2012年ツール・ド・フランスの台風の目となり得るイギリスのチームスカイが、出場メンバー9名を発表した。マイヨジョーヌ候補のブラドレー・ウィギンズ(イギリス)とアルカンシェルを着るエーススプリンターのマーク・カヴェンディッシュ(イギリス)を中心にした布陣だ。

パリ〜ニース、ロマンディ、ドーフィネを制したブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)パリ〜ニース、ロマンディ、ドーフィネを制したブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ) photo:Kei Tsuji「才能に溢れた厚い選手層を誇るチームメンバーの中から、最終的に9名を選び出すことは非常にタフなチャレンジだった。強力で、バランスの取れたメンバーを揃えていると自負している」。そう語るのは、チーム代表を務めるデーヴ・ブレイルスフォード氏。

マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームスカイ)マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームスカイ) photo:Kei Tsujiエースを担うのは、6度目の出場となる“ウィゴ”ことブラドレー・ウィギンズだ。今年パリ〜ニース、ツール・ド・ロマンディ、クリテリウム・ドゥ・ドーフィネを立て続けに制したウィギンズは、これまでに無いほどコンディションの良い状態でツール制覇に挑む。タイムトライアルの比重が高い今年のツールにおいて、ウィギンズを総合優勝候補に推す声は大きい。

山岳ステージでウィギンズは、昨年ブエルタ・ア・エスパーニャ総合2位のクリス・フルーム(イギリス)の他、リッチー・ポルト(オーストラリア)やマイケル・ロジャース(オーストラリア)の強力なバックアックを受ける。

そして平坦ステージでは世界チャンピオンのマーク・カヴェンディッシュが前に出る。ウィギンズの大会制覇に照準を合わせているため、いわゆるトレインを組んでゴール前を席巻するほどのメンバーではないが、カヴェンディッシュの相棒ベルンハルト・アイゼル(オーストリア)は健在。心強い平坦系アシストのクリスティアン・クネース(ドイツ)やカンスタンティン・シウトソウ(ベラルーシ)らが揃う。「我々のプライオリティー(最優先事項)はウィギンズの総合成績だが、決してスプリントステージを無視するわけではない。マークはポイント賞ジャージを狙う」とブレイルスフォード氏。

エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー)はカヴェンディッシュの最終発射台として活躍が期待されるが、同時に、カヴが残れないような起伏あるステージではエーススプリンターを担う。脚質が異なる2人のスプリンターの存在は、ステージ優勝量産に繋がる。様々な角度からステージ優勝を狙えるメンバーが揃っている。

ブラドレー・ウィギンズ(イギリス)コメント
「ツール・ド・フランスを迎えるにあたり、これほど強力な布陣の一員になることを誇りに思う。ツールに向けたチームの準備はここまでパーフェクト。今シーズンここまでの走りが、成功のチャンスを約束してくれている。この瞬間(開幕)を長い間待ち続けていたし、ツールで勝つために必要なことを全て行なってきた。自分たちのため、そしてファンのために、イギリス史上最高に成功したチームになってみせる」

マーク・カヴェンディッシュ(イギリス)コメント
「こうして母国イギリスの注目を受けながら、しかもマイヨジョーヌ獲得のチャンスがあるチームで走るなんて夢のようだ。チームが総合狙いにシフトしているため、これまで僕が享受していたようなアシスト体制が築けず、過去の成績の再現が難しくなるということは心得ている。でも勝利を求めていく姿勢に変わりはないし、チームスカイにとってもイギリスにとっても大成功のツールになるよう身を捧げるつもりだ」

チームスカイ ツール・ド・フランス2012出場メンバー
エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー)
マーク・カヴェンディッシュ(イギリス)
ベルンハルト・アイゼル(オーストリア)
クリス・フルーム(イギリス)
クリスティアン・クネース(ドイツ)
リッチー・ポルト(オーストラリア)
マイケル・ロジャース(オーストラリア)
カンスタンティン・シウトソウ(ベラルーシ)
ブラドレー・ウィギンズ(イギリス)

text&photo:Kei Tsuji