最終ステージで逆転マリアローザを獲得し、初のグランツール勝利。そしてグランツールを制した初のカナダ人となったライダー・ヘジダル。そして2年連続のジロ完走を成し遂げた別府史之。3週間の激闘を振り返る。

総合優勝 ライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・バラクーダ)

平坦路を快走するライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・バラクーダ)平坦路を快走するライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・バラクーダ) photo:Riccardo Scanferla僕はこのジロを戦わなければならなかった。ステルヴィオ峠からヘリコプターで下山してミラノへと降り立って、まだ(最終ステージを)戦わなければならないとわかっていた。
試走をしたときに信じられないほどの調子の良さを感じていて、タイムトライアルで何かできると自信があった。

マリアローザにキスをするライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・バラクーダ)マリアローザにキスをするライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・バラクーダ) photo:Kei Tsuji最初にマリアローザを引き寄せた時、調子の良さをわかっていたし、素晴らしい事を成し遂げたと感じていたんだ。そしてそのことが僕をハードに走らせてくれた。
ライバル達からの賞賛は僕に自信を与えてくれた。彼らは偉大なチャンピオンで本当に尊敬している。でも第3週目に入ったら僕は僕自身の走りをした。ジロで勝てるとわかっていたんだ。

優勝トロフィーをミラノの空に掲げるライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・バラクーダ)優勝トロフィーをミラノの空に掲げるライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・バラクーダ) photo:Riccardo Scanferla僕の成功は一貫したハードワークによるもので、ずっと少しずつではあるけど進化しているんだ。2010年のツール・ド・フランスでは僕の能力を示すことができたと思うんだ。2011年のツールでは問題を抱えていたけれど、3週間目には成績を残すことができた。今年はこのジロ・デ・イタリアに100%照準を合わせてきたし、チームは僕をリーダーにすると言ってくれたんだ。

こんな規模の大きなレースでリーダーを任されるなんて、そう多くあることではない。だから僕はコンディション良く参加して、最善を尽くしたかった。チームは素晴らしく、僕に全てを尽くしてくれた。自分のベストなレースをすることによって、徐々に駒を進めることできたんだ。それが今回の勝因だよ。

チームメイトは僕が思っていた以上に凄く良く働いてくれたよ。皆が僕の事を特別誇りに思ってくれているし、僕は彼らが成し遂げてくれたことをさらに誇りに思うよ。スーパーチーム賞(チームポイントの総合成績)で皆で一緒に表彰台に立てたことは素晴らしいこと。今日はいい夜になりそうだね。

自国カナダで、カナダ・タイヤ(総合ホームセンター)にピンクのガーミン・バラクーダチームのジャージを探しに来た人がいたっていうツイートを見たよ。僕はまだ国の状況がわからないけど、カナダの人たちは今、自国に何が起こったのか知っている。カナダのサイクリング界はジロ・デ・イタリアに感謝していると思う。そして僕のこの勝利が長期的に良い影響を与えていけばと思っているんだ。


総合2位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)

僕は本当にこのジロ・デ・イタリアを勝つことができると思っていた。負けを受け入れるのは本当に難しいよ。僕はいつも勝つためにレースを走る。僕はそんなレーサーなんだ。バイクに乗っているときはいつもハッピーなんだ。自転車レースは僕の情熱。次のレース、ドーフィネを目指すよ。

総合2位のホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)総合2位のホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) photo:Kei Tsuji総合3位で3週間の闘いを終えたトーマス・デヘント(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM)総合3位で3週間の闘いを終えたトーマス・デヘント(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM) photo:Kei Tsuji

総合3位 トーマス・デヘント(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM)

ベルギー人ライダーがグランツアーの総合成績でポディウムに立つことはそう無いこと。だから僕の総合3位はとても大きなリザルトだと思う。ヘジダルとロドリゲスと一緒に表彰台に立てたことを誇りに思うよ。
3日前まで、総合10位に入ることは現実的だと思っていた。でも総合3位になれたことは今でも本当に信じられない。僕にとってはまだ2度目のグランツールで表彰台に上がれたなんて、本当に信じられないこと。
ベルギーでの反応は、まだ家に帰っていないので分からないけれど、きっと良い反応はあると思う。

山岳賞を守りきったマッテーオ・ラボッティーニ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ)山岳賞を守りきったマッテーオ・ラボッティーニ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ) photo:Riccardo Scanferla山岳賞 マッテオ・ラボッティーニ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ)

ジロ・デ・イタリアの総合表彰台でこのジャージを着ることができてできて、本当に嬉しいよ!この後僕はメリンダやスロベニアのレース、そしてイタリア選手権を走る。これに向けて集中していくけれど、でもこのジロで残すことのできた結果が本当に嬉しくて満足しているよ。


ステージ優勝を飾ったマルコ・ピノッティ(イタリア、BMCレーシングチーム)ステージ優勝を飾ったマルコ・ピノッティ(イタリア、BMCレーシングチーム) photo:Kei Tsujiステージ優勝を飾ったマルコ・ピノッティ(イタリア、BMCレーシング)

昨年のジロ・デ・イタリアで僕は落車リタイヤを喫してしまった。だからこの勝利はその分のお返しになるね。今年は落車で総合圏外に落ちてしまった時から、このタイムトライアルを勝つために狙ってきたんだ。どんなときも最終ステージの優勝は難しいけれど、今日僕は成し遂げることができた。

総合の表彰台にイタリア人選手がいないということは、ジロ・デ・イタリアが国際化してきている象徴だと思うよ。でも多くのイタリア人ライダーが将来に向けてのポテンシャルを見せる結果を出したと思うよ。


2年連続のジロ・デ・イタリア完走を果たした別府史之(オリカ・グリーンエッジ)

スタート前に紹介を受ける別府史之(オリカ・グリーンエッジ)スタート前に紹介を受ける別府史之(オリカ・グリーンエッジ) photo:Kei Tsuji今年もやっぱり厳しいジロでしたが、去年と違った大会で、楽しむことができました。今年は最初の1週間はチームのステージ優勝とチームタイムトライアルを大きな目標として走り、昨晩チーム監督と話した時にすごくよくやってくれたという評価をもらえました。

昨年と違い、力を入れるところは入れ、力を抜くところは抜いたので、山岳を乗り越えられました。自分の総合順位は考えていなかったので、すごく充実したジロ・デ・イタリアを走ることができました。

ステージ71位の別府史之(オリカ・グリーンエッジ)がゴールステージ71位の別府史之(オリカ・グリーンエッジ)がゴール photo:Kei Tsujiレース中はあり得ないようなことが何度も何度も起こりましたが、それも楽しみながら走りました。昨日のモルティローロではグルペットの中で"なんだこれ!" という声がたくさん(笑)。その後も2700m登ったりして、"グランデ・ジロ"だな、と。

観客、関係者を含めて本当にたくさんの方から声を掛けていただいて、他の選手からうらやましがられるほどで、それが励みになりました。

ゴール直後、J-SPORTSの電話インタビューを受ける別府史之(オリカ・グリーンエッジ)ゴール直後、J-SPORTSの電話インタビューを受ける別府史之(オリカ・グリーンエッジ) photo:Kei Tsuji何度も逃げに乗るように努力はしていましたが、タイミングが合わずに悔しい思いをしました。でも運もあるし、逃げに乗った時は(結果)チームのアシストをこなすことができましたね。(その時は)自分としてはもう少し走りたかったのですが、他の選手があまり協力的ではなかったために強力な逃げにならず、残念でした。このレースの厳しさに、改めてジロを好きになりました。

この後のレースの予定は未定ですが、1週間ほどゆっくりと身体を休めたいと思います。オリンピックの準備などのために日本へ戻るので、満喫したいですね。

TTのゴール後沢山のファンに囲まれてレースを終える事ができて幸せでした。皆さんありがとう!Grazie a tutti Grazie Giro d'Italia(ありがとう皆、ありがとうジロ・デ・イタリア)!!


選手コメントはレース公式リリース、チームサイト、Twitter、J-SPORTS電話インタビューより。


text:So.Isobe
photo:kei.Tsuji,Riccardo.Scanferla

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