2012年もいよいよ年の瀬。海外ロードレースに照準を絞って今シーズンを振り返るシリーズ第1弾は、1月のツアー・ダウンアンダーから4月のクラシックまで、UCIワールドツアーレースを中心にプレイバック!
1月
頂上ゴールで競り合うサイモン・ジェランス(オーストラリア、グリーンエッジ)とアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) photo:Kei Tsuji真夏のオーストラリアで開催されるUCIワールドツアー初戦のツアー・ダウンアンダーで2012年シーズンは始動。UCIプロチームのサクソバンク・ティンコフバンクに移籍した宮澤崇史が日本人として初出場し、重要なステージで逃げを打つなど活躍した。
「ミスターダウンアンダー」とも形容されるアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)がステージ3勝を飾る中、総合優勝を飾ったのは、地元オーストラリアで結成されたばかりのオリカ・グリーンエッジに所属するオーストラリアチャンピオンのサイモン・ジェランス。ドーピングによる出場停止処分から復活したばかりのアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)が、頂上ゴールが設定された第5ステージで優勝し、健在ぶりをアピールした。
2月
ツアー・オブ・オマーンで総合13位に入った清水都貴(ブリヂストンアンカー) photo:Minoru Omae2月に入って最初に飛び込んだのは、アルベルト・コンタドール(スペイン)に対する2年間の出場停止処分が決定したというニュース。2010年のツール・ド・フランス期間中のドーピング検査でクレンブテロール陽性が判明したコンタドールに対し、2年間の出場停止処分が妥当であるとの裁定をCAS(スポーツ仲裁裁判所)が下した。
ツール・ド・ランカウイ 福島晋一(トレンガヌプロアジア)や西谷泰治(愛三工業レーシングチーム)を含む逃げグループ photo:Sonoko Tanakaコンタドールは1月にアルゼンチンで開催されたツール・ド・サンルイスでステージ2勝を飾っていたが、2011年1月以降の勝利が剥奪されるとともに、2012年8月5日まで出場停止に。サクソバンクはすぐさまコンタドールとの契約を解除した。
2月上旬に中東で行なわれたツアー・オブ・カタールとツアー・オブ・オマーンには、日本からブリヂストンアンカーが出場。UCIプロチームがひしめく中、オマーンではトマ・ルバ(フランス、ブリヂストンアンカー)が総合9位、清水都貴が総合13位に入っている。
マレーシアで開催されたアジア選手権では日本勢のメダルラッシュ。エリート女子の上野みなみ、ジュニアの西村大輝、そしてU23の山本元喜がそれぞれタイムトライアルで2位。そしてU23ロードレースで木下智裕が優勝を飾る。エリート男子の西谷泰治(愛三工業レーシングチーム)は銅メダルを獲得した。
アジア最高峰のステージレースであるツール・ド・ランカウイには、過去2年連続ステージ優勝を果たしている愛三工業レーシングチームが出場。逃げとスプリントでステージ優勝を目指したが、最高位は西谷泰治がマークした第8ステージの6位。
地元マレーシアのトレンガヌプロアジアの福島晋一も連日の逃げでレースを沸かしたが、ステージ優勝には届かなかった。若きアンドレア・グアルディーニ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ)が鮮烈なスプリント6勝で存在感をアピール。
3月
パリ〜ニースを制したブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ) photo:Kei Tsuji3月に入るとグランツールやクラシックシーズンを見据える選手たちが動き出す。「太陽へのレース」と呼ばれる伝統のパリ〜ニースには、新城幸也(ユーロップカー)が出場。新城は頂上ゴールが設定された第3ステージで26位、そして第5ステージではラスト3kmまで逃げる走り。春先から好調ぶりを伺わせた。
ティレーノ〜アドリアティコを制したヴィンツェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール) photo:RCS sportツール・ド・フランスに照準を合わすブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)がレース中盤にリーダージャージを手にしたが、頂上ゴールを制したリエーベ・ヴェストラ(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)が総合争いでウィギンズに接近。最終山岳タイムトライアルでウィギンズが接戦を制し、第70代パリ〜ニース覇者に輝いた。
ミラノ〜サンレモ 後続集団を引き離してゴールを目指すサイモン・ジェランス(オーストラリア、グリーンエッジ)ら photo:Riccardo Scanferla同時期にイタリアで開催され、半島をまたぐことから「二つの海のレース」と呼ばれるティレーノ〜アドリアティコではヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)が活躍。頂上ゴールを制したニーバリは、最終タイムトライアルでクリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・ニッサン)を下し、14秒差で総合優勝に輝いている。
ツール・ド・台湾でイエロージャージを獲得した宮澤崇史(サクソバンク) photo:Sonoko.TANAKA「クラッシチッシマ(クラシックの最上級)」と呼ばれる開催103回目を迎える伝統のミラノ〜サンレモが3月中旬に開催。イタリアに春を告げる298kmのワンデークラシックを皮切りに、ヨーロッパはクラシックシーズンに突入する。
すでにダウンアンダーで総合優勝を収めたジェランスがここでも活躍。終盤のポッジオの登りでアタックが決まり、3名のスプリントでカンチェラーラとニーバリを下したオーストラリアチャンピオンが勝利した。前年度のマシュー・ゴスに続き、2年連続でオーストラリア勢が春の大一番を制覇。
スペインで開催されたボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャには別府史之(オリカ・グリーンエッジ)と土井雪広(アルゴス・シマノ)が出場。雪が降り、コースが短縮される厳しいコンディションの中、別府はチームメイトのミハエル・アルバジーニ(スイス)の総合優勝をアシストし、土井はチーム内最高位の総合38位という成績を残している。
アジアに目を向けると、ツール・ド・台湾では宮澤崇史(サクソバンク・ティンコフバンク)が総合リーダージャージを着る活躍。畑中勇介(日本ナショナルチーム)がステージ2位、西谷泰治がステージ4位に入るなど、連日日本人選手がステージ上位に絡んだものの勝利には届かず。日本ナショナルチームがチーム総合成績トップに輝いた。
4月
ロンド・ファン・フラーンデレン ゴールスプリントを繰り広げるトム・ボーネン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)とフィリッポ・ポッツァート(イタリア、ファルネーゼヴィーニ) photo:Riccardo Scanferla世界の注目はベルギーや北フランスを舞台にした「北のクラシック」へ。今年からUCIワールドツアー入りした前哨戦のE3プライス・フラーンデレンとヘント〜ウェベルヘムではトム・ボーネン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)の鮮やかなスプリントが決まる。
パリ〜ルーベ 砂埃舞うパヴェを駆け抜けるトム・ボーネン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ) photo:Makoto Ayano2年連続・3度目のヘント〜ウェベルヘム優勝を果たしたボーネンは、続くロンド・ファン・フラーンデレンでも猛威を振るう。優勝候補のカンチェラーラが落車&鎖骨骨折でリタイアする一方、勝負は石畳の急坂で飛び出した3人によるゴールスプリント勝負へ。抜群のタイミングとスプリントでフィリッポ・ポッツァート(イタリア、ファルネーゼヴィーニ)とアレッサンドロ・バッラン(イタリア、BMCレーシングチーム)を下したボーネンが、史上5人目となる3度目の優勝を果たした。
フレーシュ・ワロンヌ 何度もガッツポーズを繰り返すホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) photo:Kei Tsujiボーネンの勢いは止まらず、パリ〜ルーベでは他を寄せ付けない圧倒的な走りで独走勝利。史上最多タイの4度目の勝利を飾るとともに、E3、ヘント〜ウェベルヘム、ロンド、ルーベの4タテ(4連勝)という史上初の快挙を成し遂げた。
リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ2012表彰台 photo:Kei Tsuji4月も後半に入ると所謂「アルデンヌ・クラシック」がスタート。ベルギー東部やオランダ南部の丘陵地帯を舞台にしたアップダウンコースで、パンチャー系のワンデーレーサーが活躍する。
初戦アムステル・ゴールドレースでは、ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)の勢いを抑え込んだエンリーコ・ガスパロット(イタリア、アスタナ)が初優勝。
続くフレーシュ・ワロンヌでは、最大勾配が26%に達する「ユイの壁(Mur de Huy)」で飛び出したホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)が初優勝を飾ってみせる。アルゴス・シマノの土井雪広はアムステル&フレーシュを完走。
そして、今から110年前の1892年にスタートし、「Doyenne(ドワイエンヌ=最古参)」と呼ばれるリエージュ〜バストーニュ〜リエージュでは、ニーバリを下したマキシム・イグリンスキー(カザフスタン、アスタナ)が独走勝利。カザフスタンに3度目のタイトルをもたらした。
スペインで開催されたブエルタ・アル・パイスバスコは、3年連続でクイーンステージを制したサムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル)が総合優勝している。
グランツールに向けて加速する5月以降の模様はvol.2で!
text:Kei Tsuji
1月

「ミスターダウンアンダー」とも形容されるアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)がステージ3勝を飾る中、総合優勝を飾ったのは、地元オーストラリアで結成されたばかりのオリカ・グリーンエッジに所属するオーストラリアチャンピオンのサイモン・ジェランス。ドーピングによる出場停止処分から復活したばかりのアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)が、頂上ゴールが設定された第5ステージで優勝し、健在ぶりをアピールした。
2月


2月上旬に中東で行なわれたツアー・オブ・カタールとツアー・オブ・オマーンには、日本からブリヂストンアンカーが出場。UCIプロチームがひしめく中、オマーンではトマ・ルバ(フランス、ブリヂストンアンカー)が総合9位、清水都貴が総合13位に入っている。
マレーシアで開催されたアジア選手権では日本勢のメダルラッシュ。エリート女子の上野みなみ、ジュニアの西村大輝、そしてU23の山本元喜がそれぞれタイムトライアルで2位。そしてU23ロードレースで木下智裕が優勝を飾る。エリート男子の西谷泰治(愛三工業レーシングチーム)は銅メダルを獲得した。
アジア最高峰のステージレースであるツール・ド・ランカウイには、過去2年連続ステージ優勝を果たしている愛三工業レーシングチームが出場。逃げとスプリントでステージ優勝を目指したが、最高位は西谷泰治がマークした第8ステージの6位。
地元マレーシアのトレンガヌプロアジアの福島晋一も連日の逃げでレースを沸かしたが、ステージ優勝には届かなかった。若きアンドレア・グアルディーニ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ)が鮮烈なスプリント6勝で存在感をアピール。
3月




すでにダウンアンダーで総合優勝を収めたジェランスがここでも活躍。終盤のポッジオの登りでアタックが決まり、3名のスプリントでカンチェラーラとニーバリを下したオーストラリアチャンピオンが勝利した。前年度のマシュー・ゴスに続き、2年連続でオーストラリア勢が春の大一番を制覇。
スペインで開催されたボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャには別府史之(オリカ・グリーンエッジ)と土井雪広(アルゴス・シマノ)が出場。雪が降り、コースが短縮される厳しいコンディションの中、別府はチームメイトのミハエル・アルバジーニ(スイス)の総合優勝をアシストし、土井はチーム内最高位の総合38位という成績を残している。
アジアに目を向けると、ツール・ド・台湾では宮澤崇史(サクソバンク・ティンコフバンク)が総合リーダージャージを着る活躍。畑中勇介(日本ナショナルチーム)がステージ2位、西谷泰治がステージ4位に入るなど、連日日本人選手がステージ上位に絡んだものの勝利には届かず。日本ナショナルチームがチーム総合成績トップに輝いた。
4月




初戦アムステル・ゴールドレースでは、ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)の勢いを抑え込んだエンリーコ・ガスパロット(イタリア、アスタナ)が初優勝。
続くフレーシュ・ワロンヌでは、最大勾配が26%に達する「ユイの壁(Mur de Huy)」で飛び出したホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)が初優勝を飾ってみせる。アルゴス・シマノの土井雪広はアムステル&フレーシュを完走。
そして、今から110年前の1892年にスタートし、「Doyenne(ドワイエンヌ=最古参)」と呼ばれるリエージュ〜バストーニュ〜リエージュでは、ニーバリを下したマキシム・イグリンスキー(カザフスタン、アスタナ)が独走勝利。カザフスタンに3度目のタイトルをもたらした。
スペインで開催されたブエルタ・アル・パイスバスコは、3年連続でクイーンステージを制したサムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル)が総合優勝している。
グランツールに向けて加速する5月以降の模様はvol.2で!
text:Kei Tsuji
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