タイムトライアルをメインに据えたレースの元祖と言えるのが、石川県内灘町で開催されている内灘サイクルロードレースだ。今年で30回を迎えた内灘ロードの、コンマ数秒を競う大会の模様をお届けしよう。

6月24日に石川県河北郡内灘町河北潟干拓地で行われた内灘サイクルロードレースは、30回目となる北陸地方を代表する歴史あるロードレース大会。そして同時にタイムトライアル競技もずっと併催してきた歴史がある。

アットホームな大会の雰囲気も魅力の一つだアットホームな大会の雰囲気も魅力の一つだ 干拓地は農業の他に酪農も盛んで、新鮮な牛乳を使ったアイスクリームがとても美味干拓地は農業の他に酪農も盛んで、新鮮な牛乳を使ったアイスクリームがとても美味


タイムトライアルは専用のTTバイクを用いた、チームまたは個人でタイムを競う競技だ。国内では競技として定着していなかったが、昨今のレース人気から新たなカテゴリーとして認知され参加者も増加。それに伴ってTTバイクのバリエーションも増えてきた。

内灘ロードは関西や東海地方など、近県からのタイムトライアルに取り組む選手達の、甲子園的な位置づけがされるレースなのだ。


レース前日はウィラースクールとバンク競技

23日は内灘サイクルフェスティバルとして、内灘町総合公園内にある自転車競技場にて子ども達の自転車教室「ウィラースクール」が開催され、ウィラースクール代表のブラッキー中島氏と、元競輪選手で内灘にショップ兼デザイン工房を構えるカツリーズサイクル代表・成田加津利氏が講師を務めた。またこの日はバンクを使用した1000mタイムや、競輪選手による模擬レースも行われた。

講師を務めたカツリーズサイクル代表の成田加津利さん(左)と、ウィラースクール代表ブラッキー中島さん講師を務めたカツリーズサイクル代表の成田加津利さん(左)と、ウィラースクール代表ブラッキー中島さん 正しい自転車ののりかたを勉強しました!正しい自転車ののりかたを勉強しました!



コンマ数秒が勝敗を分けるタイムトライアル

内灘ロードのメインイベントとなる日曜は、快晴となり気温もあまり暑くない絶好のレース日和となった。コースは干拓地内に四角く設定された平坦な2.0kmのコース。ホームストレートとなるスタート/ゴール地点から二車線の長い直線が続き、第一コーナーからホームストレートに戻るまで1.5車線と狭くなる。試走するととにかく風がきつく感じ、直線の長さもあって心が折れそうになる。

チームRTT(レディース)1位 バルバクラブ フクイローザチームRTT(レディース)1位 バルバクラブ フクイローザ チームRTT1位 チーム光 魂 チームRTT1位 チーム光 魂 


チームタイムトライアルはもちろんチームワークが、個人タイムトライアルはペース配分が重要となる。

タイムトライアルのクラス分けは、男女ソロ、男女チーム、年齢別など幅広く区分けされており、エントリーのしやすさも特徴だ。北陸はもとより、関西と東海地域のチームが多数で参加し、自慢のカスタムTTバイクが並ぶその様子はまさしく「タイムトライアルのお祭り」と言っていいほどの賑わいだ。

チームタイムトライアルは2周20kmで争われ、女子は6組の出走で32:30.223のタイムで「バルバクラブ フクイローザ」が、男子は59組の出走で26:27.111のタイムで「チーム光 魂」が優勝となった。
個人RTT(ヤング)1位 トム・ルアージュ個人RTT(ヤング)1位 トム・ルアージュ 個人RTT(レディース)1位 杉本 梨恵子(PRINCE ROAD)  個人RTT(レディース)1位 杉本 梨恵子(PRINCE ROAD)  


豊田市にあるサイクルショップ光を拠点とするチーム光は、ホビーレースでは常に上位に入る強豪チームだ。「チームワークを活かして頭脳プレーで先頭交代を心掛け、一秒でも速くゴールできるようにがんばった成果が出て良かった」とコメントしてくれた。

続いて1周10kmの個人タイムトライアル。

男子ヤングの部を制したのはシマノに勤務するトム・ルアージュさん。13:05.978で2位に約13秒もの大差をつけての勝利だった。「楽しいレースでした。ただ風が想像以上に強かった。出身国のベルギーよりも風が強い」とのこと。

チームTTには正装で。フォーマルな身だしなみも大切です(?)チームTTには正装で。フォーマルな身だしなみも大切です(?) TTのスタート前ににっこり!TTのスタート前ににっこり!


男子アダルトは自転車歴20年のベテラン、藤明豊さん(RITHCEY BREZZA カミハギRT)が13:32.955のタイムで優勝。「優勝できて嬉しいです!!行きが向かい風だったので帰りが追い風だったと思ったら横風だったので苦しかった」と語ってくれた。

女子は20名のエントリーがあり、トライアスロンに参加されている杉本梨恵子さん(PRINCE ROAD)が15:24.831のタイムで優勝に輝いた。「風が強かったけれど、昨年のタイムより上がり嬉しかった」とのこと。

チャンピオンロードレースを制した野口忍さん(トレック)    チャンピオンロードレースを制した野口忍さん(トレック)    

タイムトライアル終了後はロードレースが行われた。最上位のチャンピオンクラスは競輪の小嶋敬二選手もオープン参加して5周回50kmで争われた。レースは元プロMTB選手、全日本とアジア選手権チャンプであるの野口忍さん(トレック)が、ゴール前のバルバチームのトレインを利用してスプリントを制した。


チームRTT表彰チームRTT表彰 当日のレースMCも務めた成田加津利さん

例年雨が降って毎年同じレース内容ですが、天気が良いと言うだけで凄く楽しくて、参加者も自転車ブームから一息ついて、高いレベルのレースが見れたと思います。今年で30周年で年々良くなっていますね。

個人RTT(アダルト)表彰個人RTT(アダルト)表彰 内灘ロードはTT祭りと言えるレースなので全国でも珍しいと思います。TTは僕も過去に優勝したことがありますが、その昔NHKでツール・ド・フランスが放映された時に、プロローグのタイムトライアルを見てこれをしたら面白いと思って始めました。

ロードレースも、昔に第一戦で活躍していた選手が引退した後も、こういう草レースに参加してきちんとしたレースをしてくれるのがレベルアップに繋がっていくと思います。今後良いレースにしていくために、地元石川県自転車競技連盟の皆さんが一生懸命やっていますので、もっと良いレースになることでしょう。


各クラス結果
チームRTT
1位 チーム光 魂 0:26:27.111
2位 MAX SPEED97 Gokiso 0:26:28.980
3位 鷹組 0:26:47.652
4位 verde eroica 0:26:57.930
5位 トレック 0:27:08.749
6位 トンデモKIT&OB 0:27:14.738

チームRTT(レディース)
1位 バルバクラブ フクイローザ 0:32:30.223
2位 機関車チヅルと仲間たち 0:32:42.510
3位 カナザワA 0:37:18.118
4位 Wheel Works Rosa 0:38:34.348
5位 チームへたれ 0:40:21.864
6位 カナザワB 0:43:36.231

個人RTT(ヤング)
1位 トム・ルアージュ(シマノドリンキング)  0:13:05.978
2位 加藤 淳一 (チーム光) 0:13:19.871
3位 久保田 寛隆(マルコADONパンターニ) 0:13:20.520
4位 後藤 真一(verde eroica) 0:13:22.661
5位 永田 将司(Team-Via) 0:13:29.852
6位 吉原 健太郎(マルコADONパンターニ) 0:13:30.012

個人RTT(アダルト)
1位 加藤 明豊(RITHCEY BREZZAカミハギRT)0:13:32.955
2位 井上 正祥(鷹組) 0:13:36.866
3位 青木 明夫(チーム サニーサイド) 0:13:37.836
4位 梅田 康之(飲んでもクラブ) 0:13:48.562
5位 藤田 久司(CARO SPORT) 0:13:51.846
6位 山下 精(チーム光 新人) 0:13:54.334

個人RTT(レディース)
1位 杉本 梨恵子(PRINCE ROAD) 0:15:24.831
2位 堀 記理子(ステラシルベスト・てnち) 0:16:19.480
3位 板坂 陽子(VIC)  0:16:42.666
4位 八幡 富美代(VIC) 0:17:08.666
5位 松井 優佳(You-yu)0:17:39.25
6位 寺田 倫子(バルバクラブカナザワ) 0:17:40.419

チャンピオンロードレース
1位 野口 忍(トレック) 1:08:36.696
2位 黒田 篤司(balba) 1:08:36.966
OPN  小嶋 敬二(競輪選手 オープン参加)1:08:37.580
3位 酒井 紀章(バルバクラブ フクイ)1:08:37.709
4位 島沢由紀夫(ミソノイレーシングチーム)1:08:37.966
5位 熊本 大五郎(トレック) 1:08:38.174
6位 山下 裕大(バルバクラブカナザワ) 1:08:38.510


text&photo:Akihiro.NAKAO

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