現在グリーンエッジとレディオシャック・ニッサンの担当者は書類の山と格闘している。2012年度のUCIワールドツアーライセンスの交付に関して、UCI(国際自転車競技連合)が2チームに更なる書類提出を求めたためだ。2チームのUCIプロチーム入りは確実視されているが、ライセンスを獲得できない可能性もまだ残されている。

グリーンエッジのGMを務める元サイクリングオーストラリアのシェイン・バナン氏グリーンエッジのGMを務める元サイクリングオーストラリアのシェイン・バナン氏 photo:Kei Tsuji11月21日に発表されたUCIプロチームリストの中に、グリーンエッジとレディオシャック・ニッサンの名前はなかった。

UCIのライセンス委員会は、UCIワールドツアーライセンスを申請したチームの「成績」「倫理」「財政」「運営」の4項目に注視している。2チームの前に立ちはだかるのは、4つ目の「運営」についてだ。

ブライアン・ニガード氏に代わってレディオシャック・ニッサンのGMに就くヨハン・ブリュイネール氏ブライアン・ニガード氏に代わってレディオシャック・ニッサンのGMに就くヨハン・ブリュイネール氏 photo:Makoto ayanoグリーンエッジは2012年に始動する新チーム。そしてレディオシャック・ニッサンは、実質的に既存のレオパード・トレックとレディオシャックの合併チーム。「運営」に関してUCIが深く追求するのは無理がない。

「チーム運営に関する事項を修正すれば何ら問題はない。チームはプロセスに沿って対処しており、数日のうちに問題が解決すると願っている。先週木曜日から(修正に)取りかかっていて、間もなくライセンス委員会に出向く予定だ」と、グリーンエッジのシェイン・バナンGMは語る。

バナン氏は昨年12月30日にオーストラリア車連のナショナルチーム監督の職を辞し、グリーンエッジ結成に向けて動き出した。1年にわたる努力が身を結び、オーストラリアの著名な実業家ゲリー・ライアン氏を始め、チームは多くの金銭的なパートナーを得た。メンバーもオーストラリアを代表する選手を揃えている。

ルクセンブルクチームとして鳴り物入りで2011年シーズンに飛び込んだレオパード・トレックは、2014年までUCIワールドツアーライセンスを有しながらも、わずか1年でチーム名称を変更する事態となった。今年9月にアメリカのUCIプロチーム・レディオシャックと合併することを発表。チーム母体はそのままで、レディオシャック社がタイトルスポンサーとなり、現レディオシャックの所属選手の多くも合流する。

「(グリーンエッジとレディオシャック・ニッサンの)2チームについての発表は後日行なう。ライセンス委員会は現在2チームから追加書類の提出を待っている状態」。UCIはプレスリリースのなかでそうコメントしている。

レディオシャック・ニッサンのプレス担当者フィリップ・マルテンス氏は「運営に関する小さな問題。ただそれだけ」と説明する。「構造が異なる2つのチームが1つにまとまる。それは想像以上に大変な作業だ。だが特に根本的な問題があるわけではない。ヨハン(ブリュイネールGM)はすでに指定の書類をすべて提出した。UCIがそれらを審査するのに時間が掛かっているだけ。(ライセンス獲得に関して)全く心配していない」

2011年から2012年にかけて、ロードレース界のチーム勢力図は大きく変わる。アメリカのHTC・ハイロードは、チームオーナーのボブ・ステイプルトン氏がHTC社に代わるタイトルスポンサーを獲得できなかったとして解散。ベルギーのオメガファーマ・ロットとクイックステップも、スポンサー変更に伴って体制が変わる。

更にエウスカルテル・エウスカディ、チームサクソバンク、リクイガス・キャノンデールは、2013年以降のタイトルスポンサーが見つかっていない状態にある。世界に広がる経済危機の煽りでスポンサーが次々と撤退に追い込まれる状況の中、UCIはトップチームの“安定性”を重視している。

「(UCIの考えを)我々は理解している。既存のチームとは異なり、我々はゼロからスタートした新チームだ。スポンサーが見つからずに解散に追い込まれるチームがいる中、新参チームがトップチームの仲間入りを果たせるかどうかUCIが慎重になるのも頷ける」とは、グリーンエッジのバナンGMの言葉。

現在UCIは16のUCIプロチームを発表済み。チーム数の上限は18チームであり、UCIは12月10日までに最終的なチームリストを発表する予定だ。

text:Gregor Brown
translation:Kei Tsuji

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