アングリル山頂の最難関ステージを終えて、総合リーダーが入れ替わったブエルタ・ア・エスパーニャ2011。2回目の休息日に総合トップ3の選手がこれまでの走りと、最終週について語る。

総合リーダーで休息日を迎えたファンホセ・コーボ(スペイン、ジェオックス・TMC)

アングリルで果敢な走りを見せたファンホセ・コーボ(スペイン、ジェオックス・TMC)アングリルで果敢な走りを見せたファンホセ・コーボ(スペイン、ジェオックス・TMC) photo:Tour of Spain/Graham Watson--自らのパフォーマンスに驚きは?

先頭でアングリルを駆け上がるファンホセ・コーボ(スペイン、ジェオックス・TMC)先頭でアングリルを駆け上がるファンホセ・コーボ(スペイン、ジェオックス・TMC) photo:Kei Tsuji「今までに他の機会ではすでに、このレベルのレースで勝負できる事を見せてきたと思う。1年以上に及ぶつらく厳しい時期から復活する事ができた。自分がやってきたことが無駄じゃないことが、わかってもらえると思う。僕は自転車競技を、一からやり直したんだ。6月の終わりにスペイン選手権を走ってから、自転車競技を止めたいと思っていた。でもそれは過去の話さ。こんな話は忘れてしまいたいし、この経験が僕を冷静に、重圧につぶされないよう成長させてくれていると思いたい。」

--この状況でブエルタの最終週を迎えることを待ち望んでいた?

「いい総合順位にいたいとは思っていたけれど、まさかリーダーの座にいることなんて思いもしなかった。そういうこともあって、今はハッピーだ。自分の最高レベルを取り戻すためにとても厳しく練習を積んできたから、このマイヨロホはその見返りと言えるかもしれない。」

--チームメイトのデニス・メンショフとカルロス・サストレはなんと言っている?

アングリルを制しマイヨロホを獲得したファンホセ・コーボ(スペイン、ジェオックス・TMC)アングリルを制しマイヨロホを獲得したファンホセ・コーボ(スペイン、ジェオックス・TMC) photo:Tour of Spain/Graham Watson「まったく平穏そのものだよ。僕はすでにこのブエルタで成功を収めたんだ。チームは一丸となって今着ているマイヨロホをマドリッドまで運ぶのに力を貸してくれるだろう。でもそのためには毎日多くの仕事が必要になる。平穏に、そしてマイヨを守るという強迫観念にかられないようにしないと。」

--6日間が残っていますが、このブエルタの勝者はペーニャ・カバルガで決まりそうです。この第17ステージをどう受け止めていますか?

「チームスカイは今の総合順位をひっくりかえさずに、このブエルタを終えるつもりはなさそうだ。フルーム、そしてウィギンズはアタックを仕掛けてくるだろう。体調的には僕の調子はいい。彼らと同じレベルにいることを望むよ。何が起こるかは見てのお楽しみといったところかな。彼らがペーニャ・カバルガを待つか、それより先にアタックするかは僕にはわからない。これから走るルートは、僕が暗記しているくらいのところ。僕のチームも同じだよ。ハメられることは無いだろう。

--あなたの戦略は?

「毎日、逃げは行かせることにする。先週、チームスカイがそうしていたようにね。逃げグループに中間スプリントとゴールでのボーナスタイムを取ってもらうのは、僕らにはいいことだよ。」


総合2位のクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)

アングリルで4位に入り、現在総合2位のクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)らアングリルで4位に入り、現在総合2位のクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)ら photo:Kei Tsuji「誰よりも強かったコーボを除けば、ブラッドリーと僕にとって大きく、そして良い一日だった。僕らは数日前からあのスペイン人が強力であることに気づかされていた。アングリルでは、彼に追いつくために僕らはハイペースでリズムを刻んだ。だけど彼は僕らに追いつく隙を与えなかった。

このブエルタは信じられないほどの経験になっている。自分がグランツールの選手になったことを実感している。これはスタートしてからというもの、ほとんど衝撃的とも言える出来事だよ。ブラッドリーの隣で、マイヨを守るための走りを学んだんだ。この数日間で、サラマンカの個人タイムトライアルでのパフォーマンスが出来過ぎでないこと、あるいは一度きりの結果ではなかったことを見せることができたと思う。」


総合3位に順位を下げたブラッドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)


アングリルでコーボを先に行かせてしまったブラッドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)アングリルでコーボを先に行かせてしまったブラッドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ) photo:Cor Vos我々は勝つために自転車競技に打ち込んでいる。だから日曜日に、総合1位を失ったことに失望したし、がっかりした瞬間だった。しかしこの流れを切り替えなければならないし、2週間前から我々がやってきたことをやるだけだ。

第1週目を終えたとき、我々はマイヨロホまで1分48秒差だった。今日では2人ともがマイヨロホを着た上で、総合2位と3位の座につけている。このブエルタの前には、こんなことが可能だなんて全く信じられはしなかっただろう。クリス・フルーム(イギリス)はあらゆる予想を飛び越えてしまった。自分自身のそれさえも。

アングリルで失速し、総合3位になったブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)アングリルで失速し、総合3位になったブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ) photo:Kei Tsuji「レースを決定づけるステージは既に過ぎ去った。だけどこれからの5日間にもあらゆることが起こりうる。レースは激しいものになるだろうし、もしグランツールのステージ構成が僕が勝てないように作られていたとしても、それはそれ。レースが終わったことを認めなければいけなくなるだろうけど、まだレースは接戦だ。タイム差は最小限だし、この後何が起こるかなんて僕自身知りようが無い。ツール・ド・フランスでの落車以降、ジェットコースターのような調子の波を経験したんだ。

ブエルタは世界選手権の個人TTに向けての準備プロセスでもある。しかしマドリッドを総合2位で終えたならそれには失望を隠せないし、我々は持てる力のすべてを捧げるつもりだ。マドリッドのポディウムで一番高いところに立つためにね。」


選手コメントは公式リリースより。


text:Yufta Omata
photo:Kei Tsuji,Unipublic,Cor Vos