ジロ・デ・イタリアはトスカーナ州を離れ、エミリア・ロマーニャ州のボローニャへと脚を伸ばした。4つの山岳ポイントを越えた選手たちを待ち構えていたのは、最大勾配16%のサンルーカ頂上ゴールだ!

カンポ・ビゼンツィオはぎゅうぎゅう詰め

シュコダの帽子に手が伸びるシュコダの帽子に手が伸びる photo:Kei Tsuji昨日のゴール地点フィレンツェ近郊のカンポ・ビゼンツィオをスタート。少し時間に余裕があったので、スタート地点に行く前に昨日の現地レポートで触れたミケランジェロ広場に脚を伸ばしてみた。

丘の上には爽やかな風が吹き込んでいた。薄雲も広がっていたので「今日こそ暑さ脱出!」と思っていたが、太陽が本領を発揮するにつれて気温はグングン上昇。天気予報士の言葉通り、気温はすぐさま30度を超えた。

4分遅れてコッリーナ峠に突入したメイン集団4分遅れてコッリーナ峠に突入したメイン集団 photo:Kei Tsujiカンポ・ビゼンツィオは幹線道路から一歩入ったこじんまりとした街。そこにスタート地点を設置したものだから、かなりスペースに無理があった。フィレンツェが近いこともあり、自転車で駆けつける観客も多数。スタート地点は文字通りぎゅうぎゅう詰めだった。

この日はマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームコロンビア)、フィリッポ・ポッツァート(イタリア、カチューシャ)、キャメロン・マイヤー(オーストラリア、ガーミン)らがDNS。偶然にもこれまでのステージで撮影することの多かった3名だ。第11ステージでの落車で膝を痛めたポッツァートは普段着でスタート地点に登場し、サイン攻めに遭っていた。


最後は聖地サンルーカに至る激坂!

メイン集団はLPRブレークスがコントロールしてコッリーナ峠を進むメイン集団はLPRブレークスがコントロールしてコッリーナ峠を進む photo:Kei Tsujiゴール地点はボローニャのサンルーカ。標高274mの小高い丘に位置するマドンナ・ディ・サンルーカ教会に至る激坂が、ステージ優勝者を選び出す。

サンルーカは毎年10月に開催されるジロ・デレミリアの最後に登場する名物坂で、昨年はダニーロ・ディルーカ(イタリア、LPRブレークス)が優勝を飾った。ジルベルト・シモーニ(イタリア、ディキジョヴァンニ)は2000年と2005年に優勝。2004年にはCSCジャージのイヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス)がサンルーカを制している。

コーナーの内側は最大勾配16%を超えているだろうコーナーの内側は最大勾配16%を超えているだろう photo:Kei Tsujiそれにしても暑い。空には雲一つない。先にゴール地点に行っていたはずのカメラマンがプレスルームに戻ってきている。聞くと、暑すぎて一旦退去したのだそう。ゴール地点までプレス用のバンが運行していたが、実際に脚で上ってみたくて徒歩でプレスルームを出た。

サンルーカはラスト2100mから一気に標高差204mを上る。初っぱなから15%に達する勾配が登場し、歩くたびに汗がしたたる。4つの山岳ポイントを越えてからこの激坂に挑むなんてかなり酷だ。暑さと勾配にフラフラになりながら、ラスト1100mで現れた最大勾配16%のタイトコーナーに腰を据えた。

激坂区間に観客のカメラが並ぶ激坂区間に観客のカメラが並ぶ photo:Kei Tsuji天気予報の通り気温33度の暑さの中、先導車や警察バイクが通るたびに観客は大盛り上がりだ。かつて中田英寿選手が所属していたセリエAチーム・ボローニャFCのサポーターが多いため、声援はどうもサッカー風味で息が合っている。

サンルーカの麓にはボローニャFCの本拠地スタディオ・レナート・ダッラーラがあり、現在キーボードをカチャカチャ言わせているプレスルームはそのサッカースタジアムの一室にある。ここから世界中にリザルトや写真が配信されている。


ジェランスがサーヴェロに初勝利をもたらす

先頭でラスト1kmに向かうクリス・フルーム(イギリス、バルロワールド)とサイモン・ジェランス(オーストラリア、サーヴェロ)先頭でラスト1kmに向かうクリス・フルーム(イギリス、バルロワールド)とサイモン・ジェランス(オーストラリア、サーヴェロ) photo:Kei Tsuji太陽の下で待つこと15分。先頭で姿を現したのはサイモン・ジェランス(オーストラリア、サーヴェロ)とクリス・フルーム(イギリス、バルロワールド)。数日前にジェランスと話した際、高めの声で「チームは全てサストレの総合成績のために動く。でもチャンスがあればステージ優勝を狙うよ」と言っていた。

そのジェランスが目の前で加速していく。ダンシングで上半身を大きく左右に振るフルームを突き放したジェランスが、単独で観客の中に消えていった。昨年ツール・ド・フランスでイタリア・プラートネヴォーゾの頂上ゴールを制しているジェランスが、2年連続“イタリア国内で”グランツールのステージ優勝を果たした。サーヴェロ・テストチームはグランツールのステージ初勝利だ。

山岳で遅れた選手が最後の上りをマイペースで進む山岳で遅れた選手が最後の上りをマイペースで進む photo:Kei Tsuji今大会3回目の頂上ゴールは、総合成績に打撃を与えること無く終了した。ジロは残り7ステージ、そのうち頂上ゴールは3ステージ。ローマに向け、畳み掛けるようにマリアローザ争いは加熱していく。総合狙いの選手が少し気を緩めることが出来るのは、平坦な第18ステージぐらいだ。

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