ニュージーランドの3月のイベントとしてサイクリストの熱いまなざしを浴びるグレープライド。日本からの参加ツアーをサポートする現地トラベルコーディーネーターの2人による参加レポートで、その魅力をお届けします。

ニュージーランド南島のワインづくりの盛んな地域を走るグレープライド。大自然の中のロケーション、また美味しいワインを楽しめることなどもあって、例年2000名を超える参加者を集める人気のサイクリングイベントです。

日本からの参加ツアーも数年前より開催され、注目度が高まるこのイベントの魅力を、現地コーディネーターである「リアルニュージーランド」のスタッフ2人の参加レポートでお届けします。リアルニュージーランドは、日本人スタッフによる、日本人のためのニュージーランドにおけるアウトドア・アクティビティを提案する組織。本物のNLを伝えようと日々努力していることはその名前が示している通り。

リアルニュージーランドのスタッフさんが走って、得た感動とは一体どんなものなのか。過去の大会のレポートから感じてください。



リアルニュージーランド・スタッフ 藤井優子さんのレポート

Forrest Estateというワイナリーが主催する、景色良し、雰囲気良し、初心者でもOK、と3拍子揃ったこのイベント。たった3年の実績にもかかわらず、なんと約2,300人が参加しました。女性が約40%ということもあり、とても華やいだ雰囲気です。

ワイン畑の中からスタートワイン畑の中からスタート photo: realnewzealand

しかし、自転車を漕いだ最高距離が50km(ツール・ド・おきなわ女子レース参加)という私は、夫の藤井が一緒に走ってくれるとはいえ、非常に緊張していました。

ワイン片手にレジストレーションワイン片手にレジストレーション photo: realnewzealand

コースは、Forreste Estateワイナリーの敷地内をスタートし、40km先の港町ピクトンを目指す。向かい風が強く、少しでも負担を減らそうと、初めての集団走行にチャレンジ!
平均時速25kmくらいの私が、しばらく38kmペースで走る。うーん、気持ちがいい。

朝焼けのブレナム朝焼けのブレナム photo: realnewzealand初めての集団走行に緊張気味初めての集団走行に緊張気味 photo: realnewzealand


ピクトンからは、最大の見せ場である、クイーン・シャーロット・ドライブという美しい峠越えの道が始まる。とはいえ、最大高低差は160m、 真っ青な美しい入り江の景色を楽しみながらの自転車は、最高です!

参加者のなかには、タンデムのカップルや、日本でも今やお目にかかれないような、ギアなど全くない旧式の自転車に乗っている人たちも。しかも登りで抜かれるとは…恐るべしニュージーランドのおじちゃん。

「登りがあれば、下りがある。」苦しい登りの後は、思いっきりスピードを出して、下る!この解放感がたまらない。このときばかりは、プロレーサーばりに格好つけて、走ってしまった。

マルボロ・サウンドの美しい入り江マルボロ・サウンドの美しい入り江 photo: realnewzealandDVDに映ればいいなぁDVDに映ればいいなぁ photo: realnewzealand


入江が終わる70km地点のハブロックという町で、DVD用の撮影スタッフに、走りながら、インタビューを受けた。アジア人の参加者などほぼ皆無なので、珍しかったのでしょう。日本人だということ、そして私達の会社を宣伝してくれ!と思いっきり叫んでおきました。映ってればいいなー。

ラスト30kmは、ガラっと今までと景色が変わって、まるでブエルタ(スペインのグランツール・レース)を走っているような感覚。山肌もあらわなドライな感じの山に両側を囲まれ、やや追い風だったこともあり、スピードもアップ。一気にゴール地点のForrest Estateワイナリーに帰ってきました。

景色ががらっと変わる景色ががらっと変わる photo: realnewzealand

私の記録は4時間45分。目標の5時間が切れて大満足。スタッフの丸田は、3時間7分の好タイム。また友人でもあり、世界トップのアドベンチャー・レースのアスリート、ネイサン・ファービーは、同じコースを2周回するマグナムのカテゴリーで記録5時間11分を出し、堂々の優勝。ありえないスピード記録にNZ人でさえも、度肝を抜かれていました。

摘みたてのピノ・ノワール摘みたてのピノ・ノワール photo: realnewzealandOne Hundred Crashed Virgin!One Hundred Crashed Virgin! photo: realnewzealand


レースの後は、ワイナリーの中の芝生の上に寝転がり、ビールやワインを楽しむ。そして、楽しみにしていた「One Hundred Crashed Virgin」。女性参加者の中から、100人のCrashed Virginが選ばれ、その年の収穫したばかりのピノ・ノワール(赤ワインのぶどうの品種)が積まれた大きな樽の中に、飛び込む、というイベントです。なんと、私も選ばれてしまい、思いっきりジャンプ! 来年もGrape rideに参加すれば、この樽からできた特別な赤ワインがもらえるのです。これは来年も参加しなきゃね!

初めての100kmという距離だったので、イベント前は緊張していましたが、走っている最中はとても楽しかったー。とにかく入江沿いの景色がきれい。また新たにマルボロ地方の魅力を再発見できたイベントでした。



リアルニュージーランド・スタッフ丸田憲司さんのレポート

Forrest Estate、これは南島のマルボロにあるワイナリーの名前である。ワイナリーが運営する101kmのファンライド、しかも参加者の半分は女性。このお洒落な響きに誘われ、僕は数ヶ月前からこのイベントを楽しみにしていた。

スタート地点スタート地点 photo: realnewzealand

当日、Forrest Estateへ行くとブドウ畑のなかを沢山の出場者が歩いている。きっとブドウもびっくりだろう。天気は最高、暑いくらいだ。スタート地点では日焼けクリームを配っているボランティアも居る。今日はChristchurchからRainbow Rageを一緒に走った友達が来ているはず…とあたりを見回していると、「あっ!!」なんと隣に居たのがその友達。2人ともそれに気付かずキョロキョロしている始末、こんな楽しい再会もあって気持ちよくスタートが切れた。

無風、絶好のコンディション。両側をブドウ畑に囲まれたマルボロの美しい道を風を切って進む。ブドウ畑にサイクリスト達の影が写る、朝日が気持ち良い。悪くないペース、このまま行けば2時間台でゴール出来るかもなんて妄想を描く。ピクトンの町に入る少し前、僕の妄想が暴走に変わってしまった。下り坂で集団のトップを走り、スピード全開のままピクトンの町を抜ける。

ブドウ畑を抜けてブドウ畑を抜けて photo: realnewzealand最高のコンディション最高のコンディション photo: realnewzealand


そしてクイーン・シャーロット・ドライブの峠の手前まで来る、トップ交代の合図を出す、が誰も来ない。おかしいと思い、後ろを振り向く、が誰も居ない。自転車というのは1人で走るときつい、風も受けるしペースをキープし辛い。後悔の念を頭に抱きながら坂道を登りだす。コースから見えるマルボロ・サウンドが憎らしいほど美しい。

喉が渇く。なぜボトル一本の水しか持って来ていないのか疑問に思う。峠を越えたあたりでようやく水場を発見。合図して手を伸ばす、スタッフも手を伸ばす、しかし健闘虚しくコップが僕の手に入らずに地面に落ちた、残念。残された水はボトルの4分の1程度、残された距離は40kmほど。中継の町ハブロックはもう少し、きっとまた水場があるだろう。

ラストスパートラストスパート photo: realnewzealand

早く水が飲みたいからスピードを上げる、でも喉が渇いて疲れる、ペースは下がる一方。そうハブロックには水場が無くて、僕は喉が渇いたまま走り続けている。良いペースで走っているおじさんを見つけ、僕はそのおじさんに必死にペースを合わせた。景色がどんどん通り過ぎていき、一気にペースが上がる。最後の橋を渡ればもうゴールはあと僅か、水を今すぐ飲みたい僕はおじさんを追い越す。Forrest Estateに入るとゴールが見えた。2時間台には乗れなかったがまずまずのタイムでゴール。

ゴール後はゆったりとゴール後はゆったりと photo: realnewzealand

会場ではコンサートが行われていた。ワイングラスを傾けている人、2人でゆっくり過ごしているカップル。まるで何かのパーティーに紛れ込んだみたいな気分になる。アフターレース・ファンクションがこのイベントの売りの1つだ。こんな雰囲気の良いイベントは世界でも数えるだけであろう。2年連続で出場したサイクリストには、「Forrest Estate Grape Ride」のオリジナルワインがプレゼントされるというから、これは逃すわけにはいかない。今年の参加者は2300人。来年はもっと大きなイベントになるという、今から楽しみだ。



いかがでしたか? ニュージーランド在住のスタッフさんたちでさえ、新鮮な喜びを感じているのが伝わってきます。グレープライド参加ツアーを支えているのは、グレープライドの喜び・楽しみを知っている彼らスタッフというのは、参加者としては心強い限りだ。

魅力あふれるグレープライド、2010年は3月27日(土)に開催される。季節を飛び越えて、秋の爽やかな風を切って、大自然の中を走ってみてはいかがだろうか。

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