人気のズイフトにはソーシャルライドという楽しみ方がある。設定されたグループライドに参加して、チャットを交わしながら走るトレーニング未満のお気楽なライドだ。今回はraphaのサイモン・モットラム代表がキャプテンをつとめるラファ・サイクルクラブのグループライドに参加してみたレポートをお届けします。

RCC Captain's Ride with Simon Mottram のスタート!サイモンから「これはレースじゃないよ」とメッセージRCC Captain's Ride with Simon Mottram のスタート!サイモンから「これはレースじゃないよ」とメッセージ
コロナのせいでインドア系の記事が増え、とくに人気なのはズイフト系の記事だ。当然といえば当然で、今や多くのサイクリストは室内でズイフトに励んでいる。まだ始めてないという人も多いだろう。しかしけっこうアスリートでガチな人が多い世界だけに、やや敷居の高さを感じている人も多いだろう。筆者(CW編集部・綾野)もその一人だ。

スマートローラーに扇風機を用意。raphaのソーシャルライドということでラファのウェアで走ってみましたスマートローラーに扇風機を用意。raphaのソーシャルライドということでラファのウェアで走ってみました 書き始めから恐縮だが、ズイフトをはじめて3年めにしてほとんどまともに活用したことがない。「外を走るほうが好き」と言い訳しつつ、飽きっぽいのだ。自分の過去ログを遡れば、開始10分でやめたり、10kmほど走って終了した残骸のようなログがたくさんあり、1時間のセッションをやり遂げたのは2度しかなかった...。

コロナがきっかけで1年以上のブランクを置いてズイフトに再ログイン(ひどい)。そして先週36kmセッションを走った。初めてまともに走りきったかもしれないが、「ズイフトの1時間てキツイ」が正直な感想だ。そして翌日は筋肉痛と虚脱感がひどかった。みなさんこんなキツイこと毎日しているんですね...。
 
と、そこへラファジャパンの代表・矢野大介さんからズイフト内のラファのソーシャルライドへのお誘いメッセージをもらった。ラファの創設者&CEO、サイモン・モットラム氏がリードする「Ride with the CAPTAIN」に参加しませんか?と。

実際のRCCソーシャルライド Raphaサイクルクラブのメンバー中心にユーロバイクに集って走った実際のRCCソーシャルライド Raphaサイクルクラブのメンバー中心にユーロバイクに集って走った photo:Makoto.AYANO
 RCCメンバーというわけではないけれど、サイモン氏とは2016年のドイツのユーロバイクでラファが主催したソーシャルライドに参加した際に一緒に走ったことがあり、オンラインとはいえ懐かしい! ということで参加することにした。かつ矢野さんも走るとあって、仲間と一緒に実際のライドができない今、こうした機会はいつもに増して楽しそうに思えた。
 
Rapha代表のサイモン・モットラム氏と一緒にRCCソーシャルライドを走ったのは2016年のことだRapha代表のサイモン・モットラム氏と一緒にRCCソーシャルライドを走ったのは2016年のことだ photo:Makoto.AYANO
 さっそく招待リンクをたどってアプリ上でイベントの参加表明ボタンをクリック。といういきさつを前置きに、ここからは自身初となるズイフトのソーシャルライド参加レポートを記します。
 
先日導入したXplovaのNOZA-Sスマートローラーにバイクをセットし、ドリンクやサーキュレーター(扇風機)、タオルなどをセット。普段慣れていないだけに少々緊張して準備を進めた。スタート10分前にはペダルを回して動作確認、準備は万端。すでにラファ・サイクルクラブのおなじみのデザインのRCCジャージを着たアバターがスタートラインに並び始めていた。このライドに参加の際は自分もお揃いジャージのアバターになるようです。RCCメンバーじゃないけど、仲間になれたようでバーチャル嬉しい。

Reduce Power(出力を抑えて)!の警告がさっそく出たReduce Power(出力を抑えて)!の警告がさっそく出た
そして定刻スタート。しかしいきなり事件発生。「ライドリーダーのサイモン氏がかなり後ろで遅れている」というメッセージが表示され、やがて参加メンバーの発言でどうやらサイモン氏はドタキャンである旨が発覚。思わず笑ってしまった。その日はサイモン氏抜きで皆が最後まで完走。で、翌週の5月19日に再度イベントが立てられた。ここからはその2日目のレポートを続けよう。これもソーシャルライドのユルさが分かるエピソードかと(笑)。
 
日を改めて再スタート!

「これぐらいユルいスタートはいいね(僕の老いた脚には)」とサイモン「これぐらいユルいスタートはいいね(僕の老いた脚には)」とサイモン
2度めは準備も慣れたもので、ライドの強度もユルいことが分かったので今回は直前まで仕事して、2分前にサドルに座る。サイモン氏はすでに控えており、無事スタート。コースは前回と風景が違うWatopiaだ。

サイモン氏から「みんな、もし今まで参加したことない人が居たら、これはソーシャルライドだからね! やさしくウォームアップしてから、30分間のナイスなライド。僕は体重あたり2ワットの(低い)強度をキープするよ。最後の方はペース上げることもあるけど。質問あったら投げてね」とメッセージ。参加者からは国と、それぞれの言葉で挨拶が飛ぶ。私も「Konnichiwa from Japan」と入れる。

「OK、このペースで行こう!」(サイモン)「OK、このペースで行こう!」(サイモン) Raphaジャパンの矢野大介さん発見! しばし見学してみるRaphaジャパンの矢野大介さん発見! しばし見学してみる


ライドはウォームアップ10分、ライド30分、ダウン10分の50分。日本の17:30はロンドンの朝10時半。前回は9時半スタートだったから「起きたばっかりだよ〜」という挨拶も多かったが、今回はUK組も余裕らしい。時間に余裕があるからマレーシアとかアジアの参加者も多いようだ。参加者数200人ぐらい。「レースじゃないからね!」と牽制する人も。

サイモン・モットラム氏。けっこう本人の雰囲気のあるアバターだサイモン・モットラム氏。けっこう本人の雰囲気のあるアバターだ
踏み込んだらすぐに「Reduce Power!(力抜いて)」のメッセージが出る。100wまで落とせばそれは消えたが、ウォームアップからライドに入っても強度はあげないのがソーシャルライド。「いつものようにみんな走り出しが速すぎるね!」とサイモンからもメッセージ。平均巡航で80Wぐらいで走るとグループのスピードだ。7年前に走った実際のライドみたい。ちなみにサイモンのアバターはヒゲをたくわえていて、けっこう本人に似ている。

変わりゆく景色が飽きずに楽しめるのもズイフトのWatopiaの良いところ変わりゆく景色が飽きずに楽しめるのもズイフトのWatopiaの良いところ
走りながら「D.Yano-RCC JPN」を発見。矢野さんだ。名前のところをクリックしてRide-Onを送り、しばらく矢野さんの動きを見学。日本の参加者をみつけては、「あっ、知ってる人だ」「フェイスブックの友人だ」「関西クロスで走ってる人だ」「Rapha宇都宮のスタッフの須磨さんだ」などなど、実際の知人が見つかるのはけっこう楽しい。そのたびにRide-Onを送る。

「いつも100ワットぶんぐらい余計なんだよね〜」(サイモン)「いつも100ワットぶんぐらい余計なんだよね〜」(サイモン)
サイモンから「僕は54歳で、乗ってるバイクのフレームサイズと同じなんだけど、年上は居る?」するとマイケルから「68歳!」とお返事。チャットに参加しようとしてスマホを取りに行き遅れてしまい、挽回しようと250W超え。しかし180Wぐらいで落ち着く。するとサイモンから「いつも100w高いからゆっくり行こう」と提案。で、「このあとすぐRCCアジアミーティングなんだけど」と打ち合わせの話も出る。

「フルームが2021年にチームイネオスを離れると思う人は居る?」「フルームが2021年にチームイネオスを離れると思う人は居る?」
ライド中は常にチャットが飛び交う。「フルームは来年イネオスを離れると思う?」と投げかけるサイモン。「モビスターがフィットするんじゃないかな」と。すると「彼はもっと小さなチームで走るべきだね」「そしたらケープエピック(MTBレース)走ればいいのに」と、チャットが弾む。やはりサイモンもRCCの皆もレース好きだ。

「(フルームは)モビスターがいいんじゃないかな」(サイモン)「(フルームは)モビスターがいいんじゃないかな」(サイモン)
「テイォ(ゲーガンハート)のパリ〜ルーベのTipsビデオは見た?」「ジロにフィーチャーしたラファのポッドキャストは最高だから聴いてね。今夜Sportifyにもアップするから」「エタップ(ドゥ・ツール)はどうなるのか知ってる人いたら教えて」などなど、いろいろと話題が飛び交って楽しい。

サイモン氏を15分以上見学していたら「パパラッチ」の称号をもらった!サイモン氏を15分以上見学していたら「パパラッチ」の称号をもらった!
サイモンを見学している時間が15分を超えてしまい、突然派手なメロディーとともに「パパラッチ」と、アチーブメントがロックされたサインが画面に表示された(苦笑)。

サイモンから、新製品の「誰かパワーウィーブのビブショーツはもう手にした?」と話がでる。「ダイスケがいくつか持ってるよ」とも。そのうちの一つを先日テストしてレビュー記事にしたもののことだ。リアルでつながってる感。

「パワーウィーブのビブショーツはもう誰か手にした?」(サイモン)「パワーウィーブのビブショーツはもう誰か手にした?」(サイモン)
終始「このライドペースはいいね」「ごきげんフリーライドだね」と、誰もアタックせず、レースにならないのがいい。サイモンからは「この先ラスト15〜16kmでペース上げてみる?1分間フルガスで」と提案。「ついにきたか?」と構えたが、大したことなく着いていけるペースで、誰もちぎれなかった。

「最後に30秒間スプリントだ!」「最後に30秒間スプリントだ!」 後半は夜になってしまったがライトを点けて走る後半は夜になってしまったがライトを点けて走る


ラファジャパンのスタッフ、三井さんから「日本の皆さん質問ありますか?」と日本語でチャットが入る。しかし、このライド中のチャットというのはなかなか難しい。強度は軽くて余裕なのだが、それでも息は上がっているし、ペダルは回しているし、そこでハンドルから手を離してスマホを操作するのは器用でないとできない。軽い調子で会話が交わされているが、ROM(読む専門)になってしまう。サイモン氏や皆さんはいったいどれだけ器用なのだろう!?

「来年は参加者3,000人にできるんじゃないかな」(サイモン)「来年は参加者3,000人にできるんじゃないかな」(サイモン)
「襟のないジャージを着たことある?」といったアパレルの質問は多いのはさすがラファ。「UK西部にラファ着たサイクリストが今いっぱい走っているからRCCコミュニティをつくる必要があるわ」といった提案も。

そして終了時間がきた。「このライドは今週のハイライトだったな!」とサイモン(まだ火曜日だ)。「来年は3,000人規模にしよう」とも。

「まだ誰かロックダウンで外に乗りに行けない人はいるの?」「まだ誰かロックダウンで外に乗りに行けない人はいるの?」
10分のクールダウンライドに入る。結局は最後まで強度は軽かったので楽勝だった。「まだロックダウンされてる人は居るの?」とサイモンのチャットがきたから、「ベリーソフトなロックダウン中だよ」とお返事メッセージを入れてみる。「どこの国?」と返事が来たが、タオルで汗を拭っているうちにセッションは終了に。

「参加してくれてありがとう。このライドは今週のハイライトだったね」(サイモン)「参加してくれてありがとう。このライドは今週のハイライトだったね」(サイモン)
尻切れトンボで終わったが、なかなかユルくて楽しいライドだった。ワークアウトは苦痛だが、ソーシャルライドなら誰でも完走できるな、と気に入ってしまった。ズイフト初心者ならソーシャルライドから始めるのは負担も無くていいだろう。自分も3年前に気づくんだった(笑)。

あとで矢野さんやラファジャパンのスタッフの粕谷さんとメッセージ交換。「誰もアタックして居なくなっちゃわないセッションでしょ! Zwift内ではここ(RCC)といくつかの女子のライドは結構いいコントロールがされてますよ」とのこと。

#Stayhome の今、いろんなクラブやグループのソーシャルライドが立ち上がっているので、ズイフトに尻込みしている人はここから参加してみてはどうでしょう。ヴァーチャルの世界であっても、実際の友人や知人と走るソーシャルライドはヴァーチャル以上の楽しさです。

この日の最終ライドデータ。平均124ワットだから軽めだったことがわかるこの日の最終ライドデータ。平均124ワットだから軽めだったことがわかる
RCC Captain's Ride with Simon Mottram(E)
走行後データ Distance:19.8 km、Time:49:35、Elevation:123 m、Calories:365
イベントページURL:https://zwift.com/events/tag/rcc/view/795272

text:Makoto.AYANO

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