元マウンテンバイクの五輪出場選手、中込由香里さんが書いたスポーツ青春小説「本気×本気」が7月24日に発売された。今夏に開催されるはずだった東京オリンピックを機に、自転車ロードレース&⾞いすラグビーをめぐる青春小説だ。

本気×本気  著者:風の子ふうこ(中込由香里)本気×本気 著者:風の子ふうこ(中込由香里)

「本気×本気」 リリースより

アテネオリンピック マウンテンバイククロスカントリー競技を走った中込由香里さんアテネオリンピック マウンテンバイククロスカントリー競技を走った中込由香里さん 著者の「風の子ふうこ(ペンネーム)」こと中込由香里(なかごめゆかり)さんは、アテネオリンピックにマウンテンバイク日本代表として出場した経験を持ち、長野県野辺山高原で夫と共にペンションを営みながら、訪れるお客様達と⼀緒に自転車を楽しみ、今もヒルクライムを中心としたレース活動を続けている。

『本気×本気』は、自転車競技に人生の大半を注ぎ込んできたオリンピアンでもある著者の経験、そして頸髄を損傷した若者達との交流を通して感じた「伝えたいこと」を詰め込んだ青春小説。延期になってしまった「東京2020」オリンピック・パラリンピックだが、本書では予定通り7月24日に開幕する。舞台は開会式、自転車ロードレース、車いすラグビー。その眼差しの先にあるものは何?

ストーリー
世界最高峰の自転車ロードレースで活躍する史也に憧れて、その道を歩み始めた少年・風谷唯。 ロードレースに全てを注ぎ込んだ少年の挫折と復活を描く。
……そこに突然!!! 突き落とされた闇の世界。 その闇に差し込む光。 恩師との絆、共に戦う者との友情、大切な人を思う気持ち。

史也のパッションと唯のパッションの融合が引き起こす化学反応! 『本気×本気』が巻き起こす風から⽬が離せないストーリー。

「本気×本気」を上梓した中込由香里さん ペンションSY-Nak cabinにて「本気×本気」を上梓した中込由香里さん ペンションSY-Nak cabinにて
著者からのメッセージ
この小説の主人公達やrealに登場する3人の若者達と同じように体の自由を奪われ、苦しんでいる人がいたら読んでほしい⼀冊です。また、 本作は競技スポーツを舞台としたストーリーですが、スポーツ好きな人はもちろん、あらゆるジャンルの方々に知っていただきたい世界でもあります。

表紙は、自転車ロードレースと⾞いすラグビーの迫力あるイラストと読者がそれぞれイメージを膨らませられるようなデザインに仕上がっていると思います。

「real」な部分を大切にして、普通の小説とは⼀味違ったストーリー。「スポーツの力」「笑顔の力」「本気の力」。『本気×本気』から生まれる素晴らしい何か…。そんなものを感じてみてください。


MTBレースを走る中込由香里さん(SY-Nak)MTBレースを走る中込由香里さん(SY-Nak) 編集部より

ヒルクライムやマウンテンバイクレースに参加する人なら中込由香里さん(SY-Nak)のことはご存知だろう。どころか、長く自転車レースに関わってきた人で、中込さんの名前を知らない人は居ないだろう。

ロードレースでは東海大学自転車部を経てチームミヤタで走り、MTBクロスカントリーではアテネ五輪代表選手にもなった。チームSY-Nakとしての活躍などもご存知の通り、今も競技として自転車レースを楽しむ中込さん。競技歴は35年にも及び、今でも美ヶ原や乗鞍ヒルクライムで入賞する常連であり、一昨年は台湾KOMヒルクライムでワールドチームの選手に混ざって女子5位を獲得。自転車界の女性レジェンド選手だ。

野辺山高原では夫の辰吾さんとともにSY-Nak cabin(シーナックキャビン)を経営し、多くの自転車仲間たちを受け入れている。本作はそんな中込さんが、今までの経験をもとに描いたスポーツ青春小説だ。

個人戦でありながらもチーム戦であるという自転車ロードレース。チームにはひとりのエースが居て、他の選手たちが自己犠牲を払ってエースの勝利のために尽くすという、ロードレースならではの特質を基盤にドラマを描く。

夢の実現に向かい、切磋琢磨するライバルと、欧州で活躍する憧れの日本人選手の人間模様。ツール・ド・フランスを頂点とした欧州ロードレースの世界に憧れる青年たちの挫折や葛藤を描きながら物語は進行する。あるときそんな「自転車がすべて」の若者の夢を断念させる大事故が襲う。突き落とされた闇の世界からの夢、希望、挫折、復活‥‥。

帯に「TOKYO2020、FICTION×REAL」と記してある。本来なら今夏に開幕した東京オリンピック。そしてフィクションとリアルが混じっていることを表しているのだろう。ストーリーの展開はフィクションでありながら、じつは著者のリアルな経験に基づいて書かれている部分もある。自身が夢を追いかけ、オリンピアンになった経験、同じフィールドで走っていた仲間の大怪我、そして世界の頂点で活躍する日本人選手たちからインスピレーションを受け、「伝えたいこと」を書き上げた青春小説なのだ。

「ちょっと長いあとがき」には、負傷した仲間のマウンテンバイカー「N」氏をはじめとした友人たちとの交流が書かれている「ちょっと長いあとがき」には、負傷した仲間のマウンテンバイカー「N」氏をはじめとした友人たちとの交流が書かれている
本書には「ちょっと長いあとがき」という章が20頁以上にわたって書かれている。それは筆者が経験した実際の出来事、とくに負傷して競技の継続を諦めざるを得なかった仲間についての記述がある。今も自転車に乗れることを夢見てリハビリに励む仲間の「N」氏とは、6年のあいだ交流をもってきた。その実体験からくる心の動きが筆を執らせたのだろう。

かつて五輪出場という夢を叶え、今も「引退知らず」でライフスポーツとして自転車レースに真剣に取り組み、楽しみながらサイクリストの仲間たちを見守っている中込さん。自転車競技の厳しさ、残酷さを知り尽くし、夢の実現に挑む自転車仲間たちに共感する視線で描かれた、熱くも爽やかな青春小説だ。
(CW編集部  綾野 真)

パレードブックス新刊
書籍:本気×本気
著者:風の子ふうこ
発売日:2020年7月24日
ISBN:978-4-434-27499-2
仕様:四六判/並製/184ページ
価格:1200円(税抜)

著者プロフィール
風の子ふうこ(かぜのこふうこ)
本名:中込由香里(なかごめ・ゆかり)
ペンションSY-Nak cabin
http://www.sy-nak.com/sy-nak.htm
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