もはや「トレックの」ではなく、一つの独立したパーツ・アクセサリーブランドと化しているボントレガー。2017モデルでもペア976gという驚くべき軽さを達成した「アイオロスXXX」や、拡充を遂げたライト類、気軽にトライできる自転車専用インソール、そして強いメッセージを発する安全啓蒙キャンペーンなど、今年もエピックなキーワードが目白押しだ!

ペア976gの「常用できる」超軽量チューブラーホイール Aeolus XXX

今回のボントレガーラインナップでの大物がこちらのAeolus XXXチューブラーホイールだ。スーパーディープリムからMTBまで豊富なバリエーションを誇る近年のボントレガーホイールシリーズだが、唯一製品が存在していなかったのが超軽量ジャンル。その穴を埋めるように発表されたのが、かつての山岳決戦用ホイールの名を復活させたアイオロスXXXだ。

ボントレガーに超軽量チューブラーホイール「Aeolus XXX」が登場ボントレガーに超軽量チューブラーホイール「Aeolus XXX」が登場
リアハブにボントレガー独自のSTACKED LACINGを使うことでスポークを支える角度を広げ、剛性強化リアハブにボントレガー独自のSTACKED LACINGを使うことでスポークを支える角度を広げ、剛性強化 会場での重量計は公称値を割り込む960gをマーク会場での重量計は公称値を割り込む960gをマーク

ワイドリム全盛時代にあえて外幅を21mmに抑えたロープロファイルリムを使ったアイオロスXXXのペア重量は、1000gを優に割り込む976g。しかも注目は重量だけではなく、従来の超軽量ホイールにありがちだった体重制限を一切取り払ったことにもある。加えてDTスイス製のステンレス製スポークやハブ、外出しのニップルなど、リム以外は至って一般的な構成となっており、この中でアンダー1000gに達したことは特筆すべき事項だろう。

アイオロスXXXは超軽量ホイールの弱点とも言える剛性不足を解消すべく、リアハブにボントレガー独自のSTACKED LACINGを使うことでスポークを支える角度を広げ、剛性強化を実現。結果的に体重制限を取り払うことにも成功し「常用できる超軽量ホイール」としての堅牢性を手に入れている。それでいて値段はペアで318,000円というのだから、市場価値は非常に高いと言えそうだ。

インプレッション

「堅牢で高剛性。登りを中心にどんな場面でも使える」上萩泰司(カミハギサイクル)

良い意味で普通に使える、しっかりとしたホイールだなという感覚ですね。軽くてヒルクライムで武器になるホイールは数多くありますが、一般的なホイール比べると剛性が足りなかったり、それによって特に平地でのスピードの乗りが悪かったりするのですが、XXXはかなり剛性感が高く、そういったマイナスポイントを全てクリアしている貴重な超軽量ホイールだと感じます。

「堅牢で高剛性。登りを中心にどんな場面でも使える」「堅牢で高剛性。登りを中心にどんな場面でも使える」
「良い意味で普通に使える、しっかりとしたホイール」「良い意味で普通に使える、しっかりとしたホイール」 上萩泰司(カミハギサイクル)上萩泰司(カミハギサイクル) 乗り味としてはアルミに近いカッチリとした雰囲気で、たわみも感じません。それゆえギアの掛かりもダイレクトで、スピードの伸びも優秀です。殆どの軽量ホイールやフレームは体重制限が用意されているため、ユーザーが限られたり、不安を抱きつつ購入することになるのですが、XXXはそういった意味でもストレスフリー。当然登りではギア1枚半ほど軽いようにも感じますし、ヒルクライムでは武器になってくれるでしょう。

XXXではハブやスポーク組みも一般的なタイプを使っていますし、ニップルも外出し式です。メンテナンス性だって全く悪くないから使っていて安心ですし、これならヒルクライムレースだけでなく、山岳を多く入れたグランフォンド的なライドから、何なら通勤・通学にだって使えてしまえます。アンダー1000gで30万円の製品に「普通」という表現はおかしいですが、本当に普通に使える堅牢さ、堅実さを感じます。

強いて気になる部分を挙げるとすれば、ブレーキ当たり面がラウンドしていて、かつ幅が狭いことです。長い下りや雨でのテストは行っていないため、こればかりは使ってみないと分かりませんが、ボントレガー純正のコルクシューを使った感覚はとてもナチュラルです。もとより堅実な製品をリリースしてきたボントレガーですから、その辺りも信頼してしまって良いのではないでしょうか。

これで30万円ですから、数ある高級ホイール市場においてはコストパフォーマンス面でかなり有利だと感じます。機材として見るならば登りレース向けですが、楽に登れてかつ堅牢という意味では、女性や登坂が苦手な方にも向く製品だと感じます。従来の超軽量ホイールの弱点を克服した、リスクの非常に少ないホイールでした。

デイライトの拡充、Mips装備ヘルメットのバリエーションアップ、自転車専用インソール

去年に引き続き、今回のトレックワールドで最も強く発信されたメッセージが安全啓蒙だ。トレックが全世界的に取り組む「セーフティリーダーシップ」の広がりようを体現するするものであり、中でも中心となるプロダクトがデイライト(日中用ライト)。

段階を追って安全性を高めるABCコンセプトを提唱している。違いは一目瞭然だ段階を追って安全性を高めるABCコンセプトを提唱している。違いは一目瞭然だ
スポーツインソールブランドのスーパーフィートと提携した製品が登場スポーツインソールブランドのスーパーフィートと提携した製品が登場 サイザーで足型を計測し、3種類のバリエーションの中からマッチするものを選べるサイザーで足型を計測し、3種類のバリエーションの中からマッチするものを選べる

従来は遠くからでも視認できる明るさを備えた700ルーメンのION700R(フロント用)とFLARE R(リア用)の2種類が用意されていたが、光量を落としたION350RとION100R、そしてFLARE R CITYの4種類が登場し、シティライドを中心とする方にもマッチするようになっている。加えて人気の高いION700Rはひっそりと800ルーメン化とパワーアップし、ION800Rへとランニングチェンジ。しかもお値段は据え置きの14,800円とあって、その価値をより高めた格好になった。

同じく安全に配慮した部分としては、ボントレガーヘルメットのほぼ全ラインナップにヘルメットと頭の間に1枚シートを設け、衝撃をシートがスライドすることで受け流し脳へのダメージを押さえるMips(ミップス)が加わったことも大きな話題。効果が分かりやすいものではないが、万が一のためには備えあれば憂いなし。他ブランドでもMips採用の動きが広がっているが、キッズ用も含めたバリエーションの幅で言えば、ボントレガーが頭一つ抜け出ている感がある。

遂にMipsを投入したヘルメットがデビュー遂にMipsを投入したヘルメットがデビュー ハイエンドからキッズ用までMips搭載製品が並んでいるハイエンドからキッズ用までMips搭載製品が並んでいる

拡充を続けるライトのラインナップにはION350RとION100R、そしてFLARE R CITYが登場拡充を続けるライトのラインナップにはION350RとION100R、そしてFLARE R CITYが登場 シティユースにうってつけなION350RシティユースにうってつけなION350R

また、製品だけではなく、今年は段階を追ったABCコンセプト(Always:常にデイライトを点灯、Biomotion:動きのある足先、頭を目立たせる、Contrast:蛍光色やリフレクターを付ける)の提唱も大きな取り組みの一つだ。アメリカの大学との研究の末に導きだした事故を防ぐためのコンセプトであり、これを補完するべく蛍光イエローのウェア類やヘルメット、シューズなどがリリースされている。

また、入門用高機能インソールとしてはスポーツインソールブランドのスーパーフィートと提携した製品が登場している。足裏のアーチを支えペダリング効率の低下や疲れを押さえるというインソールの基本を押さえたもので、自転車専用として形状を最適化させ、ランニング用よりもやや固めの素材を使っていることが特徴だ。

入門用とは言えど、各サイズ毎に3種類の形状が用意され、ボントレガーのサドルと同じようにサイザーを使って足型を図り、それに最も合う形状を選べるようになっている。カスタムソールとまではならないが、入門用としては必要十分な機能と選択肢、そして選びやすさを備えたボントレガーらしいアイテムだ。



全3回でお届けしたトレックワールド特集記事も今回で最終回。今年のトレックワールドはトレック/ボントレガー製品の拡充はもちろんだが、昨年にも増して安全啓蒙への意気込みを強く感じる内容だった。この取り組みを発端にして、事故なく自転車を楽しめる環境が形作られていくことに期待したいと思う。
提供:トレック・ジャパン、制作:シクロワイアード