マリアンヌ・フォス(オランダ)が開催国オランダを熱狂させた。過去5年連続ロード世界選手権で2位に入っているロンドン五輪ロード金メダリストは、ゴールまで2周を残したカウベルグでメイン集団から飛び出し、最終周回で再びアタック。オランダ国旗を手に、大歓声のゴールに独走で飛び込んだ。

ディフェンディングチャンピオン擁するイタリアチームが最前列にディフェンディングチャンピオン擁するイタリアチームが最前列に photo:Kei Tsuji雲の切れ間から暖かな太陽が差し込み、気温が15度まで上昇した22日午後、U23ロードレースの余韻が残る会場で、37カ国・132名が出場するエリート女子ロードレースが行なわれた。コースは、全カテゴリー共通の16.1km周回コースを8周する128.8km。

レースは比較的ゆったりとしたペースで動き出す。強豪国が集団先頭でペースを作り、アタックに眼を配りながら1周回を完了。すると、2周目のカウベルグ頂上通過後に大落車が発生した。

落車の影響で遅れ、集団復帰を目指す萩原麻由子(サイクルベースあさひレーシング)落車の影響で遅れ、集団復帰を目指す萩原麻由子(サイクルベースあさひレーシング) photo:Kei Tsujiちょうど集団中程で倒れた選手に大勢の選手が衝突。幅10mほどのコースが完全に塞がれるほどの大落車で、ここで萩原麻由子(サイクルベースあさひレーシング)を含む50名ほどが集団から遅れてしまう。

萩原をはじめとする落車で遅れた選手たちは、約1周かけて何とか集団に復帰。一旦レースが落ち着くと、再びレーススピードが上がり始めた。

クライマックスに向けてレースが加熱するその一方で、萩原はメイン集団から脱落する。「落車に巻き込まれましたが全くの軽傷。ただ、(バイクが)絡まってしまったため復帰が遅れました。追いつくときに足を使い、追いついた時にかかったアタックによるペースアップで簡単に千切れ完全に遅れてしまった」と萩原。単独走行を余儀なくされた萩原は、最終周回を前にバイクを降りた。「自分の現状に絶望しています。やはりもっと本気で取り組んで世界を目指したいと思っています」。

やがて、ゴールまで3周回を残してアンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ)、レイチェル・ネイラン(オーストラリア)、ロッセッラ・ラット(イタリア)、アンバー・ネーベン(アメリカ)、シャーロット・ベッカー(ドイツ)の5名がメイン集団からアタック。逃げグループを形成し、メイン集団から30秒ほどのリードを得て逃げた。
暖かな太陽に照らされる暖かな太陽に照らされる photo:Kei Tsuji
緑の畑が広がる丘陵地帯を進む緑の畑が広がる丘陵地帯を進む photo:Kei Tsujiメイン集団から脱落した萩原麻由子(サイクルベースあさひレーシング)メイン集団から脱落した萩原麻由子(サイクルベースあさひレーシング) photo:Kei Tsuji
先頭グループを形成するアンバー・ネーベン(アメリカ)らがカウベルグを登る先頭グループを形成するアンバー・ネーベン(アメリカ)らがカウベルグを登る photo:Kei Tsujiゴールまで2周回を残したカウベルグの登り(ラスト32km地点)で、ついに大本命が動きを見せる。オレンジのオランダジャージに身を包んだフォスが、一発のアタックで集団を抜け出し、すぐに先頭グループまでジャンプしてみせた。

「チームメイトのみんなに、逃げグループとのタイム差を30〜40秒に抑えてもらうようにお願いした。そのタイム差だと、カウベルグですぐに追いつけるから。他にも良い選手が揃っていたし、決定的な動きになると判断して逃げに飛び乗った」と、フォスは狙い通りのアタックについてコメントする。

ロンドン五輪金メダルにあやかり、ゴールドバイクを駆るマリアンヌ・フォス(オランダ)ロンドン五輪金メダルにあやかり、ゴールドバイクを駆るマリアンヌ・フォス(オランダ) photo:Kei Tsujiこのフォスの動きに反応出来たのはエリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア)のみ。こうして先頭グループはフォス、ファンデルブレッヘン、ラット、ロンゴボルギーニ、ネイラン、ネーベンの6名となり、「オランダ2、イタリア2、オーストラリア1、アメリカ1」という形勢のまま残り2周へと入っていく。

オランダのファンデルブレッヘンは献身的なアシストとして先頭グループを率いる。ときにアタックしてライバルたちの脚を使わせることも忘れない。続くカウベルグで先頭からラットが脱落。オランダが優位を保った状態で、最終周回のカウベルグに差し掛かった。

アンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ)が献身的に先頭グループを牽引するアンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ)が献身的に先頭グループを牽引する photo:Kei Tsuji勾配が最も増すポイントでフォスが再びアタックを仕掛けると、会場は絶叫に似た歓声に包まれる。ネイランとロンゴボルギーニがすかさず反応したものの、フォスはペダリングの力を弱めない。

ダンシングで加速し続けたフォス。ゴールまで2kmを残して、独走に持ち込んだ。

先頭でカウベルグをクリアしたフォスが、大観衆が待つゴール地点に独走のままやってきた。カウベルグで稼ぎ出したリードを守りきり、最後は観客からオランダ国旗を受け取る余裕を見せてゴールに飛び込んだ。
独走でゴールにやってきたマリアンヌ・フォス(オランダ)独走でゴールにやってきたマリアンヌ・フォス(オランダ) photo:Kei Tsuji
表彰台、左から2位レイチェル・ネイラン(オーストラリア)、優勝マリアンヌ・フォス(オランダ)、3位エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア)表彰台、左から2位レイチェル・ネイラン(オーストラリア)、優勝マリアンヌ・フォス(オランダ)、3位エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア) photo:Kei Tsuji5年間の空白期間を経て、フォスが表彰台の真ん中に戻ってきた。「最後のカウベルグでは、一番キツイから全開で行った。ラスト1500mは向かい風が吹いていて本当に苦しかったけど、このコースは今までに100,000回は走っている。その経験が活きたと思う」。

「今年は本当にアメイジングな一年だった。シクロクロス世界選手権で優勝したけど、そのあと鎖骨を骨折。目標として掲げたジロ・デ・イタリア(女子版)で総合優勝して、ロンドン五輪で金メダルを獲得し、UCIワールドカップで総合優勝。そしてこの勝利。本当に信じられない」。

シクロクロスで5回、トラックレースで2回(ポイントレースとスクラッチレース)世界チャンピオンに輝いている25歳のフォス。ロード世界選手権で優勝するのは2006年以来2回目だ。

ロード世界選手権2012エリート女子ロードレース
1位 マリアンヌ・フォス(オランダ)               3h14'29"
2位 レイチェル・ネイラン(オーストラリア)            +10"
3位 エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア)            +18"
4位 アンバー・ネーベン(アメリカ)                +33"
5位 アンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ)           +55"
6位 ロッセッラ・ラット(イタリア)               +3'40"
7位 リンダ・ヴィルムセン(ニュージーランド)          +4'37"
8位 ユーディト・アルント(ドイツ)
9位 エマ・ヨハンソン(スウェーデン)
10位 パウリーナ・ブルジェズナベントコウスカ(ポーランド)
DNF 萩原麻由子(サイクルベースあさひレーシング)

text&photo:Kei Tsuji in Limburg, Netherlands
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