ツール・ド・フランス山岳最強の証、それがマイヨブラン・ア・ポワ・ルージュ(略してマイヨアポワ)。他の3賞ジャージが単色であるのに対して、このマイヨアポワはホワイトジャージに赤玉を配した奇抜なデザイン。プロトンの中でも判別は容易だ。

昨年マイヨアポワを初受賞したサムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル)昨年マイヨアポワを初受賞したサムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル) photo:Makoto Ayano昨年、山岳賞のポイント配分に手が加えられ、カテゴリー山岳でポイントを獲得する人数が減少した。なお、難関山岳ステージ(第7・11・17ステージ)の頂上ゴールの山岳ポイントが2倍計算になるシステムは今年も継続している。

4級山岳25回先頭通過と、超級山岳1回先頭通過が同ポイント。つまり、マイヨアポワを狙うためには、単純に難易度の高いカテゴリー山岳を狙わなければならない。

中級山岳ステージで逃げてポイントを加算するのではなく、アルプスやピレネーの難関山岳でポイントを量産する真のクライマーがマイヨアポワの候補に挙がる。

カテゴリー山岳のポイント配分
・超級山岳 1位25pts、2位20pts、3位16pts、4位14pts、5位12pts、6位10pts、7位8pts、8位6pts、9位4pts、10位2pts
・1級山岳 1位10pts、2位8pts、3位6pts、4位4pts、5位2pts、6位1pt
・2級山岳 1位5pts、2位3pts、3位2pts、4位1pt
・3級山岳 1位2pts、2位1pt
・4級山岳 1位1pt

4年連続ブエルタで山岳賞に輝いたダヴィ・モンクティエ(フランス、コフィディス)4年連続ブエルタで山岳賞に輝いたダヴィ・モンクティエ(フランス、コフィディス) photo:Kei Tsuji昨年は総合狙いの選手たちが山岳賞ランキングの上位を席巻。マイヨアポワ狙いに切り替えたサムエル・サンチェス(スペイン)がアンディ・シュレク(ルクセンブルク)を振り切って山岳王に初めて輝いた。

ここでは、総合上位に入るようなオールラウンダーではなく、純粋にマイヨアポワを狙うクライマーたちの名前をピックアップして行こう。

昨年プラトー・ド・ベイユを制したイェーレ・ファネンデルト(ベルギー、ロット・ベリソル)昨年プラトー・ド・ベイユを制したイェーレ・ファネンデルト(ベルギー、ロット・ベリソル) photo:Cor Vos2008年から2011年まで、4年連続ブエルタ・ア・エスパーニャで山岳賞&山岳ステージ優勝を果たしているダヴィ・モンクティエ(フランス、コフィディス)は生粋の山岳スペシャリスト。平坦ステージでは全くモチベーションが上がらないという37歳のクライマーは、ツールでステージ通算2勝。しかしまだ山岳賞の経験はない。

モンクティエのチームメイトであるレミ・ディグレゴリオ(フランス、コフィディス)は、ツールで実に7回山岳賞に輝いたリシャール・ヴィランク(フランス)の後継者とも呼ばれたクライマー。5度目のツールに挑む。

ツール・ド・スイスで抜群の登坂力を見せたルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター)ツール・ド・スイスで抜群の登坂力を見せたルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター) photo:Cor Vos昨年プラトー・ド・ベイユの頂上ゴールを制し、マイヨアポワを5日間着たイェーレ・ファネンデルト(ベルギー、ロット・ベリソル)は、エースをアシストしながら昨年の山岳賞3位以上を目指す。

その他、ルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター)やブリース・フェイユ(フランス、ソール・ソジャサン)と言ったサブエース級のクライマーたちが山岳賞を狙ってくるだろう。

2010年にパリでマイヨアポワを受け取ったアントニー・シャルトー(フランス、ユーロップカー)は、再び山岳王の栄光に輝くことは出来るだろうか。毎年山岳ステージで熱い走りを見せるクリスアンケル・セレンセン(デンマーク、サクソバンク・ティンコフバンク)は、チームのエースとして山岳に照準を合わせているはずだ。


ツール・ド・フランス2011山岳賞ランキング
1位 サムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル)         108pts
2位 アンディ・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック)    98pts
3位 イェーレ・ファネンデルト(ベルギー、オメガファーマ・ロット)   74pts
4位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)    58pts
5位 フランク・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック)    56pts
6位 アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・サンガード)  51pts
7位 ジェレミー・ロワ(フランス、FDJ)                45pts
8位 ピエール・ロラン(フランス、ユーロップカー)           44pts
9位 マキシム・イグリンスキー(カザフスタン、アスタナ)        40pts
10位 ジョニー・フーガーランド(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)   40pts

歴代のマイヨアポワ受賞者
2011年 サムエル・サンチェス(スペイン)
2010年 アントニー・シャルトー(フランス)
2009年 フランコ・ペッリツォッティ(イタリア)※ドーピング違反により失格
2008年 ベルンハート・コール(オーストリア)※ドーピング違反により失格
2007年 マウリシオ・ソレール(コロンビア)
2006年 ミカエル・ラスムッセン(デンマーク)
2005年 ミカエル・ラスムッセン(デンマーク)
2004年 リシャール・ヴィランク(フランス)
2003年 リシャール・ヴィランク(フランス)
2002年 ローラン・ジャラベール(フランス)
2001年 ローラン・ジャラベール(フランス)
2000年 サンティアゴ・ボテーロ(コロンビア)
1999年 リシャール・ヴィランク(フランス)
1998年 クリストフ・リネロ(フランス)
1997年 リシャール・ヴィランク(フランス)
1996年 リシャール・ヴィランク(フランス)
1995年 リシャール・ヴィランク(フランス)
1994年 リシャール・ヴィランク(フランス)
1993年 トニー・ロミンガー(スイス)
1992年 クラウディオ・キャプッチ(イタリア)
1991年 クラウディオ・キャプッチ(イタリア)
1990年 ティエリー・クラヴェロラ(フランス)

text:Kei Tsuji in Liege, Belgium

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