4月18日に開催されたアルデンヌ・クラシック第2戦となるフレーシュ・ワロンヌ(UCIワールドツアー)。ゴールへと向かう「ユイの壁」を最速で駆け上がったのは、大本命ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)だった。

ステージ上で紹介を受ける別府史之(グリーンエッジ)ステージ上で紹介を受ける別府史之(グリーンエッジ) photo:Kei Tsuji今年で76回目の開催を迎える伝統のフレーシュ・ワロンヌは、先に行われたアムステルゴールドレースに続くメジャークラシックレース。続く日曜日のリエージュ~バストーニュ~リエージュと合わせて総称される「アルデンヌ・クラシック」の第2戦となる。

集団一つのまま、レースは高速で進む集団一つのまま、レースは高速で進む photo:Kei Tsujiフレーシュ・ワロンヌはベルギー南部のワロン地方がその舞台だ。他のアルデンヌ・クラシックと同じくコースは丘陵地帯を走るため、常にアップダウンを繰り返す。コース全長は194kmと数あるクラシックの中では短めながら、名称付けられる上りが計10ヶ所登場。そしてその中で注目を集めるのはミュール・ド・ユイ(Mur de Huy)だ。

逃げるアントニー・ルー(フランス、FDJ・ビッグマット)とディルク・ベレマケルス(ベルギー、ランドバウクレジット)が2回目の壁に挑む逃げるアントニー・ルー(フランス、FDJ・ビッグマット)とディルク・ベレマケルス(ベルギー、ランドバウクレジット)が2回目の壁に挑む photo:Kei Tsuji合計3回登場し、頂上がゴールに設定されている「ユイの壁」は距離1300m、最大勾配26%とアルデンヌ3連戦のなかで難易度は最も高い。最後は上りスプリントとなるため、パンチ力のあるピュアクライマーやステージレーサーが有利とされる。復調の兆しを見せるフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム)が3連覇を達成するか注目が集まった。日本からは別府史之(グリーンエッジ)、土井雪広(アルゴス・シマノ)の2名が出走した。

中盤アタックを試みたアンディ・シュレク(ルクセンブルグ、レディオシャック・ニッサン)中盤アタックを試みたアンディ・シュレク(ルクセンブルグ、レディオシャック・ニッサン) photo:CorVos気温6℃。雨に濡れるシャルルロワをスタートしたのは全25チーム198名の選手たち。横風が吹き付ける厳しいコンディションの中序盤から激しいアタック合戦が行われ、55kmを過ぎてようやく逃げが決まる。

エスケープを敢行したのはアントニー・ルー(フランス、FDJ・ビッグマット)とディルク・ ベレマケルス(ベルギー、ランドバウクレジット)の2名。サンダー・アルメ(ベルギー、トップスポートフラーンデレン)が単独追走する形で、後方との差を開いていった。

集団から抜け出すジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスターチーム)、トムイェルテ・スラグテル(オランダ、ラボバンク)集団から抜け出すジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスターチーム)、トムイェルテ・スラグテル(オランダ、ラボバンク) photo:CorVosメイン集団をコントロールするのは、ロドリゲス擁するカチューシャや、アムステルで2位に入ったイェーレ・ファネンデルトをエースに立てるロット・ベリソル。そこへリクイガスなどが加わり、ペースを上げて先頭を追う。1人追走を見せていたアルメは残り50kmを切ったところで吸収された。

何度もガッツポーズを繰り返すホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)何度もガッツポーズを繰り返すホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) photo:Kei Tsujiやがてメイン集団からはアンディ・シュレク(ルクセンブルグ、レディオシャック・ニッサン)がアタックして抜けだすものの、勝負どころへ向けてペースの上がる集団は、2回目のユイを前にしてアンディを吸収。前を逃げる2名に対しておよそ30秒のタイム差を持ってユイの壁をクリアした。

ユイを越えた先、残り30kmを切った地点でメイン集団から動きを見せたのは、ローレンス・テンダム(オランダ、ラボバンク)。すぐに集団に引き戻されたものの、このアタックに端を発しレースは一気にヒートアップ。アタックとチェック、追走と吸収を繰り返す中、先頭を逃げ続けた2名は吸収された。

5分04秒遅れでゴールした土井雪広(アルゴス・シマノ)5分04秒遅れでゴールした土井雪広(アルゴス・シマノ) photo:Kei Tsujiジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア)、ルイ・コスタ(ポルトガル)、ホセホアキン・ロハス(スペイン)、ヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ)のモビスター勢が代わる代わるレースを動かしていくが、決定的なチャンスを作り出すことができない。混沌とした状態の中、ユイの手前に控えるコル・ド・ヴィレルブイエ(距離1200m・平均勾配7.5%)をクリアした。

残り8.5kmの緩い上り勾配で集団から抜けだしたのはラーシュペッテル・ノルダーグ(ノルウェー、チームスカイ)とライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・バラクーダ)。2名はカチューシャが牽くメイン集団に対して10秒程度のタイム差を維持し、ゴールへと続くユイの壁へ。

続いてユイへ突入したメイン集団が斜度が増した地点で先頭2名をキャッチすると、残り400mから飛び出したのはロドリゲス。一気に後続との差を開くと、最急勾配区間でもその勢いは衰えず。2位ミハエル・アルバジーニ(スイス、グリーンエッジ)らを全く寄せ付けない走りを見せ、歓喜の表情でゴールへと飛び込んだ。

フレーシュ・ワロンヌ表彰台 優勝はホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)フレーシュ・ワロンヌ表彰台 優勝はホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) photo:Kei Tsuji昨年まで2年連続の2位と、絶対的な優勝候補と呼ばれながら勝利できずにいたプリート・ロドリゲスが、ようやく表彰台の頂点を手に入れた。

「昨年ジルベールがアタックしたのと同じポイントからアタックしたんだ。タイミングが早過ぎないか自分自身不安だったけど、行けると自分に言い聞かせていたんだ。僕にとってとても大きな勝利。今までずっと2位が続いていたけれど、遂にメジャークラシックを勝つことができた。本当にずっと待ち望んでいた勝利だよ。」と語るプリート。

5分4秒遅れの100位でレースを終えた土井雪広は「2回目のユイの壁の番手がちょっと後ろ過ぎて、その後、ユイを越えてからずーっと横風の一列で前に上がるタイミングを失った。雨も降り、下りは攻めることができず。あと一戦良い集中力で回復に専念して、リエージュ頑張ります。」とコメント。

中盤にかけて、エースのアルバジーニのアシストを務めたフミは9分50秒遅れの117位でゴール。「今日はアルバジーニのアシストをこなして自分のレースは終えたけど、アルバジーニがフレッシュワロンヌ2位でした! 素晴らしい!」とTwitter上で語る。


フレーシュ・ワロンヌ2012結果
1位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) 4h45'41"
2位 ミハエル・アルバジーニ(スイス、グリーンエッジ)+04"
3位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、 BMCレーシングチーム)
4位 イェーレ・ファネンデルト(ベルギー、ロット・ベリソル)
5位 ロベルト・キセロフスキー(クロアチア、アスタナ)+07"
6位 ダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・バラクーダ)+09"
7位 バウク・モレマ(オランダ、ラボバンク)
8位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)
9位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・ISD)
10位 ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、ロット・ベリソル)+11"
100位 土井雪広(アルゴス・シマノ)+05'04"
117位 別府史之(グリーンエッジ)+09'50"


text:So.Isobe
photo:Kei.Tsuji,CorVos
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