1週間にわたって開催された第92回ボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャが、3月25日、州都バルセロナで幕を閉じた。登りが詰め込まれた最終ステージで、再びジュリアン・シモン(フランス、ソール・ソジャサン)のスプリントが炸裂。別府史之のチームメイトであるミハエル・アルバジーニ(スイス、グリーンエッジ)が総合優勝に輝いた。

ガーミン・バラクーダがコントロールするメイン集団ガーミン・バラクーダがコントロールするメイン集団 photo:Kei Tsujiカタルーニャ最終ステージは、バルセロナ近郊の山岳地帯を駆け抜ける。コース全長は119.8kmと短いが、標高500mほどのカテゴリー山岳が、3級、3級、2級、3級と連続して登場する。

距離が短いだけにレースは高速化しやすく、再び小集団によるゴールスプリントの可能性大。しかも最後の3級山岳バルビドレーラはゴールから5kmしか離れていない。バルセロナの裏山を越え、市街地まで真っ逆さまに下ってゴールを迎える。

2級山岳ティビダボで断続的にアタックがかかる2級山岳ティビダボで断続的にアタックがかかる photo:Kei Tsujiレース序盤に形成されたダビ・デラフエンテ(スペイン、カハルーラル)ら9名の逃げは、チーム総合成績がかかったガーミン・バラクーダや、グリーンエッジのコントロールによって、大きなリードを築けないまま進行する。

ゴールまで26kmしか離れていない2級山岳ティビダボに向けた登りで、早くも逃げグループは吸収。メイン集団は活性化し、アタックが続発する。土井雪広(プロジェクト1t4i)もアタックに加わった。

バルセロナを見下ろす2級山岳ティビダボを登るメイン集団バルセロナを見下ろす2級山岳ティビダボを登るメイン集団 photo:Kei Tsujiその時の様子を別府史之(グリーンエッジ)は「土井選手が凄い勢いでアタックしていた。すごく調子が良さそう」と回想する。

トム・ダニエルソン(アメリカ、ガーミン・バラクーダ)らのアタックが決まりかけるも、結局メイン集団は70名ほどの塊で2級山岳ティビダボをクリア。下りでルイスレオン・サンチェス(スペイン、ラボバンク)がリードを得たが、最後の3級山岳バルビドレーラで吸収される。

ゴールスプリントで2勝目を飾ったジュリアン・シモン(フランス、ソール・ソジャサン)ゴールスプリントで2勝目を飾ったジュリアン・シモン(フランス、ソール・ソジャサン) photo:Kei Tsuji登坂距離2.3kmの3級山岳バルビドレーラを越えた時点で、メイン集団は40名。リーダージャージのアルバジーニは決して遅れず、そのままバルセロナに向けたダウンヒル区間へ。

2日連続優勝を狙うサムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル)の下りアタックも功を奏さず、40名によるゴールスプリントでシモンが再び勝利した。

総合表彰台、左から2位サムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル)、優勝ミハエル・アルバジーニ(スイス、グリーンエッジ)、3位ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、ロット・ベリソル)総合表彰台、左から2位サムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル)、優勝ミハエル・アルバジーニ(スイス、グリーンエッジ)、3位ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、ロット・ベリソル) photo:Kei Tsujiソール・ソジャサンがステージ2勝目。シモンは前日の第6ステージでも3位に入るなど、小集団でのスプリントにめっぽう強い。その存在感ある走りは、ツール・ド・フランスの主催者に好印象を与えたはずだ。

総合は最後まで動かず、初日から総合1位を守り抜いたアルバジーニが総合優勝。総合2位に、前日のステージ優勝者サンチェスが入っている。総合3位以下は、13名が1分32秒遅れで並んだが、ステージの着順によってユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、ロット・ベリソル)が表彰台を射止めている。

グリーンエッジは、ツアー・ダウンアンダーとミラノ〜サンレモに続くUCIワールドツアーレース制覇。アルバジーニは「1週間にわたって働き続けてくれたメンバー全員に感謝したい。自分にとってもチームにとっても重要な勝利だ。チームメイトたちの助けが無ければ、決して成し遂げることが出来い勝利だ」と話す。

土井はゴールスプリントには絡めなかったが、プロジェクト1t4iの中で唯一先頭集団でゴール。総合38位で1週間の闘いを終えた。

別府史之と土井雪広のレース後コメントは後ほど別ページにてお伝えします。

レースの模様はフォトギャラリーにて!


ボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャ2012第7ステージ
1位 ジュリアン・シモン(フランス、ソール・ソジャサン)       2h47'02"
2位 フランチェスコ・ガヴァッツィ(イタリア、アスタナ)
3位 ダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・ISD)
4位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、チームスカイ)
5位 ロベルト・キセロフスキー(クロアチア、アスタナ)
6位 ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、ロット・ベリソル)
7位 ステフェン・クルイスウィック(オランダ、ラボバンク)
8位 ロメン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼル)
9位 マチェイ・パテルスキー(ポーランド、リクイガス・キャノンデール)
10位 デニス・メンショフ(ロシア、カチューシャ) 
28位 土井雪広(日本、プロジェクト1t4i)
104位 別府史之(日本、グリーンエッジ)                +8'34"

個人総合成績
1位 ミハエル・アルバジーニ(スイス、グリーンエッジ)          24h15'45"
2位 サムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル)           +1'30"
3位 ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、ロット・ベリソル)      +1'32"
4位 ダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・バラクーダ)
5位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、チームスカイ)
6位 ダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・ISD)
7位 ロベルト・キセロフスキー(クロアチア、アスタナ)
8位 マッテーオ・カラーラ(イタリア、ヴァカンソレイユ・DCM)
9位 ダリオ・カタルド(イタリア、オメガファーマ・クイックステップ)
10位 セルヒオ・パルディージャ(スペイン、モビスター)
38位 土井雪広(日本、プロジェクト1t4i)                 +10'36"
106位 別府史之(日本、グリーンエッジ)                  +49'51"

山岳賞
クリスアンケル・セレンセン(デンマーク、チームサクソバンク)

スプリント賞
トマシュ・マルチンスキー(ポーランド、ヴァカンソレイユ・DCM)

チーム総合成績
ガーミン・バラクーダ

text&photo:Kei Tsuji in Barcelona, Spain