2016/07/16(土) - 18:49
スイス国境に隣接するフランス屈指のスキーリゾート、モルジン。夏場はMTBのメッカとして欧州全土からのサイクリストを迎えるこの地で、フォーカスの2017モデルローンチが開催された。まずは、22カ国から300名が参加したローンチイベントの模様や、2017ラインアップの概要をお伝えする。
スイス・ジュネーブ空港からクルマに揺られて東へ約1時間。国境を越えてフランスに入ってすぐの山岳地帯に、欧州屈指のMTBパラダイスことモルジン(Morzine)は位置する。標高は約1,000mほどで、冬はスキーリゾートとして賑わう高原地帯だ。
辺りには無数のトレイルが山肌を走り、ワールドカップクラスのプロライダーから休暇を楽しむムッシュまでが、泥だらけになりながらモルジンの大自然を楽しんでいる光景を目にすることができる。もちろんロードライドにも最適な環境も広がっており、今年のツール・ド・フランス第20ステージのフィニッシュ地点に選ばれたことは、その恵まれた立地を証明している。
そんな場所で開催されたのが、フォーカスやサーヴェロなどを所有するPONホールディングの2017モデルローンチ。各社の首脳陣やメディア、各国の販売代理店が一挙この地に訪れ、最新機材をいち早くチェックする場となったのだ。
その開催規模は想像を絶するもので、街の中心地にある広場をこのイベントのためだけに貸しきってパーティー会場を造ってしまうほど。今回参加したフォーカスの代理店向けローンチイベントだけでも、約20日間で22カ国から300名が来場するなど、とにかくヨーロッパにおける自転車熱に触れるには十分すぎるレベルだ。世界的なMTBトライアルライダーであるダニー・マカスキルによるショーなども行われ、その様子は街を上げたフェスティバルのようであった。
フォーカスにとって代理店向けの大規模イベントは今回が初の試みだ。このプレゼンテーションでしきりに強調されたのは、今後フォーカスが「体験」、つまりテストライドやサポートライダーとの交流といったプレミアムな機会を増やし、ブランドの魅力をダイレクトに発信することでファンを呼び込んでいくという姿勢だった。
この姿勢を打ち出したフォーカスは、今年4月にブランドの顔であるロゴマークを刷新。イニシャルの「F」をモチーフに、峠やトレイルのつづら折れと、多くのユーザーを巻き込む「魅力の渦」を表現したデザインにリニューアルを遂げたのだ。
その「魅力の渦」をより大きなものとすべく、既にオーストラリアやイタリアでは一般ユーザー向けの大規模試乗会が開催されており、フォーカスの契約ライダーがコーヒーをサーブしたり、豪華なラウンジを設置したりと「新しいフォーカス」を印象付けているのだそう。日本にもこの流れが波及する日は近いのかもしれない。
会社創立から成長を続け、ロードレースの舞台ではミルラムやカチューシャ、そして現在はAG2Rラモンディアールといったトップチームから愛されてきた。また、シクロクロスでは日本でもお馴染みのUS王者ジェレミー・パワーズへのサポートや、MTBではXC、エンデューロ共にワークスチームを所有するなど、ジャンルを問わず積極的に競技と共に歴史を重ねてきた。
オランダのPONホールディングス傘下になった今でも開発力は止まらず、最近ではロードバイクのディスクブレーキ化/スルーアクスル化にいち早く目をつけてリリースした画期的なアクスル固定システムも話題になった。むやみに軽量性や空力を求めず、あくまで実用性を重視したものづくりは常に多くのファンを人気を集めてきた。
そんなフォーカスの2017年モデルは、従来持っていた「質実剛健」のイメージはそのままに、アドベンチャーロードやトレイルを楽しむオールマウンテンMTBを拡充したことで、そのベクトルをやや遊び方向に傾けた印象がある。
その象徴的なモデルが、ディスクブレーキを搭載した新機軸のアドベンチャーロードバイク「PARALANE (パラレーン)」だ。既にラインアップされている「IZALCO」や「CAYO」とは異なり、「冒険」を全面的に打ち出したオールテレインモデルで、ディスクブレーキや35Cタイヤを想定したクリアランスなど、今までとは一線を画した仕上がりとなっている。
MTBラインアップは、前述の通りオールマウンテン系バイクが更に充実。140mmストロークの「JAM(ジャム)」の登場により、サスストロークに応じて120mmのSPINE、140mmのJAM、160mmのSAMという3種類から選択可能となった。また、国内展開はないものの、ライトユーザーの遊びをバックアップしてくれる電動アシスト付きのE-MTBも大きな注目を集めていた。
自転車を愛してやまない人々のために、フォーカスが開発した次世代のアドベンチャーロードバイクが「PARALANE」だ。その製品コンセプトは「There are no bad roads and no bad weather」。ロード、シクロクロス、MTBの各ジャンルで培ったテクノロジーを結集し、路面状態や天候を問わない優れた走破性を実現している。
ディスクブレーキを搭載したレーシングロードバイクの急先鋒とも言うべき1台が「IZALCO MAX DISC」だ。登場からの日は浅いものの、早くもマイナーチェンジを受け、前後のスルーアクスル径を12mmに統一。そして、素早いホイール交換の実現とハブ周りの剛性に貢献する独自開発のスルーアクスル「R.A.T.」が軽量化を果たし「R.A.T. EVO」に。リムブレーキ仕様に対する、ディスクブレーキ仕様の重量的なハンデはさらに小さくなっている。
近年、更に難易度を増すMTBクロスカントリーのワールドカップコースに対応すべく登場したのがフルサスレーシングモデルが「O1E」だ。新開発の縦置きリアショックシステム「F.O.L.D.」を搭載し、荒れた路面でのショック吸収を向上させながら、綺麗な路面でのペダリングロス低減とのバランスを突き詰めた。
既存のラインアップである120mmストロークの「SPINE」と、160mmストロークの「SAM」の間を埋める140mmストロークのオールマウンテンモデルが「JAM」である。里山ライドからエンデューロレースまで、様々なライディングシーンに対応する1台だ。O1Eと同様に新型リアショックシステム「F.O.L.D.」を搭載する。
スポーツユース向けのE-MTBラインアップの中で、最上位モデルとなるのが「JARIFA I 29 SL」だ。時速45km/hまでアシストが機能し、最大350Wものアシスト能力を有する。バッテリーは612Whと大容量。フロントサスペンションにはロックショックスの倒立フォーク「RS-1」を、コンポーネントには1x11のスラムX1を採用する。(海外モデルで、国内展開は無し)
「欧州屈指のMTBパラダイス」フランス・モルジンで開催された2017モデルローンチ
スイス・ジュネーブ空港からクルマに揺られて東へ約1時間。国境を越えてフランスに入ってすぐの山岳地帯に、欧州屈指のMTBパラダイスことモルジン(Morzine)は位置する。標高は約1,000mほどで、冬はスキーリゾートとして賑わう高原地帯だ。
辺りには無数のトレイルが山肌を走り、ワールドカップクラスのプロライダーから休暇を楽しむムッシュまでが、泥だらけになりながらモルジンの大自然を楽しんでいる光景を目にすることができる。もちろんロードライドにも最適な環境も広がっており、今年のツール・ド・フランス第20ステージのフィニッシュ地点に選ばれたことは、その恵まれた立地を証明している。
そんな場所で開催されたのが、フォーカスやサーヴェロなどを所有するPONホールディングの2017モデルローンチ。各社の首脳陣やメディア、各国の販売代理店が一挙この地に訪れ、最新機材をいち早くチェックする場となったのだ。
その開催規模は想像を絶するもので、街の中心地にある広場をこのイベントのためだけに貸しきってパーティー会場を造ってしまうほど。今回参加したフォーカスの代理店向けローンチイベントだけでも、約20日間で22カ国から300名が来場するなど、とにかくヨーロッパにおける自転車熱に触れるには十分すぎるレベルだ。世界的なMTBトライアルライダーであるダニー・マカスキルによるショーなども行われ、その様子は街を上げたフェスティバルのようであった。
フォーカスにとって代理店向けの大規模イベントは今回が初の試みだ。このプレゼンテーションでしきりに強調されたのは、今後フォーカスが「体験」、つまりテストライドやサポートライダーとの交流といったプレミアムな機会を増やし、ブランドの魅力をダイレクトに発信することでファンを呼び込んでいくという姿勢だった。
この姿勢を打ち出したフォーカスは、今年4月にブランドの顔であるロゴマークを刷新。イニシャルの「F」をモチーフに、峠やトレイルのつづら折れと、多くのユーザーを巻き込む「魅力の渦」を表現したデザインにリニューアルを遂げたのだ。
その「魅力の渦」をより大きなものとすべく、既にオーストラリアやイタリアでは一般ユーザー向けの大規模試乗会が開催されており、フォーカスの契約ライダーがコーヒーをサーブしたり、豪華なラウンジを設置したりと「新しいフォーカス」を印象付けているのだそう。日本にもこの流れが波及する日は近いのかもしれない。
より「遊び」に本気となったフォーカスの2017モデルラインアップ
大規模イベントで発表された2017年ラインアップの概要を紹介する前に、少しだけフォーカスというブランドについて説明しておきたい。フォーカスの始まりは1993年のこと。シクロクロスで世界王者となったばかりのマイク・クルーゲ氏が、理想を追い求めて自転車造りを始めたことに端を発する。会社創立から成長を続け、ロードレースの舞台ではミルラムやカチューシャ、そして現在はAG2Rラモンディアールといったトップチームから愛されてきた。また、シクロクロスでは日本でもお馴染みのUS王者ジェレミー・パワーズへのサポートや、MTBではXC、エンデューロ共にワークスチームを所有するなど、ジャンルを問わず積極的に競技と共に歴史を重ねてきた。
オランダのPONホールディングス傘下になった今でも開発力は止まらず、最近ではロードバイクのディスクブレーキ化/スルーアクスル化にいち早く目をつけてリリースした画期的なアクスル固定システムも話題になった。むやみに軽量性や空力を求めず、あくまで実用性を重視したものづくりは常に多くのファンを人気を集めてきた。
そんなフォーカスの2017年モデルは、従来持っていた「質実剛健」のイメージはそのままに、アドベンチャーロードやトレイルを楽しむオールマウンテンMTBを拡充したことで、そのベクトルをやや遊び方向に傾けた印象がある。
その象徴的なモデルが、ディスクブレーキを搭載した新機軸のアドベンチャーロードバイク「PARALANE (パラレーン)」だ。既にラインアップされている「IZALCO」や「CAYO」とは異なり、「冒険」を全面的に打ち出したオールテレインモデルで、ディスクブレーキや35Cタイヤを想定したクリアランスなど、今までとは一線を画した仕上がりとなっている。
MTBラインアップは、前述の通りオールマウンテン系バイクが更に充実。140mmストロークの「JAM(ジャム)」の登場により、サスストロークに応じて120mmのSPINE、140mmのJAM、160mmのSAMという3種類から選択可能となった。また、国内展開はないものの、ライトユーザーの遊びをバックアップしてくれる電動アシスト付きのE-MTBも大きな注目を集めていた。
今回のインプレッションバイクを紹介
PARALANE
自転車を愛してやまない人々のために、フォーカスが開発した次世代のアドベンチャーロードバイクが「PARALANE」だ。その製品コンセプトは「There are no bad roads and no bad weather」。ロード、シクロクロス、MTBの各ジャンルで培ったテクノロジーを結集し、路面状態や天候を問わない優れた走破性を実現している。
IZALCO MAX DISC
ディスクブレーキを搭載したレーシングロードバイクの急先鋒とも言うべき1台が「IZALCO MAX DISC」だ。登場からの日は浅いものの、早くもマイナーチェンジを受け、前後のスルーアクスル径を12mmに統一。そして、素早いホイール交換の実現とハブ周りの剛性に貢献する独自開発のスルーアクスル「R.A.T.」が軽量化を果たし「R.A.T. EVO」に。リムブレーキ仕様に対する、ディスクブレーキ仕様の重量的なハンデはさらに小さくなっている。
O1E
近年、更に難易度を増すMTBクロスカントリーのワールドカップコースに対応すべく登場したのがフルサスレーシングモデルが「O1E」だ。新開発の縦置きリアショックシステム「F.O.L.D.」を搭載し、荒れた路面でのショック吸収を向上させながら、綺麗な路面でのペダリングロス低減とのバランスを突き詰めた。
JAM
既存のラインアップである120mmストロークの「SPINE」と、160mmストロークの「SAM」の間を埋める140mmストロークのオールマウンテンモデルが「JAM」である。里山ライドからエンデューロレースまで、様々なライディングシーンに対応する1台だ。O1Eと同様に新型リアショックシステム「F.O.L.D.」を搭載する。
JARIFA I 29 SL
スポーツユース向けのE-MTBラインアップの中で、最上位モデルとなるのが「JARIFA I 29 SL」だ。時速45km/hまでアシストが機能し、最大350Wものアシスト能力を有する。バッテリーは612Whと大容量。フロントサスペンションにはロックショックスの倒立フォーク「RS-1」を、コンポーネントには1x11のスラムX1を採用する。(海外モデルで、国内展開は無し)
提供:グローブライド 制作:シクロワイアード編集部