10月初旬、東京・北千住にてミズタニ自転車の2017モデル新製品展示会が開催された。今夏より総代理店を務めるグエルチョッティを筆頭に、数十に及ぶブランドの最新プロダクトが集結。多くのショップ関係者で賑わった展示会の模様を紹介していこう。



多くのショップ関係者が来場したミズタニ自転車の2017モデル新製品展示会多くのショップ関係者が来場したミズタニ自転車の2017モデル新製品展示会 グエルチョッティの創業50周年を記念して開発されたハイエンドモデル「ECLIPSE64-16」グエルチョッティの創業50周年を記念して開発されたハイエンドモデル「ECLIPSE64-16」

会場正面に展示されていたのは、今夏よりミズタニ自転車が総代理店となったイタリアの老舗「グエルチョッティ」だ会場正面に展示されていたのは、今夏よりミズタニ自転車が総代理店となったイタリアの老舗「グエルチョッティ」だ
国内でシマノ製品全般の卸売を行う3つの代理店のうちの1つであると同時に、メジャーどころから新興ブランドまで様々なブランドを取り扱うミズタニ自転車。国内外で提携しているブランドは60以上と、自転車パーツ関連の卸業としては、国内屈指の規模を誇る。

それだけに、ロード・CX・MTBとあらゆるジャンルの製品が展示会会場には並べられており、多くの国内提携ブランドから担当者が来場。新製品の一押しポイントや開発秘話を聞くことができ、一日中居ても飽きないほどの充実ぶりであった。その中から、今回はCW編集部注目のプロダクトたちをピックアップして紹介していこう。

フルサスモデル「RIP9RDO」などのカーボン製MTBにアップデートが施され、トレンドの「BOOST規格」を採用フルサスモデル「RIP9RDO」などのカーボン製MTBにアップデートが施され、トレンドの「BOOST規格」を採用 カーボン製モデルを多く取り揃えるナイナーだが、クロモリ製フルリジットのような玄人好みなバイクも多いカーボン製モデルを多く取り揃えるナイナーだが、クロモリ製フルリジットのような玄人好みなバイクも多い

カーボン製リーフスプリングを用いたサスペンションを展開するラウフカーボン製リーフスプリングを用いたサスペンションを展開するラウフ アルマイトが鮮やかなクリスキングのヘッドパーツアルマイトが鮮やかなクリスキングのヘッドパーツ

トムソンからは、アルミ製のドロップハンドルが登場トムソンからは、アルミ製のドロップハンドルが登場 ワンウェイクラッチ機構を採用するONYX RACINGのハブワンウェイクラッチ機構を採用するONYX RACINGのハブ


会場の正面に展示されていたのは、今夏よりミズタニ自転車が総代理店を務めるイタリアの老舗レーシングバイクブランド「グエルチョッティ」だ。このほど国内ラインアップに加わった、創業50周年記念モデル「ECLIPSE64-16」や、CCCスプランディ・ポルコウィチェがメインバイクとして使用する「EUREKA SHM50」、その弟分にあたる「EUREKA SX50」など主要モデルが一堂に会した。

もう1つの取り扱いバイクブランドであるアメリカのナイナーは、フルサスモデル「RIP9RDO」などのカーボン製MTBにアップデートが施され、トレンドの「BOOST規格」を採用。また欧米のオフロードシーンでも話題となっているカーボン製リーフスプリング採用のサスペンションフォーク「Lauf(ラウフ)」を取り付けたバイクも展示され、オフロード系ショップを中心に注目を集めた。

パイオニアの新型ペダリングモニター「SGY-PM910V」。カンパニョーロPOTENZAなど対応モデルが増加したパイオニアの新型ペダリングモニター「SGY-PM910V」。カンパニョーロPOTENZAなど対応モデルが増加した
イタリアのサドルメーカーSMPは、創業70周年記念モデルが登場イタリアのサドルメーカーSMPは、創業70周年記念モデルが登場 特殊なレール形状に対応したSMP専用泥除け特殊なレール形状に対応したSMP専用泥除け


パーツ系で注目を集めたのは、パイオニアのペダリングモニターだ。これまでは、シマノDURA-ACEとULTEGRAだけに取り付け可能だったが、新型のSGY-PM910Vでは対応クランクが増加。シマノFC-R9100(左右)や、カンパニョーロPOTENZA(左右)、キャノンデールHollowgram SiSL2/Si(左のみ)、FSA SL-K Light BB386EVO(左のみ)でも、ペダリングモニターによるパワー計測が可能に。そして、XTRとXTのシマノ製MTBクランクでも取付可能としたこともトピックだ(左のみ)。

イタリアのサドルメーカーSMPからは「Composit」「Forma」「Dynamic」という3モデルに創業70周年記念モデルがリリースされる。座面には、刺繍によって「70years」やブランドネームのレタリングが記されている。また、SMPの特殊なレール形状にあわせて設計された専用泥除け、雨でも年心にトレーニングする既存ユーザーには福音と言えよう。アメリカを拠点とするコックピット系パーツブランドのトムソンからは、ブランド初となる手頃なプライスレンジのアルミ製ハンドルバーが登場している。

日東は、シマノから登場する新機軸のアーバンライド向けコンポーネント「METREA」に対応する専用ハンドルを参考出展日東は、シマノから登場する新機軸のアーバンライド向けコンポーネント「METREA」に対応する専用ハンドルを参考出展 三ヶ島ペダルからは、踏み面の大きなオフロード/アーバンライド系モデル「ALLWAYS」を、豊富な商品ラインアップに追加三ヶ島ペダルからは、踏み面の大きなオフロード/アーバンライド系モデル「ALLWAYS」を、豊富な商品ラインアップに追加

オーストリッチは、ロングゲージのリアメカに対応する新型エンド金具をリリースオーストリッチは、ロングゲージのリアメカに対応する新型エンド金具をリリース IRCのCX用チューブレスタイヤ「SERAC CX」シリーズに、耐サイドカット性を強化した「X-Guard」モデルが追加IRCのCX用チューブレスタイヤ「SERAC CX」シリーズに、耐サイドカット性を強化した「X-Guard」モデルが追加

パナレーサーとしては初となるCX用チューブレスタイヤ「REGACROSS」パナレーサーとしては初となるCX用チューブレスタイヤ「REGACROSS」 GRAVELKINGには、セミノブ仕様の700x26Cサイズが追加。他サイズとはトレッドパターンが異なるGRAVELKINGには、セミノブ仕様の700x26Cサイズが追加。他サイズとはトレッドパターンが異なる


職人技が光る国内の老舗ブランドからも新製品が続々。日東は、シマノから登場する新機軸のアーバンライド向けコンポーネント「METREA」に対応する専用ハンドルを参考出展。競輪選手御用達の三ヶ島ペダルからは、踏み面の大きなオフロード/アーバンライド系モデル「ALLWAYS」を、豊富な商品ラインアップに追加。輪行バックの一大ブランドであるオーストリッチは、従来よりも長さのあるエンド金具を用意し、使用ユーザーが増えつつあるロングゲージタイプのリアディレーラーでも使用可能とした。

日本が誇る2大タイヤブランドのIRCとパナレーサーは、CX用チューブレスタイヤが注目だ。IRCは、国内トップカテゴリーでも愛用者の多い「SERAC CX」シリーズに、耐サイドカット性を強化した「X-Guard」モデルを追加。もちろん、砂地用のSANDと、マッドコンディション用の「MUD」も用意する。

新型DURA-ACE R9100系も展示され、注目を集めた新型DURA-ACE R9100系も展示され、注目を集めた
パナレーサーから登場の「REGACROSS」は、ブランド初となるCX用チューブレスタイヤ。エアを保持するシールをケーシングの外側に配置したことが特徴で、エア漏れが少なく、耐パンク性に優れ、更には洗車の際にブラシでゴシゴシと洗っても傷つきにくいという。グラベルロード用タイヤという一大ジャンルを築き上げた「GRAVELKING」には、セミノブ仕様の700x26Cサイズが追加された。一般的なロードバイクにも取付可能というユニークなプロダクトで、舗装路を走行する比率が高いというサイズの性質に応じて、トレッドパターンが細かく調整されている。

新製品以外にも、デザイン性と実用性の双方で人気を集めるディフィートのソックスや、日々のサイクルライフを快適にしてくれるヴァウデやクロームのバッグ類、これからの寒い時期に重宝するマルチファンクション・ヘッドウェアのBuff(バフ)など、定番製品も数多く展示されていた。

チューブレスタイヤ用のスモールパーツで定評を集めるスタンズだが、ホイール群も豊富なバリエーションを持つチューブレスタイヤ用のスモールパーツで定評を集めるスタンズだが、ホイール群も豊富なバリエーションを持つ デザイン性と実用性の双方で人気を集めるディフィートのソックスデザイン性と実用性の双方で人気を集めるディフィートのソックス

日々のサイクルライフを快適にしてくれるヴァウデのバックパック日々のサイクルライフを快適にしてくれるヴァウデのバックパック これからの寒い時期に重宝するマルチファンクション・ヘッドウェアのBuff(バフ)これからの寒い時期に重宝するマルチファンクション・ヘッドウェアのBuff(バフ)




数ある取り扱い海外ブランドの中で、ミズタニ自転車が注力ブランドの1つがアメリカのフィードバック・スポーツである。今回の展示会では、コロラドの本社よりインターナショナルセールスマネージャーのフォード・イスベイ氏が来場。今おすすめの製品をプロモーションしてくれた。

アメリカ本社からPRのために来日したインターナショナルセールスマネージャーのフォード・イスベイ氏アメリカ本社からPRのために来日したインターナショナルセールスマネージャーのフォード・イスベイ氏
フィードバック・スポーツの代表的なプロダクトであるメンテナンススタンドフィードバック・スポーツの代表的なプロダクトであるメンテナンススタンド メンテナンススタンドには、アフターワーク用に栓抜きが装備されているメンテナンススタンドには、アフターワーク用に栓抜きが装備されている もともとは「Ultimate」というブランド名で、自転車メンテナンス用と音響機器用のスタンドを使っていたが、現在は分社しており、自転車部門が「Feedback Sports」となった。現在はティンコフを始めとした多くのプロチームに採用されており、その赤いアルマイトのメンテナンススタンドは信頼の証と認知されている。そして、同社の製品に共通しているのが、素早く展開/収納できることや、見た目に美しいこと。デザインは全てアメリカの本社で行っているという。

一方、近年ではメンテナンススタンド以外の製品にも力を入れており、そのうちの1つがフロントフォーク固定式のトレーナー「PORTABLE BIKE TRAINER」である。なんといっても特徴はコンパクトに折りたためて、かつ軽量であること。イスベイ氏は「海外と比較すると狭い日本の住居においても、収納場所を簡単に見つけられるほどコンパクトに収納できるのです」と説明。世界各国のディストリビューターの中でも、ミズタニ自転車は最多の販売実績を誇るという。

また、アイアンマン・ハワイやクロスベガスなど、様々なジャンルのトップレースシーンで活用されている。サポートを受けないアマチュアからの支持が厚く、これまでは飛行機輪行でローラー台を持っていくなどありえないことであったが、7kgと軽量でコンパクトなことから、世界中を飛び回るアスリートの中で常に携行しているというケースが増えているのだそう。バイクフィッターにも好評なのだとか。

世界的に好調なセールスを記録している「PORTABLE BIKE TRAINER」世界的に好調なセールスを記録している「PORTABLE BIKE TRAINER」
もともとはドイツの代理店がアイデアを提案し、それにフィードバック・スポーツ社の社長が応えるかたちで「PORTABLE BIKE TRAINER」開発されたのだそう。ブランド名の通り、開発時にはプロからのフィードバックによって改良を勧めており、シクロクロスの元ワールドカップ年間王者であるケイティ・コンプトン(アメリカ)や、ドイツナショナルチームも使用している。

負荷装置はローラーに内蔵されており、900Wattsまで負荷がかかる。赤いアルマイトで彩られたフレームは、メンテナンススタンドと同様に素早く展開/収納でき、ホイールベースの調整も用意。組立分解時に工具は必要ない。家庭内での使用をより快適にするべく、2017年からはフロアマットやスェットガードがラインアップに加わった。そして、共通のテクノロジーを採用する3本ローラーも新たに登場した。

「PORTABLE BIKE TRAINER」を折りたたむイスベイ氏。作業完了までの時間は数分足らずと短い「PORTABLE BIKE TRAINER」を折りたたむイスベイ氏。作業完了までの時間は数分足らずと短い コンパクトに折りたたむことができ、収納場所にも困りにくいコンパクトに折りたたむことができ、収納場所にも困りにくい

家庭内での使用をより快適にするべくスウェットガードをラインアップに追加家庭内での使用をより快適にするべくスウェットガードをラインアップに追加 「PORTABLE BIKE TRAINER」と共通のテクノロジーを取り入れた3本ローラーも新たに登場「PORTABLE BIKE TRAINER」と共通のテクノロジーを取り入れた3本ローラーも新たに登場


「PORTABLE BIKE TRAINER」と並んでフィードバック・スポーツがプッシュするのがツールキットである。本格的なプロ用の「TEAM EDITION TOOL KIT」と、ホームメカニック向けの「RIDE PREP TOOL KIT」、T字型レンチのセット「T-HANDLE KIT T-7」という3種類をラインアップする。

メンテナンス道具として性能に加えて、「弊社のワークスタンドと組み合わせた時に使いやすい製品を目指した」とはイスベイ氏。専用ケースごとをワークスタンドにぶら下げることで作業性を高めることができる。またプロメカニックのように工具をショーアップできることも特徴の1つで、自らメンテナンスするという方なら所有欲が刺激されるはず。

本格的なプロ仕様のツールキット「TEAM EDITION TOOL KIT」本格的なプロ仕様のツールキット「TEAM EDITION TOOL KIT」 基本的なアイテムを抑えた「RIDE PREP TOOL KIT」はホームメカニックに最適基本的なアイテムを抑えた「RIDE PREP TOOL KIT」はホームメカニックに最適

T字型レンチのセット「T-HANDLE KIT T-7」。美しい仕上げと自転車メカニックに最適された寸法が特長だT字型レンチのセット「T-HANDLE KIT T-7」。美しい仕上げと自転車メカニックに最適された寸法が特長だ 工具類はリプレース用として単体でも販売される工具類はリプレース用として単体でも販売される


ツールキットと言えば、専門メーカー製のものや、単体で売っているものと比較すると、個々の機能性や仕上げに劣ることが多い。しかし、フィードバック・スポーツの場合には、個々の機能性を追求しており、ティンコフのメカニックが使用するほど。T字レンチは自転車整備で使いやすいように長さが最適化されていたり、プラスドライバーとシマノHollowtech IIのキャップ回し、タイヤレバーと油圧ディスクブレーキ未使用時のスペーサーといったように一つの工具に複数の機能を持たせているのだ。

今回紹介したフォードバック・スポーツの製品は順次デリバリーが開始されている。もちろん、シクロワイアードでも随時レビューコーナーで詳細をお伝えする予定だ。お楽しみに。



text&photo:Yuya.Yamamoto

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