3月8日の第5ステージは、オネ・ル・シャトー~マンドの178.5km。「ローラン・ジャラベール山」と呼ばれる1級山岳クロワ・ヌーヴ峠にゴールする今大会の最難関ステージを制したのはリエーベ・ヴェストラ(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)だった。

新城幸也(ユーロップカー)新城幸也(ユーロップカー) (c)A.S.Oパリ~ニースのクイーンステージである第5ステージ。1級山岳ラマレン峠(登坂距離4.2km・平均勾配7.9%)と1級山岳レストラード峠(登坂距離6.1km・平均勾配8.1%)を含む5つのカテゴリー山岳を越え、最後は急勾配の1級山岳クロワ・ヌーヴ峠(登坂距離3.0km・平均勾配10.1%)を駆け上がる。

マンドの街から駆け上がる、短くも急勾配の「ローラン・ジャラベール山」クロワ・ヌーヴ峠は、2010年のツール・ド・フランスにも登場したこのパンチある登り。マイヨジョーヌ争いにとっても見逃せないステージだ。


スタート2kmから逃げ出した新城幸也(ユーロップカー)ら4人スタート2kmから逃げ出した新城幸也(ユーロップカー)ら4人 (c)A.S.O
逃げグループをリードするフレデリック・フェヘレン(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM)逃げグループをリードするフレデリック・フェヘレン(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM) (c)CorVosスタート2kmから逃げ出したのは、新城幸也(ユーロップカー)とダビ・ルレイ(フランス、ソールソジャサン)、フレデリック・フェヘレン(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM)、サイモン・クラーク(オーストラリア、グリーンエッジ)。4人は41km地点で最高7分の差を集団につけて逃げる

15.5地点のオージョル峠はフェヘレンがルレイを抑えて先頭通過。4人はうまく協調しながら、100kmまでは6分ほどの安定した差をつけて逃げを続ける。

山岳ポイントが続いて現れるこの日のステージ。逃げの中でもっとも山岳に強かったのはフェヘレンだ。
96km地点の1級山岳マレーヌ峠と111.5km地点の3級山岳カイラ峠を先頭通過し、山岳ポイントを18ポイント稼ぎ出す。

ピエル・カドリ(フランス、アージェードゥーゼル)が落車リタイアピエル・カドリ(フランス、アージェードゥーゼル)が落車リタイア (c)CorVos集団のペースの上がった125km地点ではピエル・カドリ(フランス、アージェードゥーゼル)が落車。負傷してリタイアした。

勝負どころを後に控える1級山岳レストラード峠では、モビスターがエースのアレハンドロ・バルベルデのためにペースを上げ始める。すると集団は大きくバラけ、遅れる選手が続出。

アタックの末ケヴィン・シールドライヤース(ベルギー、アスタナ)とローレンス・テンダム(オランダ、ラボバンク)が抜け出しに成功し、前の4人を追いかけ始める。

前の4人では再びフェヘレンが上りで強さを見せ、レストラード峠を先頭通過。10ポイントを通過した。フェヘレンはこれで山岳賞のマイヨアポアジャージをモノにする。

新城幸也(ユーロップカー)ら4人は順調に逃げ続ける新城幸也(ユーロップカー)ら4人は順調に逃げ続ける (c)A.S.Oジャラベール山の攻防を制したヴェストラ

ラスト10kmで4人を追う2人との差は45秒。ゴールまで9km、マンドを前にしてシールドライヤースとテンダムの二人は前を行く4人を捉える。しかし、集団も逃げを吸収すべく猛追。2級山岳コート・ド・シャブリでフェヘレンは迫る集団に対して粘りを見せ、先頭通過してポイントを追加した。クラークら3人は諦めて集団に飲まれたが、新城はテンダムとともに粘り、山岳ポイントを2位通過した。

ゴールまで3.2km、マンドの街中まで逃げ続けた新城も集団に吸収される。

ケヴィン・シールドライヤース(ベルギー、アスタナ)とローレンス・テンダム(オランダ、ラボバンク)が追走を開始ケヴィン・シールドライヤース(ベルギー、アスタナ)とローレンス・テンダム(オランダ、ラボバンク)が追走を開始 (c)CorVosそして3kmのジャラベール山の上りが始まる。集団ではリッチー・ポルト(オーストラリア、チームスカイ)がリーダージャージのウィギンズのためにペースアップ。集団は急坂で分解する。

絞られた先頭集団。アルノー・ジャネソン(フランス、FDJ)がアタックするも、活性化した集団から抜け出すには至らなかった。

ラスト500mで早めのアタックをかけたのはリエーベ・ヴェストラ(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)。ウィギンズ、ライプハイマー、バルベルデらのいる先頭グループに対し強力なアタックで差を開いたヴェストラは、そのままヘリポートにつくられた平坦路のゴールまで逃げ切った。

アタックしたリエーベ・ヴェストラ(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)アタックしたリエーベ・ヴェストラ(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM) (c)CorVos6秒遅れて2位にバルベルデ、3位にウィギンズ、4位に遅れずにライプハイマーがゴール。新城は78位でゴールしている。総合も52位に下げた。

ヴァカンソレイユ・DCMは第1ステージのTTでのグスタフエリック・ラーション(スウェーデン)の勝利に続いて2勝目。ヴェストラは総合もウィギンズに6秒遅れの2位につけた。そしてフェヘレンが山岳賞を獲得。

総合争いも変動した。このステージでアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)は総合を7位から4位にジャンプアップ。表彰台に近づいた。
一方ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)は新人賞ジャージは守ったが総合を3位から6位に落としてしまった。

上りで強さを見せたブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)上りで強さを見せたブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ) (c)CorVosクロワ・ヌーヴ峠を制したリエーベ・ヴェストラ(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)クロワ・ヌーヴ峠を制したリエーベ・ヴェストラ(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM) (c)CorVos


優勝したリエーベ・ヴェストラ(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)のコメント

最後の1時間はとても調子がいいのを感じ、最後の山でもタイムを失う気がしなかった。でも最後はウィギンズがアタックしてすぐ近くまで来ていたので、アタックしたんだ。集団に100mの差をつけたけど、彼らは僕を捕まえることが出来なかったね。信じられないよ!
チームの働きは素晴らしかった。この勝利は素晴らしいね。日曜までタイムを失わないように走りたい。そして最後のタイムトライアルではどうなるのか、期待して欲しいよ。


パリ~ニース2012第5ステージ結果
1位 リエーベ・ヴェストラ(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)4h 52' 46"
2位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)00' 06"
3位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)00' 06"
4位 リーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、オメガファーマ・クイックステップ)00' 06"
5位 サイモン・スピラック(スロベニア、アスタナ)00' 06"
6位 ダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレISD)00' 16"
7位 アルノー・ジャネソン(フランス、FDJ)00' 16"
8位 シルヴェスタ・シュミット(ポーランド、リクイガス・キャノンデール)00' 24"
9位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、チームスカイ)00' 24"
10位 トマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー)00' 30"

個人総合成績
1位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)18h 23' 40"
2位 リエーベ・ヴェストラ(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)00' 06"
3位 リーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、オメガファーマ・クイックステップ)00' 10"
4位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) 00' 18"
5位 サイモン・スピラック(スロベニア、アスタナ) 00' 37"
6位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム) 00' 39"
7位 マキシム・モンフォール(ベルギー、レディオシャック・ニッサン)00' 46"
8位 アルノー・ジャネソン(フランス、FDJ)01' 06"
9位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、オメガファーマ・クイックステップ)01' 16"
10位 ロベルト・キセロフスキー(クロアチア、アスタナ) 01' 21"
52位 新城幸也(日本、ユーロップカー)  09' 22"  

ポイント賞
アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)

山岳賞ジャージを着たフレデリック・フェヘレン(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM)山岳賞ジャージを着たフレデリック・フェヘレン(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM) (c)CorVos山岳賞
フレデリック・フェヘレン(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM)

新人賞
ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)

チーム総合成績
オメガファーマ・クイックステップ

text:Makoto.AYANO
photo:Cor Vos,A.S.O