2011年10月21日、デンマークのUCIプロチーム/サクソバンク・サンガードが栃木県宇都宮市で会見を開き、現在イタリアのUCIプロコンチネンタルチーム/ファルネーゼヴィーニ・ネーリソットリに所属する宮澤崇史と1年契約を結んだと発表した。宮澤崇史本人の独占インタビューを併せて紹介する。

ロード世界選手権を30位で終えた宮澤崇史(ファルネーゼヴィーニ・ネーリソットリ)ロード世界選手権を30位で終えた宮澤崇史(ファルネーゼヴィーニ・ネーリソットリ) photo:Kei Tsuji名将ビャルヌ・リース監督率いるサクソバンク・サンガードに、宮澤崇史が移籍する。前全日本チャンピオンの宮澤が、自身初めて世界最高峰のファーストディビジョンチーム(UCIプロチーム)の一員となる。つまりアルベルト・コンタドール(スペイン)のチームメイトとなる。

宮澤は「自分がこの先も選手を続ける意味は何なんだろう?逆に選手を辞める時はいつなんだろう?ここ2〜3年ずっとそのことを考えていた。そんな状況の中、今年(ファルネーゼヴィーニで走るという)チャンスが回って来た。そこで自分がやるべきことをやったことで、巡って来た今回のチャンス。これからも現役を続ける意義について、自分の中で深く考える一歩になったというのが正直な気持ちです」と、今回の移籍に関して感想を述べる。

今年イタリアのUCIプロコンチネンタルチームで走り、そしてUCIプロチームへの切符を手にした。移籍のきっかけは、宮澤本人による直談判だったという。

宮澤崇史とビャルヌ・リース監督宮澤崇史とビャルヌ・リース監督 photo:Kei Tsuji「今シーズンの始めに、サクソバンクのビャルヌ・リース監督に『チームに入れてくれ』と直談判した。自分で動いて手にした大きな一歩。具体的にチーム移籍の話が持ち上がったのは、ツール・ド・フランスが終わったあたりのタイミング。そして8月の中旬に話がまとまった。その時はもう『うわぁああ!やっっったーーーー!!』という感情が溢れ出た。送られて来た書類にサインして、DHL(国際宅配便)で30ユーロを払って送り返すのは変な気持ちだった。でも『100ユーロでも送るよ!』と思いながら送った(笑)」

正式にサクソバンク移籍が決まり、そして挑んだベルギーのイゼヘム・クルスで優勝し、パリ〜ブリュッセルで5位。「パリ〜ブリュッセルには落ち着いた気持ちで挑めて、優勝はできなかったけど、そこそこの成績を収めることが出来た」。

ロード世界選手権期間中の9月22日に、宮澤はデンマークにいるチームスタッフと顔を合わせた。「久しぶりにビャルヌに会って、向こうも喜んでくれたし、あらためてリラックスして話すことができた。チームにはかつてチームメイトとして走っていたフィリップ(モデュイ監督)がいるので心強い。自分は英語がそれほど得意じゃないので、語学が堪能な彼が世話をしてくれる。移籍が決まったとき、彼は『来年うちのチームで走るのか??』と電話してくれて、とても喜んでくれた」。

デンマークのサクソバンク・サンガードデンマークのサクソバンク・サンガード photo:Kei Tsuji現在イタリアに住む宮澤は、継続的にイタリアに拠点を置く。「チームメンバーの多くはイタリア・トスカーナ州のルッカに住んでいて、自分もそこに移る。今の環境とはそれほど変わらないので心配はしていない。来シーズンについて具体的には監督と話し合わないと分からないけど、このチャンスを活かして、更に上を目指して次のステップに進みたい。11月にチームの合宿があるので、そこである程度2012年の動きが決まると思う」。

最後に2012年シーズンの抱負を語ってもらう。「充実した1年にして、シーズンを謳歌しますよ。人生の一番輝かしい1年のようなイメージで。自分自身、来シーズンはいろんな意味で輝きたい。そして、それがその先に繋がっていくと思う。やっと人間として当たり前の生活ができるようになった感じ。地面に脚をつけ、根を張ることが大事なんだとずっと思いながらも、今まではそれができなかった。そういう意味では、これまでフミやユキヤはスゴイと思ってきた。でもヨーロッパで闘うためには、そうじゃなきゃダメ。2012年シーズンに全てを懸けてみたい。チャンスがあるんだったら、100%の力を注ぎ込みたい。その環境が整うことがとにかく嬉しい。結果は後からついてくると思う」。

2012年のUCIワールドツアーライダー日本人第1号となる宮澤崇史、33歳。新天地での活躍に期待したい。

宇都宮で行なわれたサクソバンク会見の模様は後ほどお伝えします。

text&photo:Kei Tsuji