今回のロードライディングスクールは、三船雅彦氏自身も最近ハマっている「ロングライド」がテーマ。もちろんそこはさすがに三船氏のイベント、いきなりの激坂も現れ参加者も大満足のスクールだ。

けいはんな学研都市で出発前に説明けいはんな学研都市で出発前に説明 photo:HIdeaki.TAKAGI3月28日(日)、京都府南部精華町のけいはんな学研都市に続々と自転車乗りが集まる。今日はここを発着点とした三船雅彦氏のロードライディングスクールが行われるのだ。

今回のテーマはロングライド
三船氏のスクールは毎回テーマを変えている。今回はロングライドだ。今や全国各地でロングライドイベントが行われている。グランフォンドや"ツール・ド"と名が付くサイクリング、センチュリーラン、そしてブルベなどが対象だ。

これらロングライドの走り方についての講習会は少なく、ほとんどの参加者が自己流で走っているのが現実だろう。しかし、その道の達人のノウハウは学ぶべきものだ。元プロロードレーサーの三船雅彦氏は、レースと言う観点から「いかに長距離を楽に、そして速く走るか」にもちろん長けている。

スタッフ先導で和束へ向かうスタッフ先導で和束へ向かう photo:HIdeaki.TAKAGI三船氏は昨年は各地のロングライドイベントに顔を出し、今年に入ってからはブルベに積極的に参加している。そしてスクール前日には、三船氏自身今年5回目のブルベとなる静岡ブルベ300kmを走りきっているのだ。なんてタフなんだ…。

緩やかな起伏の80kmがコース
コースはけいはんな学研都市をスタートし、加茂町からお茶の産地・和束町を経由して滋賀県甲賀市信楽町に至るおよそ往復の80km。坂は緩い勾配で初心者にも走りやすい。スタッフも入れて10人以内のグループに分散して走る。要所で止まり、三船氏からレクチャー。そのほとんどは安全に走るためのものだ。

信楽のコンビニで昼食。そして講習が。食事や補給食の重要性(お腹がすく前に摂る)、ペース配分、服装、ギアの選択(80回転くらいでも状況次第でOK)、機材セッティング、ポジションなど、すぐ使えるものばかり。なんといっても前日に300kmを走りきった三船氏だから説得力抜群!

伊勢直人(MASSA-FOCUS-OUTDOORPRODUCTS)とともに信楽へ伊勢直人(MASSA-FOCUS-OUTDOORPRODUCTS)とともに信楽へ photo:HIdeaki.TAKAGI記念撮影して帰路へ。今度は緩い下り基調なのでペースが上がる。でも皆さん安全第一の走行。和束からは山側の道へ入る。細くアップダウンとコーナーの多い知る人ぞ知る(三船氏だけのとっておき)というコース。

三船氏は言う「ここからは自分が製品テスト走行もしているコースです。見通しの悪いコーナーや荒れた路面もあるので、注意して走ってください」とひと言。交通量皆無に近いルートこそ危ないのだ。油断大敵。

ここは和束のコッペンベルグ?
しかしここでハプニング。コースがいきなりの工事のため全面通行止め。迂回路は急勾配で狭くおまけに路面も荒れている。
でも三船氏はどこか楽しげな顔。そう、分岐にきたらそういう難易度の高い道を選ぶのが「三船練」なのだ。走りやすい道からいきなり直角に狭い道へ入ることもある。まるでフランドルを再現するかのようだ。

分岐は難しい道を選ぶのが三船練(たまたま工事中で思案の末、右側へ)分岐は難しい道を選ぶのが三船練(たまたま工事中で思案の末、右側へ) photo:HIdeaki.TAKAGIそしてその先は茶畑を両側に見る30%はあろうかという壁。参加者はもちろん、スタッフさえも押しが入る。三船氏曰く「濡れた石畳じゃないからまだマシ。1週間後のフランドルが楽しみ」…次元が違います(笑)。

このあたりは野生のサルも多いので注意。筆者も数十頭のサルに囲まれてちょっと怖かった…。
平坦と山あり谷ありの変化に富んだコースを走り、満たされた気分で終点のけいはんな学研都市へ到着。

三船氏の指導を受けられるこのスクールは毎回盛況。おまけにスタッフはMASSA-FOCUS-OUTDOORPRODUCTSとmasahikomifune.com CyclingTeamのメンバーなので安心。レースだけでなく、こういったロングライドを目的としたスクールはありがたい存在だと改めて実感できた。


土持さんご夫妻。お二人ともきれいなフォームでした土持さんご夫妻。お二人ともきれいなフォームでした photo:HIdeaki.TAKAGI「今日は伊勢君のおかげで頑張れました」
ご夫婦で参加された土持さん夫妻に話を聞いてみた。ほぼ全行程を伊勢直人(MASSA-FOCUS-OUTDOORPRODUCTS)と走った。
「自分(旦那さん)の参加したBRM123近畿200kmブルベの記事を読んで、リンクをたどったらこのスクールがあると言うことを知り、参加しました」
奥さんは「ふだんは50kmくらい、100km超えは4回くらいだけ。去年5月から自転車を始めて毎朝20kmを11月までやりました」と言う。なるほど、きれいなフォームで走っていました。
「夫婦で12kg、8kg痩せました。三船さんのスクールは楽しいですね。『自分のリズムを守って』と声もかけてくれて嬉しかった。『ケイデンスも自分なりの数字を探せばいいんです』ということで、気が楽になりました。いずれ200kmから300kmに走力を伸ばすことが目標です。今年もあちこちのイベントに挑戦したいものですね」


和束のコッペンベルグ!和束のコッペンベルグ! photo:HIdeaki.TAKAGIノンストップで2時間がポイント
スクールを主宰した三船雅彦氏はロングライドの達人でもある。
「ロングライド系のイベントに備えるには、距離を乗らないとわからないことがあります。ペースを問わず、できればノンストップで2時間走る。これが今日のポイントですね」

「参加者もこのテーマなので速く走るタイプの人が少なく、参加が初めての方が多かったですね。参加者の走力に差はあるけれども、ロングライドに興味がある人は、ペースの速い・遅いを気にしないですよね。みんなストレスなく走れたんじゃないかな?」

「今までのスクールは若干レベルの敷居が高いかなとは思いますが、今回はいろいろの方が参加していただいて良かったですね。ロングライドイベントのターゲットは、走行年間5000kmくらいまでの人だと思う。スクールを通じてアドバイスできれば、快適にストレスなく、イコール速く走るということだし。快適に1時間や2時間走ってから休む、を繰り返せば、長い距離を走れます」


12時間前に静岡300kmブルベから帰ってきた三船雅彦氏12時間前に静岡300kmブルベから帰ってきた三船雅彦氏 photo:HIdeaki.TAKAGI三船氏は今年でプロのロード選手を引退してから2年目だ。
「自分が決めた5段階のうち、昨年は第1のステップとしてチームを作った。UCIポイントも取れたし。今年は第2のステップとして運営母体を株式会社にすることです。自転車チームを運営するために会社にするのです。ステップ・スリーもひょっとしたら今年やるかも(でも内緒!)」

「自転車に乗っていたい。乗れる環境を作って関わっていきたい。自転車を文化として根付かせるために自分から走りたい。今はフルタイムのサラリーマンと同じような練習環境だけれども、これからも走っていきたいですね」と語る。


自転車人口は増えているが、ここ数年の傾向はロングライド人口の増加だ。その頂点にはパリ・ブレスト・パリやエタップ・ドゥ・ツール参加などがあるが、国内でも毎週どこかで開かれている。なかにはグルメ・フォンドや親子ブルベなど気楽な大会もある。皆さんもぜひ参加してみては?


信楽で参加者全員の記念撮影。ここはロードのメッカだ信楽で参加者全員の記念撮影。ここはロードのメッカだ photo:HIdeaki.TAKAGI



photo&text:高木秀彰

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