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全ての"アドベンチャー"を楽しむ方へ

人々の目を丸くさせた、「フューチャーショック」を搭載した新型Roubaixや、ディスクブレーキとエアロロードバイクの先駆けとなったVenge ViAS Discなど、話題のモデルを多数発表したスペシャライズド。だがその中で「セコイヤ」というツーリング車を見つけた方はどれだけいるだろうか。

2017年モデル影の主役としてデビューしたアドベンチャーバイク、セコイヤ。写真はバイクバッグをフル搭載した状態2017年モデル影の主役としてデビューしたアドベンチャーバイク、セコイヤ。写真はバイクバッグをフル搭載した状態
現在、北米を発祥としてヨーロッパ、そしてアジアにも波及しているサイクルムーブメントの一つ、”バイクパッキング”。キャリアやパニアバッグではなく、大容量のフレームバッグなどを用いてなるべくコンパクトに、そして軽量にツーリングを楽しむという概念の総称だが、こうした流れをいち早く掴むこともスペシャライズドの得意技。その概念が定着してきた今年、大手としては先手を打ってデビューしたバイクこそ、レイノルズ製スチールチューブを採用した原点回帰のツーリングモデル「Sequoia(セコイヤ)」である。

スペシャライズド・ジャパンSBCU担当、佐藤修平氏。もともとツーリングバイクで全国津々浦々の野山を駆け巡っていた冒険野郎スペシャライズド・ジャパンSBCU担当、佐藤修平氏。もともとツーリングバイクで全国津々浦々の野山を駆け巡っていた冒険野郎 セコイア(英: Sequoia、学名:Sequoia sempervirens)。高さ100m近くにもなる世界有数の大高木で、特にアメリカ西海岸では「大きく育つもの」の象徴として神聖な意味すら持つ存在だ。そんな名を冠したこのツーリングバイクは、どのようなモデルなのか。そしてどのような意味を持つのか。

スペシャライズド・ジャパンのSBCU(Specialized Bicycle Components University、販売店向けの講習や、一般向けに製品の解説、普及活動を行う部門)担当、佐藤修平氏に話を聞いた。

SBCU先生に聞く、セコイヤの意味、目的、遊び方

CW:佐藤さんはアメリカ本社の研修で、セコイヤを使ったツーリングも経験してきたと聞きました。

佐藤:メンバー全員でセコイヤに乗り、本場のグラベルライドを経験してきました。キャンプこそしませんでしたが、本物の遊び方を経験できたことは大きな糧になりましたね。日本で言うグラベルライドとは全てが違って、路面は基本的に締まった走りやすいダートなんだけど、時々荒地や泥、石敷きもあったりする。もちろんアップダウンも。その中を遊びながらガタイの良い欧米人がハイスピードで飛ばしていくんです。

だから40c以上の太いタイヤや、急勾配にも耐えられるギア比、荷物を積んでも機敏に動ける性能が自転車には求められる。そうしたニーズとスペシャライズドの技術が組み合わさって生まれたのが、セコイヤというモデルです。ある意味ではRoubaixやVengeにも劣らない、最新最高峰のパッケージと言えるでしょう。

「RoubaixやVengeにも劣らない、最新最高峰のパッケージ。それがセコイヤです」「RoubaixやVengeにも劣らない、最新最高峰のパッケージ。それがセコイヤです」 (c)Specialized Japan
「固く締まった未舗装路を飛ばして走る。そのためには太いタイヤや機敏に動ける性能が求められるのです」「固く締まった未舗装路を飛ばして走る。そのためには太いタイヤや機敏に動ける性能が求められるのです」 (c)Specialized Japan時にはシングルトラックにも。ロードバイクで立ち入れなかった領域を開拓してくれる存在時にはシングルトラックにも。ロードバイクで立ち入れなかった領域を開拓してくれる存在 (c)Specialized Japan


CW:具体的にはどのようなモデルなのでしょうか

佐藤:レイノルズ製のスチールパイプがメインですが、スルーアクスルやディスクブレーキ、マッシブなカーボンフォークなど、最新トレンドをうまく融合させたことが特徴です。そしてカラーリングや特製バーテープ、サドル、セコイヤのために開発されたタイヤやリムとのマッチング、控えめなサイズのロゴなど、ビスポークのエッセンスを色濃くしていることもポイント。もちろん「スペシャライズド・アドベンチャーギア」と銘打ったバッグやアパレル類など周辺ギアも全て揃え、トータルでのパッケージングも考えられた製品です。

CW:すでにAWOLというカーボンツーリングモデルがありますが、なぜスチールを選んだのでしょう?

佐藤:それは、このセコイヤが「本物」だからです。過酷な状況で酷使して、もし落車などでフレームが曲がったりつぶれたり、折れたりしても街のどこかには修理できる工場があるはずですから。

マッシブなフロントフォークはカーボン製。振動吸収性とスタビリティを上げつつ、フロントフォークバッグ用のネジ穴も装備するマッシブなフロントフォークはカーボン製。振動吸収性とスタビリティを上げつつ、フロントフォークバッグ用のネジ穴も装備する レイノルズ製の軽量スチールパイプを使ったフレーム。リアステーの曲げ加工も美しいレイノルズ製の軽量スチールパイプを使ったフレーム。リアステーの曲げ加工も美しい スペシャライズドのダウンチューブロゴはあえて控えめにスペシャライズドのダウンチューブロゴはあえて控えめに


それから、セコイヤというネーミングにはスペシャライズドとして深い意味が持たされています。

ここに至るまで何度かセコイヤという同様の製品が発売されていますが、最初のモデルは1976年にデビューしたオリジナルツーリングバイク。まだMTB登場前夜のことですね。当時カリフォルニアで名の知れたビルダーが図面を引き、彼の知識と技術が詰まったものでした。そして第2世代のセコイヤは、今もオレゴンでフレームビルドを行うジム・メルツというビルダーが手がけたもの。彼は後に本社のエンジニアリングまで勤めた人物ですが、それはともかくとしてその時代の最新トレンドを取り込んだツーリングバイクがセコイヤだったわけです。

「セコイヤ」というネーミングも、マイク・シンヤード(スペシャライズド創業者)が大切にしている名であり、「大きく育つもの」の象徴という意味も込めて、本社ビルの中に大きな切り株が鎮座していたりもするんです。例えばMTBのスタンプジャンパーだって、もともとは「切り株を飛び越えろ」という意味合いを持っていたり、豊かな自然の中から発想を得た製品はたくさんある。あまり表に出て来ないセコイヤですが、スペシャライズドとしては相当に思い入れが強いアイテムなのです。

バイクバッグも各種同時リリースされている。スペイン語でロバの意味、Burra Burraシリーズというバイクバッグも各種同時リリースされている。スペイン語でロバの意味、Burra Burraシリーズという
ロールトップ式のハンドルバッグ。特製のハーネスでドロップバーにもフラットバーにも確実にフィットロールトップ式のハンドルバッグ。特製のハーネスでドロップバーにもフラットバーにも確実にフィット 各種バッグのファスナーは止水仕様。中身が濡れない本格派だ各種バッグのファスナーは止水仕様。中身が濡れない本格派だ


でも、だからと言って懐古主義ではありません。今回再び登場した背景には、ここ最近北米で顕著なムーブメントを巻き起こしているバイクパッキングが存在していて、それは従来のキャンパースタイルのリバイバルではなくて、全く新しいもの。そうしたエッジーで尖ったものを、マスプロダクトブランドである我々が製品化することによって、より多くの方に広めたいという思いや使命があるんです。

CW:これまでのツーリングバイクとは全く違ったもの、と捉えて良いのでしょうか。

佐藤:その通りです。近年ではトレイルランニングやキャンプといったアウトドアスポーツも軽量ギアを使った「ウルトラライト」という概念が定着してきました。従来のキャンプツーリングだとフレームを取り付けて、それからパニアバッグをつけて、と段階が多く、とにかく重かった。そうではなくて、必要最小限の荷物だけをピックアップしてフレームバッグに詰め込み、キャンプをやりきる。これまでは自転車は完全な道具であって、移動手段としてしか捉えられていなかった。そうではなく、自転車本来の運動性能を楽しみつつ、現地ではキャンプを楽しむ。そう言った趣向の方にアプローチしているんですね。

バーテープは自然な風合いの「キャンバステープ」バーテープは自然な風合いの「キャンバステープ」 サドルはPhenom Compだが、表面にバーテープと同じキャンバス生地を用いたサドルはPhenom Compだが、表面にバーテープと同じキャンバス生地を用いた

Hayfieldと名付けられた、専用開発のホイール。四角形断面で耐久性を重視しているHayfieldと名付けられた、専用開発のホイール。四角形断面で耐久性を重視している 700×42cという大ボリュームを誇るSawtoothタイヤ。ホイールと同じく専用開発品だ700×42cという大ボリュームを誇るSawtoothタイヤ。ホイールと同じく専用開発品だ


CW:どういうユーザー層にオススメな一台なのですか?

佐藤:もちろん、アドベンチャーを楽しみたい方全員に。それは数日間のキャンプでもいいし、ちょっと裏道を探索したい方でも良くって、アドベンチャーの規模感は問いません。でもセコイヤの魅力を一番引き出せるのは、ロードバイクを一回り楽しみ尽くしてしまった人や、カーキャンピングに飽きちゃった人。いずれにしても遊びを突き詰めてきたコアなユーザー層こそ、「おっ、これいいね」と思ってくれる層だと捉えています。ぜひともバイク単体でなく、周辺のギアやファッションまで合わせてコーディネイトしてほしい、そんな一台です。

「本気で遊びたい方のためのアドベンチャーバイク、それがセコイヤです」「本気で遊びたい方のためのアドベンチャーバイク、それがセコイヤです」 (c)Specialized Japan
提供:スペシャライズド・ジャパン、製作:シクロワイアード編集部