フランスの若手がU23ロードレースを席巻。デンマーク・コペンハーゲンで開催されているロード世界選手権U23で、アルノー・デマールとアドリアン・プティ(フランス)が登りスプリントでワンツー勝利を飾った。

一日中ずっと晴れたり曇ったり一日中ずっと晴れたり曇ったり photo:Kei Tsujiコペンハーゲン近郊のルダースダルで開催されているロード世界選手権ロードレース。U23ロードレースは14kmの周回コース12周、合計168kmで行なわれた。

累積標高差が1260mという平坦なコースだけに、当然スプリンターたちの活躍に注目が集まる。昨年の覇者オーストラリアは、マイケル・ヘップバーンをエースに据える。一方、有力スプリンターを欠くイタリアは、逃げによる展開に持ち込もうと、序盤から積極的にアタックを繰り返した。

マナレッリとレオナルディを見送ったメイン集団はペースダウンマナレッリとレオナルディを見送ったメイン集団はペースダウン photo:Kei Tsujiレースは小国の選手たちを中心としたアタックの応酬でスタート。1周目を終える頃には、カルロス・マナレッリ(ブラジル)の単独逃げが始まる。これを追ってジャンルーカ・レオナルディ(イタリア)が飛び出し、単独で先頭のマナレッリに合流した。

マナレッリとレオナルディの2人は、レース中盤にかけて最大4分30秒のリードを築く。メイン集団は積極的にコントロールするチームを欠き、アタックとカウンターアタックを繰り返す不安定な状態のまま周回をこなす。

逃げるジャンルーカ・レオナルディ(イタリア)とカルロス・マナレッリ(ブラジル)逃げるジャンルーカ・レオナルディ(イタリア)とカルロス・マナレッリ(ブラジル) photo:Kei Tsuji一時的にミラス・ベデルベコフ(カザフスタン)とジデオニ・モンテイロ(ブラジル)が追走グループを形成したが、先頭に追いつくことなく吸収。レース後半に入るとアメリカやオーストラリアが集団コントロールを開始し、ゴールまで2周半を残して先頭のマナレッリとレオナルディを飲み込む。

逃げが吸収されると、今度はエウジェニオ・アラファーチ(イタリア)がアタックを仕掛け、この動きにクリストファー・ユールイェンセン(デンマーク)らが乗って6名の逃げグループが再編成。しかしタイム差は30秒で頭打ち。ベルギーがコントロールに加わったメイン集団は、最終周回突入を前に先頭6名を捉えた。

アタックがかかり、常に不安定な状態のメイン集団アタックがかかり、常に不安定な状態のメイン集団 photo:Kei Tsuji最終周回に入ると、集団スプリントに持ち込みたいオーストラリアが集団を仕切り、ニコラ・ボエム(イタリア)らのアタックを封じ込める。タイムトライアルチャンピオンのルーク・ダーブリッジ(オーストラリア)らが集団先頭で目を光らせ、アタックをことごとく潰していく。

ゴールまで10kmを切ると、オーストラリア、イタリア、フランス、ドイツ、イギリスによる主導権争いに。主にオーストラリアがリードしてラスト1km。約90名の大集団が、登りの最終ストレートに突入した。

集団を振り切って最終周回に向かうクリストファー・イェンセン(デンマーク)ら集団を振り切って最終周回に向かうクリストファー・イェンセン(デンマーク)ら photo:Kei Tsujiオーストラリアのヘップバーンが失速する中、勢い良く加速したのがアンドリュー・フェン(イギリス)。しかしその後ろからフレンチデュオが追い上げる。

アドリアン・プティにリードされたアルノー・デマールが好位置でスプリントを開始。デマールはフェンを追い抜き、プティを引き連れたままゴールへ。フレンチデュオはそのままリードを守り切り、2人で同時に両手を広げた。

「チームの動きは完璧だった」。ゴール後、チームメイトと抱き合いながら、喜びに沸くデマールはそう話す。「メカトラで2回のバイク交換を余儀なくされたけど、その都度チームメイトたちは待ってくれた。ラスト5kmを切ると、チームとしてポジションを上げ、そして7番手で最終コーナーを抜けた。ゴールの登りが本当にキツかった。でもラスト250mからアドリアンに連れられて先頭に立ち、ラスト100mで勝利を確信。ワンツー勝利だと言うことに気づいて、最高の満足感を得ながらゴールラインを切ったんだ」。

両手を広げてゴールするアルノー・デマール(フランス)とアドリアン・プティ(フランス)両手を広げてゴールするアルノー・デマール(フランス)とアドリアン・プティ(フランス) photo:Riccardo Scanferla

ワンツー勝利を飾ったアドリアン・プティ(フランス)とアルノー・デマール(フランス)ワンツー勝利を飾ったアドリアン・プティ(フランス)とアルノー・デマール(フランス) photo:Riccardo Scanferlaデマールは今年8月からFDJのスタジエールとして走る20歳。昨年のロード世界選手権U23ロードレースでは僅差で表彰台を逃している(4位)。来シーズンはFDJでのプロデビュー予定。なお、リードアウト役を務めたプティはコフィディスでプロデビュー済みだ。

ワンツー勝利に、フランスチームは沸き上がっている。近年勢いを失っているフランスにおいて、若手の躍進はこの上ない朗報だ。


ロード世界選手権2011U23ロードレース結果
1位 アルノー・デマール(フランス)     3h52'16"
2位 アドリアン・プティ(フランス)
3位 アンドリュー・フェン(イギリス)
4位 ルドガー・セリグ(ドイツ)
5位 マルコ・ハラー(オーストリア)
6位 フィリッポ・フォルティン(イタリア)
7位 ワウテル・ウィペルト(オランダ)
8位 アレクセイ・ツァテビッチ(ロシア)
9位 トシュ・ファンデルサンド(オランダ)
10位 アンドリス・スモルノブス(ラトビア)

text&photo:Kei Tsuji in Copenhagen, Denmark