休養日前の山岳頂上ゴール3連戦の初日となるブエルタ・ア・エスパーニャ2012第14ステージ。最後の登りでは四強からフルームがこぼれたところでコンタドールがアタックし独走。残り150mで追いついたホアキン・ロドリゲスが一騎打ちに持ちこみ、ステージを制して総合1位を守った。

ステージ優勝・総合1位・ポイント賞・複合賞のホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)

ステージ3勝目を飾ったホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)ステージ3勝目を飾ったホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) photo:Kei Tsuji(チームメイトのロサダが逃げに入ったことについて)序盤から弾丸のような高速ステージだった。スタートから2〜3kmで、サクソバンクが発生した逃げ集団を容認して、レースをコントロールした。チームメイトのアルベルト・ロサダが先頭集団に入っていて、ダニエル・モレーノがぼくの近くにいたことが結果として良かった。コンタドールが最初にアタックしたときは、彼のチームのラファル・マイカが巧く割り込んできて、付こうとすら思わなかった。ぼくが動こうとすると、おそらく彼がつぶしに来て、難しい状況になることは予想できた。その後は、最後の瞬間まで待って、彼のアタックに対応できた。

(プエルト・デ・ロス・アンカレスの最後1kmのハイペースについて)自分が絶好調なのはまちがいない。最後の登りは、とても速かった。残り3kmでのコンタドールとバルベルデのアタックには対応できなかったので「今のようなスピードが続くなら、この赤い総合ジャージは守れないかもしれない」と思った。今日のステージの終盤は戦術的な走りができた。それからダニエル・モレーノがアシストとしてよく働いた。彼は残り1km地点のフラムルージュまでしっかり仕事してくれたので、勝つことができた。

1級山岳アンカレス峠でペースを上げるアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・ティンコフバンク)1級山岳アンカレス峠でペースを上げるアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・ティンコフバンク) photo:Unipublic(クリス・フルームについて)彼が終わったとは、まったく思わない。彼は、ぼくらが高速で走っている横をモーターバイクのようなスピードで追い抜いていった。ゴール付近は勾配が厳しかった。あそこで大切なのは着実に走ることで、興奮したり、ペースアップすることではない。彼は困難な区間が終わった後でアタックしたが、そのせいで最後に少し遅れることになった。しかし、彼は(現状の)優勝争いから確実に脱落したわけではない。彼はまだブエルタで勝つ可能性はある。タイム差1分なんて僅かな量だ。仮に、僕らのうちの誰かにバッドデイ(調子の悪い日)が訪れでもしたら、それだけで最終日のポディウムの運命が決まってしまう。


総合2位・ステージ2位のアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・ティンコフバンク)

今日はすごく調子が良かった。プリト(ホアキン・ロドリゲス)以外に差を付けることができたので満足している。調子も上がってきている。山岳ステージ3連戦の第1ステージめは、ぼく向きだったし、チームメイトもしっかり働いてくれた。でも、今日はプリトがすごく強かった。あんな登りの頂上では、彼に対抗するのは難しい。


総合4位・ステージ3位のアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)

ステージ3位のアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)ステージ3位のアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) (c)CorVosずっとハードな一日だった。ステージ全体のペースはサクソバンクが作っていたけど、ハイスピードだった。彼らには感心する。脚は良く反応してくれて調子も良いけど、全部のアタックに対応する勇気が少し足りなかった。全部のアタックに付いていけなかった。自分のペースを守らなきゃいけなかった。
ライバルたちは弱くはない。コンタドールは調子が良さそうだし、プリト(ホアキン・ロドリゲス)の好調ぶりは手がつけられない。ぼくたち3名は13秒差以内でゴールしたので、その結果には満足している。コンタドールとプリトと僕の3名が、ブエルタの最後まで総合上位をキープしそうだ。今のところステージ2勝と3回のステージ3位という成績だ。最終日のマドリードでのポディウムを予約しておく。

総合3位・ステージ5位のクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)

ステージ5位のクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)ステージ5位のクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) (c)CorVos最後の登りでは、チームメイトに一定のペースを守るようにお願いした。コンタドールと(ホアキン・)ロドリゲスにできるだけ近づいておく戦略だった。残り1.5kmで彼らに追いついたとき、コンタドールだけが前にいることがわかった。ロドリゲスに数秒でも差を付けられるかもしれないと思ってアタックしたけど、彼らに追いつかれてしまった……そのうえ抜かれてしまった! 
たぶん、ぼくは後方から追い上げたので、ロドリゲスがさらに加速できるだけの力があることを見誤ってしまったのだろう。しかし、あれは総合ジャージを狙えるアタックだった。同時に、彼ら(ロドリゲスとバルベルデ)が、僕に対抗措置を行なう十分な理由にもなった。彼らの燃料タンクは空っぽじゃなかった。たっぷり残っていたんだ! 彼らは、ぼくを再び抜き去り、ロドリゲスはコンタドールを抜いてステージ優勝してしまった。圧倒的だった。

今日は壮大なショーを演出できたかって? たしかにテレビの前の視聴者に、おもしろいものを提供できたにちがいない……タイムを失ったことが残念だ。でも、今日の締めくくりとして、次のことを忘れないようにしたい。ぼくはブエルタに勝つために、ここに来ている。前にも言った通り、ぼくはチームメイトと共にできる限りのことをする。僕たちがタイムを失ったのは、決して努力が不足していたわけじゃない。自分がツール・ド・フランスよりレベルが落ちているかどうかもわからない。僕はどの場所で好調だったのだろう? それもわからない。自分ではツールより調子が良いと感じているから、大多数の人が言うことがわからない。ブエルタのライバルたちは、ツール・ド・フランスのライバルより強いとは言わない。選手のタイプが異なっているからだ。彼らはツール・ド・フランスのライバルよりも圧倒的な爆発力とパンチ力を秘めている。ブエルタのコースについても、同じことが言える。

サクソバンク・ティンコフバンクのブラッドリー・マクギー第2監督

チームプランを立てていたが、ステージ中はそのプランをまったく変更する必要がなかった。チームとしての走りにも、そして責務を果たしたことにも満足している。プリトが絶好調なのは明らかだ。うちのチームの選手たちから今日確認できたことは、今後のステージに向けて大きな励みになった。ブエルタでの優勝については楽観的なままだ。

集団内で前ステージの活躍を褒められる土井雪広(アルゴス・シマノ)

レース後すぐにサラダとフルーツを食べる土井雪広(アルゴス・シマノ)レース後すぐにサラダとフルーツを食べる土井雪広(アルゴス・シマノ) photo:Kei Tsuji今日はオーダーなし。良いグループを見つけ、ゴールすること。自由に走りました。自転車を楽しんで(^_^) 疲れてるけど脚も調子良いしすいすい上れてるから勝負してみようかなぁとか思ってはみたものの、勝てない勝負はやめておこうということで、ラストの坂に入ったところかな?ラスト13キロ前後?から集団にお別れをし離れてゆっくり走りました。まだまだ働かなければならない日はやってきますからね。体力温存。

総合を狙うチームにとってもちろんドラマがある日の今日、僕らあんなハードなシチュエーションでほぼコントロールしきったチームは他のチームからもビックリスペクトなのであります。笑

「あんなハードな仕事俺らにはできないよ。すごい良い仕事だった。」
多くの選手からそういった労いの言葉が沢山あって、勝てなかったけど、そこまで持っていった過程に対しての反響はすごかった。どうやって走ったか覚えていない!って僕自身冗談を交えながらスタート前の集団内では笑いが絶えなくて楽しかったですわ。

さて明日明後日で休息日。それを人参だと思って明日から馬のように走りたいと思います。
(土井雪広のブログより)


コメントはプレスリリース、チーム公式サイト、選手個人サイト、TVインタビュー、twitterなどより。


text: Seiya.YAMASAKI
photo:kei.Tsuji,CorVos,Unipblic