Raphaの最新テクノロジーを投入した最高峰ビブ「Pro Teamパワーウィーブビブショーツ」がデビューする。より軽量で、より通気性に優れ、より耐久性を持たせたプロスペックアイテムを早速テストした。



作り自体もそうだし、身体へのフィット感も、その全てに共通するのは「一体感」というキーワード。強度を上げれば上げるほど、良い意味でショーツの存在感が消え、身体の動きをサポートしてくれる。つまりPro Team Powerweave(パワーウィーブ)Bib Shortsは、そういう時のための、とっておきのビブショーツだ。

独自開発による「パワーウィーブ」テクノロジーを落とし込んだ最高峰ビブショーツがデビューする独自開発による「パワーウィーブ」テクノロジーを落とし込んだ最高峰ビブショーツがデビューする
日本をはじめ、Rapha各国のSNSで発売予告されたのが、Raphaのビブショーツラインナップ最高峰に降り立つPro Teamパワーウィーブビブショーツ。今回はRapha Japanから6月の一般発売開始を前に、光栄にもRCC(Rapha Cycling Club)専用カラーを借り受け、テストする機会を恵まれた。

Raphaのファンであれば「パワーウィーブ」という名称に聞き覚えがあるだろう。そう、このビブショーツは、今年2月に登場したロードシューズ「PRO TEAM SHOES」に初採用されたRapha独自の特殊な織生地を応用して生まれたユニークな製品。RaphaがサポートするEFプロサイクリングからの、「高温多湿を軸に幅広い温度帯に対応しつつ、長期間使用してもコンプレッションが落ちないショーツを」という難問に応えたものだという。

繊維1本単位でコントロールできるというパワーウィーブ。 PRO TEAMロゴも編み込みで表現されている繊維1本単位でコントロールできるというパワーウィーブ。 PRO TEAMロゴも編み込みで表現されている
PRO TEAMビブショーツよりも薄く、高密度なパッド。面積も小さいが、違和感は全くないPRO TEAMビブショーツよりも薄く、高密度なパッド。面積も小さいが、違和感は全くない 背中部分はメッシュ素材。ビブのテンションを下げてくれる背中部分はメッシュ素材。ビブのテンションを下げてくれる


アパレル用特殊素材を手がけるエイブリィ・デニソン社との提携で開発されたパワーウィーブの最たる特徴は、繊維を1本単位で細かくコントロールできること。Raphaの資料によれば、「最新のカーボンフレームでは当たり前になった、局所的に強度の方向性や振動吸収性をマイクロ調整できるように、パワーウィーブ技術でもジャカード繊維を使ってロゴ、デザインの柄、織り込みの密度などをマイクロ調整し局所的に通気性やコンプレッションを調整できる」とのメリットがあるという。

パワーウィーブを使ったパネル構成はたったの7枚。PRO TEAMビブショーツに対して半分のパネル枚数ということを聞けば、自ずとフィッティングにも期待が持てるというもの。さらに裾のグリッパー部分ですら生地内にエラスティック繊維を織り込み、シリコン素材による局所的な締め付けを無くしているという。今までグリッパーを敬遠してきたユーザーにとっては福音だ。

ビブショーツを構成するパネル数はPRO TEAMの半分。側面パネルが上まで立ち上がっていることが分かるビブショーツを構成するパネル数はPRO TEAMの半分。側面パネルが上まで立ち上がっていることが分かる
パッドもレース使用を見据えて変更されており、中心部分に5mm圧の速乾・高密度ウレタンを使用することで、PRO TEAMビブショーツよりも薄く、それでいて均一な肌当たりを目指しているという。肩に掛かるストラップも局所的な突っ張りが出ないようエルゴノミックデザインに変更されている。

18ヶ月に及ぶ開発期間にテスト役を担ったミッチェル・ドッカー(オーストラリア、EFプロサイクリング)は、プレスリリースの中でパワーウィーブをこう評価している。「オーストラリアに持って帰った時、ここの暑い気候にどう耐えれるか興味があったけど、実に快適に練習ができた。40℃を超える日もあり、汗だくになったが快適だった。コンプレッションも申し分なく快適なフィッティングに大きく影響して胃る。パネル数が少ないから違和感が出る部分も全然ない。ぴったりとフィットする!今まで最もフィットするビブショーツ。絶妙なタイトさだ」。

「粘り、耐え、観察し、フォローして、アタック」「粘り、耐え、観察し、フォローして、アタック」
「摩耗に関しても期待以上のパフォーマンスだ。1時間のコーヒーライド程度ならどんなビブショーツでも耐えられるけど、グランツアーやシーズンを通して何万キロと走ったあとはどうだろう?とりあえず(Pro Teamパワーウィーブビブショーツは)数千キロ走って何度も洗濯して干しても耐久性に問題ない」と加えている。



― インプレッション

ポケット付きのCargoビブショーツを広め、中綿式のInsulatedジャケット、袖を切り落とせるレインケープなど、エポックメイキングなアイテムを世に送り出してきたRapha。今回のPro Teamパワーウィーブビブショーツのアイディアはそういった目に見えるものではないにせよ、その完成度は確実に同社のブランドヒストリーに名を刻むことになるだろう。

パワーウィーブテクノロジーはRaphaのフィッティングに対する最新解だパワーウィーブテクノロジーはRaphaのフィッティングに対する最新解だ
まず手にとって気づくのは、生地の薄さと軽さ。PRO TEAMビブショーツ比20%軽量という数字は伊達ではなく、Sサイズの実測値は162gと、十分軽量ビブショーツ戦線に切り込める軽さがある。しかも、それでいて、脚を通してみると、生地自体のハリはかなり高い。良い意味でコンプレッションが強く、裾からビブまでほぼ一体になったパネルのおかげで圧力が集中することもなくノーストレスだ。

ストラップとメインの腰回り、そして裾のグリッパー。Pro Teamパワーウィーブビブショーツと履き比べると、今まで普通に感じていたPRO TEAMビブショーツの作りが少し雑に感じてしまう。機能的に脚をホールドしてくれるので、グリッパーで”押さえつける”感覚が無く、ペダリングもすごく自然だ。Rapha Japan代表の矢野大介氏が「特に女性が嫌うソーセージレッグ(英語で太い足がグリッパーで締め上げられてできる、絞れた形のことを指すのだという)の解消に努力したようです」と教えてくれたが、それも納得。ただパネルを組み合わせたのとは違う、繊維1本単位の機能コントロールを肌で感じる。

「緻密な構造コントロール」と聞いて思い出すのは、先ごろ発売され、テストしたフィジークの3Dプリントサドル「ADAPTIVE」だ。あのサドルもアディティブマニュファクチャリングによる連続的な形状設計が最大のメリットだが、Pro Teamパワーウィーブビブショーツにも近いコンセプトを感じる。フィット感が至上命題のサイクリングアパレルに関して、この流れは今後より加速していくかもしれない。

強度を上げるほどに良い意味で存在感が無くなる。Pro Teamパワーウィーブビブショーツは強度を上げるほどに良い意味で存在感が無くなる。Pro Teamパワーウィーブビブショーツは"とっておきの一日"用のハイスペックアイテムだ photo:Gakuto.Fujiwara
非常に薄く、それでいて高強度のパワーウィーブ生地。裾にはグリッパーの代わりにエラスティック繊維が織り込まれている。試せばその差は歴然非常に薄く、それでいて高強度のパワーウィーブ生地。裾にはグリッパーの代わりにエラスティック繊維が織り込まれている。試せばその差は歴然 ストラップも局所的な突っ張りが出ないようエルゴノミックデザインを採用ストラップも局所的な突っ張りが出ないようエルゴノミックデザインを採用


矢野代表によれば、Pro Teamパワーウィーブビブショーツは時に40度、超級山岳頂上は10度程度にもなるツール・ド・フランスでも、一貫して使えることを考えているのだという。ショーツが手元に届いたのがつい昨日と限られたテスト時間だったが、25度くらいの温度帯ではごく快適で、透湿速乾性に優れている(汗を溜めない)ため、夕方の少し涼しい時間帯でも冷えは感じなかった。暑い中でのテストは酷暑予報が踊る今年の夏にとっておきたい、と思う。

チームスカイに供給開始以降、急速にテクノロジーを進化させてきたRaphaだが、PRO TEAM SHOESに端を発するパワーウィーブは、それらハイパフォーマンスアパレルの最先端。

Rapha Pro Team Powerweave Bib Shorts(Black High Vis Pink)Rapha Pro Team Powerweave Bib Shorts(Black High Vis Pink) (c)Rapha46,000円(税込)という価格も含め、Pro Teamパワーウィーブビブショーツは毎日のトレーニングや通勤、リカバリーライドに履くものじゃない。けれど、ここ一番のレースに、ここ一番の過酷な”エピック”ライドに、そして300kmを超えるような超ロングディスタンスの日に、大きな味方になってくれることは間違いなさそうだ。

※なおPro Teamパワーウィーブビブショーツの一般発売(ブラックカラー)は6月からで、本日(5/15)21:30よりRCC(Rapha Cycle Club)メンバーに対し、今回テストしたパープルカラーが世界300着限定で発売される。特に人気サイズは瞬間的な売り切れの可能性があるとのことで、気になる方はスタンバイを。なおRCCの活動についてはRCC Summitのレポートを、より詳しい情報についてはRCCのウェブページを確認してほしい。

また、Pro Teamパワーウィーブビブショーツに関しては、一般発売が行われる6月までに耐久性やなどロングタームインプレッションの掲載を予定しています。



Rapha Pro Teamパワーウィーブビブショーツ
サイズ:XS - XL
価格:46,000円(税込)
製品ページ: https://www.rapha.cc/jp/ja/shop/mens-pro-team-powerweave-bib-shorts/pro…

製品特徴
・抜群の湿度調整機能を発揮するパワーウィーブ生地
・重量とボリュームを軽減する7枚パネル構造
・通気性と速乾性を高め、より薄く軽くなった新しいシャモアパッド
・太腿に最適なコンプレッションを与えるインテグレーテッド・レッググリッパー
・高い通気性とコンプレッション性、軽量性
・2種類の密度のフォームを組み合わせた速乾性シャモアパッド
・素材自体に織り込まれたラファのロゴ
・プレッシャーを拡散しながらサポート力を発揮する、人間工学に基づきレーザーカットされたストラップ

text:So.Isobe
photo:Gakuto.Fujiwara
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