最終日前日のジロ・デ・イタリア第20ステージは、上りスプリントでフィリップ・ジルベール(ベルギー、サイレンス・ロット)が嬉しいグランツール初勝利を掴んだ。マリアローザ争いは最終日ローマの個人タイムトライアルで決着がつけられる。

ナポリの交通事情に意気消沈

エクトール・ゴンザレス(スペイン、フジ・セルヴェット)が驚異の柔軟性を披露エクトール・ゴンザレス(スペイン、フジ・セルヴェット)が驚異の柔軟性を披露 photo:Kei Tsuji南イタリアの中心都市ナポリ。「ナポリを見てから死ね」ということわざがあるぐらい、“遠目から見れば”ナポリ湾に面した美しい街だ。前日のヴェスヴィオ山から見たナポリの街の美しかったこと! しかし、いざ街の中に入ってみるとそこは大混雑の喧噪、クラクションの嵐。「(クルマを運転しながら)ナポリを見ていると死ぬ」。

歴史あるナポリの名誉のためにも、短所を書き連ねるのは避けたい。しかしクルマを運転しながら叫びたくなった部分だけでも書き留めておくことにする。

ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ディキジョヴァンニ)が真似をするがダメミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ディキジョヴァンニ)が真似をするがダメ photo:Kei Tsujiウインカーを出さずに車線変更&右折左折は日常茶飯事で、信号も100%守られているとは言い難い。逆走するクルマ有れば、かなり無理矢理追い越しするクルマ有り。隙あれば(隙が無くても!)グイッと車線変更して目の前に入ってくる。信号が青になると、先頭のクルマが発進していても後方からクラクションが鳴る。

しかも大通りもガタガタの石畳で、道を半分以上塞ぐような二重縦列駐車も有る。明らかに他の街と事情が違う。完全にみんなマイペースだ。

いよいよスタートだねいよいよスタートだね photo:Kei Tsujiそんな交通事情に意気消沈してスタート地点に到着。朝方は小雨が路面を濡らしたが、海沿いのスタート地点に選手が到着する頃には青空も顔を出した。

「それぐらい知ってるわい」と突っ込まれることを承知で追記すると、1.スパゲッティー・ナポリタンはナポリ発祥ではない。2.ダニーロ・ナポリターノ(イタリア)はナポリ出身ではない(シチリアだ)。3.ナポリは鹿児島市の姉妹都市で、同市西部にはVia Kagoshima(鹿児島通り)がある。何かとネタの宝庫だ。

そんなナポリは、キエーティをスタートしたジロ第1回大会第3ステージのゴール地点。当時としては短めの242kmコースの終点として登場した。短めと言ってもアドリア海からティレニア海までイタリア半島を横断するわけだが。


ジルベールが見せた最高の笑顔

ヴォクレールの追撃を振り切るフィリップ・ジルベール(ベルギー、サイレンス・ロット)ヴォクレールの追撃を振り切るフィリップ・ジルベール(ベルギー、サイレンス・ロット) photo:Kei Tsujiこの日の第20ステージはナポリを起点に、終着地ローマに向かって200kmを北上。1303年にローマ教皇ボニファティウス8世がフランス国王フィリップ4世がに捕らえられた「アナーニ事件」の舞台が、この日のゴール地点だ。

最後は標高400mの丘の上に位置するアナーニを周回。ラスト2.7kmから平均勾配4.7%、最大勾配7%を駆け上がるが、実際に歩いてみるとピュアスプリンターでもパワーで乗り越えれるほどの上りだと感じた。

最高の笑顔でシャンパンを開けるフィリップ・ジルベール(ベルギー、サイレンス・ロット)最高の笑顔でシャンパンを開けるフィリップ・ジルベール(ベルギー、サイレンス・ロット) photo:Kei Tsuji「今日はディルーカに代わってペタッキが活躍するぜ!」会場はそんな雰囲気。しかしこの日のペタッキはアシストに徹してスプリントに絡まず、強烈なアタックで飛び出したフィリップ・ジルベール(ベルギー、サイレンス・ロット)が単独で最終ストレートに飛び込んできた。

今シーズンここまでツキに見放され、散々なレースを繰り返していたサイレンス・ロットが優勝。これまでも数えきれないほどアタックを繰り返していたジルベールが、グランツール初勝利を飾った。ステージ上で見せた笑顔の輝きは、今大会ここまで見た笑顔の中でナンバーワンだ。


毎日レース終了後に繰り広げられる撤収作業

メンショフが落としたシャンパンコルクのカバーメンショフが落としたシャンパンコルクのカバー photo:Kei Tsuji毎日最終の選手が通過すると、すぐさま撤収作業が始まる。大型トレーラーがコースに陣取り、無数のフェンスが次々と積まれていく。表彰台や観戦スタンドも然りで、撤収作業のためレース終了後数時間はゴール地点が完全に通行止めに。何台もの大型トラックに機材を積み終えると、休むまもなく次のゴール地点に向かう。

プレスルームで仕事を終えてコースに戻ると、さっきまでの華やかなゴール地点がもぬけの殻になっていて驚くこともしばしば。これと同じことがスタート地点でも毎日繰り広げられている。

一体このフェンスは何トン分あるのだろう・・・一体このフェンスは何トン分あるのだろう・・・ photo:Kei Tsujiちなみにスタートやゴールの沿道フェンスに張られるスポンサーのバナーは、ロールに巻かれて大量にストックされている。再利用出来る部分は折り畳んで翌日も使うが、大半は新しいバナーをバンバン使う。ジロの3週間で一体何kmのバナーが消費されたのだろう。

長いジロも残すところ1ステージ。撤収作業に携わるスタッフの足取りも軽やかだ。