アップダウンに富んだハードなコースでトップタイムを叩きだしたのはキャプテンアメリカのスキンスーツに身を包んだデーヴィッド・ザブリスキー(アメリカ、ガーミン・バラクーダ)。同時にリーダージャージにも袖を通した。

ただ一人36分を切るタイムを出したデーヴィッド・ザブリスキー(アメリカ、ガーミン・バラクーダ)ただ一人36分を切るタイムを出したデーヴィッド・ザブリスキー(アメリカ、ガーミン・バラクーダ) (c)www.amgentourofcalifornia.com

ツアー・オブ・カリフォルニア第5ステージはベイカーズフィールドを発着点とする29.7kmの個人タイムトライアル。この日、カリフォルニア中部は気温38度という過酷な夏日となった。

山がちなハードなコースとあって、ここまでにステージ4連勝を挙げているペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)は、昨日のうちに「明日はイエロージャージにグッバイを言う日だね。タイムを失うことは目に見えているから、体力の回復に充てることにするよ。そしてもう一勝を狙いたい」とコメント。予めリーダーの座を明け渡す覚悟を決めていた。

2位のイェンス・フォイクト(ドイツ、レディオシャック・ニッサン)2位のイェンス・フォイクト(ドイツ、レディオシャック・ニッサン) c)www.amgentourofcalifornia.com総合タイムの悪い選手からスタートしていくなか、最初に注目すべきタイムを出したのはマーティン・チャリンギ(オランダ、ラボバンク)の36分52秒。独走力に長けた走りが、まずは上位の目安となった。

チャリンギの走りを19秒上回ったのはイェンス・フォイクト(ドイツ、レディオシャック・ニッサン)。
そしていよいよ本命、TTスペシャリストのデーヴィッド・ザブリスキー(アメリカ、ガーミン・バラクーダ)がコースに飛び出ていく。ザブリスキーはキャプテンアメリカのスキンスーツに身を包み、低いエアロポジションでスピードに乗せていく。サーベロの新型TTバイク P5を駆り、上りも快調に攻めていく。上体の揺れない静かな走りだが、前走者のフィリップ・ダイグナン(ユナイテッドヘルスケア)をパスしていく。

キャプテンアメリカのスキンスーツに身を包んで疾走するデーヴィッド・ザブリスキー(アメリカ、ガーミン・バラクーダ)キャプテンアメリカのスキンスーツに身を包んで疾走するデーヴィッド・ザブリスキー(アメリカ、ガーミン・バラクーダ) (c)www.amgentourofcalifornia.com総合争いの有力候補、ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)は暫定5位のまずまずのタイムでフィニッシュ。結果的には20位のタイム。

そして注目のリーヴァイ・ライプハイマー(オメガファーマ・クイックステップ)がコースに出ていく。
怪我からの復帰が遅れていたライプハイマーはやはりタイムが伸びず。しかしザブリスキーから1分44秒遅れに抑えたのはさすが。結果的には17位のタイムだ。

明らかに速いザブリスキーは、35分52秒のタイムでゴール、フォイクトに23秒差をつけてひとり36分を切るタイムを叩きだした。そして残りの有力選手たちのゴールを待つ。

後半スタートで上位陣のタイムを更新したのはロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)。長身のクライマーは上りの多いこのコースで本領を発揮し、暫定3位に。しかしアメリカ期待の若手ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)がこれを上回るタイムを出し、ヘーシンクに5秒差をつけ、暫定3位に割り込む。

昨年のツアー・カリ覇者クリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・ニッサン)はトップのザブリスキーから2分50秒を失ってゴール。上りは得意でも、平地のスピードの無さが響いてしまった。

驚きの3位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)驚きの3位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング) (c)www.amgentourofcalifornia.com残るは最終スタートの総合リーダーのサガン。しかしサガンは最初から上りで明らかにスピードが上がらず、スローペースで走る。やはり昨レースのロレース後インタビューの予告通り、上りに苦しみ、明日のステージのために体力をセーブする走りに終止する。
サガンはゴールラインを切るとき観客に「バイバイ」と手を振り、堂々としたポーズを決めてフィニッシュ。リーダージャージはこの瞬間、トップタイムのザブリスキーに移ることになった。

3分27秒遅れたペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)3分27秒遅れたペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール) (c)www.amgentourofcalifornia.com優勝したザブリスキーは言う「このコースは本当に僕にぴったりだった。エアロバーから一度も手を離さずにいけたのは大きなメリットだった。オリンピックメンバーの選考のためにも頑張りたかったんだ」。

2位はフォイクト、3位はヴァンガーデレン。サガンは3分27秒遅れの52位に終わっている。
土井雪広(アルゴス・シマノ)は6分44秒遅れの104位でフィニッシュ。

ステージ優勝とリーダージャージも手にしたデーヴィッド・ザブリスキー(アメリカ、ガーミン・バラクーダ)ステージ優勝とリーダージャージも手にしたデーヴィッド・ザブリスキー(アメリカ、ガーミン・バラクーダ) (c)www.amgentourofcalifornia.comわずか30km弱のタイムトライアルが総合を大きくシャッフルする結果になってしまった第5ステージ。昨ステージまでがすべてゴールスプリントで決していたが、今日は個人の力がそのままタイム差に。
そして明日からの2日間、第6・7ステージのは厳しい山岳ステージとなるため、そこで総合は争われる。そして最後の第8ステージは平坦のスプリントステージ。もちろんサガンの5勝目が期待される。

ついにツアー・カリ総合優勝の期待が膨らむザブリスキーと、4秒差で総合5位につけるチームメイトのタランスキー。アメリカンチームのガーミン・バラクーダにとって、自国最大のレースでの大きな勝利が見えてきている。
続く2ステージの山岳の闘い、とくにバルディ山頂上にゴールするクイーンステージの第7ステージに向け、意欲を語る。
「バルディは難しい。暑いし、勾配は急すぎる。でも総合上位にいるタランスキーとダニエルソンがガーミン・バラクーダにとって戦術的にアドバンテージになるね」。

ツアー・オブ・カリフォルニア2012第5ステージ結果

1位 デーヴィッド・ザブリスキー(アメリカ、ガーミン・バラクーダ)35'59"
2位 イェンス・フォイクト(ドイツ、レディオシャック・ニッサン)+23″
3位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)+34″
4位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)+39″
5位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・バラクーダ)+48″
6位 ピーター・ベリトス(スロバキア、オメガファーマ・クイックステップ)+49″
7位 マーティン・チャリンギ(オランダ、ラボバンク)+53″
8位 ルーク・ダーブリッジ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)+1'01"
9位 トム・ダニエルソン(アメリカ、ガーミン・バラクーダ)+1'07"
10位 ロリー・サザーランド(オーストラリア、ユナイテッドヘルスケア)+1'10"
52位 ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール) +3'27"
104位 土井雪広(アルゴス・シマノ)+6'44"

個人総合成績
1位 デーヴィッド・ザブリスキー(アメリカ、ガーミン・バラクーダ) 20h29'31"
2位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)+34″
3位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)+39″
4位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・バラクーダ)+48″
5位 ピーター・ベリトス(スロバキア、オメガファーマ・クイックステップ)+49″
6位 ルーク・ダーブリッジ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)+1'01"
7位 トム・ダニエルソン(アメリカ、ガーミン・バラクーダ)+1'07"
8位 ロリー・サザーランド(オーストラリア、ユナイテッドヘルスケア)+1'10"
9位 キャメロン・マイヤー(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)+1'26"
10位 マイケル・イリサール(スペイン、レディオシャック・ニッサン)+1'29"

山岳賞
セバスティアン・サーラス(カナダ、オプタム)

ポイント賞
ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)

新人賞
ルーク・ダーブリッジ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)



text:Makoto.AYANO
photo:Mark johnson/CorVos,amgentourofcalifornia
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