2011年のジロ・デ・イタリアのタイトルは、5月3日、正式にミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・ISD)に移った。クネゴを従えるスカルポーニの大会連覇なるか?クロイツィゲルやバッソ、ロドリゲスを中心に繰り広げられると見られるマリアローザ争いに、急遽Fシュレクが加わった。

1年越しでミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・ISD)の手元にやってきた優勝トロフィー1年越しでミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・ISD)の手元にやってきた優勝トロフィー photo:Kei Tsuji昨年ミラノでマリアローザを受け取ったアルベルト・コンタドール(スペイン)は、現在ドーピング疑惑に伴う出場停止処分を受けている。ジロを含め、昨年コンタドールが獲得したタイトルは全て剥奪。ジロのタイトルは、総合2位だったスカルポーニが繰り上げで獲得することとなった。

2012年大会の開幕を翌々日に控えた5月3日、スカルポーニにマリアローザと優勝トロフィー「トロフェオ・センツァフィーネ」が正式に授与された。

前哨戦トレンティーノでステージ優勝を飾っているダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・ISD)前哨戦トレンティーノでステージ優勝を飾っているダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・ISD) photo:Riccardo Scanferla繰り上げ総合優勝に輝いたスカルポーニが狙うのは、もちろん自分の力による大会連覇。「地元のファンが詰めかける第6ステージが楽しみだ」とウキウキした表情で話す。「でも今年はマリアローザ最有力候補と呼べる選手がおらず、選手の力が拮抗している。だからレース序盤は混沌とするかもしれない」。

スカルポーニは今シーズン0勝で、リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ8位。ランプレ・ISDはアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア)をメンバーから外し、完全に総合狙いにシフトする。

3度目のジロ制覇を狙うイヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)3度目のジロ制覇を狙うイヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス・キャノンデール) photo:Kei Tsujiスカルポーニのチームメイトで、2004年大会の覇者ダミアーノ・クネゴ(イタリア)も出場。クネゴは前哨戦ジロ・デル・トレンティーノでステージ優勝を飾っており、ライバルたち曰く「とても良く絞れている」。

スカルポーニとクネゴはともにタイムトライアルが得意ではなく、チームタイムトライアルではライバルたちからビハインドを食らう可能性が高い。しかし終盤の山岳こそが彼らの主戦場。スカルポーニとクネゴのタッグは強力だ。

ロマン・クロイツィゲル(チェコ、アスタナ)ロマン・クロイツィゲル(チェコ、アスタナ) photo:Kei Tsuji「スカルポーニとクネゴの2人は、実力と経験ともに申し分ない。2人が上手く噛み合えば、必ずライバルを脅かす力を生み出すだろう」と2人を警戒するのは、2006年と2010年大会の覇者イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)だ。

バッソはシーズン前半から落車続きで、コンディショニングが大きく遅れた。ここまで結果は出ておらず、直前のツール・ド・ロマンディは総合33位。しかしバッソは「追い込んだトレーニングはこなせているし、ジロに向けて良い感触を得ている。チームも強いし、自分の経験を信じて闘い抜くのみだ」と自信を見せる。

常に笑顔で質問に応えるフランク・シュレク(ルクセンブルク、レディオシャック・ニッサン)常に笑顔で質問に応えるフランク・シュレク(ルクセンブルク、レディオシャック・ニッサン) photo:Kei Tsujiリクイガス・キャノンデールは、シュミットやサレルノといった山岳アシストを豊富に揃える。3週目の勝負どころまでの2週間で、バッソが調子をピークまで上げることは充分に考えられる。個人TTとチームTTでも、スカルポーニやクネゴからリードを奪う可能性が高い。

アルデンヌ・クラシックで2勝を飾り、勢いに乗るアスタナを率いるのは25歳のロマン・クロイツィゲル(チェコ、アスタナ)だ。「まだ大きな勝利はないけど、年々進化していることは感じているし、今年はここまで順調な仕上がりなんだ」と、流暢なイタリア語で記者の質問に答える。

フレーシュ・ワロンヌを制したホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)フレーシュ・ワロンヌを制したホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) photo:Kei Tsujiクロイツィゲルは、2009年から2年連続でツール総合トップ10内フィニッシュ。昨年ジロでは総合5位に入っている。出場選手の中で最もバランス良くTTと山岳を走ることの出来るオールラウンダーであると言える。

「ジロ出場の電話がかかってきたとき、娘と公園で遊んでいた」と話すのは、膝の故障により欠場するヤコブ・フグルサング(デンマーク)に代わって、急遽レディオシャック・ニッサンのエースを命ぜられたフランク・シュレク(ルクセンブルク)。

Fシュレクにとって、久々に弟アンディのいないグランツール。ジロの出場は2005年大会ぶり。「出場が決まった時は驚いたけど、コースを良く見ると、自分にもチャンスがあることが分かった。アルデンヌクラシックの後、しばらくバイクを離れていたから身体はフレッシュ。最初の1週間でリズムを取り戻したい」と笑顔で話す。明らかにリラックスした状態で挑む兄フランクのジロは果たして。

伝統的に多くのクライマーを輩出するスペインからは、ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)やミケル・ニエベイトゥラルデ(スペイン、エウスカルテル)らが出場する。

フレーシュ・ワロンヌを制した「プリート」ことロドリゲスは、ほぼ間違いなく山岳ステージでリードを得るだろう。勾配のキツいジロの山岳はロドリゲス向きだと言われる。苦手なタイムトライアルでタイムロスを抑えることが出来れば、順当に総合上位に絡んでくるだろう。昨年大会の最難関山岳ステージを制し、総合10位に入ったニエベイトゥラルデは、最初から総合を狙って走る。

昨年自身も驚く総合3位(コンタドール失格による繰り上げ)に入ったジョン・ガドレ(フランス、アージェードゥーゼル)も記者会見に登場。フレンチクライマーは「今年も同様に総合上位を狙う」と明言する。

そして、大きなサプライスになり得るのが、アメリカのガーミン・バラクーダを率いるライダー・ヘジダル(カナダ)だ。2010年のツールで総合6位に入ったカナディアンは、チームTTを含めると全てのグランツールでステージ優勝経験有り。定評ある登坂力とチーム力で総合上位に絡む走りに期待したい。

UCIプロコンチネンタルチームの中では、イタリア屈指の登坂力を誇るドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)が一押し。アンドローニ・ジョカトリからは、こちらも登坂力が売りのホセ・ルハノ(ベネズエラ)やエマヌエーレ・セッラ(イタリア)が出場する。

なお、今年もステージ上位にボーナスタイムが用意されるが、特例として5つの頂上ゴールにはボーナスタイムが設定されない。このルール変更がマリアローザ争いにどんな影響を及ぼすのか。パドローネ(ボス)のいないマリアローザ争いは、最終日の個人タイムトライアルまでもつれる可能性が高い。

歴代マリアローザ獲得選手
2011年 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア)
2010年 イヴァン・バッソ(イタリア)
2009年 デニス・メンショフ(ロシア)
2008年 アルベルト・コンタドール(スペイン)
2007年 ダニーロ・ディルーカ(イタリア)
2006年 イヴァン・バッソ(イタリア)
2005年 パオロ・サヴォルデッリ(イタリア)
2004年 ダミアーノ・クネゴ(イタリア)
2003年 ジルベルト・シモーニ(イタリア)
2002年 パオロ・サヴォルデッリ(イタリア)
2001年 ジルベルト・シモーニ(イタリア)
2000年 ステファノ・ガルゼッリ(イタリア)
1999年 イヴァン・ゴッティ(イタリア)
1998年 マルコ・パンターニ(イタリア)
1997年 イヴァン・ゴッティ(イタリア)
1996年 パヴェル・トンコフ(ロシア)
1995年 トニー・ロミンゲル(スイス)
1994年 エフゲニー・ベルツィン(ロシア)
1993年 ミゲール・インドゥライン(スペイン)
1992年 ミゲール・インドゥライン(スペイン)
1991年 フランコ・キオッチォーリ(イタリア)
1990年 ジャンニ・ブーニョ(イタリア)

text:Kei Tsuji in Herning, Denmark

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