2月9日、イタリア・ミラノにおいてコルナゴのニューモデル発表会が行われ、新世代のフラッグシップモデル C64がお披露目された。

会場となったのはミラノ新市街のユニクレディ・パビリオン。奇しくもこの日はイタリア自転車界の重鎮エルネスト・コルナゴ氏の86歳の誕生日。イタリアそして世界中からプロレース関係者が詰めかけての華やかなプレゼンテーションとなった。

Cの系譜に名を連ねるレジェンド達が集結

エルネスト・コルナゴ氏を囲むジロ覇者パヴェル・トンコフやジャンニ・モッタ氏らエルネスト・コルナゴ氏を囲むジロ覇者パヴェル・トンコフやジャンニ・モッタ氏ら photo:Makoto.AYANO
プレゼンにはかつてコルナゴのバイクを駆って活躍したレジェンドたちも駆けつけた。1982年世界王者&ジロ・デ・イタリア2度の覇者ジュゼッペ・サロンニ(現UAEチームエミレーツGM)、ブエルタ・ア・エスパーニャ3連覇とジロ1勝を誇るトニー・ロミンゲル、ロンド・ファン・フラーンデレン覇者アンドレア・ターフィ、ジロ・デ・イタリア覇者パオロ・サヴォルデッリ、同ジロ覇者パヴェル・トンコフ、パリ・ルーベでマペイ最強時代を築いたヨハン・ムセーウ、UAEチームエミレーツのディエゴ・ウリッシらがC64の誕生とエルネスト氏の誕生日を祝いにミラノへと足を運んだ。

実はエルネスト氏は前夜に39度の熱を出して寝込み、この日の体調が心配されていた。しかし主役無しで式典を行うわけにはいかないとばかりに、当日は凛とした姿で会場に登場した。駆けつけたVIPたちと久々の再会を喜び、終日握手を交わして過ごすタフさを見せた。

現UAEチームエミレーツGMのジュゼッペ・サロンニ氏とエルネスト・コルナゴ氏現UAEチームエミレーツGMのジュゼッペ・サロンニ氏とエルネスト・コルナゴ氏 photo:Makoto.AYANOロンド・ファン・フラーンデレン覇者アンドレア・タフィがエルネスト氏との再会を喜ぶロンド・ファン・フラーンデレン覇者アンドレア・タフィがエルネスト氏との再会を喜ぶ photo:Makoto.AYANO

カンパニョーロ社社長のヴァレンティノ・カンパニョーロ氏が祝福するカンパニョーロ社社長のヴァレンティノ・カンパニョーロ氏が祝福する photo:Makoto.AYANOC64の誕生と、自身86歳の誕生日を祝われるエルネスト・コルナゴ氏C64の誕生と、自身86歳の誕生日を祝われるエルネスト・コルナゴ氏 photo:Makoto.AYANO

コルナゴのフラッグシップとして君臨してきた歴代のCシリーズ。「C」とはカーボンを意味する。フェラーリとの協業により1989年に誕生した初代C35。最強軍団と呼ばれたマペイに愛されパリ・ルーベを初めて制したカーボンバイクとなるC40。オスカル・フレイレにより世界選手権ロードを制したC50、新城幸也やトマ・ヴォクレールが駆りツール・ド・フランスを駆けたC59、今はUAEチームエミレーツが駆るC60と、世界のトップレースの最前線で、Cの系譜は引き継がれてきた。

2017年末にC60の生産終了が告げられてから、すでにファンの間ではコルナゴの創業年を冠したモデル「C64」の登場が近いことが予想されていた。C60の登場から4年、コルナゴが一貫してこだわるラグを使用した、同社最高峰のフルカーボンモデルであろうことも。

ファビオ・アルの登場で始まったC64プレゼンテーション

イタリア期待の星、ファビオ・アル(UAEチームエミレーツ)がC64に乗って登場したイタリア期待の星、ファビオ・アル(UAEチームエミレーツ)がC64に乗って登場した photo:Makoto.AYANOファビオ・アル(UAEチームエミレーツ)と話し込むエルネスト・コルナゴ氏ファビオ・アル(UAEチームエミレーツ)と話し込むエルネスト・コルナゴ氏 photo:Makoto.AYANO

プレゼン冒頭、イタリアの期待を集めるファビオ・アルがチームジャージに身を包み、ニューバイクに乗って颯爽と登場した。いつも選手たちに向ける支援者の優しい眼差しでアルを迎えたエルネスト。イタリア自転車界のスターと重鎮2人のステージ登壇は、熱烈な拍手で迎えられた。

UAEチームカラーをまとった自身の愛車を壇上で披露するアル。ここに新モデル C64の全貌が明らかにされた。イタリア語で「チ・セッサンタ・クワットロ」と発音されるC64のテーマは「Un Modello Che Anticipera Il Futuro(未来を予見するモデル)」だ。

ファビオ・アル(UAEチームエミレーツ)の実車となるC64ファビオ・アル(UAEチームエミレーツ)の実車となるC64 photo:Makoto.AYANO
遠目にはC60と変わらないフォルムのC64だが、ほぼ同シェイプと言えるのはトップチューブのみ。しかしそれさえも異なる積層で薄く軽量に仕上げられている別物だという、C60とは全てが異なるコルナゴの新フラッグシップモデルだ。

「ジルコデザイン」と呼ばれる独特の断面形状のカーボンチューブを、フルカーボンのラグで組み上げたC64。工程のすべてはカンビアーゴにあるコルナゴ社の向いに居を構えるエルネスト氏の自宅の地下工房で造られている。塗装までイタリア国内ですべて行われる、100%ハンドメイド・イン・イタリーを貫くハイエンドバイクだ。

バイク全体で200gのダイエットに成功したことが開発のハイライトだバイク全体で200gのダイエットに成功したことが開発のハイライトだ photo:Makoto.AYANO28mmワイドタイヤに対応するよう、各部設計も見直された28mmワイドタイヤに対応するよう、各部設計も見直された photo:Makoto.AYANO

C64の際立つ特長として強調されたのは、C60との比較でフレームセットで200gもの軽量化を果たしたことだ。チューブ、ラグ、そしてフレームを構成するパーツ全てが新設計され、軽くなった。芸術的とまで讃えられる美しさのペイントさえ、マット塗装の場合で約65gと重量が軽くなるよう研究されたという。

鮮やかなマットカラーのC64。この美しいペイントさえ徹底的に軽量化されている鮮やかなマットカラーのC64。この美しいペイントさえ徹底的に軽量化されている photo:Makoto.AYANO
軽くなっただけではない。シートチューブはシートラグと一体モールド成形となり、リアエンドもチェーンステイとつながるように一体化するなど、軽量化と同時に強度アップにもつながる製法となる。またボトルはダウンチューブに沈み込むように接近して取り付ける設計となるなど、空力性能向上も図られている。

ディスクモデルのC64。リムブレーキモデルとライドフィールも共通化されているというディスクモデルのC64。リムブレーキモデルとライドフィールも共通化されているという photo:Makoto.AYANO
C60の成功につながった、ねじ切りされたスリーブを拡幅されたBBシェルに取り付けるコルナゴ独自の「スレッドフィット82.5BB」も採用される。ディスクとリムブレーキ2タイプをそれぞれ揃え、リムブレーキモデルはダイレクトマウントタイプを採用、ワイド化するタイヤに対応するクリアランスを備えるなど、現在のトレンドと主流の設計を取り入れるはもちろんだ。それでいてプロ選手からの要求であるジオメトリーオーダーにも対応できるラグド製法フレームのカーボンバイクである点はCシリーズの系譜として譲らない。

約2年間の研究開発期間を経て誕生したC64は、レースを走るロードバイクとして最高峰を求めるべく、エルネスト・コルナゴ氏の経験と知識を総動員して解を追求する姿勢の結晶と言えるだろう。

かつて共に黄金時代を築いたマペイ社のジョルジュ・スクインツィ氏にMAPEI記念カラーのC64が贈られたかつて共に黄金時代を築いたマペイ社のジョルジュ・スクインツィ氏にMAPEI記念カラーのC64が贈られた photo:Makoto.AYANO



コルナゴC64 そのディテールとテクノロジー


コルナゴC64 コルナゴC64  photo:Makoto.AYANO/cyclowired.jp

45g軽量化したフォーク Discフォークのコラムは画期的構造に

フォークは完全に新設計された。C60で顕著だったリブは無くなり、フォークブレード上部にのみエクスターナル・リブを備えたスリムな形状となり、横剛性を高めつつ柔軟性を高めライドクオリティーを追求した。リムブレーキタイプのフレームにはダイレクトマウントブレーキを採用し、近年主流となる28mmまでのワイドタイヤに対応するデザインとなった。フォークエンドまでフルカーボンとなり、355gという軽量化を図りながらもC60のフォーク以上の剛性とパフォーマンス向上を達成している。

フロントフォークはブレード上部にエクスターナル・リブを備えたスリムな形状となったフロントフォークはブレード上部にエクスターナル・リブを備えたスリムな形状となった ダイレクトマウントブレーキ採用でワイドリム&タイヤに対応するダイレクトマウントブレーキ採用でワイドリム&タイヤに対応する

ディスク用フォークは12mmスルーアクスルを採用。コラム内部にはリブを備え、トップキャップからのボルトを直接受ける構造となり、プレッシャープラグ(アンカーナット)が不要の画期的構造となる。Dシェイプのコラムと専用ステム(未発表)との組み合わせでケーブルをステアーチューブとフォークブレード内に内蔵することができるという。

ラグ一体構造ヘッドチューブ 振動吸収素材のヘッドパーツ

ラグと一体構造のヘッドチューブはC60と似た形状ながら、肉厚はより薄く、軽くなり、フィニッシュも3KカーボンからUDフィニッシュとなったことでさらに軽量化された。新形状により横剛性が向上している。またエアロバイクのConceptで実績のある特殊ポリマーとカーボン、ナイロン樹脂エラストマーを組み合わせたヘッドセットにより振動を減衰、快適性を向上させるとともににハンドリング性能向上につなげている。

Cシリーズのアイデンティティであるラグ一体構造ヘッドチューブCシリーズのアイデンティティであるラグ一体構造ヘッドチューブ テクノポリマーヘッドセットにより振動を減衰、快適性を向上させるテクノポリマーヘッドセットにより振動を減衰、快適性を向上させる

シェイプアップされたが剛性が向上したダウンチューブ

ダウンチューブはリアトライアングルと最適なバランスになるように、C60のものよりも外径が少し細くシェイプアップされた。しかしカーボンレイアップにより耐捻じれ剛性は高められ、最新のコンポーネントとのインテグレーションが図られた。メカニカルシフト用のケーブルストッパーはヘッドチューブの後部に隠れるようにダウンチューブの上方に位置し、スマートに内蔵へと導く。

メカニカルシフト用のケーブルストッパーメカニカルシフト用のケーブルストッパー
ボトルケージ取付部は窪むようにデザインされ、ボトルがダウンチューブにより接近する設計ボトルケージ取付部は窪むようにデザインされ、ボトルがダウンチューブにより接近する設計
ダウンチューブはC60に比べスリム化されたがレイアップにより強度向上を果たすダウンチューブはC60に比べスリム化されたがレイアップにより強度向上を果たす

ダウンチューブの中ほど、ボトルケージ取付部は窪むようにデザインされ、ボトルがダウンチューブにより接近する設計となる。これによりC64は空気抵抗においてトラディショナルなフレームよりも確実に有利となった。

シートラグ一体成型のシートチューブ

おそらくC60との設計の違いをもっとも感じることができるのがシートラグまでが一体のワンピース構造となったシートチューブだろう。この技術的な特徴により重量増加を抑えつつ、フレームの強度と剛性を増すことに成功している。ステーはストレートな形状ではなく、ダイレクトマウントブレーキの台座に向けて2本に分かれたものとなる。この形状は接着工法においてラグとチューブの接着面の増大につながる。モールドシートチューブはじつに14の異なるフレームサイズごとに専用設計された14種が用意されるのだ。

シートラグまでが一体のワンピース構造となったシートチューブシートラグまでが一体のワンピース構造となったシートチューブ
シートステイはダブルステーとなり強度アップを図るシートステイはダブルステーとなり強度アップを図る
埋め込み臼式のヒドゥン・インテグレーテッド・クランプが採用される埋め込み臼式のヒドゥン・インテグレーテッド・クランプが採用される


スマートなルックスのシートクランプとカムテール形状ポスト

流れるようなデザインで一体となった設計のシートポストエリアの固定部には埋め込み臼式のヒドゥン・インテグレーテッド・クランプが採用される。このスマートな外観のシート固定方法により、従来のバインダー方式に比べ約15gの軽量化が達成される。その固定構造はライダーの自重により固定力が増すというユニークかつ合理的な構造となっている。V2-Rの流れを汲む「D」型断面をもつシートポストは0・15・30mmの3種のオフセットをオプションで選べる。

エンドまで一体モールド成型のチェーンステイ

C64のキーとなる新テクノロジーのひとつとして完全に刷新された設計のチェーンステイが挙げられる。ドロップアウトエンドはチェーンステイと一体モールド成型されるワンピース構造となり、軽量化と同時に高い横剛性とヴァーティカルコンプライアンス(縦方向の柔軟性)を手に入れた。チェーンステイはスリムになった結果、チェーン落ちの際にもチェンリングとチェーンステーの間にチェーンが噛み込むといったトラブルが無くなるという。リムブレーキフレームのチェーンステイはディスクバージョンのそれよりも太く、強度のあるスルーアクスルを採用したディスクブレーキフレームと同様の、統一された剛性感を手に入れている。

チェーンステイはエンドまで一体モールド成型となるチェーンステイはエンドまで一体モールド成型となる

ワイドタイヤに対応する新設計リアトライアングル

軽量なダブルタイプのシートステイは、ワイドタイヤにあわせ大きなタイヤクリアランスをもつようデザインされたブリッヂが装備され、ダイレクトマウントブレーキモデルの強力な制動力にも耐えうる。

フレーム全体が軽量化したことと同様に、C64フレームにおける大きな特徴が28mmタイヤをセットしても十分なタイヤクリアランスを備えることだ。ダイレクトマウント式ブレーキはノーマルキャリパーよりも幅広のタイヤに対応するワイドクリアランスをもつ。ディスクブレーキバージョンはブレーキ付近のスペースの制約がないため、さらに余裕がある設計だ。

ダイレクトマウントリアブレーキの強度に耐えるブリッヂダイレクトマウントリアブレーキの強度に耐えるブリッヂ
左右非対称設計が採用されたチェーンステイ(裏側より)左右非対称設計が採用されたチェーンステイ(裏側より)
ワイドタイヤに対応する新設計リアトライアングルワイドタイヤに対応する新設計リアトライアングル

スレッドフィット82.5BBにセラミックスピード社製ベアリングを採用

すでにC60で定評のあるスレッドフィット82.5を採用したボトムブラケットは、金属製カップでプレスフィット用のBBベアリングを受けるため音鳴りの問題が発生せず、交換作業時のフレームへのダメージを減らすことができる。BBラグはケーブルガイドを統合したモールド設計となり、重量増となる要素を無くし、ケーブルの取り回しがスムーズになるためベストな変速性能を提供する。ラグには左側が太くなった左右非対称のチェーンステイが挿入される。またプレスフィットBBベアリングにはセラミックスピード社製品のベアリングが採用され、ワイドシェルの安定性とともに滑らかで超低抵抗のスムーズな回転が期待できる。

スレッドフィット82.5BBにセラミックスピード社製ベアリングを採用スレッドフィット82.5BBにセラミックスピード社製ベアリングを採用 BBラグはケーブルガイドを統合したモールド設計となるBBラグはケーブルガイドを統合したモールド設計となる

Disc専用ケーブル内蔵ステム

C/Dシェイプのコラムを持つディスク用フォークとの組み合わせでブレーキケーブル内蔵を実現できるステムもリリースされる。ハンドル固定部の根元裏側から導かれたケーブルはステム内を通り、C/Dシェイプのコラムに沿ってフォーク先端のディスクキャリパーへと通じる。スマートで抵抗の少ない取り回しが可能になるシステムだ。ステムは今回の発表には製造が間に合わなかったが、じきにお目見えする予定だ。

2タイプのジオメトリー、全14サイズ

コルナゴC64の日本での展開はまず9サイズ。C60であったホリゾンタルは無くなり、スローピングのみとなる。まず6色のカラーバリエーションでスタートする。イタリア・カンビアーゴのC64専用工房でハンドビルドされ、塗装もピサ近郊にあるコルナゴ専用工房パマペイント社で熟練の塗装職人の手によって行われるという、”100%イタリアン・テーラーメイド”だ。またヘッドチューブを長めに設計したアップライトなポジションの”HIGH”sizeを2018年10月末より生産予定だ。そうなればフレームサイズの選択肢は全14サイズとなる。

コルナゴ C64 スペック

コルナゴ C64  PKRD(レッド)コルナゴ C64 PKRD(レッド) photo:Makoto.AYANO/cyclowired.jp
リムブレーキモデル 税抜価格650,000円(アートデコールカラー [BFBL、BFWH] 698,000円)
ディスクブレーキモデル 税抜価格680,000円(アートデコールカラー [BFBL、BFWH] 728,000円)
サイズ420S / 450S / 480S / 500S / 520S /540S / 560S / 580S / 600S
カラーBFBL(アズーロ)、BFWH(ビアンコ)、PKBK(マットブラック)、PKRD(レッド)、PKSL(シルバー)、PKWH(ホワイト)

コルナゴ C64 PKSL(シルバー)コルナゴ C64 PKSL(シルバー) (c)エヌビーエスコルナゴ C64 PKWH(ホワイト)コルナゴ C64 PKWH(ホワイト)

コルナゴ C64 PKBK(マットブラック)コルナゴ C64 PKBK(マットブラック) コルナゴ C64 BFWH(ビアンコ)コルナゴ C64 BFWH(ビアンコ)
提供:エヌビーエス text&photo:Makoto.AYANO