楽しめた! photo:Kazu Yamamotoラクラン・モートンと。彼はクラッシュして完走できなかったとかラクラン・モートンと。彼はクラッシュして完走できなかったとか photo:Kazu Yamamoto


日本とアメリカのグラベルレース環境

今回出会ったアメリカのライダーにUnbound Gravelについて聞くと、「ここは特別!」という声が印象的だった。フリントヒルズという岩盤の上にできた北米最大の大草原に続くグラベルを走れるのは特別だと。ここにしかないコースが楽しみでレースに参加していると。そして、その土地に住み、その土地の魅力に気づいている仕掛け人がいることも興味深かった。

粘土のような泥が最後までこびりついて取れなかった粘土のような泥が最後までこびりついて取れなかった photo:Kazu Yamamotoライバル視していた高岡さんは36分先にフィニッシュしていた。今度は負けないぞ!ライバル視していた高岡さんは36分先にフィニッシュしていた。今度は負けないぞ! photo:Snowy Mountain Photography

かつてはバイソンが群れをなしていた土地に牛を放牧させ、そこに道を築き、これほどまでに魅力的なレースを開催する。特色ある環境に合わせて、その土地の魅力を最大限活かしたレースを開催していく。土地を活かした楽しみ方を産み出していくのが上手で、その土地の魅力をその土地に住む者が理解しているからこそ、ライダーにここは特別!と言わせるレースを開催できるのだと思った。

12時間のレースを共に走り続けてくれたバイクが誇らしかった12時間のレースを共に走り続けてくれたバイクが誇らしかった photo:Snowy Mountain Photography
今、日本全国でグラベルイベントが開催され、その土地の魅力をつなぐルートが増えていっている現状はとても明るい未来が待っていると感じている。アメリカのグラベルはたしかに走りやすいし、長い。だけど日本各地を走ってみて、それほどかけ離れてはいないし、魅力的なグラベルは日本各地にあるな、と思う。日本のグラベル環境にポテンシャルがあることがわかった今、これまでよりももっと全国各地のグラベルを走って、その魅力、楽しみを発信していきたいと思ったアメリカ遠征だった。

帰路に立ち寄ったフリントヒルズのパノラマスポットは素晴らしい眺め帰路に立ち寄ったフリントヒルズのパノラマスポットは素晴らしい眺め photo:Makoto AYANO酢漬けキュウリのピクルスをレース中に食べることがマストだと聞いた酢漬けキュウリのピクルスをレース中に食べることがマストだと聞いた photo:Makoto AYANO

レース翌日。帰国のためクルマで高速道路を走り、フリントヒルズ周辺を通りかかった。レース日とは違った快晴で、キャトルペンの丘のビューポイントからは360°に広がる見渡す限りの大平原のパノラマと、群れる牛たち、レースで走ったグラベルが遥か遠くまで続いているのが見渡せた。北海道出身の自分でも、そのスケール感に驚いた。

あのとき雨で煙るなか、そしてハイスピードで進む集団で視野が狭くて眺めは楽しめなかったが、改めてこんなにもダイナミックなフィールドを走っていたのかと感嘆した。「晴れた日のUnbound Gravelも必ず走りに来なくてはいけない」そう心に刻んで帰路についた。



200マイルをともに駆け抜けた キャノンデール Topstone Carbon

山本和弘のキャノンデール Topstone Carbon山本和弘のキャノンデール Topstone Carbon photo:Makoto AYANO
Unbound Gravelで使用したバイクは、今年モデルチェンジした「Topstone Carbon 3L」の完成車をベースに各パーツをレース用にカスタムした特別仕様バイクだ。身長170㎝でSサイズをセレクト。ホイールはキャノンデールのホログラムSL45(リム内幅21㎜)を使い、タイヤはパナレーサーGRAVELKING SK PLUS 38C。補給食ストレージにORUCASE(オルケース)のトップチューブバッグ1.0Lを横揺れしないように加工して取り付けた。

スマートセンスのフロントライトを装備。レギュレーションでもライトは必要とされるスマートセンスのフロントライトを装備。レギュレーションでもライトは必要とされる photo:Makoto AYANOダブルボトルとダウンチューブ下部にツールケースを装着したダブルボトルとダウンチューブ下部にツールケースを装着した photo:Makoto AYANO

補給食ストレージはORUCASEトップチューブバッグ1.0L補給食ストレージはORUCASEトップチューブバッグ1.0L photo:Makoto AYANO
シートポストはMTB用のキャノンデールSAVEシートポストを使い、さらなる快適性を確保。スマートセンスのフロントライト、リアは軽量化のために取り外し可能なリアライトを選択。リアは軽量化のために取り外し可能なリアライトを選択。メーターは確実なGPSナビゲーションとタフな場面で力を発揮するWahoo ELEMNT ROAM。今回は気温が高くならなかったのでチェックポイントで受け取るように用意していたキャメルバックは使用せず、750mlボトル2本で走り切った。322㎞中4か所で水分補給が可能だった。

トップチューブ上に入るTopstoneのロゴトップチューブ上に入るTopstoneのロゴ photo:Makoto AYANOファブリックのサドルに簡易ドロヨケを装着ファブリックのサドルに簡易ドロヨケを装着 photo:Makoto AYANO

絶大な効果を体感した KingPinサスペンション

グラベルのために開発されたKingPinサスペンションは効果絶大だったグラベルのために開発されたKingPinサスペンションは効果絶大だった photo:Makoto AYANO
路面からの衝撃に対してサドル位置が最大30㎜、リアスルーアクスル位置が10㎜動く「KingPinサスペンション」は、今回のコース全行程で身体のストレス軽減に大きく貢献してくれた。荒れたグラベルの高速巡航時にもサドルに体重をかけた状態でペダリングができて、下り道ではバイクの安定性を高めてくれた。そして、バイクを押して登りたくなるような激坂登坂ではリアタイヤのトラクションを最大化してくれた。特に疲労を感じ始めた後半はバイクの性能に助けられた。

フロントフォークのアイレットボルトは全部外して快適性アップ

フロントフォークのアイレットボルトを外せば快適性が向上することが分かったフロントフォークのアイレットボルトを外せば快適性が向上することが分かった photo:Makoto AYANO
リアのKingPinサスペンションに比べて快適性に欠けるフロント部は、フォークのアイレットのボルトをすべて外して軽量化と快適性をプラス。ボルトを外すことで手に伝わる路面からの衝撃の抜け感が良くなり、走りに集中できた。

タイヤはパナレーサーGRAVELKING SK PLUS 38C

タイヤはパナレーサーGRAVELKING SK PLUS 38CタイヤはパナレーサーGRAVELKING SK PLUS 38C photo:Makoto AYANO
「ProTite Shield Plus」を採用して耐パンク性能を高めたグラベルキング SK PLUS 38Cのタイヤチョイスは正解だった。コースの半分はロードバイクでも走れるようなスムーズなグラベルだったが、鋭利な石がゴロゴロする荒れたグラベル区間が存在した。レース中、タイヤを大きな石にヒットさせないないように心がけてはいたものの、実際には数カ所をサイドカットしていた。しかし耐パンクレイヤーのProTite Shieldが穴の貫通を防ぎ、1度もパンクすることなく走り切ることができた。セットした空気圧は前後3.0bar。硬めに感じるが、KingPinサスペンションがあることとスムーズな路面での走行抵抗の軽減、そして、リム打ちを防ぐ意味でこの空気圧を選択した。

200マイルの過酷なグラベルレースを通して、トップストーンカーボンの乗りこなしやセッティング、アッセンブルについて深く理解することができた。皆さんがバイク選びで迷うことがあれば、ぜひ僕に訊ねてください。

→キャノンデール Topstone Carbon ラインナップ
text:KazuhiroYamamoto
photo:Snowy Mountain Photography, Life time,MakotoAYANO
presented by Cannondale Japan