標高3000mオーバーのKOM(キングオブマウンテン)が2つ登場したUSAプロチャレンジ(UCI2.HC)第3ステージで、昨年の覇者ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)が強さを見せつけた。ガーミンやティンコフの攻撃を封じたヴァンガーデレンが総合首位に立っている。



コロラド州の高原を行くプロトンコロラド州の高原を行くプロトン photo:Cor Vos


USAプロチャレンジ2014第3ステージUSAプロチャレンジ2014第3ステージ image:USA Pro Challenge155kmコースの前半に登場するKOMモナークパスを越え、サリダの短い周回コースをこなしてから最後はKOMモナークマウンテンへ。2つの本格山岳が設定された第3ステージで総合争いは大きく動いた。

メイン集団をコントロールするBMCレーシングメイン集団をコントロールするBMCレーシング photo:Cor Vosこの日最も積極的に攻撃を仕掛けたのは、リーダージャージ擁するガーミン・シャープだった。逃げグループが形成されないまま最初のKOMモナークパスに差し掛かると、ハニエル・アセベド(コロンビア、ガーミン・シャープ)が強力なアタック。結果的にアセベドは引き戻されることになるが、このアタックによってメイン集団は早くも20名以下に絞り込まれた。

終盤にかけて独走したマイケル・ロジャース(オーストラリア、ティンコフ・サクソ)終盤にかけて独走したマイケル・ロジャース(オーストラリア、ティンコフ・サクソ) photo:Cor Vos更にそこからラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)やトム・ダニエルソン(アメリカ、ガーミン・シャープ)を含む強力な8名が飛び出し、そのままKOMモナークパスを通過。下りでダニエルソンを引き連れてアセベドが飛び出すシーンも見られたが、麓までに吸収される。

登りでペースを上げるトム・ダニエルソン(アメリカ、ガーミン・シャープ)登りでペースを上げるトム・ダニエルソン(アメリカ、ガーミン・シャープ) photo:Cor Vos下り切ったところでトレックファクトリーレーシング率いる後続が追いつき、吸収を嫌ったマイケル・ロジャース(オーストラリア、ティンコフ・サクソ)が先頭で独走を開始する。リードを築いたロジャースがそのまま先頭でKOMモナークマウンテンに向かった。

スプリントで競り合うティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)とラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)スプリントで競り合うティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)とラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ) photo:Cor Vos残り20km地点でロジャースのリードは1分半。しかしBMCレーシングが牽引するメイン集団の勢いには敵わずに残り10km地点で吸収されてしまう。そこから再びアセベドがアタックを仕掛けたが決まらない。徐々に人数を減らす集団では、ガーミン・シャープのエースを担うトム・ダニエルソン(アメリカ)が攻撃を開始した。

マシュー・ブッシュ(アメリカ、トレックファクトリーレーシング)が先行するシーンも見られたがやがては吸収。「残り1kmの勝負に持ち込みたくなかったのでアタックを繰り返した」というダニエルソンだったが、ヴァンガーデレンらを振るい落とすことが出来ない。

ライバルの動きを落ち着いて処理したヴァンガーデレンが、残り1kmを前に強力なアタック。唯一反応することが出来たラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)との一騎打ちになり、スプリントでヴァンガーデレンが先着した。

「リーダージャージを持っているガーミンが攻撃に転じたので少し混乱が起きた。でもチームは落ち着いて状況をコントロール。彼らの素晴らしい走りにこうやって応えることが出来てよかったよ」と、ステージ優勝と同時にリーダージャージと山岳賞ジャージを手にしたヴァンガーデレン。大会連覇に向けて一歩リードした。

攻撃を繰り返したダニエルソンはステージ5位に終わり、ヴァンガーデレンから34秒差の総合4位に。20秒差の総合2位にはマイカが浮上し、フィニッシュ前の攻防でダニエルソンを下したベン・ヘルマンス(ベルギー、BMCレーシング)が総合3位につけている。

選手コメントはレース公式サイトより。



スプリントでマイカを下したティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)スプリントでマイカを下したティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング) photo:Cor Vos



USAプロチャレンジ2014第3ステージ
1位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)
2位 ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)
3位 セルゲイ・トヴェトコフ(ルーマニア、ジェリーベリー・マキシス)
4位 ベン・ヘルマンス(ベルギー、BMCレーシング)
5位 トム・ダニエルソン(アメリカ、ガーミン・シャープ)
6位 カーター・ジョーンズ(アメリカ、オプティム・ケリーベネフィット)
7位 ジョゼフ・ロスコプフ(アメリカ、ヒンカピースポーツウェア)
8位 マシュー・ブッシュ(アメリカ、トレックファクトリーレーシング)
9位 バルトス・フザルスキー(ポーランド、ネットアップ・エンデューラ)
10位 クレメン・シェヴリエ(フランス、ビッセルデヴェロップメント)
3h50'41"

+20"
+24"

+30"
+39"
+45"
+51"
+1'06"


個人総合成績
1位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)
2位 ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)
3位 ベン・ヘルマンス(ベルギー、BMCレーシング)
4位 トム・ダニエルソン(アメリカ、ガーミン・シャープ)
5位 セルゲイ・トヴェトコフ(ルーマニア、ジェリーベリー・マキシス)
6位 マシュー・ブッシュ(アメリカ、トレックファクトリーレーシング)
7位 カーター・ジョーンズ(アメリカ、オプティム・ケリーベネフィット)
8位 ジョゼフ・ロスコプフ(アメリカ、ヒンカピースポーツウェア)
9位 バルトス・フザルスキー(ポーランド、ネットアップ・エンデューラ)
10位 ジュリアン・カイヤー(アメリカ、スマートストップ)
10h34'53"
+20"
+23"
+34"
+37"
+46"
+49"
+55"
+1'09"
+1'22"


ポイント賞
キール・レイネン(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)

山岳賞
ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)

ヤングライダー賞
クレメン・シェヴリエ(フランス、ビッセルデヴェロップメント)

チーム総合成績
BMCレーシング

text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos