「パンクと落車でも焦ることはなく、チームの高速牽引から夢の勝利を掴んだ」とは、ジロ2日目で初勝利&マリアローザを手に入れたタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)の言葉。区間3位のトーマスや後悔を語ったオコーナーなど、選手たちのコメントを紹介します。



区間優勝&マリアローザ タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)

プロトンでチームメイトに守られながら走るタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) photo:CorVos

(ブエルタ・ア・エスパーニャと)ツール・ド・フランスで区間優勝を果たした時から、残すジロ・デ・イタリアでの区間優勝が僕の夢だった。3大ツールでの勝利は、そう多くの選手が果たすことができないこと。だからこの勝利が本当に嬉しいよ。

―最終山岳の麓でのアクシデントは恐怖を感じたか。

いいや、全然。落ち着いて対処することができた。市街地に入ってからコース上の穴でパンクし、またホイールが壊れてしまった。本当はコーナーの前でバイクを交換したかったのだが、チームカーから「コーナーの後だ」と何度も言われ、混乱と共に落車してしまった。でも深刻な怪我はなく、調子の良いチームが僕を先頭集団に戻してくれた。

そこからチームが、僕の求めるペースと完璧な展開を作り出してくれた。

独走を決め、ジロ初勝利を掴んだタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) photo:CorVos

―あの地点(残り4.9km)から仕掛けると決めていたのか?

残り4.5〜3.5kmの間でアタックする予定だったが、僕もチームメイトもあの登りを熟知していなかった。だからあの位置からの仕掛けになったが、ラファウ・マイカの良いペーシングから良い結果に繋げることができた。

―2位以下と27秒差は十分な結果か?

僕が狙っていたのはステージ優勝だけ。また脚の状態を試し、僕の夢はマリアローザを手に入れることだった。これでこの後の数日間はチームと共にリラックスして走ることができる。スプリントでは安全第一に走りたい。

区間2位&総合3位 ダニエル・マルティネス(コロンビア、ボーラ・ハンスグローエ)

27秒遅れでやってきた2位はダニエル・マルティネス(コロンビア、ボーラ・ハンスグローエ)が ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)を退けた photo:CorVos

イージーなステージにはならなかったものの、調子はかなり良かった。また区間2位という結果を得ることができた。フロリアン(リポヴィッツ)と僕が精鋭集団でフィニッシュすることができ、総合順位も上げることができた。この結果は僕らにやる気と自信を与えてくれるものの、ジロはまだまだ始まったばかりだよ。

区間3位&総合2位 ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)

老獪な走りで区間3位でフィニッシュしたゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVos

―今日のポガチャルの走りを見てどう思ったか?

何も新しいことはない。彼のアタックは予想しており、それについていこうと思った。だがあのペースに付き合えば力を使い果たしてしまうと思い、ベン(オコーナー)の背後についた。彼には悪いと思いながらね。

身体が限界に達していたので暫く回復の時間を取り、後方から集団が追いついてきた。最後はボーナスタイムを得ようとスプリントした。ベンの前に出て牽引したかったのだが、僕も限界に達していた。

タデイ(ポガチャル)の落車については知らず、登りに入りチームカーからの「タデイが集団復帰した」という報告で知った。僕らの作戦は集団先頭のハイテンポに食らいつくことだった。昨日よりも調子の良さは感じなかったが、ジロ2日目にしては上々と言えるよ。

ポガチャルのアタックに食らいつき、区間13位とタイムを失ったベン・オコーナー(オーストラリア、デカトロンAG2Rラモンディアル)

ポギ(ポガチャル)に食らいつきたかった。脚の調子がとても良かったこともあり、それが今日の目標だった。だからトライしてみたんだ。だが彼のペースに長く付き合い過ぎてしまったようだ。その結果、その後苦しむことになった。

自分の積極的な走りは誇りに思う一方で、良くない形で総合タイムを失ってしまった。今日は過ちを犯してしまった日。これから学び、同じ間違いを繰り返さないようにしたい。

逃げに乗り、アタックを試みたアンドレア・ピッコロ(イタリア、EFエデュケーション・イージーポスト)

逃げから飛び出し、単独先頭に立ったアンドレア・ピッコロ(イタリア、EFエデュケーション・イージーポスト) photo:EF Education - EasyPost

今大会の目標はステージ優勝すること。もちろん簡単なことではないが、トライし続けることが何より大事だ。今日は全力を尽くし、マリアアッズーラ(山岳賞ジャージ)のポイントも獲得できた。今後は第2週目以降が狙い目となる。

区間7位&総合4位&マリアビアンカ(ヤングライダー賞) キアン・アイデブルックス(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)

ポガチャルから直接「大丈夫だ」ということを聞いた。それは良かったし、彼が集団に復帰した直後からUAEは信じられないハイペースで集団を牽引した。予想ではもっと保守的な走りをするかと思っていたから驚いたよ。だからポガチャルがアタックしても焦らず、自分のペースを守ろうと心がけた。それが良い結果をもたらした。

グランツールで初めて特別賞ジャージを着ることができた。本当に特別な気持ちがするよ。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos