日本屈指のサイクリングディスティネーション、しまなみ海道。広島と愛媛を6つの島と7つの橋でつなぐダイナミックなコース。その本州側のサイクリングの拠点として3年前にオープンし、話題を集めた「ONOMICHI U2」の”今”を目黒誠子さんがレポートします。



おしゃれスポットONOMICHI U2おしゃれスポットONOMICHI U2 photo:Seiko.Meguro

今や「自転車の聖地」と誰もが認める「しまなみ海道」。その本州側の玄関となっているのが広島県尾道市。その尾道に現れた素敵スポット「尾道U2」が、この3月でオープンから3周年を迎えます。4年目に入る尾道U2のこれまでの3年を振り返ります。

ONOMICHI U2外観。ウォーターフロントの海運倉庫をリノベーション。ONOMICHI U2外観。ウォーターフロントの海運倉庫をリノベーション。 photo-Tetsuya Ito/Courtesy of DISCOVERLINK Setouchi
月9でも撮影スポットに。リノベーション前の姿がイメージできません…月9でも撮影スポットに。リノベーション前の姿がイメージできません… photo:Seiko.Meguroまるでサンフランシスコ?!ジャイアントストアが見事にマッチ。まるでサンフランシスコ?!ジャイアントストアが見事にマッチ。 photo-Tetsuya Ito/Courtesy of DISCOVERLINK Setouchi


ハード系のパンからおかずパンまで品ぞろえ豊富ハード系のパンからおかずパンまで品ぞろえ豊富 photo:Seiko.MeguroButti Bakeryとお土産ものなどフード類。Butti Bakeryとお土産ものなどフード類。 photo:Seiko.Meguroウォーターフロントに建つアンティークな海運倉庫。外観のレトロさとは対照的に、中に入るとそこは驚くほどの別空間!天井が高く、開放的。モダンな店内。やわらかな暗めの照明を際立てているのは、海面に反射し窓から入るキラキラの太陽。

広さ約2000㎡を誇る敷地内には、カフェありベーカリーあり、レストランにバー、ジャイアントストア、そしてホテルまで。それらの全てが洗練されておりヘルシーでおしゃれ。至るところに自転車のモチーフがあり、自転車好きでもそうでなくても心躍る空間だということは、ここに訪れた人誰もが感じたことでしょう!

このインターナショナル感あふれる素敵スポットは、月9ドラマの撮影地としても使われ、地域活性、「自転車とまちづくり」の好事例として企業や行政からも視察が年々増えています。今や日本中、いいえ世界中から視線を集める場所となったONOMICHI U2は、この3月で4年目を迎えます。ますます波に乗るONOMICHI U2のこれまでの歩みとこれからの未来を取材しました。



「ONOMICHI U2 誕生の経緯」

まるでサンフランシスコのウォーターフロントにあるようだけれど地元の魅力も詰まったONOMICHI U2は、どうしてこういう形になったのでしょうか?ONOMICHI U2 マーケティング&コミュニケーション部の井上善文さんにお話をお聞きしました。

ONOMICHI U2は元々、昭和18年(西暦1943年)に建てられた海運倉庫でした。2012年に広島県からの公募で4~5社が応募。地元の会社“ディスカバーリンクせとうち”が決定しました。倉庫の名前が“県営上屋(うわや)2号”で、上屋のUと2号の2から“U2”なので”U2プロジェクト”と呼んでいたそうです。「事業と雇用創出」を目的に、「これまで尾道になかったものを創ろう。今来ているお客様には安定的に、新しいお客様にも来ていただける集客スポットを」という理念と目的のもと“U2 プロジェクト”が始まったそうです。

ほっと一息できるヤードカフェほっと一息できるヤードカフェ photo:Seiko.Meguroヤードカフェではプレミアムサラダをヤードカフェではプレミアムサラダを photo:Seiko.Meguro


デッキから自転車のまま「サイクルスルー」デッキから自転車のまま「サイクルスルー」 photo-Tetsuya Ito/Courtesy of DISCOVERLINK Setouchi
レストランでは地のものを使ったグリル料理をレストランでは地のものを使ったグリル料理を photo:Seiko.Meguroモーニングブッフェも充実。モーニングブッフェも充実。 photo:Seiko.Meguro





「しまなみ海道」と共に世界へ広がる「ONOMICHI U2」

U2のシンボルであるモレキュラーサイクル/分子の循環U2のシンボルであるモレキュラーサイクル/分子の循環 photo:Seiko.Meguro
設立当初から、インバウンド=つまり、海外からの集客に注目。インバウンドに強い海外エージェントにプレスリリースを送っていたそうです。そんな中、イギリスのカルチャー紙「MONOCLE」に「古い施設のリノベーション」例でオープン前から取り上げられ、ヨーロッパ方面から注目され、実際に訪れてくれるお客様が多くなっていきました。次第にオーストラリア方面からも増え、「Cycling Tips」にも取り上げてもらい、CNNではしまなみ海道が「世界7大サイクリングロード」に選ばれたのも大きかった、とのことです。

実際に訪れている外国の方の国別宿泊数は、上位より、タイ、香港、オーストラリア、アメリカ、台湾、イギリス、中国、韓国、オランダと続きます。現在は、タイや香港などアジア系のお客様が多い理由に、県がアレンジする海外プレスの招聘、海外の旅行エージェントを対象にした「※ファムツアー」などによるPRがあるとのこと。

Kog bar「漕ぐバー」の漕ぐチェアKog bar「漕ぐバー」の漕ぐチェア photo:Seiko.Meguro[img_assist|nid=226333|title=展示の仕方も工夫。より魅力的に|desc=photo:Seiko.Meguro|link=node|align=left|width=360|height=]


外国人利用は宿泊者数に対して約3割もの利用があります。2020年の東京オリンピックや日本の人口減に向けて、これからの日本の産業を支えるものの一つに「観光」があります。インバウンド需要がさらに高まる中、開業3年目となった昨年は、行政や企業からの視察も、平均月4件程度の実績があるとのこと。

いかに尾道U2が好事例となっているかを現していると言えます。取材を続ける中で、『当初は「自転車をフックにした複合施設」に好意的ではなかったまわりの目も、自転車がお客を呼びお金を作ってくれる、とわかれば、次第に注目されるようになった』という声も聞こえてきました。

(※ファムツアー/Familialization Tour-下見招待旅行、ファムトリップ
大会・会議用施設側が将来バイヤーとなる可能性のある組織の代表者らを現地に招いて下見を目的としたセミナーを催し、これによって会場利用契約成立の機会の増大を図る。複数の組織の代表者を招いて行う場合もあれば、個別に招く場合もある。)



街へのひろがり

HOTEL CYCLE共用スペースにもサイクルラックHOTEL CYCLE共用スペースにもサイクルラック photo:Seiko.Meguroお部屋はすべてツイン。シモンズのベッドお部屋はすべてツイン。シモンズのベッド photo:Seiko.Meguro

パジャマはU2 SHIMASHOPで購入可能。タオルは今治タオルパジャマはU2 SHIMASHOPで購入可能。タオルは今治タオル photo:Seiko.Meguroシャワールームとバスタブは別々。バスタブはブロックで壁はレンガシャワールームとバスタブは別々。バスタブはブロックで壁はレンガ photo:Seiko.Meguro


時が経つにつれ、来場者数は徐々に増加しているONOMICHI U2。宿泊者を除く来場者数は統計を取るのが困難ではあるが、ランチ営業や売上金額は確実に増加しており、施設に乗り付ける自家用車の数や、周辺有料駐車場の利用状況から察すると、近隣市町や県外からの来場も確実に増えているようです。

ベーカリーやカフェ、レストランやバーなど施設内にある各セクションには常連客も付き、地元からも愛される施設に。「JR尾道駅から西側のU2方向には、明らかに人の流れができたと言います。街全体がもっとおもしろくなるのではないかと期待しています。」と井上さんは語ります。

自転車とONOMICHI U2

ホスピタリティあふれるジャイアントストア尾道店ホスピタリティあふれるジャイアントストア尾道店 photo:Seiko.Meguro
ジャイアントストアにはしまなみ海道のMAPがジャイアントストアにはしまなみ海道のMAPが photo:Seiko.Meguro自転車をフックとして創られた複合施設であるU2は、自転車を利用する人からの評判と、自転車を利用していないけれどU2に訪れた人からの評判ではどのようなものがあるか、井上さんにお聞きしました。

「もっとサイクリストに特化したサービスを求められる事もありますが、部屋まで、もしくは部屋前までバイクを持ち込める点はセキュリティの観点でもとても喜んでいただいています。GIANT STORE併設もトラブルシューティングにおいて同様です。もともとサイクリストのみならず、感度の高い方へ向けた建築デザインを志しましたので、サイクリストではない方々にも、異なる視点からの評価をいただいていると考えています。」



U2のこれから

[img_assist|nid=226343|title=ONOMICHI U2マーケティングの井上さん|desc=photo:Seiko.Meguro|link=node|align=right|width=360|height=]「尾道に来る人たちをもっともっと増やしていきたいですね」U2はホテルもレストランもベーカリーも、大手チェーン店に頼らず、すべて直営店で行っています。「自分たちでできることはできるだけ自分たちで。地元のものを使って」

ですが、U2のみが決して一人勝ちしようとは思っておらず、Win-Winの体制を広げていきたい、とのこと。現段階では、12月~2月が閑散期なので、冬でも楽しめるようなソフト面を充実させていきたいそうです。過去には、Raphaのポップアップストアを構えたり、ライドを企画したこともあったそうなので、これからも期待が持てます。

地元の人々への循環

地元のおじいちゃんとの素敵な出会い地元のおじいちゃんとの素敵な出会い photo:Seiko.Meguroホテルサイクルに泊まった翌日の朝、U2から外に出ると、犬を散歩する一人のおじいちゃんに声をかけられました。「あんた、ここに泊まったんかい?どうじゃった~?朝食は何が出た?おいしかったけ?」と質問攻め……。

答えながら話を聞いてみると、「わしはここから数百メートルのところに住んでるんじゃが、使ってない建物があるけん、そこを改装して、そこでこんな風にちょっとおしゃれな民宿でもやりたいなぁと思っての~。自転車に乗ってる人がようけ来るけ~。朝食は簡単なものでいいのけ?お母さんは足が思うように動かないんじゃが、わしが朝食作るけん、今料理の勉強しとるんじゃー!ワハハ~。ここでフランスパン買ってきたけん~。英語も勉強せんと~!」と明るく笑うおじいちゃん!

こんな風に、ともすればリタイアしている年齢の方たちがビジネスを始められる土壌が尾道には育まれていました。数字や形として目に見えることはもちろんのこと、目には見えなくてももっと深い部分、「健康や生きがい」の文化をも醸成できていることを感じました。若者からお年寄り、そして海外まで、まさに自転車が好循環を創るホットスポットがONOMICHI U2でした。

3周年記念イベント

ONOMICHI U2は全7セクションから構成されています。各セクションごとにそれぞれの特徴を活かすようなイベントやキャンペーンのほか、地元を中心に出店を募った屋外マーケット、瀬戸内のモノやコトをプレゼンできるようなポップアップストア、限定オリジナル商品の販売(アパレル、フード商品)、宿泊者向けプレゼントキャンペーンなどを予定しているそうです!

生口島の新スポット。耕三寺近くのフェリーチェディツッカ。生口島の新スポット。耕三寺近くのフェリーチェディツッカ。 photo:Seiko.Meguro愛媛県今治市から来島海峡大橋を渡って訪れたい、大島のぽんぽこ茶屋愛媛県今治市から来島海峡大橋を渡って訪れたい、大島のぽんぽこ茶屋 photo:Seiko.Meguro


この1年にオープンした2つのしまなみ新スポット

新鮮なビタミンをたっぷり補給~新鮮なビタミンをたっぷり補給~ photo:Seiko.Meguroオーナーの塚本美砂子さんとお嬢様の瀬尾章子さん、そしてお孫さんオーナーの塚本美砂子さんとお嬢様の瀬尾章子さん、そしてお孫さん photo:Seiko.Meguroこの約1年の間にオープンしたしまなみ新スポットをご紹介します!昨年3月に生口島、耕三寺近くの商店街にオープンしたのは「Felice di tucca フェリーチェ ディ ツッカ」名前の由来は、オーナーの塚本さんから。塚本さんが子供のころは、耕三寺は大変な賑わいを見せていて、それを懐かしく、寂しく思っていたところ、ポツポツとサイクリストが訪れる姿をみるように。

「自転車で訪れるみなさんに瀬戸田の新鮮な果実を味わっていただきたい!耕三寺のにぎわいをもう一度みたい」という思いでいたところ、ちょうど親戚の家が空き、そちらを利用させてもらえることになり、まさに渡りに船だったそうです。地元瀬戸田、高根島の柑橘をメインに使った、ビタミンたっぷりのジュースやスムージーをいただけます。イタリアンローストの豆を使用したエスプレッソ、ソフトクリームもおいしい!ライドの補給にはもってこい。

Felice di tucca フェリーチェ ディ ツッカ
広島県尾道市瀬戸田町瀬戸田574-1
https://www.facebook.com/tucca160312/


昨年12月に大島にオープンしたのは「ぽんぽこ茶屋」。自転車好きが高じて大阪から大島へ移住した松井敏郎さんと愛さんご夫妻。類ないサイクルロードのしまなみ海道を活性化する一端を担いたい思いでカフェ&サイクルレスキューを経営されています。靴を脱いでくつろげるお座敷カフェスペースと、靴を脱がずにレストを取れ、自転車のメンテナンスもできる納屋スペースが。よしうみバラ園近くのブルーライン沿いにあるので見つけやすいです。

滋賀焼きのたぬきの置物が迎えてくれます(左後ろ)そしてもちろんサイクルラック滋賀焼きのたぬきの置物が迎えてくれます(左後ろ)そしてもちろんサイクルラック photo:Seiko.Meguro松井敏郎さんと愛さんご夫妻。ニックネームはぽんちゃんぽこちゃん!松井敏郎さんと愛さんご夫妻。ニックネームはぽんちゃんぽこちゃん! photo:Seiko.Meguro

思わず長居してしまいそうなくつろぎスペース思わず長居してしまいそうなくつろぎスペース photo:Seiko.Meguro座敷カフェと納屋カフェで脚を休められるのはうれしい!座敷カフェと納屋カフェで脚を休められるのはうれしい! photo:Seiko.Meguro


玄関前のたぬきの置物は、お嬢様の嫁ぎ先、滋賀県からお引越し。「滋賀焼き」の代表モチーフのたぬきと、引越し当初、毎晩庭でたぬきの子どもが運動会していたことから、たぬきから掛けての「ぽんぽこ茶屋」と名付けられたそうです。牛すじカレー、ビーフカレー、せんざんぎセット(鳥の竜田揚げ)が人気メニュー。現在は地元の方が半数、今治・松山市から訪れるサイクリスト40%、県外からの旅行者(レンタサイクル含む)10%くらいの比率。

サイクリストだけでなく、地元の方からも愛されているのは魅力がある証拠!今後は、しまなみを訪れるみなさんに安心して利用していただくために、旅館業の申請中だそうです!宿泊もできるようになったら、ますます人気スポットになりそうです!

ぽんぽこ茶屋
愛媛県今治市吉海町福田1252-1
https://shimanami-express.webu.jp/



目黒 誠子(めぐろせいこ)目黒 誠子(めぐろせいこ) 筆者プロフィール

目黒 誠子(めぐろせいこ

ツアー・オブ・ジャパンでは海外チームの招待・連絡を担当。2006年ジャパンカップサイクルロードレースに業務で携わってからロードレースの世界に魅了される。海外の自転車事情やライフスタイルを取材しながら、自転車とまちづくり・インフラ・環境・スポーツの側面から、企業や行政、レースオーガナイザーとのプロジェクトを手掛けている。クリーン工房アドバイザー、宮城インバウンドDMOアドバイザー。 https://global-wifi.com/go-beyonder/067.html
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