5月21、22日の2日間、16回目を数えるルイガノカップが富士見高原スキー場で開催された。多彩なレース内容で人気の高いイベントだが、今年も1800名を越えるエントリーで賑わった。

震災の影響でマウンテンバイクに限らず多くのイベントが中止されたが、ルイガノカップは「キッズからプロクラスのレーサーまで楽しめる」イベントとして、また復興支援を目的としたチャリティイベントとして実施された。エンデューロなどは1チーム単位。個人で何種目エントリーしても1000円という驚きの参加費もあって、家族での参加も多くリピーターが多いのも特徴。また昨年人気を呼んだオールドタイマーレースがショートXCとして登場。土曜日の夕方は、レースというより同窓会的な和やかな雰囲気に包まれた。

過去最大350チームが参加した5時間耐久のスタート!過去最大350チームが参加した5時間耐久のスタート! photo:Hideyuki SUZUKI

辛くて楽しいエンデューロ

標高1200mに位置する富士見高原スキー場メインゲレンデを中心に、レースは開催される。5時間エンデューロは特設コースを、ソロから5名のチームで何周できるかを競う。2日間の幕開けとなるエンデューロのスタート前に、東日本大震災の犠牲者の冥福を祈って全員で1分間の黙祷を行なった。

今年は350チームという過去最大の参加数ということもあって、スタートは大迫力。地元の富士見太鼓保存会による応援も手伝って、大いに盛り上がりを見せた。

スタート前と最初の1周目を飾った富士見太鼓保存会による応援スタート前と最初の1周目を飾った富士見太鼓保存会による応援 photo:Hideyuki SUZUKIソロクラスに出場。23周を走りきった岡島シマノセールス社長ソロクラスに出場。23周を走りきった岡島シマノセールス社長 photo:Hideyuki SUZUKI


レースの方だが、ソロ男子は今年からHAROのサポートを受ける沢田時選手が31周回を走りきって優勝。最も多くラップしたのは3名で参加のBeers(中場、宮本、鹿川組)で34周だった。
このエンデューロには、シマノセールスの岡島社長も出走。ソロクラスで23周回を走りきった。


トレイルランニングクリニック

コース監修を担当した宮地藤雄選手によるトレイルランニングコースを使用したクリニック。日本を代表するアスリートから直に指導を受けられるとあって、受講者も真剣。5時間エンデューロの合間を縫って参加する強者も。


MTBツーリング&クリニック

早々に定員に達した小林可奈子によるMTBツーリング&クリニック早々に定員に達した小林可奈子によるMTBツーリング&クリニック photo:Hideyuki SUZUKIアトランタオリンピックXC代表、小林可奈子さんと世界選手権DH日本代表の小林昌樹夫妻が主催するアドベントジャパンによるツーリング&クリニック。初心者でも安全に走れるテクニックを学べるとあって、当初の予定を大幅に超えるエントリーが集まり、初級クラスと、中上級クラスに分けて開催された。

初級クラスは駐車場を使った基礎練習からスタート。両クラスともに、日本を代表するMTBライダーから直接指導を受けられるとあって、参加者は真剣にアドバイスに聞き入っていた。MTBの楽しさに目ざめた子供たちも多かったかもしれない。


高原を散策したあとはガッチリ買いまショー

シマノによるサポートつき! 八ヶ岳アウトレットまでのお買い物ツーリングシマノによるサポートつき! 八ヶ岳アウトレットまでのお買い物ツーリング photo:Hideyuki SUZUKI八ヶ岳リゾートアウトレットまで1時間弱のツーリングと、ショッピングを楽しむ人気企画。帰りはスタッフにバイクを預け、ゆったりバスで会場へ戻ってくる。そんなVIPな待遇が受けられる、とても贅沢なイベントだ。

会場から八ヶ岳アウトレットまでは、ほぼ下りのみ。さわらかな高原の初夏を満喫しながら現地に到着。のんびりと買い物とランチを満喫した一行は、バスに揺られて再び会場入り。女性たちに人気のイベントだった。


バイクコントロールを楽しむデュアルスラローム

今でもアメリカでは公式大会が開催されているデュアルスラローム。日本でもゲレンデを使った「芝スラ」人気が再燃しているが、秘密はどんなバイクでも手軽に楽しめること。バイクの性能よりもコントロールの上手さが勝敗を分ける。

エキジビションレースには、アキファクトリー清水一輝選手vs岡島シマノセールス社長の対決や、川村ダイシャリン社長vs二宮アキコーポレーション社長の対決も組まれ、大いに盛り上がる。

デュアルスラロームのスタートデュアルスラロームのスタート photo:Hideyuki SUZUKIエキスパートクラス優勝の九島賛汰(KHS/重力技研)エキスパートクラス優勝の九島賛汰(KHS/重力技研) photo:Hideyuki SUZUKI


131名のエントリーで賑わったレース方は、気合いが空回りして転倒する参加者も続出。そんな中、最上位のエキスパートクラスは、兄弟対決を制した九島賛汰選手が、井本ハジメ選手も退けて優勝。女子クラスは予選トップの中川ヒロカ選手が転倒で早々に敗退。赤沼由美子さんが優勝。


オトナもサルも走る? J12レース

ルイガノのキッズ用12インチ自転車で直線を競うJ12。ルイガノカップのマスコット、サルも参加する人気レースの一つだが、何故か大人クラスが異様に盛り上がる。
オカッピーこと岡村周治によるトライアルデモは子供に大人気!オカッピーこと岡村周治によるトライアルデモは子供に大人気! photo:Hideyuki SUZUKI12インチのキッズバイクは大人にはかなり小さく窮屈なもの。ペダリングに必死になればなるほど、直線といえどもコントロールが難しくなる。大人といえど、真剣になるのも判るというものだ。


寸止めの美技。OKPトライアルショー

トライアルライダーとして雑誌でも活躍するオカッピーによるデモンストレーション。その妙技は、いつ見ても超絶テクニック!まるでそこだけ違う重力が働いているよう。トライアルライダーのテクニックを間近で(場合によっては真下で?)見られるとあって、子供達に大人気だった。



人もバイクもオールドタイマーXC

おおよそ10年以上前のバイクか古いウエアがあればOKというショートクロカンレース。今回も小林可奈子、中込由香里、塚本岳といった未だ現役組から、吉田基宏さん、沖コースケさん、キャリーら往年の名選手が参加。一般エントリーでも過去にJシリーズに参戦していた人や、レースには出なかったけれど昔からマウンテンバイクを楽しんでいた人が集まって和やかな雰囲気で行なわれた。

小林可奈子、中込由香里、キャリー・リーの元チャンピオントリオ小林可奈子、中込由香里、キャリー・リーの元チャンピオントリオ photo:Hideyuki SUZUKI塚本選手のアルミ製IBOC Proよりも、さらに2年ほど古いクロモリモデルを用意した赤塚さん塚本選手のアルミ製IBOC Proよりも、さらに2年ほど古いクロモリモデルを用意した赤塚さん photo:Hideyuki SUZUKI


スタート直後は、往年の日本代表ジャージを着る吉田氏が集団をリード。参加者みんなどこか楽しそうな雰囲気で周回を重ねた。往年の選手と一般のライダーたちが一緒になって、当時のことを思い出しながら走り、語り合う姿がなんとも楽しそうなイベントだった。

レース引退後はBMXでやスケートボードを楽しんでいたという吉田基宏さんレース引退後はBMXでやスケートボードを楽しんでいたという吉田基宏さん photo:Hideyuki SUZUKI現役時代はアフリカ遠征などで名を馳せた沖コースケ氏。SUNN XIRCUITで参加現役時代はアフリカ遠征などで名を馳せた沖コースケ氏。SUNN XIRCUITで参加 photo:Hideyuki SUZUKIプロフレックス・ビーストで参加したのは、DHレースにも参戦しているベテラン、世取山さんプロフレックス・ビーストで参加したのは、DHレースにも参戦しているベテラン、世取山さん photo:Hideyuki SUZUKI



ゴールまでもつれ込む熱戦。キッズMTBエンデューロ60分

終盤まで激しい争いを繰り広げた中学生男子クラス。トップ3には特別に敢闘賞が贈られた終盤まで激しい争いを繰り広げた中学生男子クラス。トップ3には特別に敢闘賞が贈られた photo:Hideyuki SUZUKI小学4ー6年、中学生で争われた60分エンデューロは、序盤から中学生による激しいトップ争いが演じられ、終盤は毎周回首位が入れ替わる攻防となったが、ラストスパートをかけた石上優大が優勝。2位争いはゴールスプリントで竹内遼が制した。このレースぶりを讃え、表彰式でアキコーポレーション二宮社長から3人に敢闘賞が贈られた。


小学生でもホンキ全開! キッズMTBエンデューロ30分

男女あわせて86名というエントリーを集めた小学1-3年生によるレースもスタートから白熱。すでに大人と同じサイズのマウンテンバイクに乗る子に混じって、補助輪がとれたばかりの子も家族からの声援を受けながら勝負。優勝はただ一人14周回をマークした高本亮太くん。


手つかずの自然を活かしたコースレイアウト手つかずの自然を活かしたコースレイアウト photo:Hideyuki SUZUKI雨中の激闘。トレイルランニング16km

前大会からお目見えしたトレイルランニングは、宮地藤雄選手によるコース監修と、普段は開放されていない富士見高原内を走れるということもあって376名というエントリーを集めた。3時間というタイム設定にも関わらず、総合優勝した山田琢也さんの1時間1分17秒を筆頭に、ほぼ全員が2時間50分以内で完走というハイレベルぶりを示した。

会場周辺の自然を活かしたコースレイアウトは参加者にも好評で、レースは途中から雨模様になったものの、参加者は力強く走り抜けていった。中には、このレースのために香港からやってきたという参加者もいて、昨今のトレイルランニング人気が伺えた大会となった。


降りしきる雨の中、バンザイゴール降りしきる雨の中、バンザイゴール photo:Hideyuki SUZUKIキッズ快走のトレイルランニング3km

「トレイルランニングに興味はあるけれど、いきなりフルコースはちょっと・・・」という人のために設定された3kmレース。親子ペアのクラスも設定され、マウンテンバイクとはひと味違ったオフロードを楽しめる企画。表彰式を湧かせたのは小学4-6年生クラスで出場した稲光鷹山くん。一般クラスの大人にピッタリとついて走り、11分42秒で完走。総合でも3位という快挙だった。


チャレンジシクロ15分

レース直前から本降りになった雨で、コースコンディションはかなり重かったが、MTBジャパンシリーズのトップコンテンダー松本駿選手が快走。2位に4分以上の大差をつけ優勝。松本選手はシクロクロスバイクに混じり、MTBで出走したものの他を寄せつけない走りで圧勝。実力の差を見せつけた走りだった。


チャレンジシクロ30分

シクロクロス日本代表の丸山厚選手、沢田時選手に小野寺健、合田啓祐、松本駿といったMTBジャパンシリーズの有力選手が顔を揃えたシクロクロス30分。「ガチで勝負します」という言葉通り、序盤から丸山選手が逃げるが、雨で緩み次第に凹凸が激しくなった路面でサスペンションがついたマウンテンバイクが威力を発揮。小野寺が10周を走りきって優勝。直前の15分シクロクロスを制した松本駿は最終ラップで丸山を捉えて2位に入った。

シクロクロス日本代表の丸山厚選手シクロクロス日本代表の丸山厚選手 photo:Hideyuki SUZUKI次第に凹凸が激しくなった路面でMTBが威力を発揮。小野寺が優勝した次第に凹凸が激しくなった路面でMTBが威力を発揮。小野寺が優勝した photo:Hideyuki SUZUKI



※付記
今大会のエントリーフィーは、NGO法人ジョイセフを通じ国際的な支援活動と東日本大震災の復興支援に充てられる。また大会本部に設置した募金箱、協賛各社から提供された商品のチャリティオークションの収益は日本赤十字社を通じて東日本大震災の支援に充てられる。


text&photo: Hideyuki SUZUKI

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