2012年2月18日、ツアー・オブ・オマーン(UCI2.HC)第5ステージが行なわれ、難関グリーンマウンテンの頂上ゴールでヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)が優勝。ステージ2位のペーター・ベリトス(スロバキア、オメガファーマ・クイックステップ)が総合首位に立った。

内陸の山岳地帯に向かうプロトン内陸の山岳地帯に向かうプロトン photo:A.S.O.ツアー・オブ・オマーンの総合争いを決定づけるのは、グリーンマウンテン(現地名ジャバル・アルアハダル)にゴールする第5ステージ。標高1235mの頂上に向かって、平均勾配10%ほどの登りが5kmにわたって続く。しかもゴール前2kmの平均勾配が13%を超える急勾配の本格山岳だ。

首都マスカットのオペラハウスをスタート後、8km地点でアタックが決まる。

FDJ・ビッグマットとカチューシャがコントロールするメイン集団FDJ・ビッグマットとカチューシャがコントロールするメイン集団 photo:A.S.O.逃げの切っ掛けを作ったのは、普段エーススプリンターのリードアウト役を務めるベルンハルト・アイゼル(オーストリア、チームスカイ)やグレゴリー・ヘンダーソン(ニュージーランド、ロット・ベリソル)の2名。

アイゼルとヘンダーソンにはマルティン・コーラー(スイス、BMCレーシングチーム)、アルバート・ティマー(オランダ、プロジェクト1t4i)、アンドレア・グアルディーニ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ)、ウィリアム・クラーク(オーストラリア、チャンピオンシステム)が合流。6名による逃げが始まった。

タイム差は最大3分20秒まで広がったが、総合狙いのカチューシャやFDJ・ビッグマットが積極的にメイン集団を率い、逃げに必要以上のタイム差を与えない。結局逃げは16kmを残して全て吸収。直後のスプリントポイントは、総合敢闘賞ジャージを着るクラース・ロデウィック(ベルギー、BMCレーシングチーム)が先頭通過した。

結局集団は一つのままグリーンマウンテンの登りに突入。すぐさま30名ほどに人数を減らした集団から真っ先に飛び出したのはニーバリ。ゴールまで3kmを残して後続を22秒引き離したニーバリは、そのまま急勾配の登りを独走する。

後方ではペーター・ベリトス(スロバキア、オメガファーマ・クイックステップ)が単独で飛び出して追走を試みるも、ラスト1kmでニーバリまで13秒。結局ニーバリがリードを守り抜き、独走のままゴールに飛び込んだ。

集団内で走るペーター・ベリトス(スロバキア、オメガファーマ・クイックステップ)集団内で走るペーター・ベリトス(スロバキア、オメガファーマ・クイックステップ) photo:A.S.O.独走でゴールするヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス)独走でゴールするヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス) photo:A.S.O.ステージ3位のサンディ・カザール(フランス、FDJ・ビッグマット)ステージ3位のサンディ・カザール(フランス、FDJ・ビッグマット) photo:A.S.O.


リーダージャージに袖を通したペーター・ベリトス(スロバキア、オメガファーマ・クイックステップ)リーダージャージに袖を通したペーター・ベリトス(スロバキア、オメガファーマ・クイックステップ) photo:A.S.O.ベリトスは10秒遅れの2位。そしてサンディ・カザール(フランス、FDJ・ビッグマット)が25秒遅れの3位。ブリヂストンアンカーのトマ・ルバ(フランス)が強豪に混ざって8位、そして清水都貴が1分30秒遅れの13位に入るという大健闘を見せた。

優勝したニーバリは「この勝利の感触をずっと待っていたんだ。この1年間は勝利に見放され、消化不良だった。もちろん全力で走ったのである程度の満足感は得ていたが、完璧な満足感をこの勝利でようやく得ることができた。2010年のように、また勝つ流れに乗りたい」と、言葉に嬉しさを込める。

この日の結果を受け、ステージ2位のベリトスが総合首位に浮上。ニーバリが1秒差で続く展開であり、最終ステージのボーナスタイムで逆転の可能性は充分にある。ニーバリは「平坦コースなので難しいかもしれないが、明日は何か動きを見せる必要がある」とコメントする。

最難関山岳ステージを終え、ブリヂストンアンカーのルバは総合9位、清水都貴は総合13位。チーム総合成績では8位をキープしている。

レース内容はレース公式サイトより。



ツアー・オブ・オマーン2012第5ステージ結果
1位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)4h43'47"
2位 ペーター・ベリトス(スロバキア、オメガファーマ・クイックステップ)  +10"
3位 サンディ・カザール(フランス、FDJ・ビッグマット)          +25"
4位 アルノー・ジャネソン(フランス、FDJ・ビッグマット)         +30"
5位 トニー・ギャロパン(フランス、レディオシャック・ニッサン)      +37"
6位 トムイェルテ・スラグテル(オランダ、ラボバンク)           +47"
7位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)            +55"
8位 トマ・ルバ(フランス、ブリヂストンアンカー)             +57"
9位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、レディオシャック・ニッサン)  +1'01"
10位 ラムナス・ナヴァルダスカス(リトアニア、ガーミン・バラクーダ)   +1'02"
13位 清水都貴(日本、ブリヂストンアンカー)               +1'30"
52位 吉田隼人(日本、ブリヂストンアンカー)               +6'17"
83位 西薗良太(日本、ブリヂストンアンカー)               +8'18"
86位 井上和郎(日本、ブリヂストンアンカー)               +9'07"

個人総合成績
1位 ペーター・ベリトス(スロバキア、オメガファーマ・クイックステップ)18h20'58"
2位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)   +01"
3位 トニー・ギャロパン(フランス、レディオシャック・ニッサン)       +17"
4位 サンディ・カザール(フランス、FDJ・ビッグマット)           +21"
5位 アルノー・ジャネソン(フランス、FDJ・ビッグマット)          +30"
6位 トムイェルテ・スラグテル(オランダ、ラボバンク)
7位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)             +47"
8位 ラムナス・ナヴァルダスカス(リトアニア、ガーミン・バラクーダ)     +49"
9位 トマ・ルバ(フランス、ブリヂストンアンカー)              +50"
10位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、レディオシャック・ニッサン)    +52"
13位 清水都貴(日本、ブリヂストンアンカー)               +1'30"
43位 吉田隼人(日本、ブリヂストンアンカー)               +6'50"
66位 西薗良太(日本、ブリヂストンアンカー)               +11'47"
74位 井上和郎(日本、ブリヂストンアンカー)               +12'45"

ポイント賞
アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)

新人賞
トニー・ギャロパン(フランス、レディオシャック・ニッサン)

総合敢闘賞
クラース・ロデウィック(ベルギー、BMCレーシングチーム)

チーム総合成績
レディオシャック・ニッサン

text:Kei Tsuji
photo:A.S.O.

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