パリ~ニース第3ステージは冷たい雨の降る中級山岳ステージ。後半に抜け出した7名がゴールまで逃げ切った。アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ)が勝利し、マイヨ・ジョーヌの獲得にも成功した。

パリ~ニース2013第3ステージ コースプロフィールパリ~ニース2013第3ステージ コースプロフィール (c)A.S.Oプロローグと平坦ステージを2つこなして迎えたパリ~ニース4日目は、今大会最初の中級山岳ステージへ。シャテル・ギヨンから南下し、オーヴェルニュ山塊を経てブリウドへと至る170.5km。終盤に一度ゴール地点を通過し、30kmの周回コースを回ってゴールへとたどり着く。

序盤に逃げるマルティン・ケイゼル(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)ら序盤に逃げるマルティン・ケイゼル(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)ら photo:Cor.Vos細かいアップダウンが続くコースには3級山岳が2つ設けられ、周回コース内にある2級山岳モヴァーニャ峠の頂上からゴールまでの距離は15kmと短い。ステージ優勝を狙う選手たちによる激しいアタック合戦が繰り広げられるものと見られていた。

チームメイトに守られて走るエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、キャノンデール・プロサイクリング)チームメイトに守られて走るエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、キャノンデール・プロサイクリング) photo:Cor.Vosリーダーに立つエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、キャノンデール・プロサイクリング)はスタート前「最初の山岳ステージで雨だ!(結果が)どうなるか見てみないと...」と自身のTwitterでつぶやいた。

モヴァーニャ峠でアタックするマキシム・イグリンスキー(カザフスタン、アスタナ)モヴァーニャ峠でアタックするマキシム・イグリンスキー(カザフスタン、アスタナ) photo:Cor.Vos冷たい雨に濡れたシャテル・ギヨンから、ホセイヴァン・グティエレス(スペイン、モビスターチーム)を除く176名がスタート。この日はスタート後直ぐに4名のアタックが決まる。

逃げたのはマルティン・ケイゼル(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)、セバスティアン・ミナール(フランス、アージェードゥーゼル)、マッズ・クリステンセン(デンマーク、サクソ・ティンコフ)、アレクシス・ヴュヤーモ(フランス、ソジャサン)。ヴァカンソレイユ・DCMは3日連続で逃げにメンバーを送り込む積極的な姿勢を見せる。

脚の揃った4名は順調にプロトンとの差を開き、最大タイム差はおよそ4分ほど。マイヨ・ジョーヌ擁するキャノンデール・プロサイクリングが集団のペースコントロールを担ったことで、以降タイム差は3分ほどで推移。レース開始後3時間の平均速度は41.1km/hをマークした。

残り40kmを切ってからはクラシックを見据えるトム・ボーネン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)やレディオシャック・レオパードらが追走に参加。逃げとの差は急速に縮まっていった。

そして最後の山岳ポイント、モヴァーニャ峠で148kmに渡る逃げは終了。やがて上りでヴィヴィアーニが遅れ、ここからマイヨ・ジョーヌとステージ優勝を狙うアタック合戦が勃発した。

下りをこなすアンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ)ら逃げグループ下りをこなすアンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ)ら逃げグループ photo:Cor.Vosすると頂上通過後、雨に濡れたテクニカルな下りでアンドレー・グリブコ(ウクライナ、アスタナ)とヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ、モビスターチーム)がわずかに集団から飛び出したものの、キリエンカはスリップし落車を喫してしまう。

単独先頭となったグリブコには、アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ)ら追走6名が合流し、7名の先頭グループが完成。ここからゴールまで、追走グループとの競争が始まった。

アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ)が先頭でゴールラインを切るアンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ)が先頭でゴールラインを切る photo:Cor.Vos先行7名に対して、追走はおよそ20名。数の利を有する追走グループだが、有力どころが揃ったため意思統一が図れず、思うように差が縮まらない。残り1kmで、タイム差は10秒ほど。やがて集団の気配を背中に感じつつ、先頭グループ内のスプリントが始まった。

マイヨ・ジョーヌに袖を通したアンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ)マイヨ・ジョーヌに袖を通したアンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ) photo:Cor.Vos最初に仕掛けたロメン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼル)は失速し、タイミングを待ったタランスキーが抜け出す。ダヴィデ・マラカルネ(イタリア、ユーロップカー)の追い上げは叶わず、タランスキーが歓喜の表情でゴール。ジョナタン・イヴェール(フランス、ソジャサン)を先頭にした追走グループは、先頭まで7秒届かなかった。

タランスキーは10秒のボーナスタイムを得たことで、ステージ優勝と共にマイヨ・ジョーヌを同時に獲得。雨に濡れたブリウドの地で、昨年のブエルタ・ア・エスパーニャで総合7位に入った若きオールラウンダーが輝いた。

マルティン・ケイゼル(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)が山岳賞を獲得マルティン・ケイゼル(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)が山岳賞を獲得 photo:Cor.Vos「チームは僕のために、今回一軍メンバーを投入してくれた。だから今日の勝利はとても重要なものなんだ」。と語るタランスキー。「だからこのステージで勝てたこと、そしてジャージを獲得できたことは、僕のキャリアの中で大きなステップになると思う。毎年ステップアップできている。勝利は時間の問題だよ」

「ジャージを着るのはいい気分だよ。(ジャージを)獲るより、守るほうが簡単なんだ。でもまだリッチー(ポルト)やティージェイ(ヴァンガーデレン)、(リエーヴェ)ヴェストラら、凄い選手が総合を狙える位置にいる。守るための動きをしていくよ。この後のエズ峠はビデオで見た限り僕にピッタリだ。(ジャージを守るのは)可能だと思うよ。」

翌第4ステージは、199.5kmの間に2級山岳が4つ、3級山岳が3つ登場する難易度の高いもの。サン・ヴァリエへと至るこのステージで、24歳タランスキーの真価が問われる。

またこの日、別府史之(オリカ・グリーンエッジ)はマイヨ・ジョーヌを失ったヴィヴィアーニと同じ2分58秒遅れの大集団内でゴール。ステージ順位を74位としている。


パリ〜ニース2013第3ステージ結果
1位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ)        4h06'15"
2位 ダヴィデ・マラカルネ(イタリア、ユーロップカー)
3位 ゴルカ・イサギーレ(スペイン、エウスカルテル)
4位 ダビ・ロペスガルシア(スペイン、スカイプロサイクリング)
5位 リッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング)
6位 ロメン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼル)
7位 アンドレー・グリブコ(ウクライナ、アスタナ)
8位 ジョナタン・イヴェール(フランス、ソジャサン)                +07"
9位 エンリーコ・ガスパロット(イタリア、アスタナ)
10位 マキシム・ブエ(フランス、アージェードゥーゼル)
74位 別府史之(日本、オリカ・グリーンエッジ)                 +2'58"

個人総合成績
1位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ)       14h39'36"
2位 アンドレー・グリブコ(ウクライナ、アスタナ)                 +03"
3位 ダヴィデ・マラカルネ(イタリア、ユーロップカー)
4位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、オメガファーマ・クイックステップ)    +04"
5位 ゴルカ・イサギーレ(スペイン、エウスカルテル)                +05"
6位 リエーベ・ヴェストラ(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)            +06"
7位 リッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング)          +07"
8位 ペーター・ベリトス(スロバキア、オメガファーマ・クイックステップ)      +08"
9位 ダビ・ロペスガルシア(スペイン、スカイプロサイクリング)           +09"
10位 ジョナタン・イヴェール(フランス、ソジャサン)               +12"

ポイント賞
エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)

山岳賞
マルティン・ケイゼル(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)

新人賞
アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ)

チーム総合成績
アスタナ


text:So.Isobe
photo:Cor Vos

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