モーターの力でペダリングをアシストすることで、自転車の楽しみ方を広げてくれる新たなスポーツバイクの形として注目を集めているE-bike。サイクルモードライド大阪ではそんな最新カテゴリーの新作が一堂に会した。その中からひときわ注目を集めていたバイクたちを紹介していこう。



アップダウンのある試乗コースでE-bikeを試すことができたサイクルモードライドOSAKAアップダウンのある試乗コースでE-bikeを試すことができたサイクルモードライドOSAKA
E-bikeがアツい。昨夏、シマノが海外で展開するE-bike用ユニット、STEPSを国内仕様へと落とし込んだE-8080シリーズが発表され、時を同じくして欧州の雄・ボッシュが日本での本格展開を決定して以来、各バイクブランドは、それらのユニットを使用した新モデルを続々と発表している。

欧米諸国では、今やスポーツバイク市場において大きな割合を占めているE-bike。その普及ぶりは、ユーロバイクなどの自転車ショーでも顕著に表れており、世界的な潮流となっている。「そうはいっても、海外は規制が緩くてスピードも出せるから人気なのでしょう?」という声もあるが、大きな割合を占める欧州の法規制は、「アシストは最大25km/hまで、最大出力は250w」というもの。一方で日本の法律は「アシストは最大24km/hまで、出力は人間の入力の2倍を限度に10km/hを超えると下がっていく」というもので、最高速度に関しては意外に変わらない。

電動アシスト自転車というカテゴリーに関して言えば、日本は普及率も高いものの、常用する速度域が高めなスポーツバイクへの応用は先述した法規制もあってほとんど注目されてこなかった。だが、そもそもの前提としてこれまでのサイクリストにとって「自転車をこぐのが楽しいのに、モーターの力を借りて楽しいの?」「それってズルじゃないの?」という先入観が最も大きな障壁だったろう。

これ以上ないほどE-bikeに注目があつまったこれ以上ないほどE-bikeに注目があつまった
女性の注目も一際高かったように感じる女性の注目も一際高かったように感じる 試乗コースでもE-bikeは人気試乗コースでもE-bikeは人気


だが、ちょっと待ってほしい。そもそも自分の脚で走ることに比べれば自転車だってズルだと言えるだろう。極端に言えば靴を履くのだって、ズルだ。道具の進化と共に人はその営みを拡張してきた。つまらないノスタルジーに引っ張られ、サイクリングの楽しみを人から奪うのは罪だ。

これが乱暴な議論なのは百も承知だけれど、とにかくE-bikeはスポーツバイクの本場である欧州を中心に受け入れられ、その様子がここ数年で日本にも伝わってきた。より楽に、自転車を楽しむことが出来るようになるツールとして、E-bikeが受容され大きな需要を生み出している。その大きな波がついに日本へと波及してきたのが今シーズンだ。

ドメスティックブランドとして、2015年に「YPJ」シリーズを送り出し日本にE-bikeの世界の扉を開いたヤマハ、本格的なE-MTB・XM1を他社に先駆けて発表したパナソニック、世界展開するアシストユニットを日本仕様へとチューニングしたシマノ・STEPSとボッシュ・Active Line Plus、そしてそれらを使用する各社のE-bikeが一堂に会したサイクルモードライドOSAKA。それぞれのバイクへ試乗したプチインプレッションをお届けしよう。



システムとしての完成度で先を行くシマノ・STEPS

シマノはE-bikeを前面に押し出すブース展開シマノはE-bikeを前面に押し出すブース展開
STEPSを搭載したバイクをいち早く展開したミヤタサイクルSTEPSを搭載したバイクをいち早く展開したミヤタサイクル シマノブースにはSTEPS搭載バイクに試乗した感想がズラリと貼りつけられたシマノブースにはSTEPS搭載バイクに試乗した感想がズラリと貼りつけられた


サイクルモードライドOSAKAのブースエリアのまさに中心に巨大なブースを構えたシマノ。どこよりも力の入ったブースの中でも最も多くの面積を割かれていたのが、今シーズンから本格的に展開を始めるE-bikeコンポーネント・STEPSだ。

既に海外展開する同シリーズを国内法規に対応するようにアップデートを加えたE8080シリーズは、アーバンライドからスポーティブな走りまで幅広くなじむナチュラルなアシストフィーリングを重視したユニット。バッテリーもタフで、大きな容量のモデル(36V、14.0Ah)では、最も力強くアシストしてくれるハイモードでも95km、ノーマルで130km、エコで140kmという航続距離を持ち、ロングライドにも不安ない。

実際にテストライドを行ったシマノのスタッフも「しまなみ海道を渡るくらいであれば、電池残量は4割以上残っていて全然不安は無かったですね」と語る。既に多くのブランドがSTEPSを採用したバイクを発表しており、この会場にもミヤタサイクルのクロスバイク「CRUISE」とトレイルMTB「RIDGE-RUNNER」、ミズタニ自転車のフラットロード「Seraph」、BESVのカーボンMTB「TRS-1」など、バリエーション豊かな車種が揃う。

ベスビーもSTEPSを搭載したMTBを発表 現在国内で入手可能な唯一のカーボン製E-bikeでもあるベスビーもSTEPSを搭載したMTBを発表 現在国内で入手可能な唯一のカーボン製E-bikeでもある
バッテリーもダウンチューブへ埋め込まれるような造作になると同時にグラフィックが施され一体感が高められるバッテリーもダウンチューブへ埋め込まれるような造作になると同時にグラフィックが施され一体感が高められる カーボンの成型自由度はE-bikeでこそ活きる 流れるようなインテグレートデザインを実現カーボンの成型自由度はE-bikeでこそ活きる 流れるようなインテグレートデザインを実現


今回はフラットロードのSeraphをチョイス。フロントにカーボンフォークを採用、フレームもハイドロフォーミングが施されたスポーティーなアルミフレームで、アシストユニットが無くとも速そうな精悍な印象。ブレーキは油圧ディスクを採用し、ホイールエンドもスルーアクスル仕様と隙の無い一台。

さて、実際にコースへ出て感じるのはナチュラルなフィーリング。もちろん発進時にはしっかりとアシストが働いていることがわかるし、押されるような感覚はしっかりとあるのだけど、すべてがコントロール下にあるように感じさせてくれる自然な乗り味が特徴だ。つまり、自転車らしさを失わず、それでいてつらいところはアシストで助けてくれるというイメージ。

STEPSを搭載するバイクのなかでは、もっともスポーティーなスペックを持つミズタニ自転車のSeraphSTEPSを搭載するバイクのなかでは、もっともスポーティーなスペックを持つミズタニ自転車のSeraph
シンプルな操作系が特徴のコントロールユニットシンプルな操作系が特徴のコントロールユニット 他社ユニットと比べて一回り小さく薄いSTEPS Qファクターも従来のスポーツバイクとほぼ変わらない他社ユニットと比べて一回り小さく薄いSTEPS Qファクターも従来のスポーツバイクとほぼ変わらない


日本の法規に合わせて、速度の増加とともにアシスト力が下がっていくなかで、しっかりとアシスト力を感じられるのは大体20km/hあたりまで。アシストが欲しくなる登りでは十分すぎるほど速く、平坦でもこのスピード域まで引っ張ってくれるのはありがたい。多くのテストがこの特性の実現の背後にあったことは想像に難くない。

また、トータルのコンポーネントとして見れば、頭一つ抜きんでているのがSTEPSの大きな強み。薄く小型なユニット、Di2システムで定評のあるE-tubeプロジェクト対応による将来性など数えればキリがないけれど、個人的に最も良いなと思ったのは自転車の顔ともいえるクランクだ。XTのような造形で、しっかりとシマノのスポーツバイクコンポーネントの血脈を受け継いでいることを感じさせてくれるし、”モノ”としての存在感がしっかりしている。

注目されがちなパワーユニットだけでなく、トータルのシステムとして見た時に世界最強のコンポーネントメーカーであるシマノのノウハウが詰め込まれた完成度の高さが、このSTEPSの持つ最も大きなアドバンテージと言えそうだ。



E-bike本場を席巻するボッシュ コラテックやトレックなど有名バイクブランドがずらり

大勢の来場者がボッシュのユニットを搭載したE-bikeを試していった大勢の来場者がボッシュのユニットを搭載したE-bikeを試していった
さて、E-bikeの主戦場たる欧州で大きな存在感を放つのが、ドイツのITソリューション企業・ボッシュだ。本格的に日本への参入を表明したのは、奇しくもシマノと同じ時期。欧州で随一のシェアを持つボッシュの日本参入のニュースには大きな注目が集まった。

欧州向けにはE-MTB用のパフォーマンスラインを頂点に4つのカテゴリーに合わせたユニットを投入するボッシュだが、日本へ投入するのは日常使いからアクティブなライドまで幅広くカバーする「Active Line Plus」というモデル。

ボッシュはフォールディングバイクやE-MTBも展示ボッシュはフォールディングバイクやE-MTBも展示 大手ブランドであるトレックが先駆けて発表し話題をさらったクロスバイクVerb+大手ブランドであるトレックが先駆けて発表し話題をさらったクロスバイクVerb+


欧米ブランドを中心に、このユニットを搭載したバイクがズラリと会場には出そろった。アーバンライドにぴったりにクロスバイク・E-POWER SHAPEとトレイルバイク・E-POWER X VERT 650Bをラインアップするコラテック、いち早く協業を発表したトレックのVERVE+、折りたたみ可能なターン・Vektron S10や小径車のビアンキ・Lucca-Eと現在国内で展開する車種が全て試乗可能に。

今回は、E-POWER SHAPEとVERVE+の2つに試乗。ボッシュのユニットもシマノ・STEPSに負けず劣らずの自然なフィーリングで、発進時からスムーズな加速感を味わえる。どちらかというと全体的に穏やかでトルク感が抑えられている印象。E-bikeデビューの一台に選ぶのであれば、ノーマルなスポーツバイクからも違和感が少なく乗りこなせそうだ。

ボッシュのActive Line Plusを搭載するコラテックのE-POWER SHAPEボッシュのActive Line Plusを搭載するコラテックのE-POWER SHAPE
コラテックはユニットにカバーを取り付けるコラテックはユニットにカバーを取り付ける バッテリーに合わせた幅広のダウンチューブバッテリーに合わせた幅広のダウンチューブ


少し気になったのが、ペダリングをやめた時にクラッチが切れるのだろうか、「カコッ」とした手応え(足応え?)でノックバックのような挙動が発生すること。とはいえバランスを崩すようなものではないので、実際の走行性能には関係なく、気にしすぎなければ問題ない範囲。現状、サイクリストにとっては最もなじみがあり、憧れでもある海外ブランドのE-bikeが多く採用するボッシュは魅力的な選択となるだろう。



さて、昨年登場し話題をさらったシマノとボッシュのユニットは前評判通りの完成度の高さを誇っていた。後編では、ヤマハやパナソニックなど、国内E-bike市場を先行して切り開いてきたパイオニアたちを紹介していく。
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