2008年以来、2回目のブエルタ・ア・エスパーニャの総合優勝を遂げたアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・ティンコフバンク)。第20ステージ後に総合優勝をほぼ確定させた際の記者会見の様子と、第21ステージ後のコメントを紹介する。

なお、コンタドールは総合敢闘賞も受賞している。

表彰台でアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・ティンコフバンク)のポーズが炸裂表彰台でアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・ティンコフバンク)のポーズが炸裂 photo:Unipublic-- ブエルタでの総合優勝を確定させたことについて

信念があった。グランツールで優勝することは、つねに困難が付きまとう。勝利にはどれだけの犠牲が必要かを知っている人は少ない。この3週間のあいだ、つねにベストな状態ではなかった。それは半年間もレースの現場から離れていたことが原因かもしれなかった。
自分がブエルタに参戦するとなれば、総合優勝候補になり、倒されるべき相手となることはわかっていた。ライバルたちと比べて、今年はレースしていないという不利な材料があっても、そうなってしまう。つまり、苦しむ準備はしっかり用意されており、本当にとてもハードだった!

-- 肉体の強さよりも意志の力が勝った? ブエルタに勝てるかどうか自分を疑ったことは?

マイヨロホを着て地元マドリードに凱旋したアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・ティンコフバンク)マイヨロホを着て地元マドリードに凱旋したアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・ティンコフバンク) photo:Unipublicそれはわからない。強い意志を持つことと、型にはまらない闘い方は自分のレースのスタイルだ。そうやって優勝してきた。
2回目の休息日の後、この赤い総合ジャージを獲得することの難しさがわかった。同時に、まだいくつか方法が残されていることも気づいた。確信がなければ、フエンテ・デに向かう途中でアタックすることはなかっただろうし、総合2位の座を争うことになっていたと思う。

-- ステージ優勝を信じてなかった人について一言を

ぼくは誰かにメッセージを送るというようなタイプじゃない。この世界では、自分のことを信じてくれる人と、そうじゃない人がいる。メッセージがあるとすれば、自分のことを助けて応援してくれた人に感謝したい。それが排水溝の中からだろうと、ソーシャルネットワークからだろうと関係ない。世間の人々からのサポートが励みになって、ぼくはブエルタでの優勝を目指して頑張ってトレーニングできた。

-- グランツールの優勝経験を振り返って、プリト(ホアキン・ロドリゲス)は最強のライバルだった?

最終日限って言えば、ノーだ。自分が優勝したグランツールのすべてでも言えることだ。プリトはとても強かった。急勾配での一騎打ちでは、彼のアタックで、ぼくが突き放された。でも、ぼくは過去にも何度も困難な状況を経験してきた。2007年のタイムトライアルでの決着、2008年のジロデイタリアの山岳タイムトライアル、同年のブエルタでもリーヴァイ・ライプハイマーと一騎打ちしなければならなかった。

-- 今回のブエルタでは山岳ステージでの勝利がなかったことについて

エルナンデスと笑顔でゴールするアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・ティンコフバンク)エルナンデスと笑顔でゴールするアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・ティンコフバンク) photo:Cor Vosたしかに勝てなかった。他のレースに比べて、勝利しにくかった。今でも苦々しく思っている。自分のキャリアのなかでは、(第17ステージの)フエンテ・デほど感激したものは覚えていない。もしかするとこんなにも感激したのはオーストラリアでの優勝(※)以来かもしれない。

※ブエルタ・ア・アストゥリアスで深刻な事故を起こした後、翌2005年に復帰したアー・ダウン・アンダーでのステージ優勝

-- 自転車レースについて話すときは慎重になる理由について

あのハードな時間を過ごすことができて喜んでいるから。これまで自分に対してはたくさんのプレッシャーがあった。けれど、いまは信念だけがある。ぼくたちが競い合うことでブエルタがとても充実したレースになったことがわかった。そして、そのスペクタクルが自転車競技というスポーツに大きなメリットをもたらした。誰もがこの3週間のレースに熱狂したという声ばかりが届いている。

-- 2012年のマドリードの後は、2013年のパリが念頭にあるのでは?

スペイン人選手によって占められた総合表彰台スペイン人選手によって占められた総合表彰台 photo:Unipublic今は2012年のマドリードのことを味わいたい。来年については、まだ自分のレースプログラムのことがわからない。ツール・ド・フランスへの参加はもちろん可能性はあるが、まずは各レースのコースの特徴を知ってから、自分に最適なスケジュールを選びたいと思う。
(第20ステージ終了後の記者会見より)

無数のプレッシャーもなくなって、いまは解放感に満ちている。自分の努力と、その成果に満足している。それから、このスペクタクルな展開を感謝してくれている人がいて喜ばしい。実際には、ぼくのほうが感謝すべきだ。
最後までワイルドで予想不可能なブエルタだった。長い歴史のなかでも屈指の名レースだったと思う。

ひとつだけ確実に言えるのは、勝利は自分にさらなる自信をもたらし、それが次の勝利に繋がるということだ。そうでなければ、いつまでも細かいことにこだわることになってしまう。いまは世界選手権の個人タイムトライアルとチームタイムトライアルを次の目標にしている。


※コメントは公式プレスリリース、チーム公式リリースより抜粋編集


text: Seiya.YAMASAKI
photo: kei.Tsuji, CorVos, Unipblic

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