3つのカテゴリー山岳が設定された190kmコースで行なわれたツール・ド・ランカウイ(UCI2.HC)第5ステージ。終盤の山岳で抜け出したグループがゴールまで逃げ切り、ホセ・セルパ(コロンビア、アンドローニ・ジョカトリ)がステージ優勝、2位のダレン・ラプソーン(オーストラリア、ドラパック・ポルシェ)が総合首位に立った。

1つ目の山岳ポイントに向けて形成された4選手の逃げ1つ目の山岳ポイントに向けて形成された4選手の逃げ photo:Sonoko Tanaka2月28日、ランカウイ第5ステージが、アイルケローからパンダンインダーまでの190kmで行なわれた。中盤にかけて2級山岳が2つ続き、ゴールの10km手前で3級山岳を越える。

スプリンターにとっては試練のステージであるとともに、逃げ切りが決まる可能性は高い。レース序盤からアタックの応酬が続き、大集団はハイスピードで平野部を駆ける。愛三工業レーシングチームもアタックに加わり、中島康晴らが一時的に逃げグループに入るも、スピードを弱めない集団に引き戻される。

ゴールスプリントをするホセ・セルパ(コロンビア、アンドローニ・ジョカトリ)とダーレン・ラップソーン(オーストラリア、ドラパック)ゴールスプリントをするホセ・セルパ(コロンビア、アンドローニ・ジョカトリ)とダーレン・ラップソーン(オーストラリア、ドラパック) photo:Sonoko Tanaka総合2位のアダム・フェラン(オーストラリア、ドラパック・ポルシェ)は、第2ステージでの落車の影響でリタイアした。

ホセ・セルパ(コロンビア、アンドローニ・ジョカトリ)がスプリントを制し、ステージ優勝を獲得ホセ・セルパ(コロンビア、アンドローニ・ジョカトリ)がスプリントを制し、ステージ優勝を獲得 photo:Sonoko Tanakaようやく逃げが決まったのは80km地点。アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ)やアントニー・シャルトー(フランス、ユーロップカー)を含む14名の先頭グループが形成され、そこから更にアレッサンドロ・デマルキ(イタリア、アンドローニ・ジョカトリ)、ヨアン・ジェーヌ(フランス、ユーロップカー)、リース・ポロック(オーストラリア、ドラパック・ポルシェ)、ジェームス・ウィリアムソン(ニュージーランド、ニュージーランドチーム)がアタック。ヴィノやシャルトーが集団に下がると、4名の先行が決まった。

タイム差が順調に広がる中、ガーミン・バラクーダがコントロールするメイン集団から福島晋一(トレンガヌプロアジア)がカウンターアタック。3日連続で動きを見せた福島は、3分のタイム差を一人で詰め、先頭4名に合流した。

ツール・ド・ランカウイ第5ステージ、上位入賞者の表彰ツール・ド・ランカウイ第5ステージ、上位入賞者の表彰 photo:Sonoko Tanakaしかしアスタナとコルナゴ・CSFイノックスがメイン集団の先頭に立つと、逃げグループとのタイム差は一気に縮小。結局2つ目の2級山岳ゲンティンペレスで逃げは掴まり、そこからマッテーオ・ラボッティーニ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ)がアタックする。

頂上を独走でクリアしたラボッティーニには、昨年の総合優勝者ジョナサン・モンサルベ(ベネズエラ、アンドローニ・ジョカトリ)、アディク・オスマン(マレーシア、チャンピオンシステム)、アンドレイ・ゼイツ(カザフスタン、アスタナ)が合流し、新たに4名の先行が始まる。

各賞ジャージ獲得選手の表彰各賞ジャージ獲得選手の表彰 photo:Sonoko Tanakaそんな中、リーダージャージのデーヴィット・ザブリスキー(アメリカ、ガーミン・バラクーダ)がメイン集団から脱落。エースをトム・ダニエルソン(アメリカ)に切り替えたガーミン・バラクーダは、メイン集団を率いてモンサルベを含む先頭グループを追う。

そして迎えた最後の3級山岳ブキットティンジャウ。逃げグループを視界に捉えたメイン集団からビクトル・ニノ(コロンビア、アザド大学クロスチーム)がアタックを仕掛け、これにセルパやラプソーン、アレクサンドル・ディアチェンコ(カザフスタン、アスタナ)らが合流。前を走るオスマンとラボッティーニに合流し、ゴールに向けた下り区間に差し掛かった。

合計7名にまで膨らんだ先頭グループから、ゴール6km手前でラプソーンがアタックして独走。これにセルパが合流し、コルナゴ・CSFイノックスとユーロップカーが牽引するメイン集団を振り切ってゴールへ。総合ジャンプアップを目指して先頭を積極的に引いたラプソーンを抑え、セルパがスプリントで勝利した。

追走グループはラボッティーニを先頭に11秒遅れ、そして53名にまで絞られていたメイン集団は24秒遅れでゴール。メイン集団には西谷泰治、伊藤雅和、鈴木謙一(愛三工業レーシングチーム)の3名が残り、スプリントで西谷が集団3番手(ステージ10位)でゴールしている。伊藤は総合38位にジャンプアップした。

ステージ優勝を飾ったセルパは、コロンビア生まれの32歳クライマーで、これがランカウイのステージ通算6勝目。2009年大会の総合優勝者であり、名物ゲンティンハイランドでは3度優勝している。

そして、19分35秒遅れのグルペット最終便でゴールしたザブリスキーに代わって、リーダージャージはステージ2位のラプソーンの手に。総合ではトム・ダニエルソン(アメリカ、ガーミン・バラクーダ)が37秒遅れ、アレクサンドル・ディアチェンコ(カザフスタン、アスタナ)とホセ・ルハノ(ベネズエラ、アンドローニ・ジョカトリ)が46秒遅れで続く。

ラプソーンは2007年のオーストラリアチャンピオンであり、同年ツール・ド・北海道でステージ優勝を飾るとともに総合2位、ジャパンカップ12位。2010年にはツアー・オブ・ジャパンで3度ステージ10位以内に入り、総合9位。昨年イギリスのラファコンドルから古巣ドラパック・ポルシェに戻った。

ラプソーンは「セルパとステージ優勝と総合を分け合うような口約束は無く、ただステージ優勝を狙って走っていた。セルパに次ぐ2位は悪くない結果だと思う。ドラパックチームにとって、総合リードを得たことは良い結果だ」と、レース公式ツイートの中でコメントしている。

翌第6ステージは、名物ゲンティンハイランドの頂上ゴールが設定されたクイーンステージ。標高1679mの高原リゾートに向かう登りで総合成績にシャッフルがかけられる。ステージ優勝したセルパは過去に3度このゲンティンハイランドでステージ優勝を飾っており、チームメイトのルハノとともに総合で巻き返しを図る。対する総合首位ラプソーンや総合2位ダニエルソンの走りにも注目だ。

ツール・ド・ランカウイ2012第5ステージ結果
1位 ホセ・セルパ(コロンビア、アンドローニ・ジョカトリ)     4h22'17"
2位 ダレン・ラプソーン(オーストラリア、ドラパック・ポルシェ)
3位 マッテーオ・ラボッティーニ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ)   +11"
4位 アディク・オスマン(マレーシア、チャンピオンシステム)
5位 アレクサンドル・ディアチェンコ(カザフスタン、アスタナ)
6位 ビクトル・ニノ(コロンビア、アザド大学クロスチーム)
7位 ガデル・ミズバニ(イラン、タブリズペトロケミカル)
8位 ジャニ・テウェルデ(エリトリア、MTNキュベカ)          +24"
9位 ヴァレンティン・イグリンスキー(カザフスタン、アスタナ)
10位 西谷泰治(日本、愛三工業レーシングチーム)
27位 伊藤雅和(日本、愛三工業レーシングチーム) 
52位 鈴木謙一(日本、愛三工業レーシングチーム) 
104位 中島康晴(日本、愛三工業レーシングチーム)         +11'16"
105位 品川真寛(日本、愛三工業レーシングチーム)
106位 盛一大(日本、愛三工業レーシングチーム) 
112位 福島晋一(日本、トレンガヌプロアジア)

個人総合成績
1位 ダレン・ラプソーン(オーストラリア、ドラパック・ポルシェ)    17h00'36"
2位 トム・ダニエルソン(アメリカ、ガーミン・バラクーダ)         +37"
3位 アレクサンドル・ディアチェンコ(カザフスタン、アスタナ)       +46"
4位 ホセ・ルハノ(ベネズエラ、アンドローニ・ジョカトリ)
5位 ジョセフ・クーパー(ニュージーランド、ニュージーランドチーム)    +51"
6位 デミトリ・グルージェフ(カザフスタン、アスタナ)           +53"
7位 ホセ・セルパ(コロンビア、アンドローニ・ジョカトリ)        +1'08"
8位 アルテム・オヴェチキン(ロシア、チームルスベロ)          +1'11"
9位 ヨアン・ジェーヌ(フランス、ユーロップカー)            +1'12"
10位 アルフレード・バッローニ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ)     +1'17"
38位 伊藤雅和(日本、愛三工業レーシングチーム)             +2'41"
41位 西谷泰治(日本、愛三工業レーシングチーム)             +2'50"
46位 鈴木謙一(日本、愛三工業レーシングチーム)             +3'15"
97位 盛一大(日本、愛三工業レーシングチーム)             +13'55"
100位 品川真寛(日本、愛三工業レーシングチーム)            +14'13"
103位 中島康晴(日本、愛三工業レーシングチーム)            +14'34"
105位 福島晋一(日本、トレンガヌプロアジア)              +15'15"

ポイント賞
アンドレア・グアルディーニ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ)

山岳賞
マッテーオ・ラボッティーニ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ)

アジアンライダー賞
デミトリ・グルージェフ(カザフスタン、アスタナ)    

チーム総合成績
アンドローニ・ジョカトリ

アジアンチーム総合成績
アスタナ

text:Kei Tsuji
photo:Sonoko Tanaka
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