いよいよ今年最後の国内UCIレース、ツール・ド・おきなわが12日(土)から2日間で始まる。昨年の覇者・福島晋一も絶好調。そして自転車イベントで盛り上がる沖縄を森 兵次実行委員長が語る。

ツール・ド・おきなわのUCIレースはチャンピオンクラスの名称で行われる、ステージレースだ。第1ステージは11月12日(土)に名護市内での1.8km個人TT。第2ステージは13日(日)に沖縄北部の「やんばる」を中心とした210kmのロードレース。
このロードコースは昨年からルート変更があり、10km伸びている。この部分が以前の「源河の三段坂」よりもきついと選手間で言われているハードなもの。

参加は全18チーム88名。海外からは昨年までも参加しているなじみのチームが多い。

UCIレース出場の全18チーム

チームブリヂストン・アンカー (日本)
シマノレーシング (日本)
宇都宮ブリッツェン (日本)
香港ナショナルチーム (香港)
ドラパックポルシェサイクリングチーム (オーストラリア)
韓国ナショナルチーム (韓国)
トレガンヌ・プロアジア・サイクリングチーム (マレーシア)
アクションサイクリングチーム (チャイニーズタイペイ)
湘南ベルマーレ (日本)
マトリックスパワータグ (日本)
ヴェロクラブ・ラポムマルセイユ (フランス)
チャイニーズタイペイナショナルチーム (チャイニーズタイペイ)
パールイズミ・スミタ・ラバネロ (日本)
鹿屋体育大学 (日本)
日本大学 (日本)
愛三工業レーシングチーム (日本)
ダンジェロ&アンテヌッチィ・株式会社NIPPO (日本)
なるしまフレンド (日本)

2010第2ステージ、3人の逃げグループを7分差で追うメイン集団。まだ動きは見せない2010第2ステージ、3人の逃げグループを7分差で追うメイン集団。まだ動きは見せない (c)MakotoAYANOシーズンも終盤にあり、後半で調子を上げてきている選手らが注目だ。
青柳憲輝(シマノレーシング)はシーズン中盤まではアシストの場面が多かったが、終盤になるにつれて調子を上げ、台湾カップでは優勝の快挙。シマノではこのおきなわをラストレースとして引退する、村上純平の走りをしっかりと見届けたい。
愛三工業は西谷泰治と盛一大に注目。これからがシーズンのトラックレースでも活躍する2人はどちらにも勝機がある。
チームブリヂストン・アンカーは清水都貴と井上和郎のダブルエースと地元普久原奨に注目。
NIPPOは佐野淳哉と、そして研修生で走る中京大学の中根英登・榊原健一が注目。特にこの2人はアタックを身上と2010第2ステージ最後の上り。福島晋一、佐野淳哉が交互にアタックを掛け合う2010第2ステージ最後の上り。福島晋一、佐野淳哉が交互にアタックを掛け合う (c)Makoto.AYANOし、必ずや逃げるだろう。
そしてもはや超人と言っていい福島晋一(トレガンヌ・プロアジア)は昨年の第2ステージ&総合覇者で、年間を通じて調子を維持しており、連覇に向けて走る。

さらにツール・ド・北海道で個人総合5位6位、国内チーム日本人では最上位だった鹿屋体育大学の黒枝士揮と山本元喜。この2人もレースを動かす。

国際レースとして行われるのはほかに、女子国際100km、ジュニア国際140kmだ。女子は高橋奈美、針谷千沙子、上野みなみらが注目だ。ジュニアではジャパンカップ・オープンを制した小橋勇利、ジュニア全日本チャンピオンの西村大輝ら強豪の戦いが見もの。

ツール・ド・おきなわはUCIレースや市民210kmだけではない。1日あるいは2日かけてのサイクリング、島に渡るサイクリングなどが全参加者4000名以上の3割を越えるなど大変人気だ。これらの総称が「ツール・ド・おきなわ」なのだ。

市民レーサーにとっての最高の舞台がツール・ド・おきなわだ市民レーサーにとっての最高の舞台がツール・ド・おきなわだ (c)Makoto.AYANOホビーレーサー甲子園 市民レーサー2640人の祭典

市民レーサーにとってツール・ド・おきなわは最高の舞台だと言われる。210kmという最長の距離。そして沖縄の自然をたっぷり味わえる公道レースは、日本では他に類を見ないものだ。それだけに参加する選手たちのなかには、一年を通しておきなわを最高の舞台として練習を積んで臨む選手が多いのだ。

より難易度を増した市民210kmは、2010年覇者岩島啓太と2位小畑郁(ともになるしまフレンド)がなるしまフレンドチームのUCIチャンピオンレース出場にともなって市民210kmの出場リストからは消えた。そのためゼッケンNo.1(401)2010年覇者岩島啓太(なるしまフレンド)が今年チャンピオンレースを走るため市民200kmには出場しない2010年覇者岩島啓太(なるしまフレンド)が今年チャンピオンレースを走るため市民200kmには出場しない は昨年3位の高橋義博(チームCBレーシング)がつける。
市民210kmのレベルは年々上がり、レースもアタックが絶え間なく続き、非常に活性化している。ちなみに2010年度の市民210kmはUCIチャンピオンレースより5分早いタイムでゴールしている。

優勝候補は挙げればキリがないが、過去優勝経験を持つ武井きょうすけ、高岡亮寛、西谷雅史らの実力派拮抗している。果たして市民レース最高の栄誉に輝くのは誰だろう?

同じように市民140km、100kmなども距離以上に厳しいコースがレースを過酷にする。やんばるの地は、チャレンジする選手に厳しく立ちはだかる。


森 兵次 ツール・ド・おきなわ実行委員長森 兵次 ツール・ド・おきなわ実行委員長 (c)Makoto.AYANO「ツール・ド・おきなわはこれからも広がり続ける」
森 兵次実行委員長


今年も国際レースに175人、市民レースに2640人、サイクリングの部に1188人、一輪車の部に193人の合計4千2百人強のサイクリストたちがおきなわを走ります。
3月の震災の影響があるかと思われたのですが、蓋を開けてみるとレース部門は例年通りの申込み率で驚いた。サイクリングの部にやや陰りはありましたが、台湾から170人ほどのサイクリストが参加されます。

今年は北京から初めて、そして韓国、台湾からも視察団がやってきて、ツール・ド・おきなわのイベントの良いところを吸収していってくれるものと思っています。近い将来、国際レースはもっと海外の強いチームを多く呼び、サイクリング部門にもアジアからも多くの参加者が来ていただけるようになると思っています。

沖縄では今年7つのサイクルイベントが開催され、サイクリングが観光資源になりうると思っています。沖縄銀行の試算では、昨年のツール・ド・おきなわの経済効果は5億4千万円。これが6億、10億と伸びると信じています。



photo&text:Makoto.AYANO Hideaki.TAKAGI