12月19日(金)御茶ノ水に新たなバイクショップ「L-breath BIKE」がオープンした。ヴィクトリアの手掛けるアウトドア専門店「L-Breath」が初めて展開する、自転車専門店の様子を紹介しよう。



お茶の水にオープンしたL-Breath BIKEお茶の水にオープンしたL-Breath BIKE
多くの楽器店とスポーツ・アウトドアショップが立ち並ぶ、御茶ノ水。東京の中でも、音楽とスポーツをたしなむ人にとってはお馴染みの街だ。L-breathも、首都圏を中心に多くの店舗を構える人気店舗として、ご存じの方も多いだろう。多くのフロアをもち、初心者からベテランまで満足させるアウトドアショップとして認知されているL-breathが、この冬に自転車専門店を立ち上げた。

靖国通り沿いにオープンした店舗の外観は、周りの超大型スポーツショップと比べると少し狭いのかな?という印象。ジャイアントやトーキョーバイクのクロスバイクが並べられる入口付近を抜けると、奥に意外なほど大きな空間があることに気付く。

そう、縦長のフロアと、横長のフロアが組み合わされて、上から見るとT字になっているのだ。1Fには、いかにもL-breathだな、と思わせるアウトドアブランドのアパレルやバッグ、アクセサリー類が所せましと並べられている。ノースフェイスや、アークテリクスなどの普通の自転車店では取り扱っていないアウトドアブランドが並ぶ店内は、白熱灯の照明と相まって、カジュアルでお洒落な雰囲気に満ちている。

店内は細く奥に広がっている店内は細く奥に広がっている 2階へとつながるらせん階段にもたくさんのカバンがディスプレイされている2階へとつながるらせん階段にもたくさんのカバンがディスプレイされている

シュラフやレトルト携行食、スリーピングマットといったキャンプツーリングに必要な装備も揃っているシュラフやレトルト携行食、スリーピングマットといったキャンプツーリングに必要な装備も揃っている 普通の自転車店では見られないようなアウトドアブランドのアパレルが充実している1階普通の自転車店では見られないようなアウトドアブランドのアパレルが充実している1階


他にも、カペルミュールやリンプロジェクト、ペダレッドなどのカジュアルサイクルウエアブランドが並び、1Fのコンセプトが、お洒落に自転車を取り込んだライフスタイルを提案するものであることを伝えてくれる。商品の展示方法も非常にポップで、レザインのフロアポンプにナルゲンのボトルが吊り下げられていたりと非常にかわいらしく、ユニークで見ているだけでも想像力を掻き立てられる。

そんな自転車店らしからぬ1Fの真ん中に設えられたらせん階段を上った先には、まったく異なる雰囲気のフロアが広がっている。階段を上りきってまず目に入ってくるのは、ズラっとならんだロードレーサー。左に目をやると、ウエアや補給食をはじめとした自転車用品がならぶ、プロショップ然とした空間が広がっている。

スペシャライズドをはじめとした完成車が並ぶ2F スペシャライズドをはじめとした完成車が並ぶ2F
冬用の小物も充実していた冬用の小物も充実していた ルコックのウエアが充実しているルコックのウエアが充実している


フローリングが敷き詰められ、カジュアルな雰囲気をまとった1Fとは対照的に、コンクリート打ちっぱなしの2Fは、どことなくクールでストイックな雰囲気が漂っている。メインで並べられているのはスペシャライズド、フォーカス、メリダ、ジャイアント、スコットといったブランドで、エントリーグレードから、ミドルアッパークラスまで、本格的にロードレースを始めたいという向きにも不足のないラインナップ。

パーツや、アクセサリー、ウエアなどのコーナーも完成車売り場と同じぐらいのスペースがとられ、非常に充実した商品展開をしている。通路は広くとられ、ゆったりと買い物を楽しめるだけのスペースが確保されているので、初めてでも、安心できるだろう。



これまでの自転車店とはまた違った趣のL-breath BIKEだが、ショップとしてのコンセプトを、レイアウトなどのディレクションを務めた織田さん、そして広報を担当される川島さんのお二人に尋ねてみた。

―L-Breathとして自転車専門店をだしたきっかけとは?

開店直後とあって、展示車の組み立てに余念がないメカニックブース開店直後とあって、展示車の組み立てに余念がないメカニックブース 川島さん「もともとお客さんの要望があって始まったんです。アウトドアショップとして海、山、川とフィールドを網羅するなかで、店舗の中に1コーナーとして自転車フロアもあったんですが、専門的にやらないのか?という声をいくつかもらっていたんです。

それに、アウトドアショップの中でロードレーサーを売っていくというような業態にはやはり無理がありました。それで、独立した店舗という形での試みを始めました。メカニックにしても、ずっと新宿や吉祥寺でやっていたスタッフがやっているので、作業面での不安は少なかったですね。」

―既存の自転車店とはかなり異なった切り口のショップになっていると感じましたが

レザインのフロアポンプにボトルを吊り下げているレザインのフロアポンプにボトルを吊り下げている 店舗コンセプトを設定された織田さん店舗コンセプトを設定された織田さん 川島さん「1Fがタウン&アウトドアという形、2Fがロードという形で分けたのは、いろいろな人が入ってきて、その中でステップアップする人がロードを始めたい時にも引き込めれば、という断層を踏まえた展開です。今都心では、ちょっとかっこいい自転車がほしいという人が増えています。クロスバイクでお洒落に通勤したり、週末はカフェに出かけたり。でもやっぱりがっつりはまっていくと最終的にはロードレーサーにいきつくと思うんですよ。そのために、階層を分けているという形です。

L-Breath自体、山屋なんですけれども、既存のちょっとマニアックな雰囲気の山屋に踏み込めない初心者の方向けに敷居を下げて、まずは山の楽しみを知ってほしいというコンセプトで始まってるんです。で、山の世界にある程度はまったら、そういう専門的なショップに移ってもらって全然かまわないというスタンスなんです。自転車に関してももそうで、敷居を下げてまずは自転車の世界に入ってもらうことが目的です。」

織田さん「このショップのコンセプトは『ロングライフバイク』というものです。ヴィクトリア(L-Breathの母体)全体の理念として、『ロングライフスポーツ』、つまり生涯スポーツといった考え方があって、それを自転車に当てはめたものなんですね。つまり、一生ペダルを踏み続けられていれば、そんな素敵なことはないじゃないか、ということです。そのために、自転車のある生活を紹介するショップとして、レイアウトを考えました。

自転車をずっと続けていくなら、レースだけではないし、タウンユースだけでもない、どちらも自転車の楽しみ方ですし、ツーリングにだっていきたい。そういう楽しみ方、自転車のある人生の豊かさといった世界観が広がっているショップにしたいという思いを込めています。」

―今後の展開について教えてもらえますか

タウンユースやツーリングなどで役立ちそうなグッズが揃えられていたタウンユースやツーリングなどで役立ちそうなグッズが揃えられていた 川島さん「いくいくは試乗会や大会などのイベントも開催してみたいですね。そういった自転車の楽しみ方を体験できる場まで用意できればと思います。アウトドアショップとしても軽登山教室をやったりして、入門的な楽しみ方を提案することをしてきました。そういった形の活動を自転車においてもできれば、と考えています。

そこで物足りなくなって、もっと速く走りたい、レースに出てみたいというような欲求が生まれてきたお客さんがいれば、専門色の強いプロショップに行っていただいて全く問題ないです。とにかく、裾野を広げることができればと考えています。」



日本のアウトドアショップの中でも大きな存在感を持つL-Breathが送り出したL-Breath BIKE。アウトドアとスポーツバイクのいいところを取り入れた店内は、これまでのどの自転車店ともまた違った新たな世界観が広がっていた。自転車の裾野を広げていきたいという思いが形となって表れた店内には、開店初日から平日ながらも多くの人、とくに女性の姿が多くみられた。L-Breath BIKEはこれから自転車を楽しみたいと思う人たちの良い入口となりそうだ。

text&photo:Naoki.Yasuoka
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