ピナレロの2021モデルでフルモデルチェンジした「PRINCE」シリーズと、7年ぶりにラインアップ復活を果たした「PARIS」の2車種を、インプレッションを交えてフィーチャーしていく。本編では、ピナレロのレーシングブランドとしての地位を確固たるものとした2つの名車の歴史を振り返る。

ピナレロの伝統的な2つのバイク PRINCE&PARIS その歴史

PRINCEがフルモデルチェンジするとともに、名車PARISが復活を果たしたPRINCEがフルモデルチェンジするとともに、名車PARISが復活を果たした photo:Makoto.AYANO
2010年に立ち上がったチームスカイ(現チームイネオス)を創設時からサポートし、ここ10年の間でツール・ド・フランスの総合優勝は7回、まさにツール常勝バイクブランドの名を欲しいままにしてきたピナレロ。歴史あるイタリアンブランドではあるが、初めてツール総合優勝を挙げたのは1988年と比較的最近のこと。そこから一気にレースシーンで注目を浴びる存在へと成長を遂げる。

当時から数々の強豪チームをサポートし、バネスト、テレコム、ファッサボルトロ、ケースデパーニュ…その名を聞けば自然とピナレロのバイクが思い浮かぶ往年のファンも少なくないはず。ツール5連覇(1991~1995年)という輝かしい戦績を残すミゲル・インドゥラインを始め、ヤン・ウルリッヒやオスカル・ペレイロなど、マイヨジョーヌ獲得者の名前を遡ればいかにピナレロが素晴らしい成績を挙げてきたかが分かるというもの。

今でこそ「DOGMA」シリーズが絶対的なフラッグシップとして君臨しているが、当時のレース最前線で活躍してきたバイクこそ、ピナレロが誇る名車「PRINCE(プリンス)」と「PARIS(パリ)」である。アルミフレーム全盛期にこの2台が幾多の勝利を収めたことで、レーシングブランドとしての地位を確固たるものにしたと言っても過言ではない。ブランドの礎を築いた伝統あるモデルが如何にして進化を遂げてきたのか、まずはその歴史を紐解いていきたい。

ピナレロを世界屈指のトップブランドに押し上げた"名車"

ピナレロの礎を築き上げた原点とも言えるレーシングアルミバイク「PARIS」ピナレロの礎を築き上げた原点とも言えるレーシングアルミバイク「PARIS」 (c)CorVos
イタリアの「カンティーナトッロ」もPARISを駆ったチームの一つイタリアの「カンティーナトッロ」もPARISを駆ったチームの一つ photo:Makoto.AYANO当時最先端の大口径アルミチューブを使用したルックスが特徴のPARIS当時最先端の大口径アルミチューブを使用したルックスが特徴のPARIS (c)CorVos

DOGMAを含む3つのシリーズで最初に誕生したのがPARISである。インドゥラインの走りを支えた当時のフラッグシップ、ケラルライトを参考にしたレーシングアルミバイクとして1994年にリリース。そのモデル名はツール・ド・フランスの終着地であるフランスのパリから取ったものであり、まさにマイヨジョーヌ獲得を使命としたバイクとして開発されたことが分かる。

レースシーンとしてもちょうどスチールからアルミへと切り替わっていくタイミングにあり、硬く剛性に優れた7000番アルミニウム合金と、当時では最先端とも言える大口径パイプを用いたPARISは瞬く間に勝利を量産。ウルリッヒの1997年ツール総合優勝もこのPARISによって成し遂げられた。

PARISとともに1997年のツール・ド・フランス総合優勝を成し遂げたヤン・ウルリッヒPARISとともに1997年のツール・ド・フランス総合優勝を成し遂げたヤン・ウルリッヒ (c)CorVos
世界初のアルミカーボンバックとして誕生したPRINCE。チームテレコムの勝利量産に貢献したバイクだ世界初のアルミカーボンバックとして誕生したPRINCE。チームテレコムの勝利量産に貢献したバイクだ photo:Makoto.AYANOスペイン最強を誇ったバネストチームも初代PRINCEを愛用していたスペイン最強を誇ったバネストチームも初代PRINCEを愛用していた (c)CorVos

その後、振動吸収性と快適性を向上させるべく世界初のアルミ+カーボンバックフレームとして1998年にPRINCEが登場。現代では当たり前となったインテグラルヘッド採用バイクの元祖でもあり、ヘッドチューブの大径化による剛性強化も大きなアドバンテージに。またも時代の最先端をいったピナレロは、他社を寄せ付けない破竹の勢いで勝利を重ねることとなる。

1990年代後半のレースシーンを席巻したPARISとPRINCEは世界中で絶大な人気を誇り、市場では1年近い納期待ちになるなどロードレースファン憧れのバイクとしてピナレロのブランド力向上にも大きく貢献。今日に続くトップブランドの原点を作ったのは、まさしくPARISとPRINCEに他ならないという訳だ。

ONDAフォークの投入とフルカーボン化でさらに進化

ピナレロ初のONDAフォーク採用モデルとなったPRINCE SLピナレロ初のONDAフォーク採用モデルとなったPRINCE SL photo:Makoto.AYANO
マイナーチェンジ版のPRINCE LSを挟みつつ、2002年にはピナレロを象徴するONDAフォークを初投入した「PRINCE SL」へと進化。美しい曲線を描く独自のフォークは、カーボンバックとともに振動吸収性を飛躍的に高め選手たちのさらなるパフォーマンス向上を実現した。このPRINCE SLのテクノロジーをベースとし、満を持して2003年に初代DOGMAがデビュー。メインフレームにマグネシウムを採用した唯一無二のバイクとして大きな注目を集めるとともに、ファッサボルトロの活躍によりDOGMAの名は広く浸透していくこととなる。

一旦カタログから姿を消したPARISも、ONDAフォーク+カーボンバックへアップデートされた「PARIS FP」でラインアップに復活。ハイドロフォーミングアルミチューブによる有機的なフォルムでも話題を呼んだモデルだ。

アレハンドロ・バルベルデ(当時ケースデパーニュ)はPARIS FP CARBONを駆り2006年UCIプロツアーリーダーを獲得アレハンドロ・バルベルデ(当時ケースデパーニュ)はPARIS FP CARBONを駆り2006年UCIプロツアーリーダーを獲得 (c)CorVos
最終的に繰り上げで2006年のツール総合優勝を決めたオスカル・ペレイロ最終的に繰り上げで2006年のツール総合優勝を決めたオスカル・ペレイロ (c)CorVos2008年のツールで初日にステージ優勝を決めたバルベルデ。スペイン王者カラーのPRINCE CARBONが輝いた2008年のツールで初日にステージ優勝を決めたバルベルデ。スペイン王者カラーのPRINCE CARBONが輝いた (c)CorVos

マイヨジョーヌを着用したバルベルデが、スペインチャンピオンカラーのPRINCE CARBONを披露マイヨジョーヌを着用したバルベルデが、スペインチャンピオンカラーのPRINCE CARBONを披露 (c)CorVos
さらには、ピナレロのレーシングモデルとして初めてフルカーボンフレームを採用した「PARIS FP CARBON」を2006年にリリース。アレハンドロ・バルベルデ(当時ケースデパーニュ)のUCIプロツアー個人総合優勝にも貢献し、それまでの金属フレームだけでなくカーボンバイクにおける開発力も証明するセンセーショナルな1台となった。

まだまだピナレロの進化は止まらない。2008年には現在に至るまでタッグを組むカーボンファイバーのリーディングカンパニー、東レから独占供給された50HM1Kカーボンを使用し最高の性能を追求した「PRINCE CARBON」を生み出す。バルベルデが駆ったスペイン王者カラーのPRINCE CARBONを思い浮かべるファンもいることだろう。バルベルデはPRINCE CARBONとともに2006年に続く2度目のUCIプロツアーリーダーを獲得、ピナレロのカーボンバイクイメージを世に定着させた年となった。

DOGMAの形を引き継ぐピュアレーサーとしてラインアップの主要モデルに

DOGMA60.1の左右非対称フォルムを受け継ぎ誕生したPARIS 50-1.5DOGMA60.1の左右非対称フォルムを受け継ぎ誕生したPARIS 50-1.5 photo:Makoto.AYANO
DOGMA65.1の金型を使用しラインアップに復活した第4世代PRINCEDOGMA65.1の金型を使用しラインアップに復活した第4世代PRINCE (c)ピナレロジャパンDOGMA F10のテクノロジーを採用し2018年に主要ラインアップに返り咲いた第5世代PRINCEDOGMA F10のテクノロジーを採用し2018年に主要ラインアップに返り咲いた第5世代PRINCE (c)ピナレロジャパン

フルカーボンのDOGMA60.1がフラッグシップとして2009年に登場すると、翌年にはそのDNAを受け継いだPARISが登場。この時からプロチームへの供給バイクはDOGMAシリーズに統一され、PARISはレースバイクの選択肢を増やすセカンドグレードという位置付けに変わった。

一方で、DOGMA特有の左右非対称フォルムを採用し、レーシングバイクとしての性能をブラッシュアップさせたPARISは、アマチュアレーサーから高い信頼を獲得するパフォーマンスモデルとして一線級の性能を堅持。ピナレロのラインアップを下支えする重要な存在として多くの愛用者を生んだ。

2021モデルでPRINCEシリーズが新型へと刷新、名車PARISも7年ぶりに復活を果たした2021モデルでPRINCEシリーズが新型へと刷新、名車PARISも7年ぶりに復活を果たした photo:Makoto.AYANO
さらに進化したフラッグシップDOGMA65.1が誕生すると、そのテクノロジーを落とし込んだPRINCEがPARISと入れ替わりでラインアップに復活。その後一度はセカンドグレードの座をGANシリーズに譲ったものの、2018年にはDOGMA F10を踏襲したピュアレーシングモデルとして再び主要ラインアップにカムバック。そして今回、DOGMA F12から多くを受け継いだ第6世代に当たる新型PRINCEへとフルモデルチェンジ。時代に即してディスクブレーキモデルをメインに据えた最新型へと進化を遂げている。

また、2014モデルを最後にラインアップから姿を消していたPARISが7年ぶりに復活を果たしたことも大きなトピックだ。振り返ればPRINCEとPARISが揃って展開されていたのは2008年が最後のこと。最新のテクノロジーを数多く取り入れたピナレロ伝統のピュアレーサーという従来のPARISのイメージとは異なり、今回はややエンデュランス寄りのライドを楽しむエアロロードとして新登場している。

各バイクの詳細解説とインプレッションは次編からお伝えしていく。

ピナレロ2021 PRINCE&PARISラインアップ

PRINCE FX DISK

ピナレロ PRINCE FX DISKピナレロ PRINCE FX DISK photo:Makoto.AYANO
フレーム素材HighStrength Carbon T900 3K
フォークONDA with ForkFlap T900 ディスク
ボトムブラケットイタリアン
サイズ43, 46, 49, 51.5, 53, 54.5, 56, 58
カラーA232/RED, A231/BOB, A237/GRAY STEEL
税抜価格フレームセット 469,000円
シマノULTEGRA Di2 11S 完成車 689,000円
シマノULTEGRA 11S 完成車 589,000円
※ペダルは別売

PRINCE DISK

ピナレロ PRINCE DISKピナレロ PRINCE DISK photo:Makoto.AYANO
フレーム素材HighStrength Carbon T700 UD
フォークONDA with ForkFlap T700 ディスク
ボトムブラケットイタリアン
サイズ43, 46, 49, 51.5, 53, 54.5, 56, 58
カラーA211/BOB, A212/RED, A213/BLUE STEEL, A215/BOB PINK
税抜価格フレームセット 369,000円
カンパニョーロ CHORUS 12S 完成車 639,000円
シマノULTEGRA 11S 完成車 489,000円
シマノ105 11S 完成車 439,000円
※ペダルは別売

PRINCE (リムブレーキモデル)

ピナレロ PRINCEピナレロ PRINCE (c)ピナレロジャパン
フレーム素材HighStrength Carbon T700 UD
フォークONDA with ForkFlap T700
ボトムブラケットイタリアン
サイズ43, 46, 49, 51.5, 53, 54.5, 56, 58
カラーA202/RED
税抜価格シマノ105 11S 完成車 389,000円
※ペダルは別売

PARIS DISK

ピナレロ PARIS DISKピナレロ PARIS DISK photo:Makoto.AYANO
フレーム素材HighStrength Carbon T600 UD
フォークONDA with ForkFlap T600 ディスク
ボトムブラケットイタリアン
サイズ43, 46, 49, 51.5, 53, 54.5, 56, 58
カラーA102/BLUE STEEL, A105/RED, A106/GRAY STEEL
税抜価格シマノ105 Mix 11S 完成車 339,000円
※ペダルは別売
提供:ピナレロジャパン 制作:シクロワイアード編集部