実業団ロードレース最高峰の大会は終盤に大逆転。いったんは2番手に下がったヴィンチェンツォ・ガロッファロ(マトリックスパワータグ)が、驚異の追い上げを見せた増田成幸(宇都宮ブリッツェン)とともに先頭の鈴木譲(シマノレーシング)を猛追、ゴール前でかわし優勝。団体優勝もマトリックス。女子は西加南子(LUMINARIA)がスプリントを制した。

E1 堀孝明(ブラウ・ブリッツェン)が優勝E1 堀孝明(ブラウ・ブリッツェン)が優勝 photo:Hideaki.TAKAGIF 西加南子(右、LUMINARIA)がスプリントを制し優勝F 西加南子(右、LUMINARIA)がスプリントを制し優勝 photo:Hideaki.TAKAGI1周目、集団が分裂する1周目、集団が分裂する photo:Hideaki.TAKAGI6周目、先頭の11人に増田成幸(宇都宮ブリッツェン)らが追いつく6周目、先頭の11人に増田成幸(宇都宮ブリッツェン)らが追いつく photo:Hideaki.TAKAGIJプロツアー第14戦第45回経済産業大臣旗ロードチャンピオンシップが9月25日(日)、静岡県伊豆市の日本CSCで行われた。
この大会は実業団のチャンピオンを決める年1回のもので、レーティングは最高ランクのAAA。さらにチーム総合の団体成績に対しても優勝チームへは輪翔旗が贈られる由緒あるもの。今年からは優勝者へはロードレースで年間着用が認められる「ヴィオラジャージ」が贈られる。

コースは5kmサーキットを秀峰亭から延長した8km。逆周りでゴールはホームストレートを上る方向だ。8kmは5kmよりもさらに上りが延長され、テクニカルな下りを含むもので、逃げが決まりやすく、より難しく厳しいコースだ。
当日は朝から強めの風が吹く。ゴールが向かい風になる。気温も低めで午前中のレースは20度いかないほど。

女子は西加南子(LUMINARIA)が優勝

女子は4周32kmで行われた。序盤から小刻みなペースアップはあるが2周目入るまでは集団で進む。その後は上りで智野真央(MUUR ZERO)と星川恵利奈(湘南ベルマーレクラブ)が積極的にペースを上げる。集団は途切れるが次の上りまでには数人が追いつくのを繰り返す。
西加南子(LUMINARIA)、高橋奈美(Vitesse-Serotta-Feminin)ら本命がペースを上げて終盤に先頭はこの4人に。ゴール前は智野が先行、後方から西がスプリントし高橋もそれに合わせる。ほぼ同時にゴールラインを切ったが、西が先着しており優勝。
なお、今大会から混走時のクラス識別用に、ゼッケンの背景色を入れたことと、同色の布片を袖口にピン止めする措置がされた。ヘルメットカバーの代用であり、このような対策は評価されよう。

ヴィオラジャージと輪翔旗を賭けた戦い

男子P1クラスは16周128kmで行われた。優勝者個人へはヴィオラジャージが、そしてチーム上位3人までのポイントで競われる団体表彰では、輪翔旗が贈られる。年に一度の大会だけに各チームとも必勝体制で臨む。
今年のもうひとつの特徴は、個人年間リーダー争いだ。リードしている増田成幸(宇都宮ブリッツェン)を畑中勇介(シマノレーシング)が追う展開だが、レーティングの高いこの大会で優勝すれば、ほぼ決まってしまうため、ブリッツェンとシマノのチーム間での戦いも注目された。

レースは2周目から動く。上りを中心にペースの上がった集団は長く伸び、先頭がまとまって逃げの体制になる。数人ずつが合流して3周目に完成した先頭集団は11人。ヴィンチェンツォ・ガロッファロと山下貴宏(マトリックスパワータグ)、鈴木譲と西薗良太(シマノレーシング)、柿沼章・中村誠と初山翔(宇都宮ブリッツェン)、普久原奨(チームブリヂストン・アンカー)、池部壮太(ブリヂストン・エスポワール)、高岡亮寛(イナーメ・アイランド信濃山形-JPT)、中野清太郎(オーベストディープラスデザイン)だ。増田とマークする畑中はメイン集団内。

8周目、再編された7人の先頭集団8周目、再編された7人の先頭集団 photo:Hideaki.TAKAGI11周目、逃げ続ける鈴木譲(シマノレーシング)とヴィンチェンツォ・ガロッファロ(マトリックスパワータグ)11周目、逃げ続ける鈴木譲(シマノレーシング)とヴィンチェンツォ・ガロッファロ(マトリックスパワータグ) photo:Hideaki.TAKAGI


10周目、7人の逃げからガロッファロと鈴木譲がアタック

6周目、メイン集団が追い上げてそのうちの増田、畑中らが11人の先頭集団に合流しおもにブリッツェン勢が攻撃を仕掛ける。それの対処は西薗が一人で行う。そしてガロッファロらがペースを上げて先頭は分裂。7人の先頭集団が再編成される。ガロッファロ、山下、鈴木譲、西薗、中村、初山、普久原だ。
先頭7人は先頭交代してペースを維持し、増田、畑中らを含む追走集団との差を広げていく。
10周目、先頭7人からガロッファロと鈴木譲がアタック、2人で逃げの体制を作る。一方で追走集団からも増田、畑中らが5人となった集団に合流。これで先頭2人と、これを追走する増田、畑中らを含む9人の集団に。
先頭の2人はペースを上げて逃げ切りを図る。追走は狩野智也(チームブリヂストン・アンカー)が引き、鈴木真理(シマノレーシング)や西薗もペース維持に回る。やがてその差は3分にまで広がる。

14周目、逃げ続けるヴィンチェンツォ・ガロッファロ(マトリックスパワータグ)と鈴木譲(シマノレーシング)14周目、逃げ続けるヴィンチェンツォ・ガロッファロ(マトリックスパワータグ)と鈴木譲(シマノレーシング) photo:Hideaki.TAKAGI15周目、追走集団からアタックした増田成幸(宇都宮ブリッツェン)。畑中勇介(シマノレーシング)を引き離す15周目、追走集団からアタックした増田成幸(宇都宮ブリッツェン)。畑中勇介(シマノレーシング)を引き離す photo:Hideaki.TAKAGI


激しい先頭の攻防からゴールへ

15周目、ガロッファロと鈴木譲は優勝目指して走り続け、後続は増田をマークする畑中の構図でペースが上がらない。残り2周で3分差は決定的で、誰もが優勝争いは先頭の2人と見る。ここで増田が追走集団から強烈なアタックをかける。西薗はそれまでに動いていたため追走できたのは畑中単独。すぐに15秒ほどの差をつけ、その後は差を保ったまま我慢比べの走りに。

最終周回、増田成幸(宇都宮ブリッツェン)に檄を飛ばす栗村修監督最終周回、増田成幸(宇都宮ブリッツェン)に檄を飛ばす栗村修監督 photo:Hideaki.TAKAGI最終周回、上位3人最終周回、上位3人 photo:Hideaki.TAKAGI

最終周回へ入ると、先頭では鈴木譲がアタックしてガロッファロを離す。そこへ増田が追い上げる展開に。その差を保ったまま周回後半へ。ここでガロッファロに増田が追いつき、増田先頭で鈴木譲を追う。そしてゴール前の上り、増田とともに走ってきたガロッファロがスパート、増田を置き去りにし、さらには先行する鈴木譲も捕らえてゴールへ。後ろを振り返って勝利を確信したガロッファロが歓喜のゴール。

ヴィンチェンツォ・ガロッファロ(マトリックスパワータグ)が歓喜の優勝ヴィンチェンツォ・ガロッファロ(マトリックスパワータグ)が歓喜の優勝 photo:Hideaki.TAKAGI
ガロッファロは昨年までNIPPOに所属、08年にTOJ富士山ステージで優勝、昨年のこの大会では3位に入り、団体優勝も経験している。今シーズンからマトリックスへ移籍し、各レースを走ってきたがあと一歩の惜しいレースが続いていた。「序盤からとにかく前へ出た。増田選手とはNIPPOで一緒だったので脚質は知っていた。スプリントならば勝てると思った」と語る。

団体総合表彰団体総合表彰 photo:Hideaki.TAKAGI誰もが驚いたのは増田の驚異的な追い上げだ。1周少しで3分の差を30秒ほどにまで詰めたのだ。それまで崩せなかったシマノの畑中・西薗を一人で切り離し、そして先頭にあと一歩まで迫った。その激走ぶりはチームを越え、会場にいた多くの人たちから声援を受けるほど。バスツアーで来たブリッツェン応援団も大声援を送る。だが前の2人が踏みなおして粘り、優勝はかなわなかった。ラスト2周で3分差はやはり大きかった。もう半周だけアタックを早く仕掛けていれば、あるいは結果は変わっていたかもしれない。

結果
P1 128km
1位 ヴィンチェンツォ・ガロッファロ(マトリックスパワータグ)3時間51分34秒
2位 鈴木譲(シマノレーシング)+05秒
3位 増田成幸(宇都宮ブリッツェン)+08秒
4位 畑中勇介(シマノレーシング)+58秒
5位 山下貴宏(マトリックスパワータグ)+3分02秒
6位 鈴木真理(シマノレーシング)
7位 マリウス・ヴィズィアック(マトリックスパワータグ)+3分03秒
8位 西薗良太(シマノレーシング)+3分04秒
9位 普久原奨(チームブリヂストン・アンカー)+3分18秒
10位 岩島啓太(なるしまフレンドレーシングチーム八王子)+4分45秒

P1 団体
1位 マトリックスパワータグ 3900pt
2位 シマノレーシング 3600pt
3位 宇都宮ブリッツェン 2300pt

F1/2 32km
1位 西加南子(LUMINARIA)1時間09分50秒
2位 高橋奈美(Vitesse-Serotta-Feminin)
3位 智野真央(MUUR ZERO)+01秒
4位 星川恵利奈(湘南ベルマーレクラブ)+10秒
5位 佐藤咲子(Ready Go JAPAN)+39秒
6位 橋本みどり(なるしまフレンド)+1分44秒

E1 56km
1位 堀孝明(ブラウ・ブリッツェン)1時間42分47秒
2位 若杉圭祐(BREZZAカミハギRT)+01秒
3位 小竹俊輔(EQADS)+11秒
4位 松木健治(クラブシルベスト)
5位 大塚潤(TEAM YOU CAN)
6位 岡泰誠(spacebikes.com)

E2 40km
1位 江越岳也(スミタ・ラバネロ)1時間16分01秒
2位 豊田勉(豊田業務店)
3位 中村滉平(ボンシャンス飯田)+02秒
4位 原純一(竹芝サイクルレーシング)+03秒
5位 小山貴大(EQADS)
6位 孫崎大樹(Sakatani Racing)

E3 32km
1位 二俣雄哉(イナーメ・アイランド信濃山形)59分08秒
2位 高野淳(TEAM YOU CAN)+16秒
3位 小林宏志(HONDA R&D 栃木)+42秒
4位 太田大揮(立命館大学)+43秒
5位 山田俊紀(チームオーベスト)
6位 橋詰丈(EQADS)+44秒

photo&text:高木秀彰
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