Ag2rラモンディアールが駆るフォーカスの最高峰レーシングロード「IZALCO MAX」。本章では、ディスクブレーキとスルーアクスルを採用し、世の中に次世代ロードバイクの方向性を示した「IZALCO MAX DISC」に迫っていく。

先進性溢れるディスクブレーキロードのベンチマーク

フォーカス IZALCO MAX DISCフォーカス IZALCO MAX DISC
現在UCI公認ロードレースでの試験的使用が暫定的に中止されているものの、近い将来に主流になることが予測されているロードバイク用ディスクブレーキ。国内では否定的な意見も聞かれるが、レースの現場においてブレーキング性能の向上は歓迎すべきものであり、フォーカスは積極的にロードレーサーのディスクブレーキ化に取り組んできた。

その結晶とも言うべき1台が「IZALCO MAX DISC」である。リムブレーキ仕様に対する諸性能の変化を最小限に留めながら、ブレーキング性能や運動性能、快適性の向上を実現し、2015年8月には栄えあるユーロバイクアワードを獲得している。

ディスクブレーキ化に伴い、シートステーブリッジを省略したディスクブレーキ化に伴い、シートステーブリッジを省略した
R.A.T. EVOスルーアクスルは前後ともアクスル径が12mmに。更に軽量化も果たしたR.A.T. EVOスルーアクスルは前後ともアクスル径が12mmに。更に軽量化も果たした
キャリパー台座はフラットマウントだキャリパー台座はフラットマウントだ


まずは、ベースとなったIZALCO MAXのリムブレーキ仕様について説明しておこう。その誕生は2013年夏のこと。チェーンステー以外が丸断面というフレームのシンプルなフォルムには大きな注目が集まった。しかし、今にして思ってみれば、フレーム以上に注目すべきは295gという超軽量フォークであった。

フレーム単体で見てみると、5年程前には700gを切るモデルが多くあったが、現在は各メーカーとも700gに戻すと同時にライドクォリティーを高め、その変わりにフォークをシェイプアップし、フレームセット状態での軽量化を実現している。そう、2013年に登場したIZALCO MAXと同様にだ。

この様に、IZALCO MAXは他社の先を行く先見性あふれるバイクであり、それはディスクブレーキ仕様でも変わらない。リムブレーキ仕様が持つ卓越した剛性や軽量性を維持しながらも、ディスクブレーキ化のメリットを最大限に引き出すべく各部をアップデート。今後数年は、ディスクブレーキ搭載ロードのベンチマークと目されるだろう。ディスクブレーキ仕様とリムブレーキ仕様が異なる点は大きく3つある。

シートポストは振動吸収性に優れたフォーカスのコンセプトCPXプラスシートポストは振動吸収性に優れたフォーカスのコンセプトCPXプラス ほぼ真円断面のダウンチューブほぼ真円断面のダウンチューブ ディスクブレーキに対応しながらも、依然として細身なフロントフォークディスクブレーキに対応しながらも、依然として細身なフロントフォーク

まず1つ目が、ディスクブレーキの高い制動力を受け止めるべく、フォークとシートステーにボリュームを持たせ、高強度化を図ったこと。また、開発の段階ではブレーキ熱による素材の変質についても調査されるという徹底ぶりだ。2つ目が、ディスクブレーキ化に伴い、左右のシートステーを繋ぐブリッジを除去したこと。トップチューブとシートステーの接続部の形状変更や、大きな開口部を持つ新型シートポストと合わせて、振動吸収性の向上を図っている。

そして3つ目が、フォーカス独自のスルーアクスル機構「R.A.T. EVO」の採用だ。これまでがアクスル先端の雄ねじをフレーム側の雌ねじにねじ込んでいたのに対して、R.A.Tはスルーアクスル先端をT字のフックとしてフレーム側の専用形状の受けに引っ掛けることでホイールの固定を行うというもの。レバーをたった90°ひねるだけでホイールの脱着が可能となっており、ホイール交換時間の大幅な短縮を実現すると同時に、従来のスルーアクスルよりも固定力が向上しているという。また、2017年モデルよりフロントの軸径が15mmから12mmとなった。ブレーキマウントはシマノが提唱するフラットマウントだ。

タイヤクリアランスは最大28Cにまで対応するタイヤクリアランスは最大28Cにまで対応する 油圧ブレーキホースは内蔵されるものの、整備性と軽量化のためにシフトケーブルは外装としている油圧ブレーキホースは内蔵されるものの、整備性と軽量化のためにシフトケーブルは外装としている

フロントディレーラー台座をもカーボン製とし、軽量化を追求したフロントディレーラー台座をもカーボン製とし、軽量化を追求した PF30規格を採用したBBシェルPF30規格を採用したBBシェル

ディスクブレーキ化に伴うアップデートは形状面のみならず、ジオメトリーにも手が加えられており、更なる安定性の向上を図った。変速性能の確保と合わせてリアセンターを405mmから415mmとし、シート角とヘッド角をやや寝かせている。プロチームからのフィードバックと軽量化のために、ケーブル類はシフトを外装、ブレーキを内装としている。

カーボン材質は「HM」と「ウルトラHM」という2種類のカーボンを独自比率でブレンド。シートそれぞれの面積を可能な限り大きく取り、フレーム内部のシワを徹底的に抑えることで高強度化と軽量化を同時に実現。市販のディスクブレーキロードとしては最軽量クラスのフレーム790g、フォーク325gを達成した。リムブレーキ仕様からの重量増はフレームセットで90gに抑えられている。

インプレッション

「あらゆる性能が高得点の優等生な1台」御園井智三郎(ミソノイサイクル)

シンプルに軽くて、そして速いバイクですね。リムブレーキ仕様はフロントフォークに僅かなしなりを感じるのですが、ディスクブレーキ仕様についてはスルーアクスルと相まって剛性感が増している印象です。

「登りでのダンシングの軽さはIZALCO MAXの大きな特徴」「登りでのダンシングの軽さはIZALCO MAXの大きな特徴」 古くからロードレーサーはフロント三角とリア三角に分けて設計されて来ましたが、現在はヘッドチューブ上端とリアエンドを結んだ線の上下で分けて設計しているメーカーが多くなっています。

IZALCO MAXもその中の1つで、上部に振動吸収性を、下部に剛性を担わせるという役割分担が的確に実現できいます。リムブレーキ仕様は軽量化に振り過ぎたせいか、剛性バランスに不満を感じる節もあったのですが、ディスク仕様ではスルーアクスルの採用によって改善されていると感じました。

登りでのダンシングの軽さも、このバイクの大きな特色ですね。バイクを大きく横に振りながらのダンシングはもちろんのこと、左右にバイクを振らずに、腰を浮かして階段を登るようにペダリングするダンシングでも良く進んでくれます。どんなペダリングのスタイルにも対応できる懐の深さは、Ag2rラモンディアールの全てのライダーがIZALCO MAXを使っているという事実が証明しているといえるでしょう

エアロに配慮した設計こそありませんが、あらゆる性能で高得点をとることのできる優等生がIZALCO MAXです。近年は特定の性能を重視したバイクを数種類用意するメーカーが多いですが、IZALCO MAXのように何でも卒なくこなしてくれるマシンこそがロードレーサーの真髄ではないのかなと感じます。

パワーのある競技者でも、非力な女性ライダーでも、誰でも乗りこなすことができるはずで、レースユースはもちろんのこと、ロングライド派でもタイムを意識しながら走る方にオススメです。また、安全検査の際に壊れるまで負荷をかけ続けて、信頼性に万全を期すといったものづくりに対する姿勢も評価できますね。

「硬くて良く進むピュアレーシングバイク 軽さとは裏腹に安定感が高い」
金森孝憲(SPORTS CYCLES SHOP BECK ON)

モルジンの長距離ヒルクライムでIZALCO MAX DISCをテストモルジンの長距離ヒルクライムでIZALCO MAX DISCをテスト
単刀直入に言うと、硬くて良く進むバイクで、ロードレースやヒルクライムに最適ですね。加速に加えて、軽いのに巡航時の失速感がありません。高速域からの加速でも、踏んだだけ速度が伸びて来る印象です。どんなシチュエーションでも、ケイデンス高めのペダリングを心がけて走ってあげると、バイクの硬さが活きてくるでしょう。

「ハブ軸、フォーク、ヘッド周りにかけての一体感が強い」「ハブ軸、フォーク、ヘッド周りにかけての一体感が強い」 そして、スルーアクスルによるハブ周りの高い剛性や、ディスクブレーキ化による低重心による、ダンシング時の振りの軽さが深く印象に残りました。ハブ軸、フォーク、ヘッド周りにかけての一体感が強く、前後の動きにもロスに繋がるようなズレがありません。

テスト中に下りで時速60km/hを越えることもありましたが、軽量バイクにありがちな不安定な印象はありませんでした。ディスクブレーキによる低重心化や、華奢なのに高剛性なフロントフォークが、安定した操作感をもたらしているのでしょう。しかし、25Cタイヤの影響も少なくありませんが、踏んだ時の硬さから予想するよりも、レーシングバイクとして見れば振動吸収性は充分なレベルにあります。総じて、クセが無く、レーシングモデルとしては非常に扱いやすい1台です。

「リムブレーキ仕様の乗り味を受け継いでいる」村山規英(YOU CAN武蔵村山店)

私自身、ディスクブレーキ搭載ロードについては懐疑的で、本格的に乗るのは初めてでした。しかし、今回試乗してみてアリだなという印象を受けました。このイベントに参加する前に、リムブレーキ仕様のIZALCO MAXをテストしてきたのですが、良い意味でディスクブレーキ化の影響が小さく、ほぼ変わらない乗り味に仕上がっていました。IZALCO MAXはリムブレーキ仕様が硬質な乗り味のためか、更に硬くなったという様な印象はありません。

「リムブレーキ仕様の硬質な乗り味がある」「リムブレーキ仕様の硬質な乗り味がある」 IZALCO MAX  DISCについてディスカッションするインプレライダーの皆さんIZALCO MAX DISCについてディスカッションするインプレライダーの皆さん シートステーのブリッジを省略した影響か、リムブレーキ仕様と比較すると、乗り味に伸びがあるような印象を受けました。加えて、ブレーキパーツの取り付け位置が下に移ったことで、リムブレーキ仕様よりも重心が低くなったため、ダンシングがより軽くなっていますね。

よりホイール選びが重要なバイクであり、レース指向の強い方には高剛性ホイ―ルがオススメで、よりキビキビとした反応を得ることができます。

ただ、一般的なレベルのライダーにとっては、バイク全体が硬すぎて疲労が溜まって来た時に高剛性ホイ―ルが足かせになることも考えられます。ですから、自由に乗り味が調整できるスポーク数の多い手組ホイールを敢えて組み合わせるというのも良いのかもしれません。

ショップスタッフとしては、快適性も備えていることから、ロングライド派だけどレーシングバイクを探しているという方にオススメですね。いわゆるエンデュランスバイクのモッサリとした乗り味や重量感が苦手というロングライド派の方にはピッタリではないでしょうか。

写真で見るフォーカス2017ロードラインアップ

インプレッションを行ったPARALANEとIZALCO MAX DISCの他にも、フォーカスの2017ロードラインアップには注目のバイクが多く用意されている。それらを写真で見ていこう。

IZALCO MAXのリムブレーキ仕様には、話題のスラムRED eTap仕様もラインアップされるIZALCO MAXのリムブレーキ仕様には、話題のスラムRED eTap仕様もラインアップされる
IZALCO MAXのリムブレーキ仕様。写真はULTEGRA仕様IZALCO MAXのリムブレーキ仕様。写真はULTEGRA仕様 CAYOのリムブレーキ仕様CAYOのリムブレーキ仕様

エンデュランス系モデルのCAYO DISCエンデュランス系モデルのCAYO DISC CAYO DISCは、2017モデルよりブレーキキャリパーの取付部がフラットマウントとなったCAYO DISCは、2017モデルよりブレーキキャリパーの取付部がフラットマウントとなった

アルミ製フレーム採用のCXバイク MARES ALアルミ製フレーム採用のCXバイク MARES AL タイヤクリアランスを大きくとり、泥はけ性を高めているタイヤクリアランスを大きくとり、泥はけ性を高めている
提供:グローブライド 制作:シクロワイアード編集部