今年も、トレックの世界を凝縮したディーラー&メディア向けの展示会「トレックワールド」が開催された。創業40周年を迎えた同社の、日本開催6回目となった大型ショーの様子を紹介していく。今年もUSA本社から空力エンジニア 鈴木未央氏を迎え、3日間ともに様々な製品を実際に目にし、そして体感できる機会となった。この特集では、全3編に渡ってその概要と注目製品を掘り下げながら紹介していきたい。

6年目を迎えたトレックワールド

国立京都国際会館のホールで行なわれた第6回目のトレックワールド国立京都国際会館のホールで行なわれた第6回目のトレックワールド
世界各国で毎年夏場に行なわれ、各ディーラーやメディアが来年度のフルモデルラインナップについて見地を深めることのできる「TREK WORLD(トレックワールド)」。日本では、かの京都議定書で有名な国立京都国際会館にて毎年開催されており、今年で6回目を迎えた一大イベントだ。

今でこそワンブランドの大規模展示・試乗会が増えているものの、このトレックワールドはその元祖とも言えようか。3日間のスケジュールの中には新製品のセミナーやテストライドなどが詰め込まれ、トレックやボントレガー製品についてはもちろん、その歴史やブランドの理念についても学ぶことができる。

会場入り口には40年を振り返る「ヒストリーゾーン」が設置された会場入り口には40年を振り返る「ヒストリーゾーン」が設置された トレックの歴史を彩ってきた名車たちトレックの歴史を彩ってきた名車たち

ヒストリーゾーンの先に鎮座したのは、2026年を見据えたコンセプトバイクヒストリーゾーンの先に鎮座したのは、2026年を見据えたコンセプトバイク 将来スタンダートとなり得る「Fast Commuter」をイメージしているという将来スタンダートとなり得る「Fast Commuter」をイメージしているという

2017年、トレックは創業40周年という節目の年を迎えることになる。会場への通路両側にはこれまでトレックの歴史を彩ってきた名車の数々が陳列され、それを抜けた先に鎮座したのは10年後、2026年を見据えたコンセプトバイク。将来スタンダートとなり得る「Fast Commuter」をイメージしたその姿は、現実離れしているようでありながら、でもどこか真実味を帯びているような…。

今回のトレックワールドにおいて最も強力に発信されたのが、ボントレガーにおける安全啓蒙だ。昨年も事故を防ぐためのデイライトをデビューさせ、大きなブースで展示するなど意気込みを感じていたのだが、今年は段階を追ったABCコンセプト(Always:常にデイライトを点灯、Biomotion:動きのある足先、頭を目立たせる、Contrast:蛍光色やリフレクターを付ける)の提唱や、ライトラインナップの更なる拡充、ほとんどのヘルメットへのMIPS装着モデル追加、そして蛍光色ウェアの拡充など、トレックが全世界的に取り組む「セーフティリーダーシップ」の広がりようは半端なものではない(詳細はVol.3で紹介します)。

トレック本社で空力エンジニアを務める鈴木未央さんが今年も来場したトレック本社で空力エンジニアを務める鈴木未央さんが今年も来場した 新製品に理解を深めるツアーが随時開催された新製品に理解を深めるツアーが随時開催された

おなじみタベルナ・エスキーナのキッチンカーが出張に。無料でかき氷やドリンクを振舞ってくれたおなじみタベルナ・エスキーナのキッチンカーが出張に。無料でかき氷やドリンクを振舞ってくれた 無数の試乗車が用意され、グレード間の乗り比べも行うことができた無数の試乗車が用意され、グレード間の乗り比べも行うことができた


ドマーネフルラインナップ出揃う 5.3kgの最軽量エモンダ完成車も

ニューモデルの中で最注目は、デビューを飾ったばかりのドマーネシリーズだろう。こちらもラインナップ紹介とインプレッションは次章にて紹介するが、前後に搭載されたIsoSpeedや、ディスクブレーキモデルの前後12mmスルーアクスル+リア142mm幅エンド化など見所は満載だ。

ドマーネのディスクブレーキモデルは前後12mmスルーアクスル、142mm幅リアエンドを取り入れているドマーネのディスクブレーキモデルは前後12mmスルーアクスル、142mm幅リアエンドを取り入れている カーボンモデル、アルミモデル共にスルーアクスル化を達成カーボンモデル、アルミモデル共にスルーアクスル化を達成

完成車重量5.3kgというエモンダの完成車、SLR 10 RACE SHOP LIMITED完成車重量5.3kgというエモンダの完成車、SLR 10 RACE SHOP LIMITED プロジェクトワンはより選びやすく、幅広いバリエーションに。その勢いはとどまるところを知らないプロジェクトワンはより選びやすく、幅広いバリエーションに。その勢いはとどまるところを知らない

試乗車も数多く準備されており、来場者は各グレード間の乗り味の違いも試すことができた。ドマーネへのトレックの思いが見て取れる部分であり、昨年発表されたエアロロードのマドン、軽量モデルのエモンダと並び、トレックが提唱する「choose your weapon」の確立がより明確になったと言えるだろう。会場にはカットサンプルも展示され、その理解を深めることもできた。

また、ドマーネの陰に隠れがちではあったものの、軽量性を突き詰めたエモンダの完成車「SLR 10 RACE SHOP LIMITED」も2017年モデルとしてアップデートを遂げており、前後セットでアンダー1kgを達成したホイール「Aeolus XXX」やSRAMの無線電動コンポーネントeTapを搭載し、完成車重量は5.3kgにまでシェイプアップしている。もちろん過激な軽量パーツを使わずして達成していることもご承知おき頂きたい。

Fuel EXとRemedy トレイル用2モデルが刷新

トレイル遊びを広げてくれる2モデル、Fuel EXとRemedyがフルモデルチェンジトレイル遊びを広げてくれる2モデル、Fuel EXとRemedyがフルモデルチェンジ
一定以上にハンドルの切れを防ぐ「Knock Block(ノックブロック)」システムによって、全体の設計が変わった一定以上にハンドルの切れを防ぐ「Knock Block(ノックブロック)」システムによって、全体の設計が変わった 2車種共にトラベル量が増し、今後スタンダードとなり得るBoost規格を投入している2車種共にトラベル量が増し、今後スタンダードとなり得るBoost規格を投入している

豊富なバリエーションを誇るMTBラインナップでは、トレイル系モデルに位置付けられるFuel(フューエル)EXとRemedy(レメディ)がフルモデルチェンジを遂げた。従来はどちらも転倒時にハンドルがダウンチューブへと接触することを防ぐためにダウンチューブのヘッド寄りを湾曲させて対処していたが、今回は一定以上にハンドルの切れを防ぐ「Knock Block(ノックブロック)」システムをヘッドパーツに組み込みんだ。これによってダウンチューブをストレート化させ、特に重要であるヘッドからBBにかけての剛性強化を成し遂げた。これによってより安定したハンドリングと、俊敏さを底上げした。

また2車種ともにエンデューロレースに最適化させるべく、トラベル量がFuel EXは130mm、Remedyは150mmへとストロークアップ。フロント110mm、リア148mm幅の新規格ハブ「Boost」を取り入れることで最新の流行からも外れない。ホイールサイズはFuel EXが29er、Remedyが27.5インチだ。

トレック・ジャパン田村芳隆代表インタビュー

ブランド創設40周年という節目を迎えたトレック。今回のトレックワールドでは、前述した通り10年後を見据えたフューチャーバイクも展示され、安全啓蒙の強化など、より未来を見据えた展示が目立った。これにあたってCWでは、トレック・ジャパン代表 田村芳隆氏にお話を伺った。

トレック・ジャパンの田村芳隆代表に話を聞いたトレック・ジャパンの田村芳隆代表に話を聞いた

40周年という節目にあたって

ここまで来れた。その事実はお客様あってのことですから、大きな感謝をお伝えしたいと感じています。今後はよりトレック・ジャパン、販売店、そしてユーザーの繋がりを密にしていければと考えています。今回は2026年を見据えたフューチャーバイクを展示しましたが、その通り5年、10年という長期的なスパンをもって自転車業界をより良くする動きをしていきたいのです。何かの節目では過去を振り返りがちですが、常に前を向いていくというトレックの姿勢が、あのコンセプトバイクには詰め込まれているんです。

CW:今年は昨年にも増して、安全啓蒙へのパワープッシュを感じました。

プレゼンテーションで熱弁を振るうプレゼンテーションで熱弁を振るう 「常に前を向いていくというトレックの姿勢が、あのコンセプトバイクには詰め込まれている」「常に前を向いていくというトレックの姿勢が、あのコンセプトバイクには詰め込まれている」 ボントレガーの安全啓蒙キャンペーンは、他のどのブランドにも無い先進的なものだと考えています。他社でもデイライトや反射素材を使った製品はありますが、我々はそれよりももう一つ上のレベルで提唱することを心掛けました。ユーザーの方々に製品の意味を理解してもらえたら、次はその効果をどう高めるか。その上でABCコンセプトを発表させて頂きましたし、段階を追って安全へのメッセージを強力に発信していきたいのです。

これらの取り組みは、他社との差別化を図るためではなく、ひとりでも多くの人の命を救うことにあります。

トレックのUSA本社があるのは、ウィスコンシン州の片田舎、日本で言えば北海道みたいな所なんですね。とうもろこし畑の中に真っ直ぐ道が続いていて、クルマも80~90km/hで走っているような環境です。本社ではもちろん自転車通勤している方もいるのですが、稀に死亡事故も発生してしまっている現状があるのです。自転車の魅力を伝えるのが第一なのに、不幸や怪我に見舞われては本末転倒。本社CEOであるジョン・バークの強い思いがこのキャンペーンをプッシュしてます。

CW:トレック・ジャパンの皆さんの中でも安全への意識が高まっていると聞きました。

もちろんです!もちろん代表である私も率先して取り組んでいますし、先日にプロジェクトワンでオーダーした蛍光イエローのマドンが届いたばかり。その前には蛍光イエローのエモンダを3年の乗りましたし、目立ち度はナンバーワン(笑)。ウェアも全部蛍光イエローにしたところ「やりすぎですよ!」と言われたので、手先足先など効果的な部分に目立つ色を取り入れて乗っています。蛍光カラーはここ数年のトレンドですし、安全面でも、ファッション面でも良い。ぜひお勧めしたいところです。

「見える化」を推し進める、ボントレガーのABCコンセプト「見える化」を推し進める、ボントレガーのABCコンセプト 「デイライトの普及率を上げて、悲しい事故を無くしていきたい」「デイライトの普及率を上げて、悲しい事故を無くしていきたい」

納車されたばかりというプロジェクトワン仕様のマドン納車されたばかりというプロジェクトワン仕様のマドン
デイライトは社員全員が使用しています。阪神圏には3つの直営店と本社があって、その全員が使用し、使用を案内しているのですが、正直言ってまだまだ普及率は高くないのが現状です。自動車のシートベルトやチャイルドシート着用も、義務付けられてなお普及率は悪かったですよね。デイライトの使用率向上は難しいチャレンジだとは感じていますが、一刻も早く街中の2〜3割の自転車がライトを点灯させている状況を作り出したいと思います。

CW:ありがとうございます。読者の方々へメッセージをお願いできますか。

昨今のロードバイクブームで、一般的にもスポーツバイクが広く認知されるようになってきました。その中で、マドン、ドマーネ、エモンダと、「より楽しみを感じることのできるバイク」が揃っていることが、トレックの強みです。少し試乗するだけで体感して頂けるはずですので、是非ショップへと足を運んでみて下さい。

「安全に楽しく乗る」。これがトレックとしての強いメッセージ。安全面も、ファンの面でも優れた製品を準備しておりますので、その2つを掛け合わせることで充実したスポーツ自転車のある生活を送って頂ければと思います。

動画で観るトレックワールド in 京都

提供:トレック・ジャパン、制作:シクロワイアード